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戦姫絶唱シンフォギア/K

作者:tubaki7
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prologue

――――誰かに呼ばれている気がする。


――――誰かが泣いている気がする。


――――誰かが叫んでいる気がする。


・・・・ああ、そうか。もう起きなきゃか・・・・。



















~AM5:00 長野県九郎ヶ丘 遺跡発掘現場~


まだ朝日も昇り切らぬ暗闇が空を覆う時間帯。遥か山奥の隠された秘境にその遺跡は忽然と現れる。東京よりトレーラーを走らせること数時間、出発の時はあったテンションも眠気には勝てずいつの間にか眠りい落ちていたようで微睡から覚醒しようと外に出て身体を伸ばす。まだ冷たい空気が鼻を通過して肺を満たし、意識をはっきりとさせる。山の中特有のあの湿った臭いがなんとも心地いい。その中に混じって漂う香水の匂いもまたこの青年にとってはなじみ深いもので見知らぬ土地に来たことに安心感を与える。


「あらやっと起きたのね。お寝坊さんはよくないわよ?」


アップに纏めた栗色の髪に眼鏡と白衣。発掘現場という足場のものすごく不安定な場所にも関わらず「女子力の高い女はいついかなる時もオシャレに手を抜かないもの」と称しヒールを履いてくるあたりこの人はブレないなとおもう。

ともあれ、自分の直接の上司であるのだから謝罪をしなくては。


「すみません、あまりにも了子さんの運転がうまいんでつい」

「相変わらずマイペースねぇ五代君は。そういうところお父さんソックリよ?」


苦笑しながら頭をかく癖なんてホントおんなじよと追い打ちされてただ苦笑するしかなくなる“五代雄樹”青年に上司であり母親的存在でもある“櫻井了子”はコーヒーの入ったミニポッドを渡す。トレーラーの駐車してある位置から見下ろすようにライトアップされている遺跡を見下ろしながらコーヒーを飲む。見てくれは不気味だがそれなりに辺りを整備すれば幻想的な雰囲気漂う観光スポット的なものとして売り出すこともできるかもしれない。雄樹はそんな考えをロマンがないと消しコーヒーを一口。


「皆神山といい、ここといい…ホントにこの国は聖遺物の宝庫ねだわ~」


心底嬉しそうにうっとりとした声で呟く。考古学者としては聖遺物の研究ができるというだけでそれなりの幸福であるとは了子の談だがまさにそうかもしれないと雄樹も思い始めていた。冒険家でもあり、考古学にも惹かれている身としては彼女の言うことも理解できるがさすがにあそこまではいかない、この発掘と一通りのことがひと段落したらまた旅にでも出ようかと考えつつカップに中身の液体を流し込んだ。

苦い味だが嫌いじゃない。こいつのおいしさがわかるようになったあたり自分も大人になったなと感じる。隣の女性に言わせたら「19歳なんてまだまだ子供よ」らしい。背伸びしたいわけじゃないがもう少し子供扱いが減ってくれるといいのになと思う。


「五代君、新しいのが出たわ。見てみる?」

「はい。今度はどんなのがでたんですか?」

「それがね・・・・ちょっと変わったものみたい」


期待外れ、または予想外の掘り出し物。二つの意味の含んだ顔で携帯を白衣のポッケへとしまう。坂道をヒールで起用に降りていく了子の後ろに続いていく雄樹。下にはいくつものテントが並び、機材から伸びたコードが所せましと張り抉らされている河原を気を付けながら歩き、一際大きいテントの中へと入る。研究員の一人が了子に敬礼するとこちらもそれにならって見よう見真似でしてみる。でもそれには興味がまったくないのか部下の敬礼をスルーしてデスクの上に置かれたアタッシュケースを指差し「これ?」と聞く。形式だけとはいえもうちょっとちゃんとしてもいんじゃないかと思いつつデスクの上のものを見る。


「さてさて、ご対面~・・・・あれ?」


中に入っていたのは石造りのベルト・・・・のようなもの。聖遺物をこの目で見たことはないが、これがそうなのかとジッと見つめてみる。


「・・・・!?」


急に浮かんできたイメージに困惑する。脳に訴えかけてくるかのようなメッセージ的なものを受け取った雄樹はあまりにもの膨大な情報量にビックリして後ずさる。テントの中とはいえ河原の上に建てられたもののため地面は大小さまざまな石が転がっている。その為足をよろめかせて尻もちをつく。


「ちょっと、大丈夫?」

「すみません、足元すべらせちゃったみたいで・・・・」


呼ばれた・・・・・感覚的にはそんな気がした。
















認定特異災害“ノイズ”。突如として出現したそれは触れるものを灰へと変えてしまう危険性を持っており、されには現代兵器がまったくもって効果がないという性質をもつという厄介なものだ。これに対抗しうる術を持つのが櫻井理論により生み出された聖遺物の欠片である“シンフォギア”と呼ばれる武装のみとなっており現状コレを所持している者はいかなる人物であってもノイズと戦う使命を負わせられることとなる。

たとえそれが、つい数日前まで普通の女子高校生だったとしても。


~AM8:00 東京 私立リディアン音楽院 校門前~


「はい・・・・はい・・・・それじゃ、俺もその時に。はい、それじゃ」


携帯をしまい、左腕の時計を見る。きっちりと時を刻んでいる時計の針を見ながらもうそろそろかなと待ち合わせた人物の登場を待つことおよそ5分。「遅刻だぁ~!」と元気な声が聞こえてお目当ての人物が来たことに顔を上げる。


「ごめんユウ兄ィ!遅くなって!」

「大丈夫だよ、待ってる間ずっと未来ちゃんの愚痴訊いてたから」

「それフォローになってないよ・・・・ともあれ、立花響。補修課題をキッチリ片づけてまいりました!」


笑顔で拳に親指を立てるポーズ――――サムズアップをする少女、立花響に雄樹も同様に返す。幼い頃からご近所付き合いが深かった二人は兄妹のような仲でそのことから響は雄樹を“ユウ兄”雄樹は響のことをそのまま“響ちゃん”と呼びあっている。

そんな幼馴染にヘルメットを手渡して自身もヘルメットを装着してバイクへとまたがる。エンジンを起動させ、後ろに響が乗ったことを確認するとギアを操作してアクセルを蒸せ、発進する。後ろの響は一気にハイテンションになり「イ~ヤッホ~!」と叫んでははしゃいでいる。小さい頃と変わらないなと久しぶりに再会した少女に懐かしさを感じながら街中を走る。

街頭に飾られているポスターはほぼ今人気絶頂のユニット“ツヴァイウィング”ライブ宣伝ポスターで占められている。それをみた響のテンションがさらにあがる。これからこの二人のライブを見に行けるともなればそれはファンならば当然のことだろう。運転している雄樹からしてみればたまったものではないが。


「響ちゃん、もうちょっと大人しくしてくれないかな?」

「ふぇ・・・・あ、ごめん!」


冷静になるなり恥ずかしくなったのか急に大人しくなる響。こういうところも変わらないとおもいつつ、雄樹は会場を目指す。

このあと起こる、運命の時も知らぬまま。 
 

 
後書き
主人公の五代雄樹は雄介の息子、ということでこの世界での雄介はクウガにはなっていません。ifの世界、ということです。

時系列はアマダム発見から数週間後にツヴァイウィングのライブという形になります。 
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