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万華鏡

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第七十六話 節分ライブその八

 そうしたことを話してだ、琴乃はクラスを出た。楽器は教室に置いていたのでそれを持ってそのままお寺に向かった。
 そしてお寺に行くとだ、まだプラネッツのメンバーは誰もいなかった。いるのは。
「来たわね」
「あっ、部長さん」
「あんた二番目よ」
 二番目に来たというのだ。
「早かったわね」
「いえ、部長さんの方が早いですよ」
「だって私放課後のチャイムが鳴ったらね」
「すぐにこっちに来られたんですか」
「ダッシュでね」 
 全速力で走ってここまで来たというのだ。
「そうしたのよ」
「そうなんですか」
「楽器はもうこっちに持って来てたしね」
「えっ、もうですか」
「昨日部活が終わったらね」
「こっちにですか」
「そう持って来てたのよ」
 昨日の時点で既にそうしていたというのだ。
「それで用意してたから」
「それでダッシュで来ればですか」
「後はここでライブするだけだからね」
「相変わらず動きが速いですね」
「フットワークには自信があるから」
 部長は楽しげに笑って琴乃に返した。
「動きが速いとそれだけ色々出来るからね」
「いいんですね」
「そう。けれどね」
「けれど?」
「自分が速くても他の人にどうこう言うことはね」
「そういうことはですか」
「私嫌いだから」
 こう琴乃に言うのだった。
「人は個人差あるからね。わざと怠けてない限りはね」
「そうしjない限りはですか」
「要は頑張ることじゃない」
「その人それぞれで、ですね」
「そう、だから動きが遅いとか言って怒ることはね」
 怠けていない限りは、とだ。部長は琴乃に話す。
「私はしないからね」
「そういえばそうですね。部長さん怒らないですね」
「皆いい娘だしね」
 だから余計にというのだ。
「そもそも怒鳴り散らす人間なんて器が小さいからでしょ」
「あっ、元首相とか」
「あのお遍路行ってたね」 
 その遍路で何を手に入れたのか疑問ですらある。何処までも卑しく下劣で無能な輩であることは間違いない。
「あいつね」
「あいつですか」
「私あいつ嫌いだからね」
 だからだ、あいつ呼ばわりだというのだ。
「あんな人間になりたくないから」
「確かにお世辞にもいい感じの人じゃないですね」
「あいつは最低よ」
 部長はその元首相については顔を顰めさせて言及した。
「あんな汚い奴そうはいないわよ」
「汚い、ですか」
「卑怯でしょ、嘘吐きで責任逃ればかりして」
「他の人にはとやかく言いますけれど」
「あんな風にはなりたくないの」
 間違っても、というのだった。
「反面教師よ、まさにね」
「模範は模範でもですね」
「そう、反面教師よ」
 まさにそれだと言う部長であった。
「それじゃあね」
「そろそろですね」
「皆も来るから」
 それでだと言うのだった。 
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