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ソードアート・オンライン~ニ人目の双剣使い~

作者:蕾姫
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敵を貫くのは

 
前書き
リン視点
 

 
「……そうか。ならこれ以上の言葉は不要だね」

今まで常にレオンの表情にあった愉悦が消えた
変わって現れるのは怖いくらいの無表情

「いいよ。なら僕は君の意を汲んで本気で取りにいく。キャラじゃないけど……いいよ、今回だけは熱血キャラでいてあげる。来なよ。命を賭けた殺し合いを始めようじゃないか」

「言われなくても!」

友好的かつ平和的な解決ができない以上、あとは暴力的な力に頼るしかない。もっと時間があれば他の方法を模索できるんだが……

「行くぞ!」

地面を確認しつつおもいっきり土を踏みしめ前へ。短刀相手に懐に潜り込まれることの愚かさを俺はよく知っている
だが、遠距離からチマチマとピースメーカーで撃っているだけではレオンほどの実力者を倒すことは絶対にできない
だから前に出る。一歩間違えれば、俺は全体力を失い敗北するだろう
それはすなわち詩乃とペイルライダーの死を意味するだろう

「しっ!!」

光剣を横なぎに振る。それをレオンはフックスライディングのような形でかわす
そして、俺の足を軽く蹴り下から跳ね上がるようにして斬り上げてくる

「チッ……」

ピースメーカーで向かってくる剣先を撃ち、ついで向かってくる二撃目をピースメーカーで受ける
もちろん強度的に足りるわけがなく、ピースメーカーは爆発。それで怯んだその隙にレオンに向けて再度光剣を振る

「くおっ……!!」

仰け反ったレオンの頬に光剣が当たるが浅い
これ以上の追撃は不可能と判断し、地面を蹴って距離をとる

「やはり……強い」

俺の手元にある武器は手に持っている光剣と懐に入っている数本の銃剣のみ

「それはこっちのセリフだよ。まさか、あのタイミングでかわされるとは思わなかった」

予備知識無しならば危なかった。俺がかわせたのは単にその技を知っていたから
二刀流突撃系剣技、ダブル・サーキュラー
それがその技の名前だ
自身も何度も使用していたからこそ軌道を読み切ることができたのだ

「……キツいな」

自身の武器である光剣に目を向ける。自分の使っていた剣よりも軽く、武器防御もできない
唯一の救いは攻撃力が桁違いってことだけか

「……っ!!」

再びレオンが懐に潜り込もうと行動を開始する

俺は懐から銃剣を取り出すと投げる

「チッ……」

レオンは舌打ちをしながらも銃剣を弾く
そこに俺が光剣を一閃

「くっ……!」

苦悶の声は俺。レオンが投げたナイフによって腕にダメージを負ったからだ。その衝撃で光剣の軌道がブレ、外してしまった

「取った!!」

「やらせると思うか?」

光剣をやり過ごしたレオンが反転。残ったナイフで首筋を狙ってくる
迎撃できるような武器は所持していないので地面に転がる

「かかったな!」

倒れることを予想していて、そのまま全体重をかけて倒れこむようにして短刀を振り下ろしてくる
光剣の刃は自身を斬らないようにするため転がるときにしまってある。レオンの言った通りチャンスだろう
転がったときに握ったFN(・・)が無ければ

「なっ!?」

そりゃ驚くだろう。武器も何も使えなくなった(と思っていた)俺がいきなり銃口を向けてきたのだから
簡単な話だ。転がる位置、タイミング、銃の転がっている場所。そして、ここまでが俺の描いたシナリオ
俺は主人公のように偶然や隠されていた力なんてものはない
だから、それを補うだけの策を用意しておく。それが俺の戦い方。……最近、主にキリトのせいでできていない気もするが

向かってきたレオンに向けてFNを撃ちこむ。そして、その衝撃でスタンしたレオンを伸長した光剣で斬り裂いた

レオンの体が宙を舞い、Deadタグを浮かばせ始めたときにはもう俺はステルベンの元へ走り始めていた










「ザザ!」

「くっ……リンか!」

地面を見るとペイルライダーがDeadタグを浮かべて倒れている
剥き出しの顔はどこか誇らし気である
ステルベンは手にしていた黒い小型拳銃……黒星を懐に納める
そして改めてエストックを構える

「レオンはやられたか……」

「……あぁ……」

どうにか倒したが、体力を半分ほど持っていかれた
。あのレベルの相手との戦闘なんてソードアート・オンラインのヒースクリフの影以来だ

「ククッ……まあいい。ペイルライダーは倒したし、シノンは弾切れだ。あとは俺がお前を一騎打ちで破り二人を……殺すだけだ。無様に負けて倒れ、地に這いつくばらせて見せてやるよ。お前の大切なものが儚く散る様をな」

「どうかな……。地を這うのはお前の方じゃないか?人は守るものがある時に最大の力を発揮する。そうだろ?」

「くだらないな。人と人の繋がりなんて脆いものだ。結局、人は自分可愛さに犯罪を犯す。俺がそうだし、お前もそうだ。忘れたとは言わさないぞ?あの日、あの洞窟で三人もの人を殺したことを」

「忘れてなんかいないさ。確かにあの時、俺は躊躇なく人を殺した。それは消えることの無い罪だし、懺悔をしよう。でもな、あそこで三人を殺したことは後悔していない。殺したことで命を拾ったやつもいるんでな。残念ながら、俺にとっては守る側の命の方が重かった」

「それはただの詭弁だ」

ステルベンはそう吐き捨てた

「そうかもな」

俺は笑う。詭弁であることも理解しているから

「だが、詭弁だろうがなんだろうが、俺はそれを信じて突き進む。もし、間違っていたらキリトやシノンが止めてくれるさ。俺をたたきつぶしてでも」

そう言うとステルベンは嘲笑気味に笑った

「結局は他人頼りか」

「他人頼りのなにが悪い。俺は自分だけではできないことにぶち当たったとき、他人に助けを求める。巻き込みたくないとかそんな小さなプライド……いくらでも捨ててやる」

「……詭弁だ」

そういうステルベンの言葉は弱々しくなっていく

「なら、詭弁じゃないことを証明するさ。……お前を倒すことで」

「……いいだろう。俺はお前を倒した後、あの二人を殺しおまえの無力さを思い知らせてやる」

もはや、語ることは無いといった感じで話を打ち切り、エストックを構える

「……おまえの敗因を教えてやろうか」

「ほざけ!」

エストックを構え、こちらに跳びだしてくるステルベン
知ってはいたが、凄まじい剣のキレ
足場が砂場ということも重なり、時折俺にダメージが入る。だが、俺は言葉を紡ぐことをやめない

「お前は強い。それは認めよう。だがな。それは所詮個の力だ」

「……なにが言いたい」

エストックが俺の体を擦る。残りHPは二割強
光剣を振ってステルベンを下がらせる

「個の力では……よほどの実力差がなければ信頼しあった群には勝てない。お前の負けだ」

「ククッ……可笑しなことを言う。シノンはもはや戦えず、おまえは俺に手も足もでないじゃないか」

「シノンが戦えないと決め付けるなよ?」

「なに?」

眉をひそめたステルベンの体が硬直し、瞬時に後ろに跳んだ

「弾道予測線?……まさか!?」

弾が無いと思っていたシノンからの弾道予測線による攻撃(幻影の一弾)。さぞや、ステルベンは驚いただろう。反射的に回避行動をとったのがその証拠だ。シノンから見て俺とステルベンの体はほぼ一直線上にあると思う。いくらシノンが腕のいいスナイパーだとしても俺に当たる可能性が高く、ステルベンにかわされる可能性が高いこの状況で撃つわけがないと回避行動をとってから気付いたようだ
このチャンスを逃す手はない

「はっ!」

後ろに跳び、隙だらけになったステルベンに光剣を叩きつけるように一閃
だが、ステルベンも諦めてはいない
持っていたエストックを俺の手元に向けて投げた
その当たった衝撃で剣閃がブレる
結果として俺は攻撃を外した。そして、HPが一割を切った

「ククッ……結局俺の勝ちだ」

懐から既に予備のエストックを取り出していたステルベンは勝ち誇ったような声色で振りかぶり、そのエストックを持った手を撃ち抜かれた

「なっ……」

「俺に意識を向けすぎだ!」

シノンのヘカートⅡに弾丸が残っていたことをステルベンは知っていたはずだ。それなのにかわせなかったのは集中力を欠き、俺の策略にはまり俺に意識を向けすぎたからだろう

そして最大の失敗は撃ち抜かれたことに驚き、動きを止めてしまったこと
シノンの弾丸は予備を除いて打ち止めだし、俺のHPは一割を切っている。対するステルベンは三割ほど残っている。だから、そのまま後ろに転がればステルベンの言った通り俺たちの負けだっただろう
だが、現実は動きを止めているし俺はステルベンのHPを刈り取るために動き始めている

「俺を……倒しても……あの方が……」

斬り裂かれ、宙を舞っているステルベンが切れ切れに言葉を発した

「残念だがそれは無いな。俺には防ぐことは無理でもキリトのバカがいる」

地面に落ち、Deadタグを浮かべ始めたステルベンに向かって、吐き捨てた

「俺はともかく、俺たちをなめるな」 
 

 
後書き
蕾姫「はい、というわけでガンゲイル・オンライン。バレット・オブ・バレッツはこれにて終結ってわけです!」

リン「なんだかんだいいながらバトルシーンでは最長なんだよな……」

蕾姫「まあ私自身、このファントム・バレット編を本編と捉えていましたし、その最後を彩るバレット・オブ・バレッツのリン&シノン&ペイルライダー(笑)とステルベン&レオンの戦い。約一年間の執筆活動の集大成であります!」

リン「ほとんど文才がないから集まってもそんなに凄くないがな」

蕾姫「言わないで……それは……」

リン「……了解した」

蕾姫「はい。気を取り直して……ファントム・バレット編はまだちょっとイベント(うちのメインヒロインに付いた虫退治)が残っていますが、一応山場は終了です!」

リン「次はどこへ行くんだ?」

蕾姫「とりあえず、キャリバー編とマザーズ・ロザリオ編をもって完結となると思う。アシリゼーション編は……やるとしても別作品。主人公をスライドさせるから考え中……」

リン「そうか……まあ、まだ先は長そうだが、終わりは見えたな」

蕾姫「それは完結してから考える。それよりも!」

リン「……なんだよ?」

蕾姫「リンの画像が欲しいです! 俺の絵心は小学生レベルだから無理! 誰かお願いします。シノン付きで」

リン「……話題の転換が早い」

蕾姫「あ、感想が返信できるようになりました」

リン「今言うことか!?」


というわけで、リン&シノンを書いてくれる人を募集ー。くれる人は感想によろしくお願いします!あと普通の感想もお願いします 
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