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普通だった少年の憑依&転移転生物語

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ゼロ魔編
  026 帰還


SIDE 平賀 才人

ウェールズに依ると、俺が捕縛した金髪カールの男の名前は、オリヴァー・クロムウェルと云うらしい。俺の記憶が正しいなら、レコン・キスタの首魁だったはずだ。……つまり俺は、レコン・キスタの頭を捕まえてしまって、レコン・キスタを事実上の崩壊に追い込んでしまったらしい。

レコン・キスタの残党の士気を下げる事を狙い、オリヴァー・クロムウェルは打ち首の後にその首はニューカッスル城の城門に晒されり事になったそうだ。……尤も、逆にオリヴァー・クロムウェルの〝敵討ち〟を名目に士気が上がらなければ…とも思わくもないが。……まぁ、〝そう〟ならない為に〝ちょっとした細工〟はするつもりだが。

(……それにしても、まだ続くか? この戦争は)

今回はロイヤル・ソヴリン号を奪還しただけで──オリヴァー・クロムウェルを処刑しただけで、レコン・キスタを殲滅した訳ではない。第二、第三のクロムウェルが現れるかもしれない。

……事実の纏め──と云う名の現実逃避は終わった。マルチタスクのサブを全てシャットアウトし、目の前に鎮座している人物へと注意を向ける。

「つまり、そなたがオリヴァー・クロムウェルを──貴族派の首魁を捕縛したと。……これら報告は嘘偽りは無いな?」

「はっ、始祖ブリミルに誓って」

……因みに、現在俺は先の戦の戦績を現アルビオン国王に──ジェームズ1世陛下に報告するために、ジェームズ1世陛下に謁見している。

「なるほど、誠に大義であった。そなたにはそれ相応の褒美を取らせよう」

「恐悦至極に御座います」

貰える物は欲しいし、ここで断ったらジェームズ1世陛下の面子を潰す事になるので、すんなりと報奨は戴いておく。……ギーシュやルイズ達にも報奨の話は行くらしいし。

「さて、話は変わるが…そなたは確かサイト・ヒラガと言ったな? ……倅のウェールズから聞いた話では、そなたは〝虚無〟を持っていて、その〝虚無〟を扱う事が出来ると」

「左様に御座います」

嘘は言っていない。……真実じゃない事も交えて言っているだけで、嘘は言っていない。

「では、そなたが自身を〝虚無〟と言い張るその証を見せる事は出来るか?」

(……これは困った質問だぞ。っと)

内心でどこぞの黒い服の赤髪の様に呟くが、この質問──〝虚無〟の証明は本当に困った設問である。……何故ならば、オリヴァー・クロムウェルが“アンドバリの指輪”を用いて自身が〝虚無〟だと嘯いていた様に大概は眉唾物であり、その真偽を別ける方法は非常に難しい。……それこそ、ロマリアの坊主共を引っ張って来なければならないほどに。……否、そこまでしても判らない可能性もある。

“アンドバリの指輪”について知っている理由は、“リコード”の虚無魔法で“アンドバリの指輪”に宿っている記憶を読み取ったからだ。どうやら、オリヴァー・クロムウェルがラグドリアン湖に居る水の精霊から盗んだ物らしい。

……閑話休題。

「………」

(ええい、ままよ!)

ジェームズ1世陛下がいつまで経っても話を切り出さない俺の事を胡散臭げに見る中、俺は内心やけっぱちに口を開く。

「……陛下のご期待に必ずや答えてみせましょう。……陛下の御前にて失礼致します」

「よい」

杖を取り出す許可をジェームズ1世陛下から貰い、俺は杖を取り出してルーンを紡ぎ、その魔法を放つ。

「“エクスプロージョン”!」

――ボカンッ!

「……これが自分の意志で破壊対象を自由に指定できる爆発を起こす魔法。“エクスプロージョン”です。〝虚無〟ではこの魔法は初歩の初歩の初歩にあたるそうです」

(……まぁ、これはデルフリンガー情報だけどなぁ)

「それが〝虚無〟か……」

何とも云えない表情のジェームズ1世陛下。俺にはジェームズ1世陛下が何を考えて居るのかは推し測る事は出来ない。

「サイト・ヒラガ」

「はっ」

ジェームズ1世陛下は某かを決断した様で。……いきなりフルネームで呼ばれたので恭しく返事をする。

「ジェームズ・テューダーの名に於いて命ずる。……□□□、□□□□□・□□□□□が□□を□□□その瞬間から、サイト・ヒラガ──そなたを□□の□□を叙任する」

「……はいィっ!? っと、と」

ジェームズ1世陛下の命令には顎の骨が外れそうになる程驚いた。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


トリステインを出てニューカッスル城に登城して、戦争して、戦勝パーティーやら、何だかんだで8日──ハルケギニアの暦にして一週間が経過した。……その一週間で第二のオリヴァー・クロムウェルが出た。……なんて話は聞いた事は無く、レコン・キスタも、このまま行けばウェールズ達だけでも殲滅させる事が出来るだろう。第二第三のオリヴァー・クロムウェルが出なかったのは〝細工〟も効いているのだろう。

……まぁ〝細工〟と大仰に云ってまみても、晒してあるオリヴァー・クロムウェルの首の横に…

[この男──オリヴァー・クロムウェルは恐れ多くも、ラグドリアン湖に居る水の精霊のマジックアイテムを〝虚無〟だと偽った恥知らずである]

……と書かれた羊皮紙をでかでかと張り付けてやっただけだが。でも、効果は覿面だったらしく、それでまたオリヴァー・クロムウェルが〝虚無〟だと信奉していた貴族派の数人がそれなりの人数の部隊を引き連れて投降してきた。

「では、この手紙をアンリエッタに頼むよ」

「判ったよ。ウェールズ。ウェールズも、また何かあったら〝電伝虫〟で連絡してくれ」

「判ったよ」

9日目の朝。戦勝ムードに冷めやらぬ中、ついに俺たちはトリステインに戻る事になった。ウェールズから手紙を──〝レコン・キスタに勝った〟、〝ワルドによって燃やされた〟との旨が(したた)められたアンリエッタ姫への手紙を預かり、ウェールズには“魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)”で創った、連絡用の〝魔獣〟──〝電伝虫〟を渡して、俺とウェールズは握手を交わす。

……アンリエッタ姫への手紙は、よもやワルドがルイズに薬を盛り、ルイズから奪った親書──ウェールズ曰く恋文を、ユーノがワルドの〝遍在〟と一緒に燃やしてしまっていたとはウェールズも思わなかった様で、理由が理由だからか、大して咎める訳ではなく苦笑いをして済ましていた。……それに、ちゃっかりと手紙を燃やした犯人をワルドに擦り付けた。と、ボソリと呟いて居たのを聞き逃していない。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

―ただし、サイトに騎士爵の爵位を叙勲する事を〝お願い〟します。……よもや〝友達〟に自分の〝お願い〟を聞かせておいて、自分は〝友達〟からの〝お願い〟を聞かない──と云う事は有りませんよね?―

……それがアンリエッタ姫がルイズの部屋に来訪した時、ルイズがアンリエッタ姫に当時内戦中だアルビオンへと遠征する為に──爵位を持たなかった俺の為に、アンリエッタ姫へと叩き付けてくれた条件だった。

「てな訳で、貴族になっちまったよ…俺……」

「誰に言ってるのさ、因みに私はおめでとうと言っておくよ」

アルビオンを出た後、港町ラ・ロシェールから〝魔獣〟で王城が存在するトリスタニアまでひとっ飛びした。……今回の任務はアンリエッタ姫からの密命だったので、話を知らない城の門番と一悶着有ったのはご愛敬。

アンリエッタ姫は〝レコン・キスタが潰れた〟とのウェールズからの手紙を見ると、涙を流しながら大層喜んでいた。ゲルマニアに嫁ぐ必要が無くなり──何より、ウェールズが壮健である事が判り、嬉しかった様だ。

そんなこんなでルイズとの約束通り俺は勲爵士──騎士爵の爵位を叙勲され、俺のハルケギニアでの名前はサイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガとなった。……叙勲の際、もう少し色々とモめるかと思われたが、そこはウェールズの口添え──俺がアルビオンで、色々やらかした事が赤裸々に記してあったらしく、そこら辺の話はすんなりと通った。……とは言っても、それなりに、シュヴァリエになれるであろう〝武〟は示したが。

「……で、これからあんたはどうするんだい? あんたの提案に乗った以上、私はついて行くしか無いけどね」

場所はトリステイン魔法学院のとある秘書の部屋。俺と対面しているのは、深緑の髪を持ち、知的そうな顔付きながら気っ風の良い口調で話す眼鏡が似合う美女は──マチルダ・オブ・サウスゴータは言う。

「……いずれはアルビオンに行く事になるけど、マチルダさん的にはそれは良いの?」

ジェームズ1世陛下の所為──お陰でルイズが、このトリステイン魔法学院を卒業して、フリーになった後の将来は決まってしまった。……ジェームズ1世陛下からの命令だったから断れなかったし。

閑話休題。

「……心配してくれるのかい? まぁ、アルビオン王家を赦すつもりは無いよ。でもね、サイト。テファの存在を認めてくれる…そんなあんただから、信じても良いかもしれないとは思ってるよ。一応ね」

俺の問いにマチルダさんは前者を重々しい口調で、後者は軽く柔和な微笑みて答えてくれる。……俺はそんなマチルダさんの笑みに、ただひたすら…見惚れるだけだった。

SIDE END 
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