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「メ」から始まる異世界日記

作者:夢兆歌
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つながる過去

 
前書き
彼女が初めて目覚めたとき、そこにはカプセルがならんでいた。彼が目覚めたとき、同じくカプセルがならんでいた。横には、新しい機械をチェックするかのような目で見る男がいた。 

 
ため息をつきながら、空を見上げた俺はまたため息。
また学校だよ…めんどくせぇ…やることたくさんあるのに…
昨日はあかりと話せたし、ロミオには警戒してる気がするけどチワさんとはすっかり打ち解けたようだし。
さすがギルドの母ちゃん。
「よぉっ! なんか奢ってくれんだろ~? 学食のさ、焼き肉定食でいいぜ!」
まためんどくさいのがきた。てか待てよ?
「誰がお前の飯を奢るっていったぁ!?」
「なんだよ~相棒、昨日走り去る俺の背中に悔しいけどなんか奢ってやろうって言ってくれたじゃねぇか! だから俺はその後の説教も耐えたんだからな?」
…あかり…世界には伝えなくちゃならないこととそうじゃないことがある。ハルキ関連は後者だ。
「しゃあねぇな…今回だけだぞ…」
「っしゃあ! これで今日も楽しみが…あ、そだ。あのあとうまくいったのか?」
「ん? あぁ、おかげさまでな」
「ほらほら、もっと感謝してくれてもいいんだぜ! なんなら学食のメロンパンも買わせてあげようか?」
「それが人に物を頼む態度か! 定食も買わんぞ!」
「ごめんなさい、許してください、もうしません」
そんなこと言いながら席についてハルキと話してたらチャイムがなり、でたよ!? 高圧的でいちいちムカつく言動をとる担任のご登場。
そしてホームルームの連絡事項。寝てるのか起きてるのかわかんない状態でボケッとしてたらすぐに終わり、1時間目の物理。
バネには男性力があるそうです。バネはモテるのかとか思ってたら漢字がちがった。弾性力だって。それにあわせて重力も勉強したぞ。朝っぱらからリンゴがどうとか腹が減るんだよ。農業ギルドのやつが「リンゴが落ちるのは眺めるな! 拾え!!」みたいなこと言ってた。
2時間目は情報技術。なんだ? 2進数か? 0と1じゃ何も伝わらねぇんだよ! すくなくとも人間どうしのやりとりじゃ!
3時間目は数学…いや、睡眠時間だ。
授業も終わったし、ハルキ(と書いてバカと読む)を連れて学食にいったよ…ったく、予期せぬ出費だぜ…
学校での俺は比較的大人しめにしてる。てか…周りが静かすぎてあんまりふざけられないんだよね…
とりあえず俺はハルキに奢ってから、唐揚げ定食を買った。ムカつくにやけ面をさらしながら焼き肉定食買ってきたハルキと合流して座った。他にも同じクラスの奴も何人かいた。てか…いつも思う…この…禁断の黄色い果実…貴様だ! レモンめ!! いつもいつも唐揚げの横に居座りやがって!! 俺は貴様が嫌いなんだ!! すっぱいの苦手だし、サクサクの衣がしんなりするし、搾るときは手が汚れるし…しかしこの際だ。手が汚れるのは仕方あるまい…
「俺は貴様と決着をつけるっ!!」
「どったの!? コウ…お前頭やられたか…」
「うるさいっ! おれは…おれはぁぁあ!!!」
気合いでレモンを一気に握りつぶす! すると、飛んだ果汁が目に直撃。
「目が…目がぁぁぁあ!!!??」
「うっはははは!!!! コウ…ぷくくく…コウがバ○スくらったわ…くっくくく…」
「あはは~っ! かの有名な目潰しの?」
「バカみたい~っぷくくくく… あぁ、腹いてぇ…」
う…うるさいっ! ハルキはともかく…お前らはモブのくせに…モブのくせにぃ!!



そして俺はイライラしながらギルドに向かった。ハルキと別れるときのあのにやけ面と
「いやぁ、焼き肉定食あんがとな! あと、身体をはったギャグも…くくっ…あぁ…ダメだ…思い出すと…うはははは!!!」
どれもこれもレモンめ!! 貴様だけは…いかしておけん!!
ギルドに入るとミドリとティラミスがあかりを囲んで喋っていた。
「お~っす! あ、わるいな、ミドリにティラミス。相手してもらって」
「構いませんわ。あかりちゃんはわたしの妹ですから♪」
「わー…仲良くてなによりです」
「まったく! あかりがきてからアタシよりあかりの相手する時間が長いし!」
「妹…か… たしかに目元にてるか?」
「ちょっと!? コウまでアタシをはしょるの!?」
「あぁ、あかりちゃんクンカクンカ」
「まてまてまて!? 首筋の匂いかいでんのか!? 救いようがねぇな…」
「クンカクンカクン……こ…これは…」
いきなりティラミスの顔が真っ青になった。さすがに不気味すぎる。
「え? えぇっ!? どういうこと!?」
ミドリもあかりの首筋を見て声を上げた。
「え? なに? 2人そろって…ッ!?」
あかりの首筋に見えたのは、数字だった。23と書いてあった。
「やはり…わたしの…妹…?」
なっ!? え? えぇっ!? てことはティラミスも…
困惑してる俺の顔を見て、ミドリがちらっとティラミスを見る。
頷いたのを確認してからミドリは口を開いた。
「コウ…ティラミスは昔の記憶を失ったのは知ってるよね?」
「あ…? あ、うん」
「ほんとは、失ってはないんだ。ティラミンには、過去がないの」
「は…はぁ?」
ミドリから聞いた話をようやくするとこうだ。
ティラミスは組織によって作られた存在だ、そしてそこにはティラミスを含めて30くらいの作られた存在がいたらしい。そして能力を無理やり変えられたらしい。能力ってのは人が生まれもっている。だからそれを変えるのは死んだ人間を生き返らせるぐらいの禁忌だ。変えられた能力に適応できず、ティラミスは能力を失った挙げ句、見放されて外に放り出されて衰弱していたらしい。そこをたまたまバンギのおっさんにひろわれたらしい。ティラミスの首筋には数字の3と書かれていた。いや、刻まれていたと言った方が正しい。そしてギルドで一番面倒を見てくれたのがミドリらしい。ちなみに彼女が19歳と言ってるのはそのせいだ。ミドリに「すくなくともわたしより年上だねっ!」と言われて勝手に16歳と認定されて3年たつらしい。
「あなたは…あかりちゃんは…わたしの…妹…?」
すこし血の気の戻ってきたティラミスがうわごとのようにつぶやく。
俺はおっさんに当日の状況を聞いたら、
「メン洞窟に依頼でいったらいたんだ。ほっといたら寝覚めがわるいからな、連れてきた」
と言っていた。
やはりメン洞窟には何かある。


時を同じくして、俺の通っているタイクツ付属に電話がかかっていた。
俺の知らないところで、大きななにかがたしかに動いている。 
 

 
後書き
あかり関連のごちゃごちゃもひと段落!
ようやく整ってきました!
ここから始まりますティラミスのエピソード。あかりとティラミスの関係は、その裏にある物とは、なぜ作られた存在が必要なのか、なんのために、そんなことをのらりくらりと書いていきます。
また、これからは更新のペースが落ちます。すいません。
しかし、構想はだいぶカンペキなので楽しみに待っていただければ幸いです!
それでは、また! 
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