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魔法少女まどか☆マギカ ~If it were not for QB~

作者:46熊
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壱話 復た始まる物語

 ピピピピピ、ピピピピピ……

 「ん~、うう~ん……さやかちゃぁん……」
 「いいから……起きなさいってのっ!!!!!」

 晴れた日の朝、まどかは母に起こされていた。母にとっては自慢の娘だが、朝起きれないのが玉にキズ。

 「うう~ん、おかあさん、おはよ~……うわぁあぁあああっ!!!!!!」
 「早く着替えて準備してきなさい、さやかちゃんもう下で朝食食べてるよ」
 「なっ、ホントにっ!!!??」

 右手に持ったお玉で左手に持ったフライパンをガンガンガンガンと叩く某必殺技を受け昏倒しかかりながらもまどかは目を覚まし、その危機的状況に完全に覚醒した。

 こうしてはいられない。うちの食卓があの暴食娘に武力介入されては自分の食事が取れないのは必然、まどかはさっさとパジャマから着替えて学校へ行く準備をし(これは昨日のうちにやっておいたのが功を奏した)下に降りる。

 「よー、まどか~」
 「さやかちゃんそこ私の席っ!!!! そしてそれ明らかに私の分だから!!!!!」

 一枚残ったピザトーストを口に運ぼうとしていた親友の手をぴしっと叩いて奪還し急いで貪る。全く油断も隙もありゃしない。

 美樹さやか、蒼い短髪に男勝りな性格、運動は出来るけど勉強は苦手な典型的元気っ子。上条恭介と言う素敵な幼なじみが居る。

 「お前が起きるのが遅いからだろ? 迎えに来てくれたのにずっと待たせるわけにもいかないしな」
 「どうせコンビニでなんか買って食いながら学校行く予定だから助かったよ、鹿目おばさんの美味しい朝食も食べられて満足だ」
 「おばさんは余計だがな」

 にしししと笑いさやかは牛乳を一気飲みする。スタイルをよくしようと毎日コンビニで買って朝飲んでいる牛乳だったが、肉体の強化以外にはあまり役にたっていないようだ。

 「さてと、そろそろ行こっ、まどか」
 「うんっ、それじゃ、行ってきま~す」


 「しっかし、羨ましいよな~まどかは。あんな綺麗で料理も美味い人が母親でさ」
 「えへへ、そうかな?」

 草木萌ゆる道を二人は歩いていく。ここはまどか達の通う中学校の生徒だけでなく近くの小学校や高校に通う生徒も通る、言わば学生ロードだ。

 「うちの両親は朝早くから仕事に出てるからさ~、自分で作る気にもならないし」
 「さやかちゃんがそういうって事は、ホントに早いんだね」
 「でもまあ、恭介の為に花嫁修業も兼ねて料理しないとな~なんて思ってるんだけどね」

 さやかの朝はかなり早い。その彼女が早いというのだから深夜帯ではないかとまどかは類推する。

 それにしても恭介の話をするときの彼女は生き生きしている。傍目には誰でも付き合っていると推測される二人だった……が、まどかは二人が付き合っていないこともさやかの一方的な片思いであることも、恭介の気持ちが少しもさやかに向いていないことも知っている。

 知らない自分は彼女を助けてやれなかった。だったら今度は……助けてやりたいと強く願う。

 「う~ん、どこかにかっこいい男子居ないかなぁ……」
 「ん~……まどかはとりあえず色気がないっ」
 「そんな親指立てられても……あっ!!!!」

 まどかは急に走り出した。横断歩道の真ん中に黒猫が居る。その意味をさやかは分かりかねた、何の変哲もない猫だしまどかはそんなに超が付くほど猫好きでも無いことは知っている。

 「こっちだよ、エイミー!!!!」
 「エイ、ミー……??」

 猫はまどかの呼び掛けに答えてゆっくり歩き出す。その時だった。

 「フニャッ!!!!!」
 「ふう、危なかったな……まどか、お手柄じゃん」
 「えへへ……危なかったね、道路の真ん中に座ってちゃダメだよ、エイミー」

 赤信号だったからだが、急にトラックが突っ込んできたのだった。歩道側にだいぶん寄っていたのと立って歩いていたのが幸いし、猫は即座に反応して歩道に逃げることができた。

 猫は首を傾げる。この時間軸ではまだまどかと猫は会っていないはずなのだから。

 「あ、そっか……エイミー、貴方の名前だよ」
 「何か思い入れでもあんの? 昔猫飼ってたとか言う話は聞いてないけど」
 「うん、ちょっとね……じゃあエイミー、またねっ!!」

 あの猫は自分が魔法少女になるきっかけになった猫。目の前でトラックに跳ねられて重傷を負った猫を助けるためにまどかは魔法少女になったのだった。

 でも、奇跡も魔法も無くたって、守れる命がある。まどかはそれが分かっただけでも嬉しかった。

 「みんな、みんな私が守ってあげるから……」
 「ん、何か言った?」
 「うっ、ううんっ!!!! ただの独り言」


 「……さて、ここで本日の朝の会を始めたいところですが、その前にっ。皆さんはプリンを食べるときはどうやって食べますかっ!!!!??」

 また始まったよ……クラス中がどんよりなる。朝のけだるい雰囲気が加速した。次の授業は何だっけ、うわ数学だよ……

 「え、え~と……普通にふた開けて食べますけど」
 「そう、その通りですっ!!! わざわざ皿の上に落としてカラメル崩しながら食べるなんて洗い物が増える上に上品ぶった食べ方など言語道断、もし彼氏がそんなことでいちいち文句を言うようなら開口一番に別れてしまいなさいそして男子諸君はどうせ後片付けもしないくせに余計なところに拘って彼女に迷惑をかけないようにっ!!!!!」

 大体最前列で生け贄になる男子は決まっている。ここで先生の期待する答えを出さないものなら、その場でチョークに類するものが飛んでくるのは避けられない。

 実はこのトーク、今日に入って最初ではなく三つ目なのだが、酷いときにはこのせいで移動教室が遅れたりする(当然SHRの連絡事項は連絡されない)

 「……と、今日はこの辺にして。転校生を紹介します。アケミさん、入ってきて」

 ざわつく教室内。女の子か、やけに古めかしい名前だな、てか何でこの時期?……色々な感想が飛び交い多少の動揺こそあったが、むしろそれ以上に先生の長話のせいで廊下に立ちっぱなしだったと言う方に同情が集まる。

 教室の扉が開き、一人の女生徒が入ってきた。眼鏡をかけた大人しそうな女の子、衝動物的な愛玩性に満ちた子だ。

 彼女は黒板に綺麗な字で名前を書く。『暁美ほむら』、珍しい名字に名前だとみんながまたざわついていく。

 「あけみ、って名字なのかよ……」
 「字、綺麗……」
 「何か優等生って感じ?」
 「何か付き合いにくそう……」
 「はいはい、静かに」

 勝手な話を始める生徒達を教師は一喝する。何だかんだ言っても、この先生は生徒に信頼されていた。

 彼女は少し顔色が悪そうだった。まあ初めての教室では気後れする事もあるだろう。頬は上気し息も少し荒い。

 「暁美さんは体が弱くて長い間入院してたから、色々分からないこともあると思いますので。しっかりサポートしてあげてくださいね」
 「暁美、ほむらです……よろしく、お願いしま、す……」

 「ほむらちゃんっ!!!!!!!」

 とっさにまどかはほむらの前に進み出、倒れこむ彼女をしっかりと抱きかかえた。通常なら何か打ち合わせをしていたのかと勘繰るほど良いタイミングだったのだが、彼女の真剣さは演技などでは無い事がありありと見て取れた。

 「先生、彼女は私が保健室へ連れて行きますっ!!!!」

 教師の有無も確かめず、まどかは教室の扉を開けて保健室へと彼女を連れて行った。 
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