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美しき異形達

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第十二話 光の符号その六

 その薙刀についてだ、薊はこう言った。
「あれ目茶苦茶強いんだよ」
「中国拳法にも薙刀あるのね」
「ああ、あるよ」
 その通りだとだ、薊は裕香の問いに答えた。
「関羽とかが持ってるあれだってな」
「青龍偃月刀ね」 
 二十キロはある、関羽でなければ使えない様な得物である。
「あれね」
「ああいうのなんだよ」
「そうなのね」
「リーチがあるうえに振ったらそれだけで相当な威力があるからさ」
 だからだと話す薊だった。
「もう無茶苦茶強いんだよ」
「そうなの」
「足元にさっと振るだろ」
 足払いの要領でだ。
「前に出ようとしてもそこで打たれるんだよ」
「足をなの」
「脛な」
 そこをだというのだ。
「ばしってやられるんだよ」
「それで負けるのね」
「突きもしてくるわ頭とか手にも攻めてくるからさ」
「リーチがあるから」
「だからこっちに実力がないと一方的にやられるんだよ」
「薙刀ってそんなに強いのね」
「正直剣道より強いだろ」
 日本の武道のだ、そこまでだというのだ。
「あれは圧倒的だよ」
「ううん、そうなのね」
「女の子がやるものだっていうイメージがあるけれどな」
 一応男子もする、ただし少数派であることは事実だ。
「あんな強い武道ないと思うぜ」
「薊ちゃんがそう言う位なのね」
「ああ、とにかく強いからさ」
 だからだというのだ。
「その娘とは会いたいけれどやり合うのは怖いな」
「それが薙刀なの」
「そうだよ。まあ向日葵ちゃんは弓だからな」
 薙刀の話から向日葵の話に戻した、そちらにだ。
「薙刀じゃなくて」
「うん、弓矢には弓矢の戦い方があるのよ」
「その遠距離戦だな」
「格闘も一応するけれどね」
「そっちは我流だよな」
「何かした方がいいかしら」
 向日葵はここでこんなことも言った。
「やっぱり」
「どうだろうな、それは」
 薊は向日葵の今の言葉には軽い疑問形で返した。
「合う格闘技とかあるしさ」
「そうなの」
「向日葵ちゃんに合う格闘技な」
「何かあるかしら」
「古武術とかか?」
 日本に古くから伝わるそれではないかというのだ。
「まあそんなところか」
「そういうのをやればいいの」
「かもな、けれど一応闘えてるんだよな」
「接近戦もね」
「弓矢もあるし。そっちに手を出すよりもさ」
「弓道に専念した方がいいかしら」
「そうじゃね?」
 こう言うのだった。
「やっぱり弓矢は飛び道具だから強いしさ」
「そうなのね」
「とりあえず闘い見たいけれどさ、向日葵ちゃんの」
 薊は考える顔で向日葵に述べた。
「どんなのか」
「じゃあ手合わせしてみたらどうかしら」
 菖蒲がここでこう提案した。 
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