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万華鏡

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第七十七話 迫るバレンタインその三

「それはいいな」
「美優ちゃんもこのことは」
「ああ、知らなかったよ」
 そうだったというのだ。
「そんなやり方っていうか買い方もあるんだな」
「そうみたいね」
「私は知ってたけれど」 
 景子がここで話に入ってきた。
「業務用のお店で買うと安いのよ」
「それ天理教の人に教えてもらったんだよな」
「そうなの、八条分教会の奥さんにね」
「それうちのクラスの娘も同じだから」
 琴乃はここでこう景子に返した。
「その人から教えてもらったの」
「何か天理教の奥さんって凄いのね」
「あその宗教は他の宗教よりも女の人が強いのよ」
「それ前も言ってたわよね」
「そうでしょ、そもそも教祖が女の人だから」
 天理教の教祖は中山みきという、天理教の間では月日即ち神のやしろと考えられていて『おやさま』と呼ばれている。日本宗教界の巨人の一人である。
「それで婦人会もね」
「他の宗教よりも強いの」
「天理教の殆どを動かしてる位にね」
「殆どって」
「あの宗教はそこまで女の人が強いのよ」
「無茶苦茶強いのね」
「ええ、あの宗教では本当にそうだから」
 女性の力がとかく、圧倒的なまでに強いというのだ。
「それでどの人もやり手なのよ」
「その奥さんもなのね」
「そう、凄いから」
 主婦としてやり手だというのだ。
「小柄で綺麗な人だけれど」
「凄い人なのね」
「小さな巨人よ」
 景子は琴乃にその教会の奥さんのことを話すのだった。
「まさにね」
「ううん、何か本当に凄い人なのね」
「私なんかまだまだよ」
 その人と比べれば、というのだ。
「本当にね」
「器が大きいの」
「器が大きくて世の中のことに精通してて」
「それでそうしたこともなの」
「ご存知なのよ」
「そんな人もいるのね」
「天理教には多いらしいのよ」
 そうしただ、主婦としても宗教家としても素晴らしいのではなくその双方を一つにしたうえで凄い人がというのだ。
「そうした奥さんが」
「凄い宗教ね」
「そう、だからね」
 それでだというのだ。
「私もなのよ」
「その人から勉強してるのね」
「そうなのよ、私も宗教は違うけれど」
 景子は真面目な顔で琴乃に話す。
「その人のことは勉強させてもらってるわ」
「将来神社の奥さんになるかも知れないから」
「半分それが決まってるしね」
 景子は笑って言った。
「神社とかお寺の家に生まれたらね」
「どうしてもなのね」
「そう、そうした家にお嫁に入ってなのよ」
「そこの奥さんになるのね」
「天理教でも多いわよ」
 天理教の教会に生まれて他の天理教の教会に入ることはというのだ。
「キリスト教でもね」
「やっぱりその宗教に詳しいから」
「そうよ」
 必然的にそうなるというのだ。 
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