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ロックマンX~朱の戦士~

作者:setuna
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第十話 休憩

 
前書き
ナウマンダー、ペンギーゴを下したエックスとルイン。
メンテナンスを受け、しばしの休憩。 

 
ナウマンダーとペンギーゴを下したエックスとルインはメンテナンスを受けるためにハンターベースに戻っていた。
ダメージ自体は大したことはない。
しかし凍結の影響がないとは限らないからハンターベースに戻ってきたのだ。



































ルイン「やあ、エックス」

エックス「ルイン」

腰にまで届く絹のような金髪を靡かせながらエックスの元に駆け寄るルイン。

ルイン「エックス、今暇だよね?」

エックス「ん?報告はしたし、メンテナンスもしたから時間はあるよ」

ルイン「よかった!!なら、ご飯食べない?外で」

エックス「外でって…何処で?」

ルイン「ほら、エックスと私とゼロの3人でよく行った野原があるじゃない?あそこは運よくミサイルの直撃を受けなかったんだ。イレギュラーもいないから気分転換には持ってこいな場所じゃない?」

エックス「確かに…」

最近は気が滅入っていたし、久しぶりにひなたぼっこをしたいような気がする。
何より彼女といられるのだから、断る理由もない。

エックス「いいよ。一緒に行こう。」

ルイン「やった♪お弁当が無駄にならなくてよかった」

エックス「ルインの中では決定事項だったんだろ?」

ルイン「当たり♪それにあの野原でいい場所見つけたんだ。誰にも教えたことないんだ。エックスには特別に教えてあげる」

無邪気なルインに苦笑しながらルインと共にハンターベースを出ていくエックス。




































HXアーマーを纏ったルインに掴まり、着いた場所はいつも非番の時に来ていた野原。
ルインに案内された先には広大な花畑が広がっていた。

エックス「これは凄いな…ここにこんな綺麗な花畑があるなんて……」

ルイン「凄いでしょ?この間偶然見つけた秘密の場所。」

エックス「なるほど、確かにここで食べる食事は格別だろうね」

ルイン「うん。エックス、座って。お弁当食べよ?」

エックス「うん」

花畑の近くまで行くと、地面に腰掛ける。
花の香りが鼻腔をくすぐる。

ルイン「今日のお弁当はサンドイッチです」

ルインが取り出したバスケットを開くと、長方形にカットされた様々な種類のサンドイッチが並んでいた。

エックス「今日も美味しそうだね」

ルイン「へへ、エックスのために早起きしてお弁当を作ってきたんだ」

エックス「そ、そうなんだ…」

嬉しそうに笑うルインにエックスも笑みを浮かべた。
しかし何故だろう。
先程のルインの発言が懐かしいような気がしなくもない。
エックスはヘッドパーツ(ヘルメット)を外す。
すると遥か昔に造られた兄弟機に似た黒髪が露になる。
ルインもヘッドパーツを外すと、完全に金色の髪が露出する。

エックス「(ルインって、元は人間なんだよな…)」

ゼロから聞いた話だとルインは元は人間らしい。
レプリロイドはアーマーを装備した状態の時はレプリロイドだと分かるが、アーマーを装着していない時は人間と区別がつかなくなる。
それが人間とレプリロイドの境目を曖昧にしている。

エックス「(人間としての肉体を失ったルインはどんな気持ちで過ごしているんだろうか…?)」

肉体とは、肉体とは魂の器であり、重要なものであることは否定しようのない事実だ。
今まで人間であったのに全てが機械と化した時、正気を保てるだろうか?
恐らくそれは否。
人間とは、肉体と魂が共にあってこその存在。

エックス「ルインは…」

ルイン「何?」

サンドイッチを口に運びながらルインは首を傾げた。

エックス「ルインは元々は人間だったんだろう?」

ルイン「…ゼロから……聞いたの?」

エックス「…ああ、どうして人間であった君がレプリロイドになったのか……すまない、言いたくないならいいんだ」

自分だって経歴が不明なレプリロイドだ。
解析出来ない部分だって沢山ある。
何度、研究者からの好奇の視線にさらされたか分からない。
彼女を傷つけたくないと、エックスは話を中断しようとしたが…。

ルイン「生きたかったから…」

エックス「え?」

ルイン「私ね、レプリロイドになる前のことはもう殆ど思い出せないんだ。でもレプリロイドになる前にこう思っていたのは分かるんだ。“もっと生きたい”って」

エックス「生きたい…」

人間からレプリロイドになってまで生きたいと願う心。
かつて人間だった彼女がどういう気持ちでこのような思いを抱いたのかは自分にも彼女にも分からない。

ルイン「今だってもっと色んな人に会いたいし、色んな物を見たいし、色んな人に私を知って欲しいから……今の私をね」

エックス「そうか…」

ルイン「私は…ルイン…第17番精鋭部隊所属のイレギュラーハンターだよ。今も、そしてこれからもね」

ウインクしながら言う彼女にエックスは動力炉が強く動いたような錯覚を覚えたが、気にせずに頷いた。

エックス「そうか…そうだよな。君は君だ。例え君が人間だろうとレプリロイドだろうと君は君だからな」

ルイン「そういうこと…あ、エックス。レタスが落ちるよ」

エックス「え?おっと!!」

ルインに指摘されたエックスはこぼれ落ちそうになるレタスを押さえるとサンドイッチを頬張る。
ルインはクスクスと笑いながらエックスを見つめる。

エックス「笑うなよ…それにしても君は料理が上手だね。俺も料理は出来るけど…お菓子作りは君に負けるんだよな…」

ルイン「戦闘型レプリロイドで料理が出来るのって何人いるんだろうね」

兄が家庭用ロボットであり、その後継機であるエックス。
元が人間であるルインくらいしかいないだろうが。

ルイン「実はデザートもあるんだ。」

小さなバスケットからチョコレートケーキを取り出すルイン。

エックス「ケーキ?」

ルイン「そう、今日はチョコレートケーキ。ゼロは食べてくれないからね~」

エックス「ゼロは甘いの好きじゃないからね」

ルイン「そうなんだよ勿体ない」

ルインは紅茶をエックスに差し出しながら不機嫌そうに言う。

エックス「いただきます」

パクリと彼女が作ったケーキを一口頬張る。
チョコレートの甘い風味が口の中に広がる。

ルイン「どう?」

上に乗っている生クリームも自分のために甘さを抑えているのだろう。
甘くはないし、添えられている果物の酸味が程良く効いて、甘さをさらにしつこくない物にしていた。

エックス「美味しいよ。これならまだ食べられるよ」

ルイン「本当?やった♪」

嬉しそうな表情を浮かべるルインにエックスも穏やかな笑みを浮かべた。



































食事を終えたエックスとルインは野原に仰向けになった。
太陽の光が気持ちいい。
エックスとルインは久しぶりのひなたぼっこを満喫する。

ルイン「う~ん、食べた後寝るのは人間時代は厳禁だったんだけど、今は食べた後すぐ寝ても平気だからレプリロイドになってよかったって思う点かもね」

エックス「(確か…)」

聞いたことがある。
人間の女性の大半は体型を気にしているのだと。
人間時代のルインも例外ではないらしい。
思わずクスリと笑ってしまった。

ルイン「あ、何笑ってるのエックス」

エックス「ああ、いや…ごめんごめん」

謝りながらも笑いが止まらないエックスにルインは頬を膨らませる。

エックス「こういう穏やかな時が続けばいいのに」

ルイン「それを作るのが私達の仕事だよエックス」

2人がまた笑いあった。
戦いの間の少しだけの穏やかな時間。 
 

 
後書き
エックスとルインほのぼのです 
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