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永遠の空~失色の君~

作者:tubaki7
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EPISODE6 幼き約束


人の認識というのは実に厄介だ。些細なすれ違いから発展し大きなものへと変わる。それが時に世界を滅ぼしかねないものになることは、これまでの人類の歴史で明らかだ。

 だが、それ以上に厄介なものは男女の縺れだろう。現在学園裏側、静かな昼下がりの休日。


「一夏!あんたなんの冗談よ!」

「落ち着け。僕は一夏じゃない。というか、知り合いなら顔くらいわかるんじゃないか?」

「バカ。この世界でISを使える男子って言ったらあんただけでしょうが!あんたあたしのことからかってるわけ?」


一向に平行線のまま話が進まない。一夏本人をここに呼んでくれば一番なのだが白式の登録手続きの為それもできない状況、つまり僕が全くの別人であることが証明できない。

非公式であることがこんなところであだとなろうとは。

まあそれも仕方ないだろう。一夏がこの学園にいることがわかっていても僕というもう一人の男性操縦者がいることはこの学園内部の話で、転校生である彼女が―――――持っていた紙に事務所の場所とボストンバックを持っていたため―――――知っているはずもない。誤解されても仕方ないのだが・・・・


(知り合いなら顔くらいちゃんと記憶しておいてもいいものだが)


時が経てば人は変わるなんて言葉があるがいくらなんでも変わりすぎだ。


「てかなんで銀髪なのよ。あんたそういうの苦手じゃなかったっけ?」

「なんども言うが僕は一夏じゃない。一年一組で同じクラスだが蒼月ライというまったくの別人だ」

「そうです。それに一夏さんは今白式の正式登録手続きで今はおりませんの。」

「・・・・・マジ?」

「マジ」


セシリアと声が重なった。











「ごめん!ホントごめん!」

「いや、わかってもらえたならいいんだ」


あれから事情を説明すること約10分ほど。ようやく理解してくれたようで鈴と一緒に事務所まで行くことに。途中、セシリアは部活の用事とかで別れてふたりで歩く。なんとも日差しが心地いい。


「にしてもあたしもバカだったわ。あろうことかあの顔を間違えるなんて・・・・」

「いや、誰にでも間違いはある。気にすることはないさ」

「あんた優しいのね」

「そうでもないさ」


 凰鈴音、中国代表候補生で一年二組に転校してきた彼女は活発で明るい元気な女の子で八重歯がかわいらしい印象を与える。褐色のツインテールが背丈も相まって醸し出される幼さをさらに増幅させるがそれは口に出さないのが吉だろう。

そんな彼女は今僕の目の前でまるで雑技団のようにバッグを起用に頭の上に乗せ、両手でバランスを取りながら歩いている。


「ふむ・・・・約束か」

「そう。まあ小さい頃にしたものだからぶっちゃけ覚えてるかどうかも怪しいんだけど」


そう苦笑する鈴。彼女はどこか淋しそうな表情だった。

 小さい頃、プロポーズまがいの約束をしたらしい。箒といいセシリアといい、一夏ほモテモテだな。それだけ彼に女性を惹きつける魅力があるということだが・・・・


(ふだんの一夏を見る限りは覚えている確率は低い・・・・なんて口が裂けても言えないな」

「口にでてるわよ」

「マジか」

「マジ」


今度はため息。


「その・・・・なんだ。まがいなりにも覚えてるはずさ。男女のそういうのは僕にはよくわからないが、一夏は一度した約束は覚えている。義理堅い人間だからきみががっかりすりようなことには少なくともならないと思う」


一夏とはまだ知り合って一か月もたってないが、それなりに彼のことを理解しているつもりだ。

義理堅く、正義感にあふれて極めて鈍感。僕のもってる一夏の内面の印象はそんな感じだ。


「・・・・やっぱ優しいわね。あんた」

「・・・・さあね。自分が優しかったかどうかなんてことすら思い出せない」

「随分とヘンなこと言うのね?」

「・・・・記憶がないんだ。だから自分のことは何一つわからない」

「・・・・ごめん」

「謝る必要はない。きみも自分のことを話てくれたんだ。男の僕が女の子の秘密を知っていて自分のことは何も話さないなんてフェアじゃないだろ?」

「いや、あんたのはそういうレベルの秘密じゃないから」


そういうものなんだろうか?











程なくして事務局に到着して鈴と別れた。別れ際に「あんたとはなんだか気兼ねなく会話ができそうだからまた話相手になりなさいよ」となぜか命令口調で言われた。そういっていた彼女は類に見ないほど明るい笑顔だった。

しかし約束・・・・か。


―――――なら、約束です。また私に・・・・を教えてくださいね?


「ッ!?」


一瞬、頭になにか浮かんだ。これは記憶を失う以前の記憶か?

だが一瞬うかんだだけで具体的になにかはわからない。


(いったい、僕は彼女と何を・・・・?)


考えてもでない答えを、自室に向かいながら問いかけ続けた。  
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