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ソードアート・オンライン リング・オブ・ハート

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14:当然の代償

 短いやり取りの後、二人は武器を構えた。決闘の前準備が全て完了したのだろう。その証拠にギャラリーであるあたし達の視界にも、二人のHPバーと今も刻々と減りつつあるカウントの数字が自動的に表示されている。

「ユミルちゃん、大丈夫かな……」

 なんせ相手はあのキリトである。当初は女の子が相手のこともあって、言葉とは裏腹に手を抜くのではないかと思っていたが、今のキリトの横顔はあくまで真剣な顔つきだ。かつてあたしに見せた、二本目の剣こそ出さないようだけど……いかんせん相手が華奢で小柄、さらに鎧の類も無く、心許なさ過ぎるボロボロの服のみを纏った少女である。あたしの胸からそわそわと湧き上がる心配思慮の念が後を絶たないのは仕方が無いと言ってもいいはずだ。

「んー。大丈夫よ、リズちゃん。キリト君は言わずもがなだけれど、ユミルも強いわよー?」

 あたしの呟きと内心の心配とは裏腹に、隣のマーブルが壁にもたれつつ飄々(ひょうひょう)と答えた。

「実際に戦ったかのような口ぶりですね……。ユミルちゃんとケンカでもしたことがあるんです?」

「ええ、一度だけね」

「ええっ?」

 半ば冗談のつもりで質問したつもりだったが、まじまじと大きな首肯が返ってきた。

「随分前だけど、ユミルが突然何も言わずに何日も帰ってこなかったことがあってね。心配になって、他にお客もどうせ居ないし宿を空けて森を何日も捜索したことがあったの。で、案の定森の奥でユミルを見つけたんだけど、『もう帰らない』って一点張りされちゃって……それについ私もカッと来ちゃって、どうしても連れて帰るって激しい口論になったの。そしたらいつの間にか……武器を手に、腕での討論になってたわ……」

 うふふ、と若干苦笑いの(てい)で話す。
 マーブルも以前に一瞬だけ垣間見せたけど、レベルは分からずとも彼女もかなりの実力者のはずだ。斧と戦鎚がぶつかり合う、さぞ派手なケンカが(もよお)されたのだろう。

「それで、どっちが勝ったんです?」

 すると、マーブルさんはシニカルな笑みを深くして、その唇に立てた人差し指を当てた。

「ヒ・ミ・ツ♪」

「アハハハッ、そうですか。残念」

 その仕草がとてもサマになっていて、つくづく女として羨ましく思う。
 ……あたしもいつか、この人のようなお姉さんになりたいものだ。

「さ、そろそろカウントがゼロになるわ。観ましょ? さっきまでは対戦相手のキリト君が傍に居たから、ユミルの戦い方を話さなかったけれど、今からは私が分かる限りに追々解説してあげるわね。かつて一度戦っただけの情報でよければ、だけど」

 立てた指を睨みあう二人へと向け、あたしの視線を促した。
 気付けばもう、カウントは残り一ケタだった。
 ユミルはカウントが刻一刻と減少を続けても微動だにせず、対するキリトも剣を下段に構えたまま、全く動かない。

 そしてついにデジタルの数字がゼロになり――

「ッ!」

 ドッ、とユミルが無音の気合と共に、半ば飛び込むように一息に距離を詰めながら、後ろ手に構えた斧を振り上げ、キリトの頭上へと打ち下ろした。しかしあくまでレベルが上の余裕か、完全に後手に甘んじる体勢だったキリトは慌てず剣を振り上げ、(しっか)りとした挙動で斧の刃をパリィした。相手を斜めに両断するはずだった斧の軌跡は真下へと軌道を変えさせられ、地面へと叩きつけられた。その落下の衝撃による余波を避けるようにキリトは後方へと跳躍、着地と同時に二人は即座に武器を構えなおし、最初の睨み合いへと局面は元通りとなる。

「速い……」

 完璧に反応したキリトもさることながら、両手斧を持つユミルの敏捷値も相当に高いのだろうか。筋力を重視するはずの斧使いがこの有様だ。本当に彼女のビルドは謎が多い。
 今度はキリトが猛然たる速さでユミルへと突進。迎える彼女も柄を強く握って待ち構え、たちまち宙を裂く剣戟が飛び交う、激しいパリィの嵐となる。その最中で双方のHPは少しも減ることがない。互いが互いの斬撃を、全て打ち弾いているのだ。
 キリトの剣術には既に何度も舌を巻かされるものがあったが、ユミルはそれに完全に対応してのけていた。

「すごい……。もともと、片手剣相手の両手斧は鈍重で不利なのに、こんなカードでここまでハイレベルの高速戦が観られるなんて……」

「そうね。……さて、突然ですがここで問題です」

 突如、マーブルが教師然と指をピンと立てた。

「実は、ユミルの敏捷値はあまり高くありません。なのに、ここまでの高速戦を繰り広げられるのは一体どうしてでしょうか?」

 あたしは思わず「えっ」と声を上げてしまう。

「敏捷値が、高くない……?」

 マーブルはニコニコと戦う二人を見ている。あたしもそれに(なら)った。

「ユミルの筋力値と敏捷値のバランスは、だいたい8:2か、それ以上の極筋力型ってトコね。そこに限っては、あの子は一般的な斧使いとそう変わらないわ」

 その言葉に、あたしはむうと唸り考え込む。
 二人は未だにソードスキルも放たずに、その場で壮絶なパリィ合戦を繰り広げている。それはあたかも激しいタンゴのカップルダンスのようで、事前に振り付けを打ち合わせしていたと言われたほうが、まだ納得のいく常軌を逸した応酬っぷりだ。
 いつぞや、キリトとアスナの訓練がてらの決闘を見ていた時も、いつも思っていたのだが……キリトらはともかく、ユミルも一体どうやったら、そんな瞬く間にどんな形で斧を振り回して攻め込んだり、キリトの神速の剣戟(けんげき)(さば)けたり出来るのか……一度、こういった人達の脳の構造を知りたい気も……

「…………ん?」

 ふと気付く。
 ユミルは、その場で、動かずに……あの羽のように軽い、白い斧を振り回して……
 あっ、そうか。

「……足の速さじゃなくて、腕の……攻撃の速さが……?」

「はい、リズちゃん大正解っ」

 ぽむ、と手を合わせて賞賛の声が送られる。

「そう、ユミルの武器を振る速度は尋常じゃないわ。通常攻撃の速度は、筋力値や敏捷値じゃ上がらない。それはプレイヤー……ユミル自身の熟練や素養にのみ左右される。どうしてあの子が斧なんて使いこなせるかは分からないけれど……ともかく、これがあの子の『独自のビルド』で最初に挙げるべき要素ね。ついでに言えば、あの子が重鎧を付けない理由もその為のようね。……それでも、少しくらい軽鎧や良質の服を着てくれてもいい気がするのだけれど、ね」

「あのっ、マーブルさん。『独自のビルド』って……?」

 反対側の隣で、ずっとあたし達の話を聞きながら観戦していたシリカとアスナも話に入ってくる。

「ユミルちゃんの、キリト君に渡り合える程のものすごい攻撃速度は分かりました。だけど、観ててもそこまで独自のビルドって程の戦いには見えないんですけど……」

 アスナの言葉にマーブルは「たしかに」とクスッと笑った。

「今はまだ普通だけどね、見てればきっとすぐに分かるわよ。あの子も、まだまだ本気じゃないみたいだから」

 その時丁度……ギィン! と、一際大きい剣戟の音が響き、話を中断し一斉に振り返る。
 二人は長い剣戟とパリィの交錯を続けていたが、ついにユミルのほうが痺れを切らしたようだった。力任せの一撃と共に、大きく後ろに飛びずさった。
 そして槍斧の矛先にポウ、と淡い光が灯る。……間違いない、《ソードスキル》だ。

「…………!」

 それを確認したと同時に、キリトが警戒した風に瞬時に身を低くした。そして再び先手を()んと、ユミルが向かって駆ける。
 ……改めて見れば、確かにユミルの足の速さはごくごく普通の速度だ。最初の踏み込んだ一撃は、片手剣よりはまだ長い槍斧のリーチと、片手剣ばりの振りの速さによる目の誤錯覚だったようだ。

「ふっ!」

 ユミルは大上段に掲げ上げた矛先をキリトの胸まで振り下ろし、間髪空けず副槍で喉めがけての突き上げを続けて放った。二連撃の中級ソードスキル《ダブル・ファング》。キリトは最初の一撃を刃で受け流し、続く突きを膝を地に着けながら低く屈み回避していた。キリトはそのまま隙を突いてカウンターに入ろうとするが、わずか二連撃故の硬直時間の短さでユミルもそのまま斧を振り下ろし、あえなくキリトは反撃を中断、真横へ側転しながらの回避を余儀なくされていた。一瞬前までキリトが居た場所に斧の刃が振り下ろされ、地面が大きく穿(うが)たれる。

「え、なんでっ?」

 それを見ていて、あたし達は外見とは別の点で驚いていた。
 確か《ダブル・ファング》は《両手槍》にカテゴライズされたソードスキルだったはずだ。ハルバードは《両手斧》カゴテリであろうはずなのに、これはどういうことなのだろうか。
 揃って疑問の声を上げるあたしたちに、マーブルさんが解説してくれた。

「ハルバードってね、純粋な斧ほど攻撃力は高くないし、リーチも槍ほど長くなかったりで全体的にパッと冴えない能力値なの。だから、真っ当な理由で使う人が意外と少ない不人気武器の一つなのよ。《軍》は、かつての英国の軍隊が実際に斧槍を使用していたから、という理由だけで使ってるみたいだし」

 マーブルは一瞬、困り顔を浮かべた。そんな理由だけで斧槍を使用する《軍》に対する、武器に心血を注ぐ鍛冶職人ならではの心情の表れだろう。あたしとて、マーブルと同時のタイミングで眉を(しか)めてしまった。が、今はそれは話に関係ないので置いておこう。
 マーブルもすぐに表情を取り直し、言葉を続ける。

「……だけどね、ハルバードには忘れられがちな小さなメリットが一つだけあるの。それは……ハルバードは漢字で『斧槍』と書く、まさしくその通りに……《両手槍》と《両手斧》両方のソードスキルを使うことが出来る、という点よ」

「え。――……あ、ああっ!」

 それを聞いて、あたしはあちゃーと額に手を当てた。

「たしかにそうだった気がっ……あたしとしたことが、忘れてた……」

 そもそも、ハルバードは軍の連中以外からはほとんど需要がないし、あたし自身、あまり鍛えた事もない。だからといって武器のメリットを忘れてたなんて、こりゃ鍛冶屋の名折れかも……。看板を汚さない為にも、また勉強し直さなくちゃ。

「そうだったんですか……わたしも知りませんでした」

 アスナも感嘆の溜息交じりに話す。

「でも結局のところ、二つのカゴテリのスキルを使えるっていうメリットは、そう良いことでもないの。幅広く習得していくのは(はなは)だしく手間で面倒だし、それらをフルに使いこなすよりも、いつも通りに一つのカゴテリだけを集中的に邁進(まいしん)していったほうが、スキルごとの熟練が(まば)らにならないで済むから。だから、このメリットを知っていても実際に活用する人はとても少ないの。……だけど、ほら見て」

 マーブルが目で合図した瞬間、再びライトエフェクトを帯びたユミルのソードスキルが炸裂した。

「でやぁっ!!」

 張り上げた叫びの直後、後ろ手に構えた斧を振り上げ、飛び掛ると同時に全体重をかけて思い切り振り下ろした。両手斧の最も基本的な単発初級スキルの一つ、《バスター》。だが熟練されているのか、元々の攻撃速度と相まって予備動作(モーション)を含めた振り下ろしの速度が凄まじい。キリトはそれをすぐさま察知し、避けることを諦め横手に剣を構え受け止めた。

「くっ!」

 ガギィン! という耳をつんざく高い音が鳴り響き、衝突するユミルの斧とキリトの剣の間にギチチチと激しい火花が散る。

「このぉっ……!」
「うおぉっ……!」

 唸りと共に力がぶつかり合う鍔競り合いを眺めながら、マーブルの言葉が続く。

「ユミルは習得するスキルの数をかなり絞っているの。だからご覧の通り、習熟の具合が疎らになることはないわ。それに、連撃数の少ない代わりに事前動作(モーション)硬直時間(ディレイ)も少ない初級・中級スキルを好んで使ってる傾向があるみたいだから、ちょうどキリト君みたいな相手でも、スピーディな対応が出来る」

 今のキリトに、決して手加減している様子は見られない。その速度にユミルは完全に喰らい付いている。確かに、今の時点で既に二人は、レベルなどの数値パラメータに関係なく、ハイレベルに実力が拮抗(きっこう)していた。

「あの子自身の筋力値は高いし、振りの速度もとても速いから、武器自身の攻撃力に頼らずとも、やろうと思えば計算式上、かなりのダメージを叩き出せる。さらに、武器自身は軽くとも凄まじい攻撃速度のおかげで一撃一撃はちゃんと普通の斧使いのそれ並に重い。あの様子だし、キリト君もちょっとはビックリしてるはずよ」

 二人はまだ直接ダメージは負っていないものの、互いの刃を競い合う内に、余波や武器の衝突の際の優劣でHPが僅かずつだがジワジワと減りつつあった。今のところキリトは一割弱、ユミルは約二割がた減っている。あたしの目には互角の展開に見えたが、キリトの持つ《バトルヒーリング》とHP最大値の差か、若干キリトが優勢だった。だが、先程の強烈な《バスター》を受け止めた際にキリトのHPバーが数ドット削れ、ユミルとほぼ同列に並ぶ。
 しかしその時、ふと、キリトの口元にうっすらと笑みが浮かんだ。
 ――未だ残る己の力の余地を見せ付ける、余裕と挑発の笑み。

「……どうした、まだ全力じゃないだろ? 隠し玉はこれ以上出し惜しみはしなくていいぜ」

 火花を散らせ続けながら、対するユミルは力を込め食いしばる歯をさらに食いしばった。

「…………後悔しないでよね! ――シッ!」

 激突しあう刃を上げ、ライトエフェクトを(たも)ったまますぐさま横に構えると同時に、キリトの横腹めがけて大きく水平に薙いだ。バスターと同じく、最も基本的な両手武器共通の初級単発スキル《ハリケーン》だ。だが、本来鈍重かつ豪快な横薙ぎ攻撃であるはずのユミルのそれは極めて高度に熟練され、最早カタナ使いの神速の居合いの如き旋回斬りだった。しかしキリトはそれを見事な後方宙返りで華麗に避けてみせ、一瞬遅れてその残像を、半円の扇を描く《ハリケーン》のエフェクトが真横に一刀両断した。

「まだだよ!」

「!」

 ユミルは後方へとジャンプステップしながら、片手で懐から何かを取り出し素早く投擲した。距離を空けて着地したキリトの足元めがけて、三つの小さな黒い煌きが空を切っていた。キリトは再び大きくバックジャンプしそれを避け、直後、地面にそれがシュカカッと次々に突き刺さる。
 何かとよく見れば、キリトの足跡が残るその場所に、投擲用ナイフが突き立っていた。ユミルのサブスキルなのだろうか。
 そして、大きく相手との距離を稼いだユミルは、ここで突如……奇妙な行動に出た。

 槍斧を手首のスナップを活かし、真上の空へと高く放り投げたのだ。

「え? なにっ?」

 筋力値に物を言わせて放られた槍斧はヒュンヒュンと回転しながら、薄暗くも幻想的な深海色の空へと姿をどんどん縮めていく。
 両手の空いたユミルは更に意図が分からない行動を続けた。おもむろに自分のボロ服の袖口を小さな口へと持って行き、布地を前歯で噛んだと視認できた瞬間、そのままビリッと噛みちぎったのだ。

「おっ」

 あたし達は意味が分からないままでいる中、マーブルだけは少しだけ身を乗り出して、何やら楽しそうな声を漏らしていた。

「な、なにをしてるのかな……あれ」

「すぐに分かるわ」

 ユミルは千切った細長い布切れを口に咥えたまま、後頭部へと両手を回し……

「えっ……? あれは……髪を、結ってる……のかな……?」

 アスナの言葉の通り、ユミルはボロ切れをリボン代わりにし、たちまち髪を小さな即席ポニーテールに束ねていた。
 そしてギュッと力強く結び終えたと同時に、片手を天へと高く掲げ挙げ――

「――こっからは本気でいくよ……!」

 パシィッとその手に、回転しながら落ちてきたハルバードが収まった。まるで、バレエのバトンタクトのように。
 ヒュヒュッ、と軽快に数回武器を回転させ、構えを取る。
 だが、その構えが今までとまるで違っていた。
 隙の無かった直立体勢から……今度は、まるで獲物に狙いを定めるチーターやサーベルタイガーのように、無理無くしなやかに肩と腰を低くした前傾姿勢に。体の向きは対するキリトと垂直で、相手に左肩を見せるように横を向かせている。武器はキリトから隠すかのように後ろ手下段に構えられ、独特ながらも無駄のないスタイルになったように見えるが……

「うん……?」

 よく目を凝らして見ていたあたしは、一つ妙な事に気づく。
 ユミルの武器の柄を握る位置がおかしいのだ。先程までは柄の先端から三割と七割の地点、力の込めやすいクォーターポイントの場所をきちんと握っていたのだが、今のユミルは柄のやや中心部付近を両手で握っていたのだ。

「いくよっ!!」

 ユミルは気合一閃と共に武器を後手に構えたまま、頭と片側の肩から突っ込む形でキリトへと駆け出した。時間に余裕があるキリトは的確かつ悠然と剣を突き出し、迎撃に備える。その甲斐あり、キリトは打ち下ろされたハルバードの一撃を極めてスムーズかつ最低限の動きでの回避に成功した。
 が……

 ――ヒュヒュンッ!

 その刹那。
 ユミルのハルバードは重力と遠心力にしたがって地面に叩きつけられることなく、ユミルの両腕を軸に瞬時に回転し、空を切る音が鳴ったのだ。そして再び振り上げられた大刃が、初撃からほぼ間隔を空けることなくキリトを襲う。

「……なっ!?」

 ギャリィン! と、半ば反射神経のみでパリィしたキリトは剣をすぐさま構えなおすも、表情は驚きを隠しきれていない。

「逃がさないよッ!」

 余裕は与えんとばかりにユミルは追い討ちを続ける。1モーションの攻撃の度に槍斧がビュビュンと高速で唸り、幾重もの斬撃がキリトを襲う。しかも、激しくなったのは攻撃だけではない。キリトとの距離を詰めたまま、逃さないように常に足を突撃に駆け出させ、また攻撃の折間に柄の握る位置を変えてはリーチと威力を状況に合わせて変幻自在に調整している。
 つまり、彼女はソードスキルのシステムアシストに頼ることなく、斧槍をプロペラの様に高速で回転させてはいくつもの斬撃を叩き出し……さらにその合間に、これまで繰り出していた、洗練された振り降ろしや突き、横薙ぎの一撃を巧みに織り交ぜて攻撃しているのだ。
 ――それは、ただただ驚愕するしかない、どこまでも冴え渡った棒捌きだった。
 その姿は、勢い良く回転するハルバードのこともあり、さながら敵を取り囲み切り刻む竜巻のような、そんな圧倒的なまでの手数だった。避ける事もままならなくなったキリトは、やがてその全てをパリイングで弾き返そうとする。
 局面こそ最初のパリィ合戦と同じだが、今度はユミルが圧し進みながら、キリトは受け流すべく後退を続けながらの一方的な展開。

「す、すごいっ……キリトさんを圧してるなんてっ……!?」

 シリカの驚きの声に、(あご)に指をやりながら冷静沈着に戦いを見届けていたアスナが首を軽く横に振った。

「ううん、よく見て。……キリト君も、負けてない」

 ……やがてその言葉通り、キリトの後ずさる脚の動きが徐々に鈍っていく。
 キリトが早くも応酬を全て見切って捌ききり、逆に反撃をし始めたのだ。
 ……なんて飲み込みの早さなのだろうか。本当にキリトという人間の力の奥底が知れない。
 その力の証拠に、いつの間にかキリトの顔には、いつもの人を食ったような不敵な笑みが戻り、火花を周囲に散らせながらも、滑らかな滑舌で喋り始めた。

「驚いたな……けど、パリィ勝負なら負けないぜ? ……ついてこい、ユミルッ」

「偉そうにッ! さっきまでボクに圧されてたクセに!!」

 たちまちまた一段と激しい剣戟の舞う、苛烈極まる駆け引きが展開される。
 だが、あたしは……一時はキリトを圧してのけた、本気のユミルのその乱舞には戦慄を覚えざるを得なかった。
 武器を軽快に回転させながら、手数の多さで相手を圧倒するその戦闘スタイル。その姿はさながら……

「まるで……両手棍棒(スタッフ)使いみたい……」

 と、あたしは呟いていた。しかし……ここまで速く、華麗に、しかもシステムアシスト無しの通常攻撃で、実戦に活用できるまでに乱舞できるスタッフ使いをあたしは見たことも聞いたこともない。
 普通のスタッフ使いは、スキルアシストの無い通常攻撃の際は、不器用に槍のように突いたり鈍器のように叩きつけたりするプレイヤーがほとんどだ。だが、それも当然のことなのだ。ナーヴギアを被る以前の生身だった頃に、棒を器用に振り回す経験なんてする人は、まず居ないのだから。
 しかし、ユミルはハルバードの柄の中央を握る両手を主軸に、まるでアクション映画さながらの身のこなしで戦っていた。しかも、そのユミルが握る武器は両手棍ではなく、紛うことなき斧の一種なのである。
 と、隣のマーブルはあたしの呟きを聞き取れていたのか、それを聞いて「まぁ」と僅かにその糸目を驚きに丸くさせていた。

「もうそこに気付くなんて、流石だわ。今から解説しようとしてたのに……その鋭い観察眼は、鑑定スキルの賜物なのかしら」

「いえっ、そんな……ただなんとなくそう思っただけで――わっ!?」


「――やぁあああっ!!」
「――せぁあああっ!!」


 雄雄しい気合の叫びと金属がぶつかり合う音量が更に増し、戦う双方の中間地点からの衝撃の余波があたしたちの場所まで届き、言葉が途切れてしまった。
 ユミルがリズミカルに三歩ステップで突き進みながら、それに合わせて横薙ぎ・大上段からの振り下ろし・突き上げの三連撃を繰り出す両手槍中級スキル《トリクル・セライド》を放ち、それをキリトの四連撃スキル《バーチカル・スクエア》がそれを迎撃する。破裂するような青い衝突エフェクトが三度迸り、キリトの最後の一撃がユミルを襲う。が、ユミルは硬直時間の少なさを活かし、細い柄を的確に片手剣の切先を捉えさせガードする。目の前でチチチ、と小さな火花を立てる剣の切先を、そのまま武器を回転させて弾きながら一度柄を握りなおし《バスター》を叩きつける。それを先読みしていたキリトが腰を捻りながらの渾身の単発水平斬撃スキル《ホリゾンタル》で食い止める。
 縦に両断しようとする斧と、水平にそれを受け止める剣の互いの刃が拮抗し、それは、十字の形をした禍々しく燃える青い雷の激しい衝突エフェクトを生成する。

「まだだっ、もっと俺に力を見せ付けてみろ、ユミルッ!!」

「馴れ馴れしくボクを名前で呼ぶなぁっ!!」

 気が付けば、オレンジの火花飛び散る激しい剣戟の中、ついにソードスキルも織り交ぜた青い火花も入り混じる、目まぐるしいド派手な競り合いが繰り広げられていた。

「……あれがユミルの本領よ。ハルバードを手に《斧》と《槍》スキルを駆使しながらも、通常攻撃と動きの基本形は、誰よりも(たく)みに乱舞する《両手棍(スタッフ)》使い。それに、ただ単にその三つの要素が合わさっただけじゃなく、棒捌(ぼうさば)きやパリイングも得意で、何よりも攻撃速度に限っては、あの通りトップクラスのトリッキーな超攻撃型アタッカー。……あの子もなかなかやるもんでしょう?」

 マーブルは衝撃の余波でウェーブのある髪を揺らしながらも、涼やかな顔で腕を優雅に組みながら観戦に浸り込んでいる。

「……ちょっと待って。なんかおかしいよ」

 だが、アスナが目を二人から移すことなく声を上げていた。

「おかしいって……どうしたのよ、アスナ?」

 その目は真剣さに細められ、心なしかどちらかと言えば、ユミルの方に目が向けられている気がした。

「確かに、聞けばユミルちゃんのビルドは独特よ。でも、考えてみたらヘンよ。こんな強力なビルドがあるなら、誰だって真似して、似た人が何人も出てくるはずだよ。……そりゃあ、あのタクトみたいな綺麗な武器捌きやパリィに、振りの速度までは自身の熟練や素養に左右されるから真似をするのはすごく難しいにしても、同タイプの人が居る話をちっとも聞かないのはどうしてなのかなー……って思うの」

 そのアスナの推測の言葉に、シリカも目を丸くした。

「あ……そうですよね。今でも、ハルバードを使うプレイヤーは軍以外だと、私もほとんど見かけませんし……」

「うーん、言われてみれば……」

 たしかにそうだ。
 それぞれの武器には相応のビルドを育てていくセオリーという名の傾向があり、決まってそれらは強力ゆえに人気とされている。例を簡易的に挙げるならば、細剣を扱うならば敏捷重視、片手直剣はバランス重視、大剣は筋力重視といったところだ。もちろん、中にはそれらに属さない、筋力重視の片手剣使いや敏捷重視の大剣使いといった異種プレイヤーも数多く存在し、人それぞれのプレイスタイルというものが確立されている。が、それにも自然とある程度グループ化される傾向があり、モロに統計学の元に従った結果となっているのだ。
 しかしユミルの場合、どこを取ってもそういったグループに属さないビルド構成ばかりだ。なのにあの通り、トッププレイヤーの一人であるキリトと渡り合えているとなると、それと似たプレイヤーの一人や二人、仮にユミルの存在を知らずとも(おの)ずと出てくるものなのだが……

「……ホント、あなた達は鋭いわね。その通りよ、アスナちゃん」

 マーブルは心底感嘆するように肩を一度浮かせる。

「だけどね、こうなるのは自然なことなの。……なぜなら、仮に他の人がユミルのビルドを知っていたとしても、誰一人として真似はしないでしょうからね……」

「それは、どういう意味なんです?」

「…………この決闘が終わる頃には、きっと分かるわ」

「……マーブルさん? …………?」

 マーブルは何やら意味深にそう言い残し、それきり黙ってしまった。
 その後、しばらくキリトとユミルの一歩も引かない勝負が続いていたが、ついに動きがあった。

「ぉ……りゃぁぁあっ!!」

「うぐっ!?」

 ユミルが今までとまるで違った一撃を放ったのだ。
 叫びをあげ大地を(えぐ)りながらの、筋力に物を言わせた両手斧ならではの豪快な振り上げ攻撃。両手斧単発中級スキル《アース・ダッシャー》だ。大下段――半ば地中に刃を沈ませる程の下段――から、土砂ごと敵を力任せに打ち上げるという極めてパワフルな、スタイリッシュなソードスキルがほとんどのSAOでは珍しいソードスキル。
 キリトは足元からの強烈な斬撃を剣で防御するも、それを正面から受けた彼は土砂エフェクトと共に空高く数メートル打ち上げられた。しかしキリトは慌てず、上昇から下降を始める前に空中で体をくるりと一回転させ、着地に備える。
 が……

「……これで終わりだよッ!!」

 その時、勝利を確信したユミルの鋭く怜悧な叫び声が響き渡った。
 ユミルは宙にいるキリトを追い討ちすることなく、その間に今度は赤いエフェクトを帯びた斧槍を水平に向け腰を捻り、体いっぱいに引き絞ってスキルのチャージ体勢を整えていた。

「はぁぁぁぁあ……!!」

 その気合いに呼応するかのように、斧槍を取り巻くピュアレッドのエフェクトがどんどん膨らみを帯びていく。
 ……明らかに着地の瞬間を狙い、待ち構えている。
 相手が打ち上げられている場合、無闇に宙への追い討ちをするよりも、着地の際にどうしても出来てしまう一瞬の隙を突く方が賢明なのだと、彼女はよく心得ていた。
 いかなキリトといえど自然の重力には逆らえず、体が地に迫る。

「くっ……!?」

 トドメを差そうとするユミルを目の当たりにし、その目が驚きに見開かれた。
 そして、ユミルの槍斧が一際大きく輝き――


「――《ヴォーパル・チャリオット》!!」


 渾身の叫びと共に、限界まで引き絞った体から猛烈な突きを繰り出した。ジェットエンジンのような轟音と共に突き出された斧槍はたちまち周りの空間をも巻き込んだ爆風を生み、前方のあらゆる物全てを吹き飛ばすかの如く衝撃が駆け渡った。超弩級のキャノン砲をぶっ放したかのような、此方の体の芯まで響く重低音が大気を叩く。
 単発重攻撃の両手槍スキル《ヴォーパル・チャリオット》。端的に言えば、キリトの持つ《ヴォーパル・ストライク》の槍バージョンであり、同じく熟練値950を超えないと習得できず、その条件に見合ってその火力は他の中級初級スキルの比ではない。それどころか、技の出までの時間と技後の硬直時間こそネックとなるが、両手で放たれるそれは、片手剣のヴォーパル・ストライクをも超える長大なリーチと絶大な威力を誇っている。

「キ、キリト君っ……!」

 アスナが張り詰めた声を上げるが、ユミルの眼前数メートルがスキルエフェクトによって(かす)んでしまった為に、キリトの安否を確認することが出来ない。直撃を受け、HPを半損以上削られ敗北したか、回避に成功したか……いや、あのキリトといえどあの一撃を完全に回避する事は難しいはず……
 だが。

「あっ、キリトさんは無事ですっ……!」

 続けてシリカが声を上げた。すぐに霞んだ情景が回復し、キリトのHPバーが確認できた。
 そのバーは、以前からほとんど減っていないように見えた。
 あの黒の剣士といえど、宙に浮けるはずなどないのに、一体どうやって回避を……

「なっ……!?」

 さらに続いて驚きの声を上げたのは、突き出した姿勢のまま驚愕するユミルだった。
 彼女の斧槍の矛先には何もなく、ただ空を突くだけに終わっていた。
 そしてその大刃のすぐ脇には、キリトの片手剣が地面から垂直に突き刺さっている。

「――ふう……危うく、半分までの残りHPを全部持っていかれる所だったな……っとと」

 その声の主、キリトは――地へと突き刺した剣の柄を足場に、片手で逆立ちをしていた。
 そうすることで地への距離を離し、ユミルのヴォーパル・チャリオットの突きと衝撃を回避していた。キリトは逆さのまま、ふと此方(こちら)を見てニッと笑って見せると、ひょいと体を半回転させて、今度こそ足から着地した。その目の前には、姿勢を変えられずにいる対戦相手……ユミルの未だに驚愕している童顔がある。強力な上級スキルを発動した代償として、長い硬直時間を科せられているのだ。今までとにかく硬直時間の短いスキルばかりを見ていたので、今の静止を強いられる彼女の姿が、とても長く感じられる。

「俺の勝ちだな、ユミル」

 キリトはやや早口気味でそう宣言し、剣を振り上げた。硬直時間は長いと言っても数秒の事なので、あまり悠長には出来ないのだ。

「う、ぐっ……! ボ、ボクはっ……!」

 ユミルは悔しそうに歯を食いしばりながら、鉄のように硬直する体を必死にもがいている。だが、システムの絶対的な束縛には、誰であろうと決して(あらが)えない。

「安心しろ。決着のつく強攻撃といっても、半損までの残りHP約2割を削る程度……ちゃんとHPの5割に留まる位に加減するから」

「くっ、ううぅっ……!!」

 ……………。
 これは仮想空間かつ相手から挑まれた決闘なのだが、動けない無抵抗の女の子に剣を振り下ろすのというのは……世辞にもあまり良い絵ではなく、あたし達だけじゃなくキリトも若干申し訳なさそうな顔をしているが、こればかりは仕方が無い。 
 キリトは軽く頭を振り、雑念から気を引き締め、システムにギリギリ強攻撃と判定されるだけの振り下ろしを執り行った。
 それは避けられることなく、ユミルの肩から浅い胸までを浅く裂いた。それは、あたしからみても見事な加減具合の斬撃で、これで勝敗は決したように見えた。

「ぁぐっ!」

 斬撃を受けた瞬間、あたし達の胸もズキンと痛むユミルの小さな悲鳴と共に、ユミルのHPがついに目に見えて減り始める。
 残り7割、6割……やがて、とうとう5割に達し、バーがイエロー表示となった。

「や、やった!」

 と、あたしは思わずグッと拳を小さく握っていた。いや、今回のこの対決は正直どちらかだけを応援出来ず、複雑な心境での観戦だったのだけれど……このアクションは、なんとなくだ。

 ――だが、その時だった。

「うわっ……!?」
「「「えっ……!?」」」

 ユミルと対峙しHPを見届けていたキリトと、あたし達は同時に声を上げていた。
 ユミルのHPは勢いを止めることなく、減少を続けていたのだ。
 それが残り4割まで迫るが、その勢いは全く衰える様子を見せない。まさかあのキリトが力加減を誤ったとも考えにくい。

「ど、どうなってるんですか……!?」

 シリカが慌てた声を上げるも、当然その答えが山彦(やまびこ)のように帰ってくるはずもなく……
 残り三割を切り、ついにレッド表示となる。

「ユミルッ……お、お前っ……!?」

 だが一番慌てているのは、剣を振り下ろして勝利を収めたキリト本人だった。
 この中で唯一、慌てることなく静観している人物、マーブルが口を開いた。

「……あれが、ユミルの弱点よ」

 まるでそれが宣言だったかのように、ようやくユミルのHP減少がピタリ止まった。
 残りは、わずか二割を残すところだった。
 一斉にホッと盛大な息をつき、キリトに至っては冷や汗を頬に伝わせながら胸を撫で下ろしている。

「マ、マーブルさん、弱点って……?」

 あたしは焦りで少し掠れてしまった声を絞り出す。

「言ったでしょう? ユミルのビルドは、この世界じゃ誰も真似しないって。それは、あのビルドには誰が見ても忌避(きひ)する、甚大(じんだい)な弱点があるからなの。……強力無比に突出した圧倒的な攻撃力の、当然の代償――そう……」

 気付けば、腕を組むマーブルの手の中には――気付かぬ内に、投擲用ピックと回復結晶が握られていた。

「あの子の最大の弱点は――――致命的なまでの、防御力不足。……その防御値はたぶん、()()()()()()()()()()()()()()()

「な……」

 それを聞いたあたし達は、言葉を失っていた。
 このデスゲームが繰り広げられている狂った世界のHPは、命そのものだ。その減少を抑える防御力は、ダメージから直接救ってくれる最初で最後の砦なのだ。『――防御を疎かにする者は死ぬ。』それがこの世界の鉄則であり、誰もが心得ている周知の事実だ。しかし、ユミルはそれを承知で防御を徹底的なまでに捨て、代わりに得た代償とは釣り合わない見返りを武器に、日々の命懸けの戦いを、さらに危険に晒して闘っているとでも言うのか……。
 その考えに至った時には、マーブルが「ヒール」と言って結晶を使用しユミルのHPをフル回復させていた。
 ……きっと、もしキリトがさっきの一撃の加減を誤るようなことがあれば、彼女は手に隠し持っていたピックを投げつけてトドメを阻害していたのだろう。

「……………」

 右端まで完全回復したユミルは、キリトの前で力無く膝をついて、顔を伏せた。

「…………ボクの、負け……だね……」

 そう呟いた後、手から斧槍が力なく滑り落ち、カラァンと軽い音を鳴らして地面に転がった。
 そして……隠した顔の、目の辺りを手の甲で静かに拭い始めた。
 次第に肩が小刻みに揺れ始め、その手の甲から、一つの雫が零れ落ちて、地面に散った。

「う……っう、っぎ……ぇうっ……」

 嗚咽を堪える、心の底から悔しそうな泣き声の喘ぎが微かに聞こえる。
 やがて後ろに縛った、リボン代わりのボロ切れの耐久力がゼロになって――衣服を破けばそれだけ耐久力が減り、破った布片も耐久力は極めて低く、ごく僅かの間しか存在が持続しない――ポリゴンとなって飛散し。
 直後、ふわりと流れるようにポニーテールから元通りになっていく長めの髪が、ユミルの涙を隠す手助けをするように、そっとその横顔を包み隠した。
 
 

 
後書き
キリトVSユミルでした。

やっぱりボリュームがすごいことに……!
決闘シーンを途中で区切る事はしたくなかったんです。迫力が薄れてしまう気がして。
本家様みたく、SAOならではのソードスキル戦闘を感じてもらえれば幸いです。
戦闘シーンをネットに晒すのは初めてなので、とても緊張します。


以下、解説。 (たくさんあります。)


●攻撃速度
 システムアシストに頼らぬ通常攻撃の速度は筋力・敏捷値ではなく、個人の素養や鍛錬・VR空間の適応力に左右される。
 また、ソードスキルの速度は、システムアシストでアバターが勝手に動くのを普通はそれに身を委ねるが、アシストの動きに合わせて己も全く同じアクションを取れると速度が上昇する。
 その動きがアシストに近付くほど、速度を上げるほど攻撃速度が上がるので、人ごとに大きく熟練度に差ができる。
 原作でもアスナの《リニアー》にキリトがその速度に感嘆していたのも、これが起因の一つ。
 ユミルも棒捌きによる素養と、スキル数を絞りなおかつ素でも素早く動ける初級中級SSのアシストにあわせて体を動かし、SS速度をさらにブーストさせている。

●《ハルバード》(※独自設定)
 別名、斧槍。
 斧ほど攻撃力が無く、リーチも槍ほど長くないが、小さなメリットとして《斧》・《槍》両カゴテリのソードスキルを使うことが出来る。
 しかし、種類多くスキルを使えるということはつまり、とんでもなく手間がかかり、習熟が疎らになるということで、好んで使うプレイヤーが甚だしく少ない不人気武器の一つ。


※ソードスキルの解説もしたかったんですが、文字数制限に引っかかってしまったので次話で解説する事にしますorz

※戦闘描写についての、たくさんのご感想、ありがとうございました!! 
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