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万華鏡

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第七十八話 バレンタインデーその五

「見返り頼むわよ」
「マシュマロかよ」
「キャンデーでもいいから」
 ホワイトデーの時は、というのである。バレンタインはただ女の子が男の子にチョコレートを渡して終わりではないのだ。
「お願いね」
「じゃあマシュマロな」
「キャンデーじゃないのね」
「だって俺マシュマロだから」
「あんたの好みなのね」
「姉ちゃんだって好きだろ」
 そのマシュマロを、と返す弟だった。
「だったらいいでしょ」
「まあそれはね」
 実際に琴乃はマシュマロも好きだ、だから強くは言わなかった。
「好きよ」
「じゃあいいよな」
「そういうことでなのね」
「バレンタインはな」
 その日はというのだ。
「マシュマロな」
「楽しみにしてるわね」
「マシュマロっていいよな」
 弟はマシュマロの話をうきうきとしつつゲームをしている、今も。
「あの弾力がさ」
「そうそう、あれがいいのよ」
「だからそれをな」
 ホワイトデーには、というのだ。
「姉ちゃんにプレゼントするな」
「そういうことね」
「じゃあ俺これで終わったから」
 今しているゲームをセーブした、それでというのだ。
「姉ちゃん後使ってもな」
「いいのね」
「好きにしなよ」
「とはいってもね」
 テレビが空いても、とだ。琴乃は弟に微妙な顔で話した。
「私今は特にね」
「することないのかよ」
「今してるゲームもないし」
「野球ゲームあるだろ」
「何か気分じゃないのよ」
 野球ゲームをするそれでは、というのだ。
「どうにもね」
「それでかよ」
「そう、だからちょっと」
「テレビ番組何かあるだろ」
「今面白いのないから」
 少なくとも琴乃の好きなテレビ番組はないというのだ。
「別にいいわ」
「何もないのかよ」
「テレビは点けないで」
 ゲームもしないし番組も観ない、だからそれはいいとしたのである、
「本でも読んでるわ」
「ライトノベルかよ」
「そう、今読みかけのライトノベルあるから」
 それでだというのだ。
「それ読んでるわ」
「ラノベか、面白いの何かあったら教えてくれるか?」
「何でもあるわよ、のうりんとかバカテスとか」
「のうりんかよ」
「後はゼロの使い魔とか」
「ああ、それ今読んでるよ」
 弟はゼロの使い魔と聞いてこう答えた。
「あれ面白いよな」
「面白いってあんた持ってるの」
「ブックオフで買ったんだよ」
 それで持っているというのだ。
「全巻、安かったから」
「そうなの」
「未完だよな」
「残念だけれどね」
 琴乃はこのことを本当に残念そうに話した。
「そうよ」
「残念だな、それは」
「けれどアニメは終わってるから」
「じゃあアニメの方の終わりがかよ」
「終わりと思っていいかもね」
 この辺りは個人の解釈であろう、原作は終わっていなくともアニメで終わっていれば、と考えることもまた。
「それで」
「じゃあ俺アニメ観るな」
「レンタルで借りたら?」
「そうするよ」
「四期あって合わせて五十話位あるけれどね」
「おいおい、多いな」
「原作だって長いじゃない」
 二十巻以上ある、確かに長いと言えば長い。 
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