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I want BRAVERY

作者:清海深々
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二十七話 通常



 伊織と友近と勉強会らしきことをした次の日。

「おぉ!?ステータスが上がってる!」

 思わず叫んでしまった。
 俺らしくもない。

 毎日の日課というわけではないが、暇になれば自分のステータスを確認する癖がある。

学力:6
天才
魅力5
オーラが出ている
勇気6


Lv7 流峰 彩
HP 31/31
SP 60/60
        普通

NEXT EXP 23



 学力が!学力がぁ!

 正直5でもチートレベルの頭の良さだったのに、MAXの6。

 これはヤバイんじゃないだろうか?
 もう、今から大学受ければ受かるんではないだろうか。

(※それはない)

 いやしかし、多分これは完全に瞬間記憶能力を自由に使える、そんなレベルではないだろうか。
 考えてもみてくれ。

 あぁ、単語が覚えられない、なんて誰しもが思うだろう。
 それがだ、たった一回、覚えたいと思って見ればそれで覚えれる。

 この能力をチートと言わずとしてなんと言おうか。

 それによくある、忘れたい物まで覚えている、なんていうこともこの能力には関係ない。
 あくまで擬似的瞬間記憶能力。

 覚えたいと思わなければ覚えることはない。
 本当の瞬間記憶能力は、直接に脳に全てが焼き付けられるような感じらしく、本来人間の脳がいらないと判断したものまで覚えてしまう。

 しかしこれは違う。
 とっても頭がいい結果、脳が覚えたいと思ったものを完全に記憶してくれるのだ。

 やはりチート。

 そして、自分のレベルが上がったのはシャドウを初日に倒した時に知っていた。

 2体でLv6。
 少し上がるのが早い、と言ったところだ。

 まぁ、まだレベルが低いので大して問題ではないし、今後関係があるとは思えない。

(それにしても学力6か・・・これで桐条先輩と一緒に帰れる)

 なんてふと思ってしまう。

 原作に関わる気はない。
 でも女の子とは仲良くなりたい。

 それが俺の内心だ。

(まぁ、桐条先輩と一緒に帰るには、生徒会に入るもしくはSEES、つまりは原作介入するしかないかな・・・)

 どれほど頭がよくても、接点がないうちに話しかける勇気はあまりない。
 いや、勇気はあるのだが、というより有り余っているのだけれども、流石に不自然だろう。
 長谷川さんのようにはいかない気がする。

 というより、あの人の時はかなりノリ的なものがあっただろうし。
 それに、桐条先輩と関わって下手に原作に関わりたいとは思わない。

 とりあえず今は、学力が上がったことを素直に喜んでおこう。

 そして、いつもの通り原作のことや、今の自分のステータスに友達関係について色々と考えていた。
 いつも通り、なんて言ってる日に『いつも通り』なんてやってこない。

 この日俺は、人生で最大の過ちを犯す。

 例えるなら、大学のセンター試験で、マークをしょっぱなから一つづずらしてマークしてしまった感じだ。
 実際にその過ちを犯す人間は少ないが、やってしまった人間にとっては最大の過ちだろう。





 その日に『いつも通り』影時間がやってきた。

 そして、俺は『いつも通り』ベットに潜り込む。

 そこでふと窓に目線がいく。

 カーテンが開いている。

 別に毎日ではないが、大抵俺は影時間中に寝入ったり、寝ていることが多いため、最近は影時間が終わった時を確認したりしていない。
 つまり、今この時点で開いているカーテンはこのままいくと開けっ放しというわけだ。

 正直寝ている間にカーテンが開いているというのは落ち着かない。

 それに普通は夜の7時ごろになると開けていたカーテンを閉める習慣があったのだが、何故か今日に限って忘れていたようだ。

 そして俺は立ち上がりカーテンに手を伸ばす。

 外にシャドウがいたら、なんて少し不安に思い窓の外を見る。
 俺はそのときの行動を一生後悔するだろう。

 そこで俺は見た。

 いや、見られたという方が正しいのだろうか。

「・・・マジかよ」

 口から思わず言葉が零れる。

 別にシャドウに見つかったというわけではない。

 人だ。
 そう人なのだ。

 この影時間中にいるはずのない、人間というもの。

 その人は短く切りそろえられた髪型の白髪だ。
 内心で染めてるんですか?なんて言う余裕はない。

 目線が合う。

 向こうは驚愕に目を見開く。

 驚いているのはこちらも同じだ。

 あの顔は知っている。
 原作知識なんぞなくても、月光館に通っていれば誰もが知りうる人間だ。

 月光館学園の2年生、ボクシング部。
 2年でありながら実質、その強さで既に主将になっている男。

 周りからはクールだとかなんだとかで、かなりモテている様子の男。

 男子の一部はそれに憧れて入部したりもするらしい。

 そして、俺が一番会いたくない、いや会ってはいけない人間の一人。

 真田明彦。

 考えてみれば不思議なことではない。
 ここに真田先輩がいてもおかしくはない。

 しかし、影時間に入るようになって一回も会わなかったことが俺に油断を招いたらしい。

(おぉぉぉ!神よぉ!神よぉ!どうして私をお見捨てになったのですか!?)

(※見捨てられたわけではありません)

 思わずキリストのあの言葉を叫んでしまうくらい俺は内心混乱していた。

 というより内心叫ばずにはいられない、だろう?

 
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