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妖精の義兄妹の絆

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ジェラールとエルザ

「あれ…あたし…、なにが起こったの…?」
ルーシィは周りを見渡しながら今の状況を理解しようとする。
「ヒビキ!!ハッピー!!そうだ!!ナツ!!!」
ルーシィはイカダの上で倒れているナツを思いだし、助け出そうとする。

ザバァ

「!」
ルーシィの背後にボロボロになったエンジェルが川から上がってきた。
「負け、な、い、ゾ…。六魔将軍、は、負け、ない…。」
ボロボロになりながらも少しずつルーシィとの距離を詰めてくる。
(「なに、コレ…。ぜんぜん力が入らない…。てか…、なんでコイツこんなにボロボロなの!?」)
ルーシィは今の状況を把握しきれてない。先程の記憶が無くなっているためだろう。
「一人一殺、」

ガキィン ガコココ ヴウウウン

カエルムが照準をルーシィに定める。
「朽ち果てろォ!!!!」

ギャゴ

ルーシィ目掛けてレーザーが発射された、が、

ギュオオ ゴガッ

レーザーはルーシィを外しイカダを止めていた木に当たった。
「は…外した…。」

ザザザ

「おお、おおおお。」
「ナツ!!!」
イカダを止めていた木がなくなりナツを乗せたまま流されていた。
(「私の祈り…天使のように…空に消えたい…。」)
エンジェルは倒れながらそう思っていたが、
「って、水の中かい。」

ドポーン

エンジェルの祈りは叶わなかった。
「ナツーー!!!!」
「う、うご…うご…。」
「しっかりしなさい!!!」
ルーシィはナツを追いかけるが中々捕まらない。
「手を伸ばして!!!!ナツ!!!!」
「おおおお…。」
ナツは力なく返事をして手を伸ばした。
「もォっ。」

がしっ

やっとナツの手を掴んだと思った矢先、

ガクン

「きゃっ。」
「うぷ。」
イカダは段差のおかげで川を凄いスピードで流れている。

ズザザザザザザザ

「ひ~~~~。何よォ~、急流~!!?」
「おわぶぁあぁぁ。」
「!!!」
ルーシィは川の先が無くなっていることに気づいた。
「ちょっとォ!!!ウソでしょオ!!?」
この先は滝になっているのだ。腕の傷が痛むがそれでもナツを守ろうと強く抱き締める。

バシャ あああぁぁぁぁ

二人はそのまま滝から落ち、やがて見えなくなった。















ズキィ

ブレインの頭に痛みが走る。
「バ、バカな…。エンジェルまでが…。」
顔の模様が一つ消えながらふは言った。
「うねらの死、無駄にはせんぞ。光崩しは直に始まるのだ!!!!」

ゴォォォォォ

ブレインの目の前で黒い光が物々しくそびえ立っていた。
「死んでないゾ。」
ブレインの声が聞こえたのかは定かではないがエンジェルがそう呟いた。











ワース樹海某所

ダッダッダッダッ

樹海の中をエルザはただひたすら黒い光に向かって走っていた。
(「ジェラールが生きて…。」)
エルザはジェラールのことで頭がいっぱいだった。
楽園の塔でのジェラールの野望、シモンの事。
(「どうやって…。いや、なぜこんな所に…。」)
昔、エルザやジェラールたちを奴隷として縛っていたRシステムの建築。
その目的は400年前の伝説の黒魔導士ゼレフの復活であった。
当時、子供だったエルザたちは厳しい労働を課せられ毎日が地獄だった。その中でもジェラールだけは違った。
みんなを支え、鼓舞し、頼れるリーダー的存在だった。当時のエルザから見たジェラールの背中はとても大きく見えた。
だが、ある日を境にジェラールは別人のように変わってしまった。
ゼレフを讃える信者を皆殺しにし、自らがゼレフを復活させようとしたのだ。
(「私は…、どんな顔をすればいいのか…。」)










一方その頃、ジュラとホットアイはと言うと、
「なんと!!?ニルヴァーナとは人々の性格を変える魔法だというのか!?」
「その通りデスネ。そして、その最初の段階…あの黒い光は善と悪の狭間にいる者を強制的に変えてしまうのデスヨ。」
ホットアイはジュラに懇切丁寧にニルヴァーナについての情報を伝えた。
「すると、主はあの時善と悪の狭間にいたと?」
「お金を稼ぐためとはいえ…ちょっぴりいけない事してる気持ちありましたデス。」
「ずいぶん調子よくも聞こえるが。」
ジュラはまだホットアイのことを信用したわけではない。
何故ならこれが相手の作戦で自分を罠にはめようとしている可能性があるからだ。
「弟の為デス。全ては弟を探す為にお金欲しかったデスネ。」
その顔には嘘偽りないように見える。本当に弟を探す為だと納得したジュラはホットアイを信じることにした。
すると、ホットアイはジュラの顔を見て言った。
「あなたを見てると昔を思いだしマスネ。」
「まさか、ワシが主の弟殿に似てるとでも?」
「ふふ。昔…弟と食べたじゃがいもにそっくりデス。」
「野菜!!?」
ジュラはホットアイの発言に大声をあげてしまった。
「さぁ、愛の為にブレインたちを止めるのデス。」
「ウ…ウム。」
ジュラは納得できずに先に進み出した。












そして、
「2人目、つまんないなァ。もっと強い奴はいないの?」
ミッドナイトがイブに続いてレンをも戦闘不能にした。レンは何もできずにその場に倒れた。












ピュー

「ウェンディはどうだ?シャルル。」
「まだ気を失っているわ。」
タクヤたちはルーシィたちと別れ近くの山の辺りの飛行していた。
「とにかく近くの山かどこかに降りましょう。私とシャルルの魔力も大分無くなってきましたから。」
「そうだな。」
そう言ってタクヤたちは山に着陸して休憩をとることにした。この山からはワース樹海全域が一望できた。
もちろん黒い光も見えている。
「ニルヴァーナ、か…。」
「どうしたの?」
タクヤが呟いた言葉にシャルルが聞いていたらしくタクヤに質問した。
「なんで“善と悪を入れ替える”なんて魔法作ったんだろうな。あれさえ無かったらこんな事態にはならなかったのに。」
「知らないわよ。昔の事情なんて知り得られないんだから。」
「その時代にはその時代の事情があったんですよ。」
「…そうだな。今はあれを止めるのが先だよな。」

カラ

「!!」
「今度は何よ。」
「シャルルはウェンディを連れてここから離れてくれ。」
「まさか、また闇ギルドなんですか!!?」
「かもな。匂いがあんましないとこを見るとまだ俺らの事は見つけてねぇな。」
タクヤは辺りの匂いを嗅いでそう二人に言った。
「今のうちに早く行け!!」
「わかったわ!!あとはまかせるわよ!!!」
そう言ってシャルルは休む暇もなくウェンディを抱え空へ飛んでいく。
「気を付けてくださいね!!!」
エマはシャルルに注意を促した。
「あんたに言われるまでもないわよ!!!」
シャルルたちがどんどん小さくなっていき、やがて、二人の姿は見えなくなってしまった。
「…よし!!!こっちも行くぜ!!!エマ。」
「はい!!!」
タクヤとエマは山をかけていった。
案の定、向かった先には闇ギルドがいて手当たり次第にタクヤたちを探しているようだ。
「ん、あいつらは…。」
タクヤは目の前で見ている闇ギルドに見覚えがあった。
「どうしたんですか?」
「やっぱりそうだ…。あいつら合流地点に行く前に倒した闇ギルドだ。」
そう、タクヤの目の前にいたのは先程タクヤが倒した虚ろな聖域だった。
「倒したはずなのになんで…!!!」

カラ カラ

「誰だ!!!」
「やべっ、見つかった!!?」
タクヤとエマはたちどころに虚ろな聖域に囲まれてしまった。
「あっ!!!コイツはさっきの!!!!」
虚ろな聖域のリーダーがタクヤを指差して大声で言った。
「てめーら。やられたんならもうでてくんじゃねーよ!!!」
「そうですよ!!!往生際が悪いですよ!!!」
「へっ、先程は少し油断しただけだ。なんせ、構成員の半分は別行動していたのだ!!!」
確かに先程タクヤと戦闘をした時より人数が倍以上になっていたのだ。
「今度は全力で貴様たちを排除する。かかれー!!!!」

ダダダダダダッ

そう言ってタクヤに一斉に駆けてきた。
「エマ!!!」
「はい!!!」
エマはタクヤを抱えて空に跳び、敵の攻撃をかわす。
「サークルマジック“グラビティ”!!!!」
「きゃっ。」
「おわっ。」
タクヤたちにとてつもない重力をかけられ、たちまちに地上に落ちていった。
「まだだ!!!サークルマジック“マグマ”!!!!」
タクヤたちが落ちていく地面が崩壊し溶岩が出現する。
「先程のように水を噴射させて回避することはできまい!!!そのまま溶けてなくなれーっ!!!!」
「くぅ…、なめんじゃねぇ!!!!こんなもん…」
「っ、MAXスピードですーっ!!!!」
エマは魔力を背中の翼に集中させる。翼が青緑色に光り始めた。
「ぐぐぐぐぐぅっ!!!!」

ビューン

エマの全速力のおかげでタクヤたちはサークル内から出られた。
「くそっ。」
「サンキューな!!!!エマ。」
「おかげさまでもう魔力がありません…。」
そう言ってエマはタクヤを地上にに降ろした。
「あぁ、ここからは俺にまかせろ。お前はしっかり休んでな。」
「お願いしますね、タクヤ。」
タクヤはエマを大樹の前に移動させ、再び虚ろな聖域に向き合う。
「これでもう空を飛んで逃げることはできないぞ?」
「逃げるつもりはねぇ。ここでお前らを沈めていくからな!!!!」











ワース樹海に夕日が差し綺麗な橙色に覆われていた。
「私…、来なきゃよかったかな……。」
先程タクヤたちと別れたシャルルとウェンディ。今は安全な山の上にいて、ウェンディも気がついているようだ。
「まーたそういう事言うの?ウェンディは。」
「だってぇ。」
「ネガティブな感情は闇に心を奪われちゃうのよ。」
先程もウェンディは闇に心を奪われそうになったがヒビキの咄嗟の判断のおかげでそれを免れたのだ。
「私…、ルーシィさんたち、お兄ちゃんとエマを置いて逃げてきちゃったんでしょ?」
「どーせ、あの場にいても役に立てなかったからね。タクヤの事も然りよ。」
「あう…。」
ウェンディはシャルルにストレートに言われ少しばかりショックを受けた。
「やっぱり私…。」

ぎゅっ

「でも、アンタがいなきゃ今頃エルザは死んでたのよ。」
シャルルはすかさずウェンディを励ました。
「でも、ニルヴァーナも見つかんなかったよ。」
「それはどうかしらね。アンタだってジェラールって人に会えて嬉しかったんでしょ?」
「それは…。」
ウェンディは顔を隠して口を濁らせた。
「ねぇ?何なの、あのジェラールって。恩人とか言ってたけど、私、その話聞いたことないわよね。」
シャルルはウェンディにジェラールについて質問してきた。
「そうだね、話してなかったね。あれは7年前、天竜グランディーネが姿を消して
私は一人…路頭に迷っていたの。その時、助けてくれたのがジェラール。
てゆーか、彼も道に迷ってたんだって。そして私たちは一月ぐらい一緒にあてのない旅をしてたの。
だけど、ある日急に変な事言い出して。」


『…!!!!アニマ!!!?』


「アニマ!?」
シャルルはその言葉に驚く。
「うん、私にもよくわかんないんだけど…ついてくると危険だからって近くのギルドに私を預けてくれたの。
それが化猫の宿。」
「で…、ジェラールはどうなったの?」
「それっきり会ってなかったよ。
その後、噂でね、ジェラールにそっくりの評議員の話や、最近はとても悪い事をしたって話も聞いた。」
ウェンディはだんだんと顔の表情が沈んでいくのがシャルルには分かった。
「でも、あの頃はやさしかったんだ。ジェラール……私の事覚えてないのかなぁ?」














オオオオオ オオオオオ
辺りは土煙が立ち込め、まともに目が開けられないほど強くまっていた。
ここはワース樹海の最奥部、そして、黒い光の発生場所。
そこに復活したエルザが土煙の中を歩いていた。いろいろな思いを胸に秘めて。

















そしてジェラールと再会した。




(「エルザ!!?復活したのか!?」)
ジェラールを監視していたコブラがエルザの登場に驚く。
(「くそ!!!この俺が接近に気がつかねぇとは…、ニルヴァーナの本体が起動するまではジェラールはやらせんぞ。」)
コブラは最悪の場合を阻止するため、いつでも攻撃ができるように警戒を強める。
「…………ジェラール。」
「エルザ…。」
「お、おまえ…どうして…ここに…。」
「わからない。」
エルザはそれ以外にも何か聞こうと思ったが口を開かなかった。何を聞けばいいかわからないからだ。
「エルザ…エル…ザ…。」
ジェラールは何度も“エルザ”を口にした。
「その言葉しか覚えていないんだ…。」
「え?」
「!?」
エルザと監視していたコブラは衝撃を受けた。
「教えてくれないか?オレは誰なんだ?君はオレを知っているのか?











エルザとは誰なんだ?何も思い出せないんだ。」
エルザはただ涙を浮かべる事しかできなかった。

ゴオオオオオ

(「コイツ、記憶がねぇのか!!!?」)


つかつか

「ジェラール…。」

つかつか

エルザはジェラールに近寄っていった、が、
「く…来るな!!」

ドッゴ

ジェラールは近づくエルザに攻撃してきた。それを見事に直撃し、エルザを土煙が覆う。

オオオオオ オオオオオ

土煙からエルザが姿を現す。
「く…来る…な…。」
多少のダメージを受けているが眉ひとつ動かさずに言った。
「ならば、おまえが来い。私がエルザだ。ここまで来い。」
それでもジェラールはエルザに怯え近づこうとはしない。
「おまえの名はジェラール。私のかつての仲間だ。だが、乱心したおまえは死者を冒涜し、仲間をキズつけ、
評議院さえも破壊し…、シモンを殺した。











それを忘れたと言うつもりなら心に剣を突き立てて刻みこんでやる!!!!ここに来い!!!!私の前に来いっ!!!!」
エルザはジェラールに怒鳴った。
「オレが…仲間を…そんな…、オレは…なんという事を…。オレは、オレはどうしたら…。」
ジェラールは顔を抑え泣いていた。自分のやってしまった罪を知ってしまったためだ。
エルザはジェラールを見て思った。
(「これが…、あのジェラール?まるで…。」)



















一方こちらはワース樹海某所
「ん?」
そこでルーシィは目をさました。

ズキズキ

「痛た…。」
腕の怪我が痛み思わず怪我の箇所を触れる。
「あれ?治療…。てか何!?この服。」

キラキラ

その服は独特的なデザインとなっておりキラキラ輝いていた。
「星霊界の御召し物でございます。ボロボロでございましたので。」

シャキィン

そう言って服の説明をしたのは処女宮のバルゴだった。
「バルゴ!!?」
何故バルゴがここにいるのか疑問に思っている間に隣で気を失っていたナツも目をさました。
「!ここ…どこだ!?」
ナツの服も新しいものになっていた。
「ナツ様とおそろいになっております。」
「いらんお世話!!!」
バルゴなりに気を遣ったみたいだが、ルーシィから怒鳴られた。

ボォォォ

「近いわ。てか、色が変わってない?」
確かに先程までは黒い光だったがいつの間にか白い光に変わっていた。
「ええ、お二人が気絶していらした間に黒から白へと。」
「むぐぐぐぐ…。ぐぐぐ…。はぁ…。」

ギロッ

ナツは感情を押し殺してルーシィを睨んだ。それにルーシィはビビってしまう。だが、
「危なかった。ありがとな。」
思いもよらない言葉が返ってきたためルーシィは顔を赤くした。
「な、なによ。いきなり。」
「でぇきてぇる``。」
バルゴがナツとルーシィを見て巻き舌風に言った。
「どこでハッピーのマネなんか憶えたの?」
ルーシィは呆れてバルゴにつっこんだ。

ガサ ガサッ

「ひっ。」
茂みから音がしてルーシィはそれに怯えた。

ガサ ガサ

「シェリー!!!」
茂みから現れたのはシェリーだった。
「よかった!!無事だったんだね。」
「おまえ、確か、ガルナ島の、」
「どこまでさかのぼってんのよ。」
ルーシィは今度はナツにつっこんだ。
「見つけた。妖精の尻尾の魔導士。」
シェリーはポツリとそう呟いた。
「?何? 」
「くくく。」

メキメキ メキメキ

「!!!」
突然木が人の手の形になりナツとルーシィを襲おうとする、が、
「バカヤロウがーっ!!!!」

ガシィ

「がふぁ。」

ドタン

後ろからグレイがシェリーを抑え倒した。
「グレイ!!!」
「無事かおまえら!!」
「放せ!!!くそっ!!!まだ生きていたのか!!!!リオン様の仇っ!!!」
シェリーは鬼の形相で暴れだした。
「こいつ、あの光の後、急におかしくなりやがってよォ。」
「おまえもさっきまでおかしかったじゃねーか?」
「は?」
グレイはナツが何をいっているのか分からなかった。
「ナツ、あれはニセモノよ。」
ルーシィは何も知らないナツに説明した。
「許さない!!!リオン様の仇!!!」













「誰の仇だって?」

ザッ

「!」
「オレを勝手に殺すんじゃない。」
そこに現れたのは先程の爆発の中に消えたと思っていたリオンだった。
「リオン様…。」
シェリーはまだ夢を見ているのかと錯覚するほど目の前の状況に驚いていた。
「しぶてぇんだ、コイツは。」
「貴様等ほどじゃない。」
「何だとォ!!?」
「そこかみつくトコ?」
リオンが喋っている、その光景に安堵したシェリーは涙をこぼしながら倒れた。
「よかっ……た…。」

ブシュアッ

シェリーから何かが抜け出した。それはまるで悪霊と言った類いのものと似ていた。
「何だ!!?」
「やっぱり何かに取りつかれて…。」
「これが、ニルヴァーナ。」










こちらウェンディとシャルル。
「黒い柱が白くなったわ。」
「何が起きてるんだろう?」








ハッピー、ヒビキサイド。
「んしょ、んしょ。みんな、無事だよね。」









そして、タクヤ、エマ。

ザブァァァン

「ったく、いくらやっても次々沸いてくるぞ。」
「タクヤ!!!あれを見てください!!!!」
タクヤはそう言われてエマの指差す方を向いた。
「黒から白に変わってる…。」
「まさか、ニルヴァーナが目覚めちゃったんじゃ!!!?」
「違うな。」
「「!」」
そう言ったのは虚ろな聖域のリーダーだった。
「まだあれは完全には目覚めていない。だが、それも時間の問題だがな。」
「…コイツ等に時間をかけてらんねぇな。さっさと決着つけんぞ!!!」
そして、タクヤは再び虚ろな聖域に立ち向かっていった。










ゴゴゴゴ

ここはワース樹海の最奥部
「てめぇの記憶がねぇのはよくわかった。どうりで心の声が聴こえねぇ訳だ。」
岩陰から姿を現したのは六魔将軍のコブラだった。
「!!」
「六魔将軍!!?」
「どうやってここまで来た?で、なぜニルヴァーナの封印を解いた?」
体に蛇を巻き付けながらコブラはジェラールに問いただした。
蛇もコブラに賛同するかのように大きな口をあけ吠えている。
「眠っている時に誰かの声が聞こえた。「ニルヴァーナを手にいれる。」…と。
かすかにその魔法と隠し場所を覚えていた。」
ジェラールはコブラの質問に素直に答え、こう続けた。
「これは危険な魔法だ。誰の手にも渡してはいけない。









だから完全に破壊する為に封印を解いた。」
「な…!!!!」
「ニルヴァーナを破壊する…だと?」
確かにジェラールはそう言った。この巨大な建築物を破壊できるか不審に感じたがその考えは次の一言で破られた。
「自律崩壊魔法陣を既に組み込んだ。ニルヴァーナは間もなく自ら消滅するだろう。」
ジェラールがそう言ったのと同時にニルヴァーナに奇怪な魔法陣が広がっていた。
「てめェ!!!!何て事を!!!!くそぉーっ!!!」
コブラはジェラールを無視して一目散にニルヴァーナに駆け寄った。
「その解除コードはオレしか知らない。」
「ジェラール。」

キキキ キキキ キキキ

魔法陣はみるみる音をたてて広がっている。コブラが魔法陣の解除を試みたがまったく歯が立たない。
「なんだよ、この高度な魔法陣は…。このままじゃニルヴァーナが崩壊する!!!!
ジェラール!!!解除コードを吐きやがれっ!!!!」
コブラがジェラールに吠えたその時、

コプッ

ジェラールは吐血した。
「エルザ…その名前からはやさしさを感じる。やさしくて、明るくて、あたたかさを感じる。
きっと君はオレを憎み続ける。それは仕方ない当然の事だ。しかし、憎しみは心の自由を奪い君自信を蝕む。」
「お、おまえ…。」
「オレはそこまで行けない…。」

キキキ…

ジェラールの体に魔法陣が浮き出る。
「君の前にはいけ…ない…。」
「こいつ…。」
そして、
「ジェラールから解放…され…るんだ。君の憎しみも悲しみ…も…オレが…つれていく。」
ジェラールの体にはニルヴァーナに組み込まれたのと同じ自律崩壊魔法陣が発動していた。
その姿にエルザは声を出すことすら出来なかった。
「自らの体にも自律崩壊魔法陣を…!!!!」
「君は、自由だ…。」

ドッ

ジェラールは体力が無くなりその場に倒れた。
エルザは涙を流しながらジェラールの元へと走った。
「ジェラーーール!!!!!」
エルザの叫び声が夕焼けの空に響いた。







 
 

 
後書き
というわけで15話も無事終了です!大分間が空いてしまって申し訳ないです。
はぁ、もうちょっと時間があればできたのですがここのところ特に忙しくなっちゃって…。
まぁ、それでもやりますけどね!めげずに頑張っていきますんで今後もよろしくお願いしますね!
それでは感想などよろしくでーす! 
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