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機動戦士ガンダム0087/ティターンズロア

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第一部 刻の鼓動
第一章 カミーユ・ビダン
  第三節 月陰 第一話 (通算第11話)

 
前書き
 グラナダに着任したカミーユ・ビダンとランバン・スクワーム。二人は休日を利用してグラナダ市街へと繰り出した。彼らがそこで見たものは、一年戦争の歴史であった。ジオン独立戦争でもあるジオン公国の戦いをまざまざと見せつけられた。カミーユたちはそれに何を思うのか。

君は刻の涙を見る。 

 
 地球連邦軍は一年戦争で大きく二つの軍に再編成された。一つは地球防衛軍ともう一つは航空宇宙軍である。これは地球の陸海空の三軍が被った被害が大き過ぎたため、州軍を格上げし、地球防衛軍として急遽再編成したものだった。また空軍については、宇宙軍が潰滅したこともあり、パイロットなどの補充の面から宇宙軍との合併を強いられたのだ。これによって、地球防衛軍は方面軍を編制できず、拠点防衛に専念することとなった。航空宇宙軍は地球防衛軍と共同で方面軍を結成し、モビルスーツ中心の編成を以てジオン公国軍への反撃の狼煙を挙げたのである。
 その切っ掛けは『V作戦』の中心的存在であったペガサス級機動航宙母艦《ホワイトベース》の活躍だった。ルナツーを経てサイド7より大気圏突入を果たした《ホワイトベース》は進路を阻まれ北米に降下、十月四日、北米方面軍司令官ガルマ・ザビ少将の包囲網を突破し、一路ジャブローへ向かったのである。この時、ガルマ・ザビ少将は《ホワイトベース》に乗機であったガウ級大型航空母機《ガーウィン》を撃墜され、戦死した。ガルマ・ザビ少将の死は北米方面軍に混乱を招いた。これによって大西洋の制海権を回復した連邦軍は、ヨーロッパ反攻作戦を決意、ジオン公国地球侵攻軍総司令部のあるオデッサを目指した。マ・クベ中将が籠るオデッサ基地奪還作戦は十一月七日開始された。三日間に及ぶ激戦は地球連邦軍の勝利に終わり、ここに地球のミリタリーバランスは大きく地球連邦軍に傾くのである。この頃には、ジャブローで《ジム》の量産体制が整い、順次北米戦線、極東戦線、アフリカ戦線にモビルスーツが配備された。
「でもさぁ…」
「ん?」
 助手席で背伸びしながら、ランバンが体を左右に振る。落ち着きがないというか、体を常時動かしていないと気が済まないのだ。
「よくよく考えると、掃討作戦をオデッサの後に急いでやる必要あったのかね?」
「さぁ?お偉いさんの考えることなんてわかりませんよ」
 二人は歴史博物館を出て街を巡っていた。コロニーと違いどこにでもエレカがある訳ではないのに驚かされた。売店でエレカステーションの場所を尋ねてようやく借りたのだ。コロニーは非常に管理が行き届いている都市型社会であるのに対して月面恒久都市はどちらかというと地球の街に似て管理を拒絶する余裕めいたものが存在していた。
「でも、どっちみちやらなきゃいけない作戦だったんだろうし」
「それはそうなんだけどさ……」
 ランバンは釈然としないようだった。ランバンの言う掃討作戦とは、『ヨーロッパ反攻作戦』後に行われた『アフリカ掃討作戦』と『北米掃討作戦』である。
 十一月二十七日より開始された『アフリカ掃討作戦』ではジャミトフ・ハイマン准将率いる第十八独立混成旅団はアフリカ中央部を進撃し、キリマンジェロ基地との補給線を確保した。ジョン・コーウェン少将の第七混成機動機甲師団はアフリカ東部を直進、アフリカの角でジオン公国軍の撤退軍と激突し、多くの戦果を挙げた。ジョン・バウアー中将率いる第八混成機動機甲軍団は、西部を迂回し、残党の掃討を行いつつ、ハイマン准将、コーウェン少将の後詰めを行い、徹底抗戦を唱えた強硬派の分断に成功した。
 同時に展開された『北米掃討』はジーン・コリニー大将が総司令官となり、北のアラスカ基地からはカリフォルニア基地を目指す第五・第十・第十一軍、旧都ニューヨーク解放を目的とする第四混成機動機甲師団、南のパナマ基地からは第九軍が派兵された。南北からの挟撃にカリフォルニア基地は早々に陥落、残党はケープカナベラルへと敗走した。追撃した第五軍所属の第三混成機動機甲師団はケープカナベラルを奪還できずに終戦を向かえた。それに先駆けてヒューストン、メイポート、ニューヨーク、ノーフォークは解放され、北米の重要拠点はケープカナベラルのみとなっていた。
「あの作戦をやったから後背の憂いなく宇宙戦ができたんだろ」
「う~ん……」
 ランバンとて根拠がある訳ではない。ただ、釈然としなかっただけなのだ。カミーユが言うのは教科書で習う通りの理由であり、理屈ではあってはいるが、それだけでは急ぐ理由にはならない。オデッサ戦を考えれば宇宙に持っていけない地上戦力で十分封鎖が可能なのだ。ましてや、RMV-0《ガンタンクイージー》が量産配備されていたのである。拠点防御としてはモビルスーツよりも頼りになる。
「まぁ、確かにカミーユの言う通りなんだよな。チェンバロ作戦も星一号作戦もだからこそ成功した部分がない訳じゃない。」
 ランバンの指摘もあながち間違いではなかった。実はこの二つの作戦はレビル大将の本意ではなかったと言われるからだ。後に判明することだが、ジーン・コリニーら地球至上主義派の強硬なねじ込みによる作戦であった。しかし、これを譲歩することで、レビル、ティアンム両大将は宇宙での全面的な指揮権を掌中にしたのである。 
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