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明日の日記

作者:PC眼鏡
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そろそろ

 
前書き
やっちゃうよ? 

 

【 レン視点 】


自室で考える

今のこの胸の高鳴りをどう表現すればよいというのか
今まで禁止されていたことを解禁された感覚・・・というかそれそのものの意味なのだが

僕に、人が殺せるだろうか

もちろん、一般市民を大量虐殺するわけではない
相手もどこかの神に選ばれたコマだということだった。 ・・・が見た目は人間のままだ

今日の昼の出来事

女神との別れ際に伝えられたこと

『 やられてばかりではつまらないでしょう? そろそろあなたにもやってもらいます 』

『 やるって、何をですか? 』

『 簡単です。 殺(や)るだけですよ 』

『 ・・・なんとなくわかったような 』

『 優秀ですね! さすがは私の切り札です! 』

『 ・・・ 』

『 詳しいことは追ってお伝えしますので、今日はもう解散しましょうか 』



そんなこんなで、家に帰ってきたわけだが・・・

「 なんか面白いことになってきたなあ 」

僕は楽しみで楽しみでさっきから変なテンションになっている
人(コマ)を殺れるかどうかではなく、そのとき自分が何を感じ、考えるのか。
そこが楽しみでしょうがない

思えばこれまで誰かを殺したいほど憎んだことは無かった
そこまで深く人と関わることも無かったし、むかつくであろう相手には関わらないようにしてきた
これはきっとこれからも変わらないだろう

だからこれは・・・そう、スポーツみたいなものだ

僕はそう考えることにした






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【 ラン視点 】




変な人だったなあ
帰りの電車で手すりにつかまり、揺られながら考える

『 あなた、最近命の危険を感じたこと無い? 』

映画を見る視線をそのままに、隣の女性は話しかけてきた
なんでそんな事を初対面、にも値しないような相手に話さなければならないのだろうか
それに、心当たりがあるからしまつが悪い

この人に正直に話したところで、何も変わらないじゃないか
見知らぬ女性に自分のことを話すこと自体、嫌だ。

私が返答せずに、聞こえなかったフリをしているのを知っているのか知らないのか。
それ以降、彼女は話しかけてこなかった

映画が終わり、みんなであらすじや内容について話しながら歩いていた
私1人だけ内容が頭に入っていなくて、話についていけない

結局、さっきの女性の言葉が気になって仕方がなかった


・・・


映画館の外は夏の日差しに満たされており、外と中とを隔てる自動ドアを開く勇気がない
だって、一瞬で汗だくになるのが目に見えているのだ

立ち尽くす私たちの後ろに、あの女性が立っていた

・・・いつの間に?

『 気をつけてね。 また危ないことが起こるわ
  だから忘れないで、あなたは1人じゃないってことを 』

誰に伝えるでもなく彼女は言葉を口にした

『 ・・・にしても暑いわ 一回だけサービスしとくわね 』

彼女は私たちをよけて自動ドアの外へと歩き出した



気づくと日差しは無くなり、今にも雨が降り出しそうな天気になっていた




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【 レン視点 】



思い返してみれば、確かに最近おかしな事が多かったような気がする
鉄骨は降って来るし、真っ二つにされるし。
夜になんとなく散歩してたら、怪しい集団に遭遇するしなぁ

あれが全部、女神様の言う「人生ゲーム」なら、これからも続くのだろう
これからは常に誰かから狙われる生活になってしまうのか

「 まぁ、それも悪くないか 」

自分の命が狙われているのに、こんなにワクワクするのは何故だろう
僕はこれをずっと求めていたのだろうか
法律という保護から抜け出して、自分の感じるままに行動できる世界
もちろん相応のリスクは伴うが、それでもいいと思えてしまう

「 安全が一番だって思えるようになるのかな・・・もう戻れないけど 」

やっぱり少しナーバスになっているのか
最近は自分の未来について考える事が多くなったと思う

部屋のソファーに座っている
部屋の中の電気やテレビなどの電源は入っていない
扇風機の音だけが僕の耳に届いている

次第に意識が遠くなる・・・



・・・・
  


「 ・・・おい! レンしっかり!! 」

「 レンさん、何やってるんですか! 」

「 何やってんのよ。お願いだから私たちの足は引っ張らないでよ 」

頭がガンガンする
見知らぬ3人に囲まれて、僕は横たわっていた
上半身を起こし周りを見渡した
そこにあったのは荒廃した都市、そして自分がいるのはその中心を横断する幹線道路の真ん中

「 あいつはどこ行った? 」

「 わかりません、近くには気配は感じませんが・・・ 」

「 ・・・私が見てきます。コウとランはここでレンと待機です 」

『 はい! 』

そういうと、名も知らぬ女性はフッと姿を消した
ああ、この人も神様たちのコマなんだな、と理解するのに時間はかからなかった

「 ほら、レンを物陰に移動させるよ! 」

「 わかった 」

残った二人が僕を建物の中に運び込む
・・・正直、展開が全く理解できていないので、疑問は今のうちに解消しておこう

「 すいません・・・ ちょっといいですか? 」

僕の質問にさっき「ラン」と呼ばれた女性が反応する

「 なんですか? 大丈夫ですか? 何かありましたか? 」

「 いえ、そんな一気に聞かれても・・・ 」

「 あっ、そうですよね。ごめんなさい
  しかし、話し方が他人行儀って事は、このレンは過去の意識みたいです 」

「 過去かー、未来だったらなぁ  今回はダメだなこりゃ 」

「 そんなこと言わないで、きっと過去のレンも何かいい知恵をくれますよ! 」

「 ほう、じゃあレン! 」

「 はい・・・ 」

「 今俺達は神界順位3位のガガザっていうアウトレンジ特化型のむさいおっさんと戦ってるんだが
  相手の姿を捉えることもできてねぇ! おまえならどう戦う? 」

「 ・・・僕なら戦いません 逃げながら罠を仕掛けてそれに引っかかるのを待ちます 」

と言うと、コウとランが顔を見合わせた

「 ・・・ほんとにこいつは過去から来たパターンなんだよな? 」

「 ええ、そのはずですが 」

「 今回は何かまともな事言ってるな? 」

「 そうですね。いつもはビビッて何も言えないのに 」

いつもの僕って・・・何か心外だなぁ
たまにはいいこと言いますよ?
ていうか何? なんなのこれ?
まぁ分かっていますよ。この感じは高確率で夢オチなんだって



信じてますよ、夢だって



ええ、きっと夢ですとも・・・・・





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【 レン視点 】


話は大体分かった
とある女神様に集められたチーム(僕たち)と、別の神様の絶対的エース1人のハンデバトルの最中
僕たちは合計4人 そのうち僕を含む3人はキャリア3年目のニュービー
あと1人はかれこれ20年の実績を持つエリートらしい

「 勝ったら? 」

「 もし勝利した場合は、相手の装備のどれかひとつを獲得することができます 」

「 なんでも? 」

「 はい、何でもです。例えばガガザを倒した場合、かの有名な『 亞剣 』とか
  『 招風ノ鎧 』などを奪うことができます 」

「 有名なんですか? 確かに強そうな感じはしますけど・・・ 」

「 どちらもレア度☆☆☆☆☆ですからね。 持ってたら家宝にするのももったいないくらいです 」

レア度は☆5コでかなり高いのか、この世界の価値観が少し分かった気がする
そもそもこの世界とか言っちゃってるけど、間違いなくここは日本だ
・・・日本語の標識とかあるし
と言うことは、変化したのは時間か。
過去か未来か、ってなるとさっき『 このレンは過去から来た 』って言ってたから
ここは未来って事になるのか。 なるほどー・・・

すると不意に、僕たちが隠れているビルを横薙ぎにするようにライムイエローの光線が走った
頭上から何かが崩れてくる大音量の崩壊音が聞こえる

「 あいつ、レーザー系の武装持ってたっけか? 」

「 いいえ、持っていないはずです。それに・・・ 」

「 それに? 」

「 ・・・さっきのレーザーは恐らくコトネさんによるものです 」

「 無茶するなぁ・・・ 」

多分だけど、『 コトネさん 』ってのが僕たちの4人目のメンバーだろう
さっき1人で行った人か
僕たちはビルを出て瓦礫をよけながら移動している

頭上から降ってくる巨大なガレキに僕は気づいていない
頭上から降ってくる巨大なガレキに僕が気づいてない事に気づいたコウ
頭上から降ってくる巨大なガレキに僕が気づいてない事に気づいたコウに気づいたラン

僕はコウに押しのけられ、コウはランに押しのかされた
そして、最後に残ったランがガレキに押しつぶされる
・・・その刹那、ガレキが爆散した
一瞬早く、例のレーザーがガレキを貫いていた

ここから先はほんの数秒の出来事だった

膨大な砂埃を浴びながらも、その足で立っているラン
レーザーが飛んできた方向から聞こえた断末魔の叫び
その方向から猛烈なスピードで迫ってくる人影
ランがハンドガンを、コウが剣を構える
こちらに背を向けた2人が腰あたりから両断される
上半身は宙を舞い、下半身からは赤い液体があふれている
別の物体になった上半身と下半身が同時に地面に落ちる
気づくと僕の上と下も離れていた

ここが未来なら戻れるはず

「 また・・・来ますね 」

目の前にたたずむ勝者に、僕はそれだけ伝えると過去へ跳んだ




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【 ラン視点 】



変な天気だ

さっきまで晴れていたのに、今にも雨が降り出しそうだ
電車を降りて、家まで歩く5分間が心配になってくる

「 なんだったんだろ・・・ 」

結局、例の女性は誰だか分からなかった
電車から降りて、家までの道のりを歩く
命の危険、1人じゃない、変な天気、わからないことだらけだ

大学が始まればまた、いつも通りの生活が戻ってくるのだけれど
最近の出来事は私にとって、少し過激だったと思う
これほど色んなことに巻きこまれることはもう無いだろう
大変ではあったが、充実した日々だった
これからはしっかり勉強して、ちゃんと大学を卒業するための努力をしないといけない
就活もあるし、卒業論文も書かなきゃいけないし
これからもイベント盛りだくさんだなぁ・・・泣

いえまでとぼとぼと歩き、部屋のカギを開ける

「 ただいまー って、誰もいないけどね・・・ 」

1人暮らしをしているのだ。返事などあるはずが無い。

無いのだが・・・

「 おかえり~ 」

あの女性がいた

私の部屋に

何で?

・・・っていうか

「 出てってください 」

なんだか訳が分からないのでとりあえず外に追い出した

私の日常は当分帰って来てはくれないようだ




 
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