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『ある転生者の奮闘記』

作者:零戦
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TURN4







 ……マジかよ……。

「何か不都合でもあるのか? 東郷は問題ないと言っているが……」

「いえ大丈夫です。陸軍長官が乗り込むとは思わなかったもので……」

「そうか」

 俺と山下長官はそう言って摩耶に乗り込む。

「山下長官は日本星域に到着するまでは長官室で御願いします」

「うむ、私もとやかく言うつもりはない」

 俺は山下長官に長官室を案内した。

「此方です。少々汚いかもしれませんがご了承下さい」

「気にするな、私は気にしない」

 山下長官にそう言って俺は艦橋に戻った。





「まさか陸軍長官が乗るとはな……」

「流石に自分も夢かと思いました」

 副官が苦笑する。

「これよりワープに入ります」

「ん」

 ワープコードを入力した第四戦隊はワープした。




「これは山下長官。今から食事ですか?」

 ワープゲートに入れば暇やから食堂にメシでも食べようと食堂の前に来たら入口に山下長官がおった。

「うむ、しかしこう数が多くてはどれがいいか迷うがな」

 山下長官はそう言ってガラスの向こう側にあるメシを見ていた。

「摩耶で人気なのは鮭定食ですよ」

「ほぅ、ならば貰おうか」

 俺と山下長官は食堂に入る。

「鮭定食二つな」

「了解です艦長」

 俺は主計科の奴に言うて、近くの席に山下長官と共に座る。

「戦況はどうですか?」

「……東郷にでも聞いたら分かるはずではないか?」

「いやいや、直接上陸する山下長官に聞いてみたいだけですよ。別に他意はないっす」

 俺はそう言う。

「ふむ……ア・バオア重慶の攻略は一ヶ月以内には行われるだろう。向こうの士気もかなり落ちているから各戦線は崩壊するだろう」

 山下長官はそう言ってコップに入った水を飲む。

「そうですか。ま、戦争が早く終わるのは越したことありませんけどね」

「うむ、新規の装備をさせねばならん部隊もあるからな……ところで狹霧艦長。周りの視線はどうにかならないか?」

 山下長官が辺りを見渡す。

 食堂のあちこちのところから俺と山下長官を見ている兵や士官がいる。

「ハハハ、なにせ陸軍長官を乗せてますからね。そんな目くじらをしなくても大丈夫ですよ」

「鮭定食御待たせしました」

 そこへ主計科が鮭定食二つを持ってテーブルに置く。

「お、御苦労さん」

 さて食べるか。

「ま、今は食べましょうや」

「うむ」

 俺はそう言って漬物の沢庵を食べる。

 ポリポリしてて美味いな。

 ん?

 ふと山下長官のを見ると山下長官が一生懸命に鮭の皮を剥いでいた。

「鮭の皮は嫌いなんですか?」

「う……うむ。どうも苦手でな」

 山下長官が顔を赤くして呟いた。

 ……意外と可愛いなおい。

「へぇそうですか。自分は皮は好きですけどね」

 俺はそう言って鮭の皮を食べる。

 皮は美味いんや、分かるか?

 それから俺と山下長官は他愛もない話をしていた。

「……一つ聞くが……貴様はガメリカと戦う事になると思うか?」

「ガメリカとですか?」

「そうだ」

 食後のお茶を飲んでいたら山下長官がそう聞いてきた。

「……可能性はあるでしょうね。今のように向こうが挑発のような態度をとれば遅からず国民の感情は爆発します」

「ふむ……」

 山下長官が腕を組む。

「陸軍長官が一介の艦長に聞くなんぞ光栄ですね」

「いや、東郷が言っていた。狹霧は中々の考えをした人物だとな」

 ……てかこの人、原作やと精神論を出してたけどこの世界ではあまりないな。

 ……俺や茂がいるからその影響やろか?

「自分はそこまでの人物ではないですよ山下長官。買いかぶり過ぎです」

「フン、東郷に聞いてからそうだと思ってたがな……」

 山下長官は笑う。

「鮭定食は美味かった」

「食堂に来れば何時でも食えますよ」

「ふ、そうか」

 山下長官は食器を返却口のところに返した。

「それではな」

「えぇ」

 山下長官は食堂を出た。

「……やっぱ原作とちゃうな。俺や茂がいるから少し変わったんやろか?」

 俺はそう呟いてお茶を飲んだ。





 ワープゲートを出た第四戦隊は無事に日本星域に到着した。

「これより横須賀に帰港する」

「ヨーソロー」

 第四戦隊の四隻はゆっくりと惑星日本に降下していく。

「着水します」

 そして四隻は横須賀沖合いで無事に着水した。

「速度を第一戦速に切り替えろ」

「速度第一戦速ヨーソロー」

 四隻は第一戦速で横須賀軍港に入港した。

「接舷します」

 摩耶は桟橋に接舷する。

「舷梯降ろせ」

「了解。舷梯降ろします」

 舷梯が降ろされて桟橋に付く。

「狹霧艦長。短い間だったが感謝する」

 山下長官が艦橋に入ってくる。

「いえいえ。中々楽しい船旅でしたよ」

 俺は苦笑してそう答える。

「そうか、それではな」

「はい」

 俺と山下長官は互いに敬礼をして山下長官が艦橋を降りた。

 舷梯が降りた桟橋には待機していた陸軍の軍人がいた。

 舷梯を降りた山下長官は待機していた車に乗り込んでそのまま走り去った。

「さぁて摩耶をドックに入れるか」

 それを見ていた俺は艦橋にいた全員にそう言った。







 
 

 
後書き
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