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万華鏡

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第七十六話 節分ライブその十

 明るい声でだ、こう五人に声をかけてきた。
「頑張れよ!」
「いい演奏期待してるからね!」
「応援してるからな!」
「頼んだわよ!」
「聴いてくれな!」
 ドラムの場所からだ、美優が言ってだった。
 五人はこれまでずっと練習してきた歌の演奏をして歌を歌った。それはこれまで練習してきただけあってだった。
 かなり上手くいけた、それに。 
 チームワークも十分だった、五人共演奏をしながら満足していた。
 そして最後の曲の時にだ、美優が四人に笑顔でこう言った。
「じゃあな」
「ええ、今からね」
「最後の曲よね」
「最後もばっちり決めような」
 こう四人に言うのだった。
「終わりよければっていうしな」
「そうよね、それじゃあね」
「最後の最後まで気を抜かないで」
「練習の成果を生かして」
「そうしていこうね」
「そう、最後の最後までやれるよ」
 こう四人に言うのだった。
「だからな」
「ええ、それじゃあ」
「最後の曲も」
「これで」
「そう、やろうな」
 四人に笑顔で言った、そうしてだった。
 プラネッツは最後の曲もはじめた、その曲を聴いてだった。観客達はこれまで以上に熱い声援を送ってきた。
 その曲が終わってからだ、彼等は五人に対して言った。
「よかったぜ!」
「楽しかったわよ!」
「またライブ観せてくれよ!」
「次の機会にね!」
「その時楽しみにしててね!」
 ギターを持っている琴乃が笑顔で彼等に応えた。
「また演奏するから!」
「ああ、その時にまたな!」
「会おうね!」
「またね!」
 琴乃は右手を大きく振って彼等に別れの挨拶を告げた、そうしてだった。
 ステージ裏に戻ってからだ、満足している顔でお互いの身体を抱き締め合ってだった。そのうえで満面の笑顔で話した。
「終わったわね」
「成功したわよね」
「失敗しなかったし」
「皆声援送ってくれたし」
「よかったよな」
 こう五人で話したのである、それでだった。
 五人は笑顔のまま一旦離れてだ、一息ついた。その五人に同じ一年生の部員の一人が飲みものを出してきた。それはというと。
「あっ、甘酒」
「甘酒なのね」
「そう、寒いからね」
 冬の夕刻、もうすっかり暗くなっている。しかもライブは野外で行われた。これで寒くない筈がない。それでだというのだ。
「甘酒なのよ」
「有り難う、気を利かせてくれたのね」
「そうしてくれたのね」
「いやいた、私は入れてないわよ」
 その娘は五人に笑って返した。
「持って来ただけよ」
「じゃあこれ入れてくれたのは」
「誰なの?」
「住職さんよ」
 この寺のだというのだ、今ライブを行っている。
「あの人が入れてくれたの」
「あっ、住職さんが」
「そうしてくれたのね」
「寒いだろうってね」
 そう気を使ってくれてというのだ。 
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