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魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~

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Myth5-Bアムルの守護騎士団~Glauben OrdeN~


戦場である森林の中にぽっかり空いている平原から離れた深い深い森の中。
迷彩服のような騎士甲冑を着こんだ幾人もの騎士が、毒ガスに悶え苦しむ防衛騎士団やオーディン、彼らに攻撃を仕掛けている毒ガス無効化の魔導を騎士甲冑に付加している地駆けし疾狼騎士団フォーアライター・オルデンの先遣隊らを眺めて歓喜していた。

「どれだけ強くても空戦を封じられて、すぐに対処出来ない毒ガスの症状による魔導封じ。いくら単独で騎士団を潰す事が出来ても、根が人間である事には変わりない。俺の読み通りだ♪」

フォーアライター・オルデンの騎士団長であるファルコ・アイブリンガーが嬉しそうにそう漏らす。騎士甲冑だけでなく顔にも迷彩柄がペイントされ、四肢に装着されている鉤爪の付いた籠手と具足にも迷彩柄がペイントされていた。他の騎士も似たようなものだ。だから完全に自然の姿に溶け込み、パッと見では彼らを発見できないだろう。

「団長。情報に無い未確認戦力が先遣隊を討っていますが、何者でしょう?」

1人の騎士がそう尋ね、団長ファルコは「さぁな。とりあえず敵なのは違いないんだけど、なんで毒ガスを喰らってないのか不思議だよな」と小首を傾げる。シグナムら守護騎士が次々と先遣隊騎士たちを討伐していっているその様には、戦士である者にこそ理解できる強さがあった。

「あの子、本当に裏切り者になっているのね。ホント役立たずのガラクタ(クルム)なんだから」

この中で一番小さな存在が呟く。30cm程の少女で、肩紐の無い迷彩柄のタンクトップにホットパンツ、ブーツという格好で、髪は綺麗な翡翠色のショートカット。ココアブラウンの鋭い双眸は、守護騎士と共に戦う小さな少女、アギトに向けられていた。
視線に込められた感情は様々。怒りや呆れなどと言った、肯定的なものは何一つとしてないものばかり。彼女は、イリュリア技術部によって開発された融合騎のプロトタイプ0005。0006であったアギトの一個上の姉に当たる融合騎だ。

「そう言うなよフュンフ。結構扱いが酷かったんだろ、あの子。なら優しくされりゃそっちに行くさ」

「関係ないわ。私たちはイリュリアの融合騎なのよ? どんな扱いを受けようが忠誠を貫かなければならないんだから」

ファルコに五番目(フュンフ)と呼ばれた融合騎が「フンッ」と鼻を鳴らす。

「やれやれ。っと、そろそろ仕掛けに行くか。『各騎、俺たちで悪魔オーディンを討つぞ。先遣隊の犠牲を無駄にしないようにな・・・!』行くぞ、フュンフ」

「ええ。六番目(いもうと)の不始末は、姉である私が片付けるわ」

森林の中に散っている団員から、思念通話で『了解(ヤヴォール)』と返ってくる。それを合図として、ファルコがオーディンらに告げる。解毒剤が欲しければ、森の中で待ち構えている俺たちから力づくで奪え、と。

†††Side????†††

毒ガスの効果を受けて、私たちの主であるオーディンさんが倒れた。私たち守護騎士プログラムは予てよりこういった攻撃の耐性が付いているから大丈夫だった。でもオーディンさんや防衛騎士団の皆さんに、そう言った耐性のある術がそうあるわけもなく。次々と毒に侵されて、オーディンさんのように体を弛緩させて倒れ伏してしまっている。
オーディンさん。これまでの主のように私たち守護騎士を戦いの道具としてじゃなくて、戦友として、家族として接すると言ってくれた不思議な人。その人が今こうして私たちの目の前で苦しんでいる。出会ってからまだ半日として経過していないのに、私にとってすでに大切な人となった彼を・・・

(助けなきゃ、助けなきゃ、助けなきゃ・・・!)

「ごほっごほっ、油断した罰、か・・・げほっごほっ」

「喋らないでください! 毒が余計に回りますっ! シグナムっ、ヴィータちゃんっ、ザフィーラっ、周辺の敵騎士を、治療を終えるまでまで引き付けて」

「ああっ。オーディンの事は任せたぞシャマル。ヴィータ、ザフィーラ。一気に片をつけるぞ」

「おうよっ!」

「ああ、シャマルの邪魔はさせぬ」

「来い、闇の書。奴らの魔力を糧としてくれる」

シグナムは“闇の書”を手にして戦闘へと戻って行った。オーディンさんが望む戦力を手に入れるために必要なものだから。戦闘の方はシグナム達に任せて、私は私の出来る事を行うのみ。

――静かなる癒し――

癒しと補助が本領の私に出来る事と言えば、治癒魔法で回復させることくらい。負傷治療と体力・魔力回復、そして防護服修復の効果のある静かなる癒しなら、すぐにでもオーディンさんを治療できる。

「マイスターっ、ごめんなさいっ。あたしが側に居たらこんな・・・!」

オーディンさんをマイスターと呼ぶ子――アギトちゃんが泣きながら謝り続ける。それに対して、小さく首を横に振って微笑を浮かべるオーディンさんは『自分を責めるな。私の非が原因だ』と思念通話を私にも送ってきた。それは私への前置きでもあったみたいで、『世話を掛ける。少し回復してもらえば、あとは自分の治癒術式で治せる』って言った。

「いえっ。このまま私が完治させますっ。私は守護騎士ヴォルケンリッター、湖の騎士シャマルですっ。主であるオーディンさん、その相棒のアギトちゃん、それに守護騎士一同の補助と治療は私が一手に引き受けますっ!」

一体どんな成分の毒なのか。症状が一向に和らがない。私の治癒魔法でも治す事が出来ないなんて。ううん、上手く効果を発揮しているんだけど、元凶の毒が完全に払われていないから、治したところでまた感染するんだわ。この戦闘区域を覆っている結界は、空戦封じの他に毒ガスを外に逃がさないためのもので間違いない。そんな中、拡声の魔導でも使っているのか大きな声が平原に響き渡った。

『俺はイリュリア騎士団が一、地駆けし疾狼騎士団(フォーアライター・オルデン)の団長、ファルコ・アイブリンガーだ。よろしくっ♪ さて、聞こえるかい? 騎士オーディン。あんた達を苦しめている毒の解毒剤が欲しければ、森の中で待ち構えている俺たちから力づくで奪え、って事で頼むよ。まぁ動ければ、の話になってしまうけどさ。もちろん代理としてそこの女騎士たちでもいいんだぜ』

その軽い物言いに苛立ちを覚える。ファルコと言う敵性騎士団の将の声に続いて、

『聞こえるかしら? ヌンマー・ヌル・ヌル・ヌル・ゼクス。イリュリアを裏切るなんて本当に馬鹿な妹ね。姉は呆れてものも言えないわ』

「この声・・・ヌル・ヌル・ヌル・フュンフ・・・!?」

口調が大人びている幼い女の子の声が平原に響いた。その声を聞いたアギトちゃんは明らかに怯えて震えだした。

「アギトちゃん・・・?」

『あなたの大切なロードを失いたくないのなら来なさい。引導を渡してあげるわ。融合騎としての格の違いを見せてあげる。だから逃げないように。いいわね、ゼクス』

“0006”だとか“0005”というのは、たぶんだけど融合騎としての開発順。アギトちゃんと五番の子の短いやり取りで、ある程度の事情が判った。どういった経緯かは判らないけれど、イリュリアの融合騎だったアギトちゃんがオーディンさんの下に付いたのね。それが五番の子にとって許せない裏切り行為だって事になっている、と。

「あのフュンフが来てる・・・」

挑戦状じみた声はそれで終わりだった。アギトちゃんは変わらず顔を青くしている。声が途絶えて、聞こえてくるのはシグナム達が敵を斬り払う金属音と悲鳴だけ。私はみんなに『解毒剤をお願い! 一向に治らないのっ!』と思念通話を通す。
治癒魔法だけじゃ進行を抑えるだけが精いっぱい。解毒剤を奪うのが確かな道だわ。息を呑む気配。すぐに『了解した。お前はそれ以上の毒の進行を防ぐ事に力を注げ』シグナムから返事。

『待っててオーディンっ。すぐに解毒剤を持ってくるから!』

『ザフィーラは念のためにオーディンとシャマルの護衛に付け。アギト。お前はどうする? 共に来るか? お前の姉と言う者から誘われているが・・・』

『あたしは・・・』

少しばかり迷いを見せたアギトちゃんだったけど、オーディンさんの苦しむ姿を見てキッと表情を変えた。そして私を見て、「マイスターをお願いします」とお辞儀して、『あたしも行くっ』とシグナム達の元へ飛んで行った。
シグナムとヴィータちゃんとアギトちゃんが森の中に入って行くのを確認して、私はオーディンさんの毒の進行を防ぐために治癒魔法を使い続けて、ザフィーラは私たちの護衛の為に残存している騎士を討ちに向かう。

†††Sideシャマル⇒ヴィータ†††

森の中に入ってみれば、そこらじゅうからヤバい気配がした。シグナムと並んで獣道を警戒しながら進む。アギトと“闇の書”は少し後ろを飛んでついて来る。にしても、なんか融合騎としてのアギトの姉っていうのが来てるらしいんだけど、名前が五番ってなんだよ。アギトにはちゃんと名前があんのに。数字が名前ってまんま道具扱いじゃねぇか。
でもだからか。アギトがイリュリアを裏切ってオーディンのとこに来たのは。イリュリアなんかより、オーディンのとこで暮らした方が絶対良いに決まってる。オーディンとはあんま話してないし、つか会ったばっかだけどさ、判るんだよな。きっと良い奴だって。ここに来るまでのやり取りでそう確信できた。

「気を付けろヴィータ。地の利はおそらく向こうにある」

「判ってんよ。わざわざ()り難い森の中を戦場に選んだんだ。向こうが優勢になる条件があるに決まってる」

“アイゼン”を握る手に力を込める。急がねぇとオーディンが死んじまうかもしれねぇ。あたしらの事を道具じゃなくて戦友だとか家族だって言ってくれた。今までそんな風に言ってくれる奴なんていなかった。それが嬉しかったんだ。だからこんな形で失いたくねぇ。あたしらは守護騎士だ。主を――オーディンを守るためなら。“闇の書”の頁を埋めて“アイツ”を起こしたっていい。

『ヴィータ』

『ああ、近いところから見られてんな。アギト、警戒しろ』

『判った』

それから少し進んでも全然仕掛けてこねぇ。イライラすんなぁ。ずっと気を張ってて疲れちまった。けど、これが奴らの狙いだって気がするから気は抜けない。

『ヴィータ。この森の中で、単独で複数人と戦って勝つ自信はあるか?』

『場合によりけりだな。毒とかはあたしらに通用しねぇけど、地の利で負けてる以上は簡単にはいかねぇはずだ』

『私も同じ意見だ。しかしこのまま時間が経つのは我らにとって――そうか、それが狙いか』

『オーディンをこのまま毒殺するつもりか、奴らは・・・!』

『そんなっ! マイスターが死ぬなんて絶対に嫌だっ!』

騎士の風上にも置けない奴らに成り下がっちまったな、イリュリアの騎士団は。しゃあない。こうなったらあたしが、って思った時、『仕方ない。こちらから誘き出すぞ。いいな』って、あたしと同じ事を考えてたシグナムから思念通話。断る理由どころか同じ意見だから、『あたしがやろうか?』って訊く。

『いや、私のシュランゲフォルムで行こう。ヴィータ、アギト。その間の防御は任せられるか?』

『うん。任せてくれ』

「『おう、任せとけ』アイゼン、ラケーテンフォルム」

≪Explosion. Raketen Form≫

カートリッジをロードして、“アイゼン”を基本形態のハンマーから強襲形態ラケーテンに変える。続けてシグナムが「レヴァンティン、シュランゲフォルムだ」って指示する。“レヴァンティン”もカートリッジをロードして、

――シュランゲバイセン――

シュランゲフォルムになった“レヴァンティン”が周辺の木々を寸断していく。隠れる場所があるからダメなんだ。だったら無くせばいい。アギトが「すげぇ」って感嘆の声を漏らす。ま、うちの将がすげぇのは確かだしな。
次々と木々を薙ぎ払って、ようやく・・・「見つけたッ!」連中が姿を現した。平原に居た奴らと同じ迷彩柄の・・・鎧じゃなくて服のような騎士甲冑だ。

「やるな、剣士の姉さん。そしてそこの小さいお嬢さんも凄かったぜ。・・・・カートリッジシステム搭載の武器、・・・シュトゥラの高位騎士か? 良い腕を持ってるのは判るんだけど、あれだけの腕を持ってんならもっと有名になっててもおかしくないんだがなぁ」

アイツが将のファルコって奴か。四肢に装着してる籠手と具足全部にカートリッジシステムが搭載されてやがる。で、奴の近くで浮いてる小さいのが、「久しぶりね、ゼクス」ってアギトをギロッて睨みつける。アギトも「フュンフ・・・!」って威圧感を出して、フュンフを真っ向から睨み返す。良いぜ、アギト。気持ちで負けてたらどうしようもねぇからな。

「まぁいいや。さて、こんな事になってしまったけど、コレも戦争だ。勝つために俺たちは騎士としての誇りは捨てた。だから俺たちとぶつかり合いたいって言うなら――」

フォーアライター・オルデンの団長だっつうファルコが突然姿勢を低くしたと同時、他の奴らも姿勢を一斉に低くした。来る。そう思って身構えたと同時に、

「あんたらも何かを捨てる覚悟を持って・・・来なっ!」

連中は一斉に地面に向けて攻撃して地面を爆発させて、粉塵を起こしやがった。視界を封じる気かよ。シグナムと背中合わせにして周辺警戒。視界を潰したくらいであたしらに勝てるとか思うなよ、テメェら。“アイゼン”を改めて構え直して迎撃態勢に入る。あの低姿勢。ありゃ突撃するための踏ん張りだ。真っ向から突っ込んで来るか、それとも別の軌道で突っ込んで来るか。

『ヴィータ、シグナム、どうすりゃいいんだ?』

『・・・決まっている。向こうから来るなら、迎え撃つまでだ』

――シュランゲバイセン・フェアタイディグング――

シュランゲフォルムの“レヴァンティン”による攻防一体の剣刃結界があたしらを囲う。来いよ、フォーアライター・オルデン。突っ込んで来たら“レヴァンティン”にバラバラにされるぜ。砂塵が少しずつ晴れて行く。

(んだよ、偉そうなことを言ってても手も足も出さずに逃げたのか?)

そう思ったのも束の間。連中の数人かが砂塵の中から出てきて、“レヴァンティン”の刃にそれぞれの武器をぶつけて、高速で螺旋状に回り続ける“レヴァンティン”の勢いを削ろうとしてきやがった。馬鹿野郎。完全な捨て身だ。シグナムと“レヴァンティン”の攻撃には魔力が付加されている。
カートリッジシステムの搭載されていない武器に止められるわけがねぇ。案の定、ソイツらは斬り飛ばされて、血を撒き散らしながら地面に強く叩きつけられて動かなくなった。ほら見ろ、言わんこっちゃねぇ。

「そこまで弱まれば十分だっつうの。なあっ!」

「ええ。もう十分だわ」

――ヴィント・バイセン――

本命はテメェらか。フュンフっていう融合騎が衝撃波を撃ってきた。それを迎撃するのがあたし・・・じゃなくて、「あたしはもうクルムじゃない!」っつうアギトだ。あたしより先に迎撃態勢に入ってたアギト。頼りになるじゃねぇかよ、先輩(アギト)

「解毒剤を渡せぇぇーーーーッ!」

――ブレネン・クリューガー――

「なら力づくで奪ってみせなさい、ゼクスっ」

アギトの火炎弾6発とフュンフの衝撃波が衝突した。数では優勢。だったけど、フュンフの衝撃波の方が威力が強かった。衝撃波の直撃を喰らった“レヴァンティン”は勢いを完全に殺がれて、結界としての効果を失っちまった。
ショックを受けてんなよ、アギト。真っ先に迎撃しただけでもカッコ良かったぜ。あとは・・・・「任せなッ!」って、あたしは弛んでいる“レヴァンティン”の合い間から躍り出る。四肢に装着してる鉤爪付きの籠手と具足のカートリッジのロードを終えて(なんつう武器持ってやがんだコイツ)高速で突っ込んで来たファルコと対峙する。

――ヴォルフ・クラオエ――

――ラケーテン・ハンマー――

「「おおおおおおおらぁぁぁあああああああッッ!!」」

数回旋回してからの遠心力いっぱいのあたしの一撃と、突撃力のあるファルコの貫き手の一撃が衝突する。くそっ、ラケーテンフォルムで強く打ち込んでんのに拮抗を崩せねぇっ。でもま、あたし独りじゃねぇからいいんだけどさ。

「紫電――」

“レヴァンティン”をシュベルトフォルムに戻したシグナムが、あたしとファルコの頭上を飛び越えて、ファルコの背後に降り立った。

「一閃!」

†††Sideヴィータ⇒????†††

此度の“闇の書”の主は、これまでの主とは全てにおいて違っていた。我ら守護騎士ヴォルケンリッターは、“闇の書”を完成させるためだけの道具であった。しかし主は我らのことを道具ではなく、戦友であり家族であると仰ってくれた。
それだけでなく“闇の書”を使い、力の支配者になる事を良しともしなかった。守りたいものを守り、救いたいものを救うために力を揮う。それが主の信念。ならば・・・

(その主の想いを、ここで終わらせるわけにはいくまい)

毒などと言う姑息な手を使い、主と味方を討たんとする奴らフォーアライター・オルデン。“闇の書”の主オーディンの下に集いたる我ら守護騎士ヴォルケンリッターが一。

「我、盾の守護獣ザフィーラ。我が牙と爪、魔導を恐れぬのなら掛かって来るがいい」

――鋼の軛――

周囲に残存している敵性騎士数人を拘束条で貫き、魔力の核を抽出する。その際、核を無理やり抽出された者には激痛が起きる。実際にいま我が行っているその行為により、敵性騎士らが悲鳴を上げ、激痛に耐えられずに気を失っている者が出る。

「主と、その主が守ろうとしているものに害を及ぼそうとする貴様らに容赦はしない」

主が願いの為ならば、我は如何なる者にでもなろう。

『ザフィーラ。そちらの状況は?』

『シャマルか。順調に核の回収を進めている。主の容体は?』

『ダメ。悪化は抑えているけど良くもならないわ。やっぱり解毒剤が無いと・・・』

『シグナム達は戻っていないのか・・・?』

シャマルからは肯定の『ええ』と一言のみが返ってきた。森の方で大きな音がしていたが。フォーアライター・オルデンの将らが居ないところを見れば、おそらくシグナムとヴィータ、そしてアギトは将らと剣を交えているのだろうな。負けはしないだろうが苦戦は必至だろう。この者たちはかなりの手練だ。

『ある程度こちらが安定すれば我も加勢に行く。その間、主の事は任せたぞシャマル』

『判ってる。絶対に死なせない。オーディンさんにはまだやるべきことがあるんだから』

思念通話を切り、改めて残存戦力を見る。シグナム達が森へ向かう前に粗方沈めたため然程多くはない。ならば早々と片を付け、シグナム達の加勢に向かうとしよう。人間形態へと変身し、「おおおおおおおおおおおッ!!」迫り来る敵性騎士らへと突撃を仕掛けた。

†††Sideザフィーラ⇒シグナム†††

我が烈火の剣閃・紫電一閃。永きに亘って幾人もの敵を斬り伏せてきた、必倒の一撃だ。フォーアライター・オルデンの騎士団長ファルコ。奴はヴィータとの衝突で身動きがとれん。フュンフはアギトと睨みあい動けない、動こうとしない。他の騎士も居るが、援護に回れるだけの距離でもない。
決まればこれで決着だ。しかし油断なく、常に先を見据えなければ。勝利を確信したその一瞬こそが、最大の隙となる。そう気を張っていたからこそ、この刹那の時で私は気付ける事が出来た。気配。すぐ近くに何かが――いや、誰かが居る。考える暇もなく私は“レヴァンティン”の軌道を変更し、気配を察知した場所へ振るう。

「うごぉっ!?」

呻き声。ソレは居た。何も無い宙から突如として姿を現し、血飛沫を巻き上げながら吹き飛んで行った。ファルコが「勘が良いな、あんた」と、ヴィータとの拮抗のまま鉤爪の付いた具足での蹴りを放ってきた。“レヴァンティン”を盾にして防ぐ。器用なマネをする男だ。身体能力が高い。

「ステルスかよ・・・性質悪ぃな、騎士のクセに・・・!」

「言っただろお嬢さん。俺たちは騎士の誇りをもう捨てたんだよ。イリュリアをベルカ統一戦争の勝者にするべく、どんな汚い手を使うと決めた」

(っく、なんて脚力だ。片足であるのに押しきれない・・・!)

片手でヴィータのラケーテンフォルムの“グラーフアイゼン”と拮抗し、片足で私の“レヴァンティン”を完全に押さえてきている。体を支えている片足の鉤爪を地面に食い込ませ体をしっかりと固定している。足腰――身体能力の強さが異常だ。カートリッジによる魔力増強だけでは話が付かない。ファルコ・アイブリンガー。一個騎士団を率いているだけの事はある。

「「「「「「うぉぉおおおおおおおおッ!」」」」」」

ここで他の騎士たちが一斉に攻勢に出てきた。時間切れだ。ヴィータともどもファルコから一度距離を取り、襲いかかってきた連中の迎撃に出る。そこに「うわあっ!」アギトの悲鳴。私の胸元に飛び込んできた――もとい弾き飛ばされてきたアギトを抱き止め、鉤爪による薙ぎ払いをしてきたファルコからさらに距離を取り、向かって来ていた2人をすれ違いざまに一閃、討ち斃す。

――グラナーテン・ヴィント――

衝撃波が圧縮された魔力弾が足元に着弾した。威力を発揮する前に上に飛び退く。そこに「これ以上部下を殺させねぇぜッ!」とファルコが私を追撃してきた。ヴィータは・・・地上で他の連中の相手をしている。ならば、ここは私独りで切り抜けなければな。片手でアギトをしっかり抱きしめ、半回転してファルコへと“レヴァンティン”を打ち込もうとした。

――ヴィント・ホーゼ・フェッセルン――

が、途中で妨害された。“レヴァンティン”の刀身に絡みつく竜巻状の拘束輪。迫るファルコの鉤爪。魔力障壁パンツァーシルトを発動しようかと思ったがその前に、

――ブレネン・クリューガー――

アギトが複数の火炎弾をファルコに向け放ち、ファルコを迎撃した。私とファルコの間で爆発が起き、そして“レヴァンティン”が解放された事が判った。爆風によって空気圧の操作に乱れが生じたのだろう。視界の端に映り込んだフュンフの表情には僅かな焦り。これは好機だ。アギトに「感謝する」と礼を言い、

――シュトゥルムヴィンデ――

“レヴァンティン”を振るって衝撃波を生み出し、フュンフを墜としに掛かる。結果を見ていたいが、爆煙の中から飛び出してきたファルコに意識を割かねばならない。アギトが『もう大丈夫。フュンフはあたしに任せて』と私の腕から飛び立った。
アギトを信じ、カートリッジを一発ロードし刀身に火炎を纏わせる。先程は見逃したが、今度は確実に叩き込む。ファルコもまた両手の籠手のカートリッジをそれぞれ一発ずつロードし、指先から突き出る計10本の鉤爪に魔力を纏わせた。

「紫電――」

「クラオエ・デス――」

先手は貰った。両手で柄を握り締め、全力での一閃を振るう。ファルコは右手を貫き手にし、真っ向から“レヴァンティン”の火炎纏う刃を迎撃。

「一閃ッ!」

「イェーガァァーーーーッ!」

衝突した――とほぼ同時、ファルコは右手を大きく横へ払う。そうするとどうなるか。“レヴァンティン”の軌道がファルコの右手の横移動に釣られ、そのまま外側へと逸らされることになる。衝撃の全てが右手に伝わる前に受け流された。火炎の方に関してはさすがに無力化出来なかったようだが。右手の籠手の鉤爪が5本とも破壊されている。1秒と満たないこの刹那。

「フッ・・・!」

ファルコが笑みを浮かべるのが見て取れた。左の貫き手が迫る。元より右手は囮にし、本命は左貫き手による私の刺殺――が目的だったか。だが甘い。咄嗟に鞘を起動させ、その上で魔力を覆い防御力を上げるパンツァーガイストを鞘に付加。
貫き手が鞘に突き刺さる。防御を突破されない自信はあるが、受けに回り続けるのは性に合わん。故に、先程のファルコと同じように鞘を払い、左貫き手の衝撃と軌道を外側に受け流す。

「おおおおおおおおおおッ!!」

大きく懐の開いたファルコへ向け“レヴァンティン”を一閃。場所は中空。飛行が使えなければ、ファルコに出来るのは防御一択のみだ。直撃まで1秒とないこの瞬間に、奴は動いた。奴は側面にベルカ魔法陣を瞬時に展開して足場とし、魔法陣を蹴って私の一閃を回避した。
“レヴァンティン”は空を切り、奴の展開した魔法陣を砕くだけだった。今の攻防で判った。ファルコは飛行魔法が使えない。しかしあまり意味のない情報だ。結界が未だに展開されている事で高度制限が設けられているからな。

「ボサッとしてると終わらせちまうぞッ!」

「その程度の蹴りで私を討とうなど思わぬ事だッ!」

ファルコの放ってきた蹴りを鞘でいなし、間髪入れずに“レヴァンティン”を一閃。その一閃を、鉤爪を失った右の籠手で受け防ぎ、左の貫き手をまた繰り出してきた。

(カートリッジを装填しなければ・・・!)

“レヴァンティン”に装填してあったカートリッジを使い果たした。一度距離を取って装填し直さなければ。貫き手を蹴りで弾き、一度距離を取るためにファルコの顔面を足蹴にする。地面に降り立ちすぐさま再装填。同じように着地したファルコが「足クセ悪いな、剣士の姉さん」と鼻血を垂れ流しながら呻く。

「にしても、あ~あ、派手にやってくれたなお嬢さん」

「はぁはぁはぁはぁ・・・・どんなもんだよ。鉄槌の騎士ヴィータと鉄の伯爵グラーフアイゼン。あたしらの行く手を拒める奴なんていねぇんだよ」

そう言っているもののヴィータはボロボロだった。私とファルコが一対一だったのに対し、ヴィータは数人との一対多数戦だ。それでもなお勝利を収めたヴィータにはもう称賛を送るしかないだろう。

「その名乗り・・・・おいおい、冗談だろ。お前らまさか・・・守護騎士ヴォルケンリッター・・・!?」

ファルコが目を見開きつつ訊ねてきた。イリュリアの騎士であるのなら、我ら守護騎士がかつてイリュリアに仕えていたことを知っていてもおかしくはないだろう。ゆえに私は「そうだ。守護騎士ヴォルケンリッターが将、剣の騎士シグナムだ」と肯定を示す名乗りを上げる。

「・・・くく・・はは・・あははは・・・はははははははっ。道理で強いわけだ。毒が効かないのも頷ける。闇の書を守るプログラム守護騎士ヴォルケンリッターだもんなっ。騎士オーディンが今回の闇の書の主というわけだ・・・・ハッ、クソが。フュンフ、融合だっ!」

†††Sideシグナム⇒アギト†††

シグナム達の邪魔にならないように森の中に移動して、あたしの姉フュンフと闘う。

「とっとと壊れてしまいなさい裏切り者(ゼクス)っ!」

――ヴィント・バイセン――

フュンフと一対一で闘うなんて、いつ以来だろう。あたしたち融合騎を開発した連中は、七騎の融合騎プロトタイプを時々戦わせた。お互いの戦い方を知ればなんとか・・・って言って。あたしだって頑張ったけど、あたしが七騎の中で一番弱かった。
開発順で言えば末妹のズィーベンにすら負けた。あの時、確かにあたしはクルムだったかもしれない。だけど今は・・・理由も見出せなくて空っぽのまま戦ってたゼクスじゃなくて、ちゃんと戦う理由が出来たアギトとして、ここに居る。

「あたしはアギトだっ。もうゼクスじゃないっ!」

――フランメ・ドルヒ――

衝撃波を避けて、待機させてた炎の短剣をフュンフに向けて一斉発射。ヌンマー・ヌル・ヌル・ヌル・フュンフ。融合騎プロトタイプの7番目、大気操作の実験機だ。だから移動が速い。あたしの攻撃を風のように避けて、一瞬で間合いを詰めてきた。

「名前がなんであろうと、あなたが私の妹で、一番の役立たずで、そしてもう存在している価値もない裏切り者である事に変わりないわ」

イリュリア(そっち)に無くてもアムル(こっち)にはあるっ!」

――ブレネン・クリューガー――

至近距離で火炎弾を放つ。突っ込んで来るなら迎え討てばいい。さっきシグナムがやったことと同じだ。だけどそれでもダメだった。目の前から消えたと思ったら、フュンフはあたしの背後に回り込んでた。

「どちらでも構わない、わッ!」

「ぐっ・・・!」

思いっきり頬を殴られた。口の中が血の味でいっぱいになる。以前までならここで戦意喪失だった。でも今は違うんだ。フュンフの腕を掴んで逃げられないようにして、

――煉拳――

「おごぉっ?」

炎を纏わせた拳打をお腹に打ち込んでやった。フュンフがゴホゴホ咽る。そのまま手を離さないで連続で打ち込もうかと思ったけど、フュンフがキッと睨んできて「こんの・・・調子に乗るなッ!」って風を拳に纏わせた風拳を打ってきた。同じ軌道でこっちも煉拳を打つ。炎と風の拳打がぶつかる。

(ダメだ! 炎が風に散らされてく・・・!)

あたしの拳に纏わせた炎が少しずつ削られてくのが判る。フュンフが「あらあら。やっぱりクルムね、ゼクス♪」って顔を近付けてきて笑って、頭突き。痛みで掴んでた手を離してしまって、しかも煉拳の力を弱めてしまった。
当然押し負けたあたしは風拳の直撃をお腹に食らって、遠く吹き飛ばされた。一瞬意識が飛びそうになったけど耐える。マイスターの事を思えば、痛くても泣きそうでも、何度だって立ち上がれる。

「あたしは、ごほっごほっ、負けられない・・・げほっ・・・」

「・・・・大人しく壊されればいいものを。そうすれば姉としての慈悲で苦しまずに――え?・・・ファルコったらなにを苦戦しているのだか・・・」

「ちょっ、どこへ・・・!?」

「仮のロードが苦戦しているみたいなの。融合するよう言ってきたわ」

フュンフはそれだけ言って、あたしに背を向けて飛んで行った。まずい。シグナムとヴィータがどれだけ強くても、誰かと融合したフュンフはすごく強いから負ける。

「だったら、あたしも融合騎としての務めを・・・・果たさなきゃ、だよね」

融合騎としてのあたし。ロードはマイスターだけって誓いがどうとうか言ってられない。すぐさまフュンフを追いかけて、シグナムかヴィータのどっちかと融合するために、あたしは空を翔ける。木々の合間を抜けて、シグナム達の姿を視認した。続けてファルコも視界に入る。
すでにフュンフと融合をしているみたいだ。髪の色がフュンフの翡翠色に変わってて、目は金色、瞳孔が獣のような縦になってる。何より違うのは二足歩行じゃなくて、獣のような姿勢を取ってるってこと。両手を地面について、上半身を折ってるけど顔は真っ直ぐシグナムに向けるように上げてある。

『シグナムっ。あたしと融合してっ!』

『無事だったかアギト。・・・しかし、オーディンの断りなく、勝手にお前と融合するのは――』

『いいからっ! そのままで勝てると思ってたら殺されちゃうって!』

ファルコ・アイブリンガー。顔は知らなくても名前だけは聴かされてた。派手な魔導は使わず、単純な身体・武器強化だけで高位騎士になったっていう。そこにフュンフの能力が追加されたりしたら、融合騎なしで勝つどころか戦いにすらならないかもしれない。

『マイスターの家族の先輩として言う。今すぐあたしと融合して、シグナム!』

『・・・・判った。来い、アギト・・・!』

シグナムの元に全力飛行。その途中、フュンフと融合したファルコが突っ込んで来た。まさに一瞬だった。姿が消えたと思ったら、あたしとシグナムの間に現れた。ファルコが左手を伸ばしてきた。あたしに迫る鋭い五本の鉤爪。捕まったら引き裂かれて終わる。避けようにももう軌道変更が出来ない速さで突っ込んだ。どうにか切り抜けようとした時、

――シュワルベフリーゲン――

どこからともなく飛んで来た赤い魔力を纏った鉄球四発が、ファルコの左腕の籠手に二発、体に一発、頭に一発直撃して、ファルコを弾き飛ばした。好機だ。すぐにシグナムと合流して、

「「融合!」」

融合を果たした。

†††Sideアギト⇒ヴィータ†††

シグナムとアギトが融合した。シグナムの背中から生まれた炎の二対の羽が、そこらに舞う葉を燃やす。髪と目の色も変わって、騎士甲冑も少し変ってる。あれが、融合騎(アギト)と融合した姿、か。シグナムが自分の姿を確認して、フッと小さく笑った。ああ、判るぜ、すげぇよ今のお前。

「ああクソが・・・・。ここに来てそっちも融合か・・・」

ファルコがまた獣のような姿勢を取って、シグナムを睨みつけながら両脚の具足と左腕の籠手のカートリッジを一発ずつロード。シグナムはひたすら真っ直ぐにファルコを見詰めて、“レヴァンティン”のカートリッジを二発ロード。
手出ししてぇけど、

「イリュリアが地駆けし疾狼騎士団(フォーアライター・オルデン)、団長・ファルコ・アイブリンガー」

『風の融合騎・ヌンマー・ヌル・ヌル・ヌル・フュンフ』

「主オーディンの下に集いし雲――守護騎士ヴォルケンリッターが将、剣の騎士シグナムと、我が魂・炎の魔剣レヴァンティン」

『マイスター・オーディンの炎の融合騎、アギト!」

騎士としての名乗りを上げた以上、こいつはもうシグナムとファルコの二人だけの決闘だ。ファルコは騎士の誇りを捨てたみてぇだけど、アイツを支援する仲間はあたしがブッ潰した上、“闇の書”の頁を埋める糧にしたから、汚ねぇ真似は出来ないはずだ。

「今の内に言っとくぜ。俺は解毒剤を持ってない」

「なにっ・・・!?」『はあっ!?』

「は?・・・ふざっけんなよテメェっ!」

あたしらは解毒剤のためにこうして戦ったっつうのに、その問題の解毒剤が無いだぁ? マジでふざけんなよ。だったらオーディンはどうなるんだ? まさかこのまま・・・

――シュトルム・シャルフリヒター――

怒りや焦りに思考が乱れたその隙をついたファルコが竜巻の蛇になって、シグナムに突っ込んだ。シグナムは咄嗟に横っ跳びで回避したから直撃だけは免れた。地面を抉りながらまた戻ってきたファルコ。今のでもう頭にキた。決闘云々とか言ってられっか。
カートリッジを一発ロード。二人掛かりでブッ潰してやる。だけどシグナムが『私とアギトだけで十分だ』って言ってあたしを制して、“レヴァンティン”の刀身に今まで以上の炎を纏わせた。つうか「熱っつ!」シグナムから離れる。あたしまで燃やす気かよ、あたしらの将は。

「解毒剤を持っていないのであれば、最早生かしておいても意味はない」

あ~あ、シグナムの奴、虚仮にされて完全に怒ってる。そのおかげであたしはちょっと冷静になれた。今のファルコの言葉を真に受けていいのかどうか。もし本当だったら、後々メンドーになるかもしれねぇし、このままやっちまう方が良い。だけどもし。今のがあたしらの隙を創り出すための嘘で、本当に持ってるとしたら? 解毒剤ごとやっちまうかもしれねぇ。そうなったらオーディンや他の味方の騎士も救えない。

「おいっ、シグナム! ソイツを殺すのちょっと待――」

触れたモノを全部削るような竜巻の蛇になってるファルコを、真っ向から迎撃するつもりのシグナム。

「はぁぁぁああああああああッ!」

――紫電一閃――

止める間もなくシグナムは“レヴァンティン”を振るった。圧倒的な炎は竜巻の蛇の前でも消える事なく、竜巻の蛇に真っ二つにした。シグナムの後方に吹っ飛んでくファルコ。地面を何度も跳ねて転がって、一本の樹にぶつかって止まった。呻き声を漏らしながらも立ち上がろうとしてる。生きてやがる。んだよ、シグナムの奴。

「解毒剤に関してのあの発言。真偽を確かめていないからな。無暗に殺しはしない」

「そうかい。そいつはよかった」

あたしはすぐに解毒剤の事を問い質すためにファルコに駆け寄ろうとしたけど、その前にファルコを覆い隠すすげぇ竜巻が生まれた。あまりの風圧に吹き飛ばされそうになる。つうか目を開けてられねぇ。
そこに『今回は私たちの負けでいいわ』って思念通話。あのフュンフって奴からだ。竜巻が結界スレスレまで上がってく。逃げやがるつもりだ。なんとか追撃しようとすっけど、少しでも気を抜けば吹っ飛ばされそうだからどうしようもねぇ。

『フュンフ! あたし達が勝ったんだから解毒剤を渡せ!!』

アギトの思念通話があたしにも流れてきた。でも返事はない。竜巻が結界に当たりそうになった時、結界が消滅した。壊したんじゃなくて解除されたんだ。結界を張ってる奴らがどこかに居やがる。辺りにはもちろんそんな奴はいない。結界の外、つまりずっと遠くに居るのか。そんじゃあソイツはいい。今はファルコとフュンフの追撃だ。シグナムと一緒に空へ上がろうとした時、

『シグナムっ、ヴィータちゃんっ、アギトちゃんっ。オーディンさんが!』

シャマルから思念通話が来た。



 
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