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魔法少女リリカルなのは~転生してうちは一族になりました~

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第六話「悲しみを越えろ」

面と暁の衣をソファーに無造作に置く。

「向こうではそんなことがあったのか……」

家に戻った俺はなのは達のサポートに回した影分身が術を解除して、樹海降誕モドキの決着が着いたことを知って振り返っていた。
やはりジュエルシード絡みだったようだが、特に影分身は何も手伝うことはしなかったらしい。
ただ気掛かりなのはなのはだ。
今回ジュエルシードを持っている人物を見かけたらしいのだが、見間違いだと思い何もしなかったことを後悔しているようだ。まあそれくらいで潰れる奴ではないので心配はしないが……それよりも今は。

「………」
「………」

ああ……空気がメチャクチャ重い。二人の家には服が汚れて俺の家の風呂場を貸していると適当に言って迎え云々の話しを誤魔化した。

あとはアリサ……いや、すずかのメンタルか。

「ほら」
「きゃ!?」
「冷たっ!」

すずかとアリサの首筋に缶ジュースを押し当て、お通夜の気分に陥っていた2人から可愛らしい声が出る。

「アンタちょっとは空気読みなさいよ」
「読んださ。こうでもしないと永遠に黙りこんでるだろ?」
「そ、それはそうだけど……」
「ありがとう、アオグ君」

笑顔で礼を言うすずかだが、その顔はいつものコイツの笑顔とは程遠い。
だがそれでも聞きなければならない。

「すずか、お前に聞きたいことがある」
「!!」

ビクッと体を震わせるすずか。表情もまた暗いものへと戻る。

「アオグ!」
「俺はともかく!アリサ、お前は知らなければならない」

詰め寄ろうとするアリサを声のボリュームを上げ、黙らせる。

「現にお前は、すずかの家のことに関係することに巻き込まれたんだ……知る権利もある。お前だって知りたいだろ、“友達”なら?」
「そ、それは……」

汚い手だが、友達だという言葉を強調してアリサにすずかの秘密を知りたくはないかとわざと迫る。
暫く迷ったアリサだったが、腹を括ったのか首を立てにふる。

「俺達が知りたいのはただ一つだけだ。深い話しまではお前が決心できてからで構わない。お前は俺が聞く質問に答えるだけでいい」
「………」
「あのクズが言っていた、お前を含めた月村家が吸血鬼の血統だというのは事実か?」
「……うん」
「すずか……」

すずかのその肯定は再び沈黙を作る。

「よし、話は終わりだ」
「えっ?」

俺の言葉に驚いたすずか。大方もっと話しを聞かれるとでも思っていたのに、一言質問に答えて終わりだと言われたことが意外だったのだようだ。

「言っただろう?質問は一つだけだとな。それ以外はお前の決心がついてからで言いとな」
「で、でも……私のこと怖くないの?化け物だとか思ったりしないの?」
「………別に」

最初こそすずかが吸血鬼だと聞いた時は驚いたが、それだけなのだ。
恐怖など女神の迷惑行為と比べれば無いも同然だ。

「でも……」
「フーーー……」

腕を組みながら未だ卑屈になっているすずかをどうやって立ち直らせるか考える。
そして一つの方法を思いつき、直ぐ行動に出る。

「へ?あの、ア、アオグ君!?」
「な、な、なにいきなり脱ぎだしてんのよ!!」

背中を向け突然服を脱ぎだした俺を見て慌てるすずかとアリサ。
思わぬところですずかの気を晴らすことが出来たが、本命はこれではない。
服を脱ぎ捨て、首をポキッと鳴らし、ゆっくりとすずかとアリサの方へ体事振り返った。

「……っ!?」
「な、何それ……?」

2人は絶句している。
その視線は俺の左胸を捉えており、絶句した原因はまさにこれが原因だ。

「驚いたか?無理もない……胸に顔がある男を見ればな」

そう。俺の左胸には顔が浮かび出ているのだ。
この顔の正体は、NARUTO原作での登場人物である初代火影、千手柱間のものだ。
原作では柱間に敗れたうちはマダラが、咬みちぎった柱間の肉片を胸の傷口に移植した。
だが移植した当初は何も変化は起こらず、そのまま寿命を迎えようとした時、変化が起こった。
今の俺の胸と同じことが。

「4年前、ある戦いで瀕死の重傷を負った俺に、母カグヤはある男の細胞を胸の傷口に移植した。その細胞は膨大な生命力を持っていてな、俺は見事回復し復活した……だが見てのとおり、細胞の力が強すぎて持ち主の顔が体にできてしまったのは失敗だったがな」
「………」
「………」

突拍子のない話しに2人は何も話せないようで、沈黙が続く。

「言ってみりゃ、俺は純粋な人間ではない。胸の顔以外にも、このとおり一族特有の目も持っているしな」

そう言って俺は写輪眼を2人に見せる。
一瞬驚いたようだが直ぐに戻る。
もうこの程度ではそこまで驚かないようだ。

「だがそれがなんだ」

すずかの頭に手を載せる。

「俺はうちはアオグというひとりの人間でありそれ以外何者でもない。それと同じで、お前は月村すずかでありそれ以外何者でもない。そして、それは一番俺がよく知っている。お前は強く、そして優しい奴だ」
「!!」

すずかは強い。2年前、アリサとなのはが喧嘩を始める中、勇気を振り絞り2人を止めようとし、そして今回も自分よりもアリサ優先し逃がそうとした。
例え姿がどんなに醜い化け物でも心があれば人間になれる。

「月村すずか、俺が認めてやる。お前は1人の人間だ!月村すずかっていうたった1人の人間だ!」
「う……う、うああああ……!」

付き物が取れたかのようにすずかは俺の胸に飛び込んで嗚咽する。
別に胸を貸すのは構わないが、お前今の俺の姿見ろよ……半裸だぞ?
しかも柱間の顔が胸ついついて、丁度位置的に柱間にすずかがキスしているような感じだ。

「はぁ……なんかすっかり私のことなんて蚊帳の外よね」

アリサが抱き合う形の俺達を呆れた様子で見ていた。
アリサの声で我に返ったすずかが慌て俺の胸から離れる。
まあそりゃ恥ずかしいわなぁ……。俺もいつまでも半裸でいるわけにもいかず、服を拾ってそれを着る。

「じゃあ今度は私達から質問していいかしら?」
「ああ、いいだろう」

質問の内容は大体検討がつく。だがその前に一つ条件をつける。

「俺のこれから話す内容は決して誰にも話してはならない」

もし仲の良いなのはに俺のことを話せば、トビの正体が俺だとばれるのは間違いない。
2人は俺の条件を呑み、俺の話しを聞く。俺が話したのは自分が忍者であり、魔法絡みのことは話してはいない。実際に証明するため忍術も幾つか披露したりもした。詳しい理論など説明してもわからないだろうしな。

「忍術って便利ね……」

アリサが俺の影分身を確かめるようにペタペタと触っている。

「凄い……身長まで変わるんだ」

沈みこんでいたのが嘘かのように、変化の術ですずかに化けた俺をアリサと同じようにすずか自身が触ってくる。もういいだろうと思いそれぞれの術を解くと名残惜しそうな顔になる。
アリサに至ってはもっと見せろとせがんできたため、望みどおりある忍術を見せてやる。

「お色気の術!」
「ぶっ!?」

俺の姿が変わり思わず吹き出すアリサ。
俺が変化したのはアリサ自身だ……しかし、衣服を一つも纏っていないのだ。
大事な部分は煙で隠れているが、全裸であることに変わりない。

「この格好で外を出歩いてやろうか?」
「こ、この変態っ!!」

仁王立ちで挑発するとアリサが殴りかかってきた。


そこからはいつも通りだった。


俺がアリサをからかい、それをアリサが追い回し、すずかが困ったような笑顔を浮かべながら俺達を止めようとする。

「そこになおれ!この女の敵!」




まあ……悪くないなかもな。



こういう騒がしい“世界”も……




 
 

 
後書き
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