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ロックマンX~朱の戦士~

作者:setuna
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第四話 THE DAY OF Σ

 
前書き
無印開始。
イレハンの設定が入ってます。 

 
シティ・アーベルの市街にて、暴走するメカニロイドを破壊するために第17番精鋭部隊が出撃していた。
エックスは現在、別行動中。
ルインはゼロと共に岩陰に身を潜めていた。

ルイン「ゼロ、メカニロイドが動き出したよ……」

ゼロ「ああ…」

朱と紅のアーマーを纏う2人がメカニロイドの様子を伺う。

ルイン「エックスはまだかな…?」

エックスを乗せたメカニロイドはまだ着かないのだろうか?
いや…。

ゼロ「来たぞ…」

ルインとゼロが上空を見上げる。
シグマも気づいたようで不敵な笑みを浮かべる。
シグマが片腕を上げた。
合図だ。
ゼロとルインが他の隊員と共に前に出る。
ゼロは腕をバスターに変形させ、ルインもZXコンポジットを抜き、セイバーモードに。
そして上空からメカニロイドに向かっていくエックスも右腕をバスターに変形させ、メカニロイドに向ける。
バスターのエネルギーを限界までチャージする。

エックス「うおおおおお!!!!」

相手がメカニロイドなら普段のような遠慮はいらない。
エックスは限界までチャージしたフルチャージショットをメカニロイドに向けて放つ。
フルチャージショットがメカニロイドに直撃した。
エックスはバスターを右に向けて放ち、その反動でビルの壁に手をつけ、地面に着地した。

ペンギーゴ「今だ!!確保するクワ!!」

ペンギーゴが隊員と共にメカニロイドを確保しようとした時。
メカニロイドが再び動き出した。

ルイン「エックスのバスターのフルチャージを受けて…?」

どれだけ強固な装甲を使っているのだろうか?
エックスのフルチャージショットが効かないのなら、セイバーで直接攻撃するしかないだろう。
その時、シグマからルインとゼロに通信が入る。

シグマ『ゼロ、ルイン。そちらから目標のメインジェネレータを確認出来るか?』

ルイン「メインジェネレーター…あれかな?」

メカニロイドのアームの近くにあるのがメインジェネレーターだろうか?

ゼロ「駄目です!!奴の動きが早くて近づけません!!」

ルイン「あ!!」

ゼロがシグマの問いに答えると同時にメカニロイドに捕まった隊員が投げ飛ばされた。

ペンギーゴ「喰らえ!!」

ペンギーゴが口からアイスショットを放つ。
メカニロイドの脚部が凍結し、動きを阻害する。
しかしすぐに氷は僅かだが砕かれてしまう。

ペンギーゴ「なんてパワーだ…!!」

表情を歪めるペンギーゴ。

エックス「隊長!!奴のパワーは想定以上です。援護に回ります!!」

エックスはペンギーゴ達の援護に向かおうとするが一足遅かった。
氷を砕いたメカニロイドが隊員を1体捕まえたからだ。

「た、助けてくれ…!!」

ペンギーゴ「野郎!!」

エックス「くっ!!」

動きを止めるためにエックスがメカニロイドの脚部を狙うが弾かれてしまう。
メカニロイドがエックス達を踏み潰そうとするが、間一髪でかわす。

ルイン「これ以上はさせない!!」

ゼロ「いつまでも好きにやらせるかよ!!」

ルインとゼロがセイバーとバスターを構えてメカニロイドに突っ込む。
ゼロのバスターがメカニロイドの脚部を穿ち、ルインのチャージされたセイバーの一撃はメカニロイドの脚部を両断した。
メカニロイドはバランスを崩し、メインジェネレーターが露になる。

エックス「あ…」

ペンギーゴ「ジェネレーターだ!!」

エックスがジェネレーターにバスターの照準を合わせようとするが、狙いどころを誤れば盾にされた隊員に当たる。

ペンギーゴ「エックス!!ジェネレーターだ。ジェネレーターを撃つんだ!!早くしろエックス!!」

ペンギーゴが急かすが、エックスはバスターを構えたまま動けなかった。
その時、シグマがサーベルでメインジェネレーターを破壊した。
盾にされた隊員の右腕も切断されたが、命に別状はない。
メインジェネレータを破壊されたメカニロイドは機能停止した。
エックスもバスターを下ろし、ゼロはバスターに変形させたままの腕で額の汗を拭い、ルインもセイバーを下ろしていた。





































ルイン「エックス、ゼロ。お疲れ」

周囲に敵がいないかを確認してきたルインがエックスとゼロに声をかける。

エックス「ああ、君もお疲れ」

ルイン「大丈夫?チビペンギン君や隊長に何か言われてたけど?」

エックス「ああ…隊長に俺達イレギュラーハンターには引き金を引くのを躊躇ってはならない時がある。それが力なき者の剣となり盾となる俺達の運命(さだめ)だって言われたよ…」

ルイン「ふうん…それにして最近メカニロイドのイレギュラーが多いよね」

ゼロ「ああ、作業用メカニロイドだから装甲が異常に固いのも厄介だ」

ルイン「エックスのフルチャージショットも通用しなかったしね。」

エックス「ああ…」

3人は会話をしながらハンターベースへと戻っていく。




































「メカニロイドのイレギュラー。今月で7件目だな」

「隊長はその件でケイン氏に?」

「ああ、そうらしい」

隊員達の会話に耳を傾けていたエックスは今まで思っていた疑問を口にする。

エックス「イレギュラーか…どうしてイレギュラーは発生するんだろう?」

ルイン「え?そりゃあプログラムのエラーや電子頭脳の故障とか…」

ゼロ「他にもウィルス等の問題もあるが、基本的には俺達レプリロイドの高度な情報処理能力の…いわばツケだな」

ルイン「ん?ねえ、あれ」

ルインが指差した先には、ハンターベースの保安要員に連行されたレプリロイド…。

ゼロ「VAVAだ…大方また揉め事でも起こしたんだろう。同じハンターでもエックスやルインみたいにいつまでも甘い奴もいれば、VAVAみたいにイレギュラーすれすれの奴もいるってことだ。」

エックス「…………」

ルイン「でも、VAVAも人間くさいところあるよね」

エックス「え?」

ルイン「何でか分からないけどそう思う」

ゼロ「奴を人間くさいと思うのはお前くらいだろう。」

ルイン「あれ?ゼロ、どこ行くの?」

ゼロ「トレーニングルームだ。エックス、ルイン。お前達はどうする?」

ルイン「私は部屋に戻るよ。多分メカニロイドの暴走のことで召集が来るだろうし。それにちょっと寄りたいとこもあるしね」

エックス「俺も部屋に戻るよ。」

ゼロ「そうか…」






























その頃、Dr.ケインの研究所ではケインとシグマの密会が行われていた。

ケイン「最近、騒がしいようじゃな?」

棚に置かれてある自身が幼かった頃から大切にしていた玩具の整理をしながらシグマに尋ねる。
レプリロイドの生みの親として世界に名を轟かせている彼は、イレギュラーハンターを設立した後も度々ベースを訪れ、ハンター達のメンテナンスやイレギュラー発生要因の研究など、精力的に活動している。
…のだが、ゼロの髪を勝手に三つ編みにしたり、エックスに青汁風味のオイルを飲ませたり、ルインを幽霊のフリをして脅かしたり等、他にも他にもetc.…。
まあ、ケインもルイン達からもしっかりと報復は受けているらしいが…。
博士の悪戯を目撃してしまっている大半のハンターは、尊敬こそはしていても“元気溌剌のお茶目なおじいちゃん”といった印象が抜けないらしい。

シグマ「はい、ケイン博士。イレギュラーによる犯罪は増加傾向にあり、大型メカニロイドの暴走も数件発生しております。」

ケイン「…エックスはどうしておる?」

シグマ「状況分析、戦闘能力。共に極めて高いレベルにあります。が…時に悩み、判断を遅らせるところがあります」

ケイン「悩むか…正しくそれこそがエックス最大の特性なのじゃ。シグマよ、お前は悩むことがないじゃろう?わしはかつて封印されていたエックスを見つけだし、その設計思想を流用し、お前達レプリロイドを生み出した。レプリロイドは人間のように考え、行動出来る。じゃが、深く悩むレプリロイドは例外を除けばエックスだけじゃ」

例外…。
エックス以外に深く悩むレプリロイドは。
前世が人間だったルイン。
そして今、新しく創設された軍隊にいる100年前の伝説のロボットを元にして造られた兄妹レプリロイドの片割れ。
そして今から遠い未来で造られるギガンティスのレプリロイド達。

ケイン「わしは、エックス達の深く悩むことがレプリロイドの新たな可能性であると思っておる」

シグマ「悩むことが新たな可能性?欠陥ではなく?」

ケイン「普通のロボットならそうじゃろうな。じゃが、エックスは深く悩み、ロボット三原則にも縛られない新たな答えを出すことが出来る。わしにもエックス達の可能性が希望となるかそうでないのかは分からん。わしはこれからもエックス達を見守っていこうと思っておる。この命が続く限りな」

シグマ「…………」

こうしてシグマとケインの密会は終わりを告げるのだった。

































ほぼ同時刻。
ルインはハンターベースの留置場ではVAVAが手錠をはめられ、留置されていた。

ルイン「やあ、VAVA。」

自室に戻ったはずのルインが、VAVAの目の前にいた。

VAVA「何の用だ?シグマに命令されて直々に処分しに来たのか?」

ルイン「まさか、ただ私は差し入れを持ってきただけ」

ルインがハンターベースの購買の紙袋から出したのはいつも自分が常飲しているオイル。

VAVA「お前は馬鹿か?こんなザマで飲めるか」

ルイン「だから手錠は外すよ」

VAVA「何?正気かお前は?手錠を外した瞬間お前を殺すかもしれないんだぜ?」

ルイン「武装を没収されて丸腰の君と武装持ちの特A級ハンターの私。どっちに分があると思う?」

VAVA「チッ…」

舌打ちすると手錠が外され、差し入れのオイルを口に含んだ。

ルイン「災難だったね~。イレギュラー討伐中に割り込んできた隊員をぶち抜いて牢屋に直行なんて」

VAVA「フン…」

思えばこいつはかなり変な奴だと思った。
イレギュラーハンターになりたての頃から自分に普通に話し掛けて来たからだ。



































ルイン『えっと、君がVAVA先輩?』

VAVA『何だお前は?』

後で聞けば自分の思考回路が異常だという話は既に知っていたらしい。
それを聞いてなお話し掛けて来たのだ。

ルイン『私はルイン。最近イレギュラーハンターになったばかりの新人』

VAVA『そうか、だったらすぐに消えろ』

ルイン『用はないんだけど…』

聞いていない。
彼女はどんな暴言も左から右へと聞き流す図太さを併せ持っていた。
エックス同様に甘いが、実力は申し分ないため、模擬戦をする程度の関係にはなっていた。
































ルイン『VAVA』

VAVA『何だ?』

ルインと知り合ってから数ヶ月後のことだ。
いつも通りの模擬戦の最中であった。

ルイン『エックスがフレイム・スタッガーと決闘するんだってさ』

VAVA『決闘だと?』

ルイン『何でも、フレイム・スタッガーのイジメが原因らしいけどね。』

VAVA『あの甘ちゃんハンターでは瞬殺されるのがオチだろうよ』

ルイン『どうかな?』

VAVA『?』

ルイン『VAVAは知らないかもしれないけどエックスはその気になれば強い…フレイム・スタッガーなんてメじゃないくらいにね』

VAVA『あの悩んでばかりいる甘ちゃんハンターにそんな力があるとは思えんがな』

ルイン『まあ、見てみなよ』

ルインがモニターを指差す。
ゼロが立会人となり、エックスとフレイム・スタッガーの決闘が始まった。
2人が同時に動き出す。
フレイム・スタッガーが繰り出した拳をエックスは最低限の動きで回避し、バスターをフレイム・スタッガーの喉元に突き付けた。
エックスの勝ちだ…。
普段の任務で目にするエックスの動きとはまるで違う。

VAVA『どういうことだ…?』

とてもB級とは思えない動き。
間違いなくエースと呼ばれる者の中でも一握りのものしか為し得ない動きだ。

ルイン『言ったでしょ?本気になればエックスは強いって…』

VAVA『…あいつは力の出し惜しみでもしていたのか…?』

ルイン『違うよ?エックスは優しすぎる…無意識の優しさがエックスの能力に制限を課してるんだよ』

VAVA『無能なB級ハンターだと思っていたが…』

この時からVAVAのエックスの評価は無能から僅かだけ上がった。
本当に僅かだが。



































途中から思考が逸れたが、VAVAはルインに視線を戻す。

ルイン「災難だけど、仲間殺しは重罪。極刑は免れないよね普通は」

VAVA「だろうな」

ルイン「けど君はこんなところで消えるような奴じゃないよね?運だけで特A級になった奴とは違うでしょ?」

VAVA「当たり前だ。俺を誰だと思ってやがる。無能なペンギン(ペンギーゴ)や(ナウマンダー)と一緒にするな。俺はVAVA、最強のレプリロイドだ。」

ルイン「それを聞けて安心したよ。今度会ったらまたピアノ聞かせてよ」

そう言い、手錠を再びかけるとルインは留置場を後にした。




































ハンターベースのトレーニングルームではゼロが今回の事件をシミュレーションで再現していた。
ゼロがバスターの照準をメカニロイドのメインジェネレーターに合わせる。
そして放たれた一撃はメインジェネレーターではなく、隊員の右肩に直撃した。

ゼロ「っ!!」

訓練が終了し、ゼロはバスターに変形させたバスターを元に戻す。

95%

それが今回の訓練の成功率。

ゼロ「チッ、5%をミスっちまったか…」

イーグリード「95%か。大したもんじゃないかゼロ」

ゼロ「イーグリードか…お前、ミサイル基地の守備任務はどうしたんだ?」

イーグリード「自動警報装置が完成したんで、守備隊は縮小されたよ。今日からはまた通常のハンター業務さ」

ゼロ「そっか…」

イーグリード「で、早速メカニロイドの暴走事件で召集だ。行こうぜ。ゼロ」

トレーニングルームを後にし、ブリーフィングルームに向かうゼロとイーグリード。


































「解体中のビルで起きたメカニロイドの暴走ですが、コントロール系が何者かに乗っ取られていたと判明しました」

ルイン「え?でも、防壁は…?」

エックス「中には誰も乗っていなかった…つまり遠隔操作されていた?」

「そうです」

ゼロ「ちょっと待てよ。メカニロイドの警戒プログラムは…」

ペンギーゴ「そう簡単にハッキングされるような防壁ではないはずだクワ」

「はい、犯人はこちらの警戒体制に精通している可能性があります」

イーグリード「で?犯人はどこから操作を?」

「いくつもの衛星を経由してカモフラージュしていましたが…発信源はここ…シティ・アーベル東16番地区」

スクリーンに映し出された発信源。

ゼロ「すぐ近くか…ふざけやがって…!!」

エックス「シグマ隊長にこのことは?」

「連絡済みです。エックス、ルイン、ゼロのチームはこのブリーフィング終了後、偵察に向かうようにとの指示です」

エックス、ルイン、ゼロ「「「了解!!」」」


































エックス達は発信源であるシティ・アーベル東16番地区に着いたが、あまりの静けさに表情を歪める。

ルイン「ここが発信源?そのわりには…」

エックス「ああ、静か過ぎないか?」

ゼロ「行ってみるか、エックス、ルイン。」

エックス「うん」

ルイン「そうだね」

ゼロ達は建物の壁を蹴り、屋上付近の入口から内部を見た。
そこには無惨な姿となったレプリロイド達が倒れ伏していた。
エックス達は愕然となるが、直ぐにハンターベースに連絡を入れた。


































ルインとゼロがレプリロイド達の状態を見るが、手遅れのようだ。
ルインとゼロが首を横に振る。

エックス「…どうだ?」

エックスが端末を調べている隊員に尋ねるが。

「駄目ですね、恐らくデータは全て持ち出された後でしょう」

ゼロ「かなりの手練だな」

シグマ「状況は?」

「ハッ!!仲間割れですかね?メカニロイド暴走事件のすぐ後にやられたようです」

シグマ「ふむ。ゼロ、ルイン。どう思う?」

報告を聞いたシグマはゼロとルインに尋ねる。

ゼロ「さあ、ですがどちらにせよやったのは相当の戦闘能力を持った奴でしょう。全て急所を一撃です」

ルイン「後、高出力のビームサーベルのような物で切り裂かれたようですね。」

レプリロイド達の身体にはまるでにバターを切ったように滑らかな切り口。
僅かなぶれもない綺麗な切断面からは、使い手の相当の腕が窺える。

シグマ「うむ」

シグマはチラリとエックスを見遣るとそのまま外に向かう。

































外に出たシグマは、待機していたイーグリードに声をかけた。
イーグリードもそれに頷き、自身の部隊を見遣る。

イーグリード「仲間割れを起こした犯人の残りがハッキングデータを持って逃走中だ。イーグリード隊は周辺の捜索を開始!!」

【はい!!】

ペンギーゴ「ペンギーゴ隊は別地区の捜索クワ!!行くぞ!!」

【はい!!】

イーグリード隊とペンギーゴ隊が犯人の捜索を開始した。
1人残されたシグマはただ静かに立っている…。 
 

 
後書き
この小説ではイレハンの設定が混じってます。
 
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