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I want BRAVERY

作者:清海深々
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38話


38話

 まさかまさかの展開でタルタロスの階層は30階まで上がった。

 これって主人公が段々とレベルアップしていくの無理じゃないかな、って思うんだ。

 まぁ、多分別行動になる可能性が高い気がする。
 真田先輩が怪我さえしなければ。

「彩、すこし話がある。後で作戦室に集まってくれ」

「?了解しました」

 何か大事なイベントでもあっただろうか。

 俺以外の人も声を掛けに行くらしい。

 嫌な予感がヒシヒシと、なんてことはないが、何か厄介というか面倒になりそうな予感。





「今日集まってもらったのは他でもない、新しくメンバーが増えることとなった」

「新メンバーだと!?これで、これでより上にいける!」

 おいおい、あんたの頭はそっちにしか働かないのか。

「え〜、チョーありえないンですけどぉ。マジでもう増えなくていいシぃ〜」

 お前は誰だよ。
 何キャラ変えてんだよ。

 そうでなくてもキャラ崩れ激しい奴いるんだから、キャラ固定しとけよ。

「・・・誰ですか?」

 誰か居ただろうか。

「君と同じ学年の子だ」

(・・・岳羽さんか)

 あの人はそういえば高1の内にメンバー入ってたっぽかったな。

「岳羽ゆかり、というんだが、知らないか?」

「はぁ!?女とか、イラネー」

 いや、だからお前誰?
 キャラ戻せよ。

「そう言うな暗越。これでより多くの人を助けれる」

「岳羽さんか・・・まぁ、知り合いではある、かな?」

「じゃあ、彼女が入ってきたらお願いしてもいいか?」

「え?パス」

「・・・彼女にとってこちらは未知の世界だ。戸惑うことも多いだろう」

「そこはほら、真田先輩が手取り足取り」

「明彦はそういうのに向いていない。なにより君は同学年だろう?それに彼女は自ら志願してくれたんだ。その志を無碍には扱えない」

(俺は強制的でしたね)

「真田先輩。どうやら戦闘に関して熱心な子らしいですよ」

「なに!?それは本当か美鶴!」

「え、いや。戦闘に関して言われればどうかわからないが」

「真田先輩が手取り足取り教えれば、きっと戦力になりますよ」

「そうか!今からトレーニングメニューを作ってくる!」

———バタン

 真田先輩は走って出て行った。

 その子がどんな子かも聞かずにどうやってメニューを組むんだろうか。

「・・・ふぅ」

「おい、何やりきった感を出しているんだ」

「いいじゃないですか。岳羽さんって、なんかあんまりこっちに関わるな、っていうかなんかそんな雰囲気出してるんですよ」

「?友達はちゃんといると聞いたが?」

「あー、いや、俺に対して、って感じで」

「嫌われているのか?」

「友達以上踏み込むな、って感じで嫌われてるわけじゃないですけど」

「なら任せた」

「いや、でもですね」

「なら暗越にやらせるか?」

 ちらりと先輩を見ると、なんか黒いオーラ出しながらぶつぶつ言っていた。

「・・・わかりました。わかりましたよ」

「ふふっ。君には期待してる」

(イラネーよそんな期待)

 天井を仰ぎ見て、ため息をついた俺はきっと悪くない。






「えっと、岳羽ゆかり、高1です。よろしくお願いします」

「あぁ、歓迎しよう。私は高2の桐条美鶴だ」 

「あ、はい。知ってます」

 桐条先輩に対して、軽く頭を下げる岳羽さん。

「お前、得意な武器はなんだ?何ができる?槍か?薙刀か?」

 自己紹介はしようよ、なんて思うけど、あえて何も突っ込まないことにする。

「え、えっと・・・ゆ、弓を少し」

「な、なんだと・・・」

 orzの体勢を取る真田先輩。

 大方近距離用のメニューを立ててたんだろう。

(ざまぁww)

 なんて思った俺は悪くない。

「俺は知ってると思うけど、琉峰彩。よろしく」

「あ、うん。なんか知り合いがいると安心するね」

 ニコリと微笑み合う俺達。

 そう、頑張ってくれ。
 岳羽さんが戦力になればきっと、俺に対する愚痴も減るはずだ。

 タルタロスが先に進めたのにも関わらず、桐条先輩の愚痴は終わらなかった。

 なんだかんだでストレスが溜まっていたのはわかる。
 わかるがその捌け口が俺というのはどうも納得がいかない。

 一人で戦ってます、って感じだったはずなんだが。

 とにもかくにも、俺の横でいまだにぶつぶつ言っている人はどうにかならないのか。

「えっと、暗越先輩ですよね」

「えぇ」

 冷たっ。

「よ、よろしくお願いします」

「えぇ」

 おいおい。
 この人ずっとこんな感じでやっていくのか。

「ちょ、ちょっと」

「何?」

 俺に小声で話しかけてくる岳羽さん。

「私、あの人になんかした?」

「いや、知らん。あれじゃね?ほら、自分より可愛い子に嫉妬するってやつ」

「ちょっと、適当に答えないでよ」

「あれだよ、あれ」

「何よ」

「所謂原因不明」

「おい」

(どうせアレだろ?女の子が俺の周りに増えるのが嬉しくないんだろう?)

「ちょっと、私の彩君となんでそんなにくっついてるの?」

「え?えっと・・・すいません?」

「はいはい。岳羽さん、あれ無視していいから。部屋案内するよ、行こう」

「ちょっと彩君!なんでそんな女のことなんか構うの!?」

「二人ってやっぱり・・・」

「違う」

「そうよ、将来を誓い合った仲。なんだ、あなた分かってるじゃない」

「へ、へぇ〜」

 顔が完全に引きつってる岳羽さん。

 とりあえず俺はそれを無視して、岳羽さんを案内するために階段に向かう。

 ちなみに荷物はすでに部屋に送られている。

「女子は3階。男子は2階ね」

「わかった」

 俺はそう言って、3階へと上がる。

「基本的に男子は3階には行くのは禁止されてるけど、今回だけは特別だから」

「あ、そうなんだ」

「私の部屋ならいつでも来ていいからね」

 なんで着いて来てるのかは知らないが、無視の方向で。

「ここね。荷物はもう着いてるはずだから」

「わかった。ありがと」

「ん、じゃ」

「うん」

 俺は岳羽さんと別れ、自分の部屋へと向かう。

「ちなみに女子も2階に侵入禁止だから。というか先輩だけは」

「えぇ〜」

 なんか拗ねてる先輩は放っておいて俺は自分の部屋に入った。

 原作の男主人公の向かい側に部屋が3つになってるんだよね。

 原作では荒垣先輩と真田先輩のしかなかったのに。 

 で、俺はちょうど主人公の向かい側なわけ。

 これ不安じゃないか。
 なんで主人公の部屋が空いてるんだ。

 なんか男主人公の可能性が上がったと思う。
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