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有栖キャロの小学校物語

作者:blueocean
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第4話 異端審問会って何ですか?


「おはよう真白ちゃん」
「おはようキャロちゃん、ルーちゃん」
「おはよう」

朝、登校中に真白ちゃんに会いました。
前の事件の後からとても仲良くなってます。

「今日は体育だね」
「私、運動苦手なんだ………」

真白ちゃん、どろけいの時もヘロヘロだったもんね………

「キャロはどう?」
「私は授業は何でも好きだよ。………国語以外」
「そうだね、国語以外………」

何であんな授業あるかな…………
この前の朗読の時も何度も噛んじゃって恥ずかしかった。

「漢字多過ぎるよね………」
「これから先ずっと覚えるみたいだよ………」

真白ちゃんからそう聞いて、私とルーちゃんは揃ってため息を吐きました。

「だ、大丈夫だよ。普段から使うからきっと覚えるよ」
「本当かな………?」
「真白ちゃんの言うことは信頼できる」
「ちなみに信用できないのは?」
「エローシュ」

即答でした。

「そんなことないよ!!伸也君は信用できるよ!!」
「信頼は出来るけど信用は出来ない」

ルーちゃんはエローシュ君の事となると辛口になります。

「そんな事無いよ!!伸也君は良い子だって!!」

そうだ、真白ちゃんはエローシュ君の事を伸也君と呼びます。
エローシュ君が名前なのにどうして……………



…………あれ?

「ふぅ〜ん…………」

そんな真白ちゃんにルーちゃんは近づいて耳元で何か言いました。
あっ、顔が湯でタコみたいに赤くなった。

「何を話したの?」
「秘密」

ルーちゃんはご機嫌な顔で言いました。

う〜ん、気になる…………








そして、体育の授業………

「行くぞ!!俺のこの手が光って唸る!お前を倒せと輝き叫ぶ!必殺!!シャイニングフィ「さっさと投げる」………ゴメンナサイ」

ルーちゃん相変わらず厳しい。
だけど、なんだろうな?光って唸る?魔法?

「コホン、気を取り直して………そりゃ!」

エローシュ君の投げたボールは私の方に飛んできました
でもこれくらいなら………………

「………よし!」

しっかりキャッチ出来ました。

「くそっ、やっぱりあれくらいじゃ取られるか…………仕方ない、今度は本気を出す!!流派東O不敗の最終奥義、石破ふべっ!?」

あっ、私の投げたボールがエローシュ君の顔に…………

「す、すいません!大丈夫ですか!?」
「大丈夫よ、こいつはこれくらいじゃ倒れないわ。意外とタフなのよ」

夏穂ちゃんがそう言いますが、やっぱり心配です。
鼻血、出ていなきゃいいんですけど…………

「くっ、ハハハハハハハハ!!甘いわ!!それくらいのヒョロ玉では我を倒すことなど不可能!!」

エローシュ君は何事もなかったかのように立ち上がりました。
全然平気ですね。

「エローシュ君、顔面だからセーフ」

「フハハハハ!次はこっちの番だ!!」

そう言ってボールを投げました。
さっきより速いです。

だけど……………

「なっ!?」

エローシュ君も驚いています。

「遅い」

ルーちゃんが簡単にキャッチしたからです。
流石ルーちゃんです。

「今度はコッチの番」

ボールを右手に持って構えます。

「待って、ルー!」

そう言って夏穂ちゃんはルーちゃんに耳打ちをし始めました。

「それ面白そう」

ニヤリとルーちゃんは夏穂ちゃんの言ったことに賛成したようです。

「それじゃあ…………えい」

ルーちゃんもボールを投げました。
ボールは真っ直ぐエローシュ君の顔に………

「ぎゃば!?」

直撃しました。

「エローシュ君、顔面だからセーフ」

先生がそう言いますが、当の本人は痛くて直ぐに動けません。

「えいっ!」

相手の女の子が投げたボールを夏穂ちゃんがキャッチ。

そして…………

「行くわよ、エローシュ!」
「えっ?」

そう言って立ち上がったばかりのエローシュ君の顔面にボールが真っ直ぐ………

「ぎゃあ!?」

直撃しました。

「エローシュ君、顔面なのでセーフ」
「痛てえ………」

本当に痛そうにしてます………
ちょっとかわいそうになってきました。

「行くよエローシュ!」

敵のボールをキャッチしたルーちゃんがすかさず、エローシュ君の顔面目掛けて投げました。
その顔が笑顔だったのは気にしないことにします…………

「あぎゃあ!!」
「エローシュ君、顔面なのでセーフ」

先生も無慈悲です……………

「まだまだ!!」

そう言ってまた夏穂ちゃんがボールを投げました。
しかし、そのボールはエローシュ君の顔から外れ、右肩に当たりました。

「「しまった!?」」

2人は声を揃えて言いました。
しまったって…………………

でもこれでエローシュ君も…………

「………セーフ」

救われませんでした……………

佐助君が見事にダイビングキャッチ。
これによりエローシュ君、セーフです。

「俺は助けてもらってこんなに怒りを抱いたのは初めてだよ…………」

でしょうね。
佐助君がこっちを向いてVサインしている辺り、確信犯だと思います。

そして、その後もエローシュ君の地獄は続きました……………





お昼休み……………

「全く、酷すぎるだろお前ら」
「ごめん、やり過ぎた」
「まあ、たまには良いじゃない」
「そのたんびに傷だらけになる俺って………」
「ドントマインド、エローシュ君」
「キャロちゃん、何で略さないの!?」

ちょっとした気分です。

「クソっ、グレてやる…………」

そう言って後ろを向いて黙々と食べ始めました。
流石にちょっとからかい過ぎたかな………

「エローシュ、これあげるから機嫌直して」

ルーちゃんが珍しくエローシュ君に優しくしてます。

「べ、別にそんなんで許してもらえるなんて思うなよ………」

と言いながらも嬉しそうです。

「って、ご飯じゃねえか!!ご飯なら一杯あるんだよ!!」
「それじゃあ交換でこれもらうね」

そう言ってルーちゃんは唐揚げを取りました。

「あっ、また!?」
「じゃあ私も、ハイ」
「ってまたご飯!?」
「私も唐揚げもらうわ」
「止めてくれ!!また俺のおかずが………」
「僕も…………」
「相棒!!流石に取りすぎだろ!?ソーセージと卵焼きのダブルとか鬼畜すぎる!!」
「私はこのグラタンを……………」
「キャロちゃんまで…………」

私もご飯とグラタンを交換しました。

「伸也君、私のおかず分けてあげるから…………」
「ああ…………ここに女神様がおるわ…………」

泣きながら、真白ちゃんにお弁当のおかずを分けてもらうエローシュ君。
真白ちゃんも嬉しそうだ。

「…………………フン」

けれど、そんな様子を見ていた夏穂ちゃんは何だか不機嫌そうです。

「面白くなりそう…………」
「どうなるんだろうね………」

佐助君とルーちゃんは2人で何やら話しています。


あれ?
私だけ仲間外れな気が……………








放課後…………

「何でエローシュ君、磔にされてるの?」
「というかどこからあんなもの出したの?」

私とルーちゃんがトイレに行っている間にエローシュ君が十字架に磔にされてました。

「あわわ、どうすれば…………」
「真白ちゃん、一体何があったの!?」
「あっ!キャロちゃん、ルーちゃん!!」

私たちに気づいた真白ちゃんが慌てて近づいて来ました。

「あのね、私がエローシュ君にこの前のお礼として作ったミサンガを渡したら、それを見ていた男子のみんながあっという間に大きな十字架にエローシュ君を…………」

何か色々と突っ込まなくちゃいけない気がするけど、取り敢えずエローシュ君が先だね………

「ルーちゃん………」
「面白そうだから傍観しよう」

「「ルーちゃん!?」」

まさかの傍観!?

「それでいいわよ」
「夏穂ちゃん!?」

いつの間にか後ろにいた夏穂ちゃんが言いました。

「エローシュは普通の人より頑丈……………」

その隣にいた佐助君もそう言います。
それは体育の時間に聞きましたが…………

でも、付き合いが長い二人が言うなら大丈夫かな……………

「只今から異端審問会を始めます」

そう宣言して、磔されているエローシュ君の前にいる男の子達は頭に黒い頭巾を被り始めました。





「えっとひ、ひこく?ああ、合ってる?被告エローシュ!!き、………お前はエロ紳士同盟を作りながらもモテモテになろうとしていた。めいしゅ自らめ、め………何て読むんだっけ?」
「盟主だよ………」
「そうだった、ありがとう。………えっと。盟主自ら破った行為は我ら同盟の裏切りに値する!!………………何か言いたい事はあるか?」

「ぐだぐだね………」
「ぐだぐだだね………」

頑張って難しい言葉を言おうとして漢字にひらがなを付け忘れたんでしょうね………
もうせっかく作った雰囲気も台無しです。

「俺のどこに盟約に違反した証拠がある!!証拠の提示を要求する!!」
「えっと………あ、あった。ではこれはなんだ!?」

そう言って裁判官?をしていた男の子がミサンガをエローシュ君に見せてきた。

「それは真白ちゃんからお礼として貰ったものだ。それのどこに違反がある!!」
「女の子から贈り物、それはリア充の仲間入りの意味を示すって兄貴が言っていた。だから違反だ!」

「それはお前らが俺に勝手に嫉妬しているだけだろうが!!」

「「「「「「「「「「うっ……………」」」」」」」」」」

「それに俺が作った盟約にはそんなものは無い!!」
「で、でも理不尽だ!!俺たちも手伝ったのに、俺たちには何もないなんて…………」

「「「「「「「「「「そうだ、そうだ!!」」」」」」」」」」

「それは…………日頃の行いが悪いからだ」

「「「「「「「「「「お前にだけは言われたくない!!」」」」」」」」」」

その気持ちは分かります。

「あ、あの!!」

真白ちゃんは精一杯大きな声を出して、異端………なんだっけ?
と、とりあえず話しかけました!!

「皆さんにもお礼はあります!クッキーですけど要りませんか?」

「「「「「「「「「「いりま〜す!!」」」」」」」」」」

みんな被っていた頭巾を取って、真白ちゃんの所へ群がって来ました。
変り身が早いですね…………

「キャロちゃん達もどう?」
「ありがとう、いただきます!」
「美味しそう」
「本当ね」
「良いお嫁さんになれる…………」
「えへへ………」
「おい、誰か俺を下ろしてくれよ!!」

私達はみんなで真白ちゃんのクッキーを美味しくいただきました。







「ね、その頭巾って何なの?」

クッキー食べている時に近くの男子に聞いてみました。

「えっとね、僕の兄貴がやってるんだけど、SBS団ってやつの真似事。何でもリア充のレイジって人を懲らしめるために組織したんだって」

お兄ちゃんの名前と同じですけど違いますよね? 
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