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I want BRAVERY

作者:清海深々
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7話 Some irregulars


7話 Some irregulars

———ガチャリ

 私は今、運命のドアを開けた。

 やっと始まる。
 やっと始まるのだ。

 私の、私だけの物語が。

 一歩踏み入れる。

「ここが・・・」

 ここが私の愛の巣になるところなのね。

 初日は岳羽ゆかりという見た目ビッチな女に話しかけられるのだ。

 そして続いて出てくるのは桐条美鶴というドS王女さま。

 どちらも女であり、私の敵だ。

「遅かったね。長い間君を待っていたよ」

 心地よいトーンで語りかけられる。

———パチン

「この先へ進むなら」

 赤い、本らしきものが現れる。

「そこに署名を」

「ふふ・・・あ、名前?」

「一応契約だからね。怖がらなくていいよ」

「ここからは自分の決めたことに責任をとってもらうっていう、当たり前の内容だから」

 私は自分の名前をそこに書き込む。

「これでよし、と」

「確かに、時はすべての者に結末を運んでくる」

「たとえ耳と目を塞いでいてもね」

 少年が手を少し動かすと、それだけさっき私が署名した本は消えた。

「さ、始まるよ」

 そして、ここで原作なら岳羽ゆかりが、「誰!?」というのだが、

「誰もいないのかな?」

 私は寮内を見渡し、少し中へと進む。

「誰だ」

 なにかひんやりとしたものが首に当てられ、低い声でそう言われる。

「え?」

(ナイフ!?)

「ひっ!?ちょ、ちょっと!ち、違う!怪しい者じゃありません!」

「・・・」

 相手は無言。

 私は本能的に危ないと思い、体をねじってナイフから逃れようとする。

 すると、後ろに立つ人が私の腕を後ろにひねり上げる。

 そうされると、それ以上動けなくなる。

 前にはナイフ。
 背中には腕をひねられている。

 私は完全に身動きがとれなくなった。

(どういうこと!?なんで!?何が起こってるの!?)

 パニくった私は、その無理な体勢からさらに身をよじろうとする。

「あまり暴れるな。思わず手が滑りそうだ」

(こ、殺される!!)

「ひっ!」

 首にナイフをペチペチと当たる。

(き、切れる!)

「な、なんで・・・」

(どうしてこんなことを私がされなきゃいけないのよ!)

「お前は誰だ?一体なんの目的で

(どうしよう!どうしよう!)

———カチリ

 明かりがついた。

 影時間が終わった。

「彩!何をしている!」

 この声は、たぶん桐条美鶴。

「何って・・・尋問?」

 さっきとは異なって、どことなく軽い感じの男の子の声が聞こえる。

「もう手を出したのか!?そんなに密着して!何をするつもりだったんだ!?」

 私の見える範囲に桐条美鶴が現われる。

 やはりゲーム内と同じでものすごい綺麗な人だ。

 しかし、どうも慌てている。
 私に悪印象を与えないため、というよりももっと他に、何か。

「ぇ?・・・あーいや、この子がいきなり寮に入ってきたから」

 手が離され、私の体は自由になる。

 彼にひねられた肩を少し回して不調がないことを確かめる。

「む、そうか。私の説明不足だったな。彼女は今日からこの寮に住むことになった」

 綺麗な赤い髪をしたその人は、私に自己紹介をしろ、とでもいうような目線を送ってきた。

 言われてからするのは尺だが、私はしぶしぶ自己紹介をすることにした。

「え、えっと、あの・・・稲城(いなぎ)(はるか)です」

「ふ〜ん。この子って、もしかして?」

「あぁ、そうだ。前もって言っておくべきだったな」

 そんなことよりも問題は、彼だ。
 もしかして岳羽さんの変わりなのだろうか。
 私が原作介入しているせいで、何かがズレていてもおかしくない。
 もしかしたら彼が岳羽さんの男バージョンの可能性もある。

「あの!すいません」

 二人がこちらを向く。

「あなたは一体誰ですか?」

 もしそうならば、彼も私の逆ハーに加える。
 回復系のスキルを持っている男があまりいないため、彼が岳羽の代わりならかなり楽になるだろう。

「俺は琉峰彩。月光館高校2年生。さっきは脅しみたいなことしてゴメンね?でも安心してよ」

 彼、彩はそういうと、ポケットから何かを取り出す。

「これペーパーナイフだから」

 問題はそこじゃない。
 実際に人を殺せる殺せないが問題ではない。

 殺されるかもしれない、そう他人に思わせる行為が間違いなのだ。

「そ、そういう問題じゃありません!た、確かに予定の時刻よりは遅れて着ましたけど、それだけでこんな対応され

なきゃいけないんですか!?」

 彼の名前からして、岳羽は他にちゃんといそうだ。

 となると、彼は何かのイレギュラーとなる。

 一体なんのイレギュラーなのか。

 アルカナに入っていなければ恋人になるのは難しい。
 しかし、ここにいるということは彼もペルソナ使いの可能性が大きい。

 となると、何かしらのアルカナを有していると思われる。

「荷物はすでに運んである」

「わかりました」

 私は桐条美鶴にそう返事した後、再び思考し始める。

 彼は一体どのような存在なのか。

 イレギュラーな存在にも二通りある。

 それは私と同じような形で原作を知る外部世界からの者。

 二つ目は、私の存在によって発生したイレギュラー。

 この二つのうちのどちらかだ。

「じゃ、ついてきて」

 私がジっと彼を見ながら考えていると、彼が振り向きついてくるように言う。

「はい」

 彼について2階へ上がる。

「2階は男子ね」

「はい」

 そんなことは知っている。

「3階は女子、で4階は会議室だから」

「わかった」

「で、君の部屋はこの廊下の一番奥の、右の方ね」

「こういう時って普通、部屋の前まで送ってくれるんじゃないの?」

 なんとなく彼がそれだけですまそうとしていることに不満を感じる。

「・・・」

 彼はふぅ、と息を吐くと廊下を歩き出す。

 もしかして図々しいと思われたか、いやそんなことはない。
 普通ここまでするのが礼儀というものだろう。

「こ、ここだ」

 彼は私の部屋の真向かいの部屋をチラチラ見ながら言う。

「?どうしたの?」

 一体何があるのだろうか。
 そこは確か、山岸風花の・・・
 いやおかしい。

 向かいの方にも3つ扉がある。
 一つ多い。

 私の部屋の向かいは一体。

「い、いやぁ、じゃ、明日はたぶん岳羽さん、あ、隣の部屋の子ね、が向かえに来てくれると思うか

———バタン

「彩君!」

「うぉぉ!?」

 その向かいの部屋から黒髪の女性が飛び出してきた。
 寝巻き姿のまま。

 そのまま彼にタックルするように抱きつく。

「どうしたの?こんな夜中に、もしかして・・・私を襲いに?」

「ち、違うから、離さんかい!」

「彩く〜ん。彩君彩君彩君・・・あれ?誰、こいつ」

 その黒髪の女は私を見た途端にテンションを下げる。

「あー、えっと転校生」

「・・・そう」

 獲物が増えた代わりに障害も増えたということだろうか。

「何ですか?ていうかあなた誰?」

 少しきつい言い方をしてしまった。

「暗超楓・・・3年・・・彩君に手出したら殺す」

「・・・稲城遥です。2年・・・彼氏さんなんですか?」

 もしここで彼らが付き合っているとすると、これは今後大きな障害となる。

「違うよ。夫だよ」

「違う違う」

 少し安堵する。

「彼は否定してますよ?一人善がりなんですね・・・フッ」

 馬鹿にしたように鼻で笑う私。

 彼女はそんな私をギロリと睨む。

 悪いけど、私の計画は誰にも邪魔させないから。
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