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I want BRAVERY

作者:清海深々
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39話


39話

 岳羽さんがメンバー入りしてから3日して、早速タルタロスに行くことになった。

「てか、ペルソナ召還出来るまで待たないんですか?」

「彩がまだ出来ていないんだ。そんなに長期間待ってられるか」

 あれ?俺のせい?

「別にペルソナなんてなくても戦えるだろう」

「まぁ・・・確かに戦えてますけど」

 大丈夫なんだろうか。
 岳羽さんは回復役とはいえ、まだペルソナを召還できない。
 
 一応真田先輩もディアは使えるが、戦闘中にそれを使う余裕はあまりない。

 割と頼りにならない真田先輩を見ながら、俺は不安を感じながらタルタロスに向かった。




「へぇ〜。これがタルタロスかぁ。おっきいね」

 12時ジャストに学校の前に来て、影時間を迎えた。

「まぁ、ね」

 何度見てもこの変形の光景には目を奪われる。
 というか、毎回変形の仕方も若干違うのが少し面白い。

「これって影時間が終わったら戻るんだよね?」

「うん。じゃなきゃ、学校いけないしね」

 岳羽さんは始めて見るタルタロスに驚いていた。

 俺も最初に見た時は、知っていたとはいえかなり驚いた。

 予想していた倍驚いた自信がある。

「じゃ、中入ろっか」




「このポータルで一気に上までいける。まぁ、今回何処に行くかは明彦に任せる」

「俺達がいるからな、流石に1階からってのはつまらんだろう。岳羽も幸運にも遠距離武器だしな」

「え?何階から行くんですか?」

「36階からだ」

「行きすぎてやしやせん!?」

「問題ない。まぁ、岳羽は最初は戦闘に参加せず見学だ」

「わかりました」

 岳羽さんが真田先輩に言われ頷く。

 が、本当にわかっているのだろうか。
 彼女は自分がレベル1だということを忘れていないだろうか。

「そのうち自然とレベルが追いついてくるだろう」

「ちょ、マジで?」

「よし、行くぞ!」





『明彦!行きすぎだ!』

 無線機から桐条先輩の鋭い声が聞こえる。

 いつになくテンションが上がっていたみたいだ。

 冷静な判断ができなかったみたく、俺達は今43階まで駆け上がって来てしまった。
 岳羽さんのレベルが1のことを忘れ。

 ちなみに俺と岳羽さんは、猛ダッシュしていく真田先輩を追いかけるので必死だった。

「真田先輩!」

 やっちまった、なんて頬をポリポリと掻いてる真田先輩。

 岳羽さんは思いっきり肩で息をしている。

「最初からここまで来れば、簡単にレベルが上がると思うんだが」

「そういう問題じゃないですよ。まずは戦いに慣れないと」

「そうだな・・・降りるか」

 なんでそんなに落ち込んでるんだよ。
 安全のためには仕方ないだろう、こっちを睨むんじゃない。

『明彦!敵だ!』

「何!?」

 俺もその声を聞いてバッと振り返る。

 そこにはシャドウが4体もいた。

「こんな時に!・・・まぁいい、岳羽、お前は見ていろ!」

「は、はい!」

 てか、この敵はヤバくないか?

 なんでカッコつけてそんなセリフ言ってるんだよ。
 ここは逃げるとこだろう。

 俺と真田先輩は43階まで来たことはあるが、適正レベルかと言われると決してそうではない。

 4人パーティーでも危ないんじゃないか、なんて思うようなレベル帯に2人で来ていたのだ。

 今回はそれに加えて岳羽さんもいる。

 それに敵を一気に4体も相手したことなんて、最近はなかった。
 いつもはちゃんと1体か2体の敵を狙っていた。

「ヤバイんじゃないですか!?」

「大丈夫さ!」

 なんでそんなに自信満々なんだ?
 どっからどうみても危ないだろう。

 真田先輩はそう叫ぶと同時に一気に敵の懐に踏み込み、連続でパンチを放つ。

「なっ!?」

 真田先輩の拳が明らかに効いていない。

「桐条先輩!アナライズを!」

『わかった』

「くっ」

 目の前が明るくなったため、そこからバックステップで離れる。
 次の瞬間そこには敵が降って来ていた。

 しかし、まだ光は消えない。

 今度はサイドステップで避ける。
 そこを敵の攻撃が通過する。

「やっぱ4体ってのは多いんじゃないの!?」

『ブロンズダイス!打撃は効かないぞ!雷が効くようだ!』

「真田先輩!魔法を!」

「くっ!」

 真田先輩にそう言うが、真田先輩は敵2体に狙われ、防戦一方だった。

「やっぱ4体は無理だろう!逃げましょう!真田先輩!」

 俺は真田先輩にそう叫ぶが、どうも真田先輩にそれを聞く余裕はない。

 普段ならこんなことはないのだが、やはり通常攻撃が効かない敵の場合かなりやっかいだ。

 ゲームと違って、必ず自分のターンが回ってくるわけじゃない。

 ペルソナ召還は、実は最も隙の出る攻撃だ。

 それゆえ、最前線のメンバーが使うには、誰かが囮になったりする必要がある。

 2体同時に狙われて、綺麗に線をなぞった攻撃をできるほど俺は達人ではない。
 とりあえずは、真田先輩に向かってる敵の注意をこっちに向けさせ

———シャッ

 後ろから矢が飛び、それがブロンズダイスに刺さる。

(え!?なに攻撃してるの!?)

「私にだって!」

(いや、待って、意味わかんない!)

「っ!岳羽さん、逃げて!」

「え?」

 岳羽さんの真上に敵が飛び上がる。

 真田先輩や俺なら確実に避けれる攻撃だが、今の彼女にはそれは不可能だろう。

 戦闘経験がない上に、割と疲労している。
 最悪だ。

(ペルソナっ、ペルソナで魔法をっ!)

 遠距離だ。

 こんな時は魔法だろう。

 震える手を気にしてられず、銃を抜く。

 迷っていれば岳羽さんが死ぬ。

(こんな時くらい、こんな時くらい!漢になれよ俺!)

 俺は自分の銃を頭に向けた。 

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