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I want BRAVERY

作者:清海深々
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四話 原作当日



 時は過ぎ、春休みも終わった。

 今日は4月の6日。

「ふぁぁ〜」

 俺の前の席には、大欠伸をする髭。

「・・・ZZZ」

 その髭の横の名前も知らない生徒は既に寝ている。

 今日は始業式だ。
 昨日は入学式。

 そして、今日は原作開始の日だ。

 俺は今日まで結局ペルソナを使うことなくすごしてきた。

 その結果、刃物捌きはかなりのものになったと思う。

 特に最近は包丁の腕が上がった気がする。

 まさか自分が料理をするようなことになるとは夢にも思っていなかったが、現実は別だったらしい。

 3月の下旬、前に一度食べてみたいと言ったのが原因なのか、俺は山岸さんと長谷川さんの料理を食べることになった。

 原作を知っての通り、山岸風花の料理の下手さは人間の踏み入れていい領域を超えていることを知っていた。
 そのため、俺のあの時の言葉は長谷川さんにだけ言ったものであり、山岸さんもそのことを理解していたはずだ。

 いや、もしかしたらあの時の社交辞令を本気ととってしまったのかもしれないが。

 過程や原因はともかく、俺は結果として彼女ら2人の料理を食べることとなった。

 わかったのは、山岸さんは普通の食材からポイズン系を作れるということと、長谷川さんの料理もマズいということだった。

 山岸さんの料理は、食べたら倒れてしまうので、その場ではお持ち帰りさせてもらい、その日の夜シャドウ相手に食べさせてあげた。

 シャドウの反応は見るも明らかだった。

 ダメージは一度も通っていないはずのワイルドドライブが一瞬でHPが残り1(あくまで感覚)になったのだ。
 もしかしたら人とシャドウは分かり合えるのかもしれない。

(※そんなことはありません)

 そして、長谷川さんの料理だが、見た目はよかった。
 本当においしいそうだと、あの時思ったのだ。
 しかし、食べてみると、味は全くせず、まるで粘土を食べているかのようのな感覚だった。

 結局、料理下手が二人集まったところで、料理の腕は上がらないということがわかった。

 そこで、俺も何故かその料理の勉強会にお呼ばれされることとなり、彼女ら二人の料理は改善されていくこととなった。
 いまでは、『食べれる』程度にはなったはずだ。

 もし男主人公であるキタロー君が来たら、彼はきっと勇気『漢』がなくとも山岸風花のコミュを得ることができるだろう。

 感謝していただきたい。
 尊い犠牲に。

 俺は基本的に刃物の扱いに慣れたいという思いから、キャベツ千切りなどが主な役目だった。
 
 そして、毒見はすべて髭に任せた。

 持つべき物は友である。

 モブ?

 あくまでモブはモブだったのだよ。

 結果的に俺は料理(?)の腕が上がり、ナイフ(?)捌きも上手くなった。

 今ではステータスも、

 学力:6
 天才
 魅力6
 カリスマ
 勇気6
 漢

Lv29 流峰 彩
HP 101/101
SP 428/428
        普通

NEXT EXP 692


 オール6になった俺。
 やはり魅力が6に上がった理由は、俺のファッションセンスの向上だろう。
 ちょこちょこ気にしはじめていたのさ。

(※未だにモノトーン風から抜け出せてません)

 だが、やはりおかしいのはこのHPとMPだろう。

 明らかにおかしい。
 というか異常すぎる。

 どうやったらこんな低レベルでMPが400を超えるのだろうか。

 そして、まさかの展開だが、俺のペルソナ。
 ステータスは偶に確認していたんだ。

 苦手なのは光。
 得意なのは火と氷、この二つには耐がついている。

 力はまさかの1。
 魔はなんと、33。
 耐はもはやなくても変わんないよレベルの3。
 速は29。
 運は22。

 偏り方が半端ない。
 というかこれ、下5レベル以上のシャドウ相手なら一撃で死ねる。

 避けることができる俺じゃなきゃ、すでに地雷キャラである。
 その分魔はレベル10上のサキミタマよりも高い。
 そして速もレベル13上のギリガメラよりも高い。
 運も結構ある。

 完全な特化型である。

 そして今のとこ覚えている技は、

 マハスクジャガ
 メディア
 フブーラ
 アギラオ
 マハタルジャガ

 で、Lv33で
 フブダイン
 アギダイン

 を覚える。

 無駄がないとも言えるし、MPがこれだけある以上、序盤チート型だ。

 後々、足を引っ張るような形にならなければいいが。

 そんなことを心配しながら、俺はふと静まり返ったあたりを見渡す。

「えー、今から始業式を始めます」

 入学式は昨日あった。
 在校生は出席自由だったため、俺は行っていない。

 しばらく、このケンタッキーおじさんの太ったバージョン。
 いや、安西先生の劣化バージョンの校長先生の話を聞くこととなった。

 もちろんのこと、俺も回りに習って寝ることにした。


 5分後。

(※気分的問題です)

 目が覚めた。

「えー、これで始業式を終わります」

 絶好調になった。

 なんということだろうか、授業中に寝るだけでなく、こんなところでも効果があるなんて。

「彩〜」

「んぁ?」

「新入生に可愛い子がいないか見に行こうぜ」

「おぉ、名案だな」

「俺はエミリ一筋だ」

「お前にには聞いてない。てか早く諦めろ。あの人、今彼氏らしき人いるらしいぞ」

「え!?ちょ、マジ!?聞いてないんだけど!」

「言ってないからな」

「いや、言えよ!そこは言えよ!」

「聞かれてないからな」

「いやいや、聞かれずとも言えよ!」

「モブに?」

「友達だろ!?」

「ゑ」

「・・・」

「嘘嘘、昨日知ったんだってば」

「・・・エミリに確かめてくる!」

「どうせストーキングするだけだろう」

 走っていくモブの後ろ姿を眺めながら髭がそう呟く。

「まぁ・・・いいか、そんなことより新入生を見に行こう」

 新入生は今、クラス内で授業の説明や、テキスト配布などをされているだろう。
 オリエンテーションは既にやっているはずだ。

 そして、俺は新入生の中に原作には出てこない可愛い子がいることを期待し、そちらに意識を向けていった。
 というより生徒会に入る、あの1年生が俺は割りとタイプである。

 眼鏡サイコーである。
 どうせならペルソナ4がよかった、なんて思っていた。
 
 
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