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万華鏡

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第七十六話 節分ライブその五

「行かないらしいのよ」
「女の子は」
「そうらしいのよ。お込焼き屋さんにもあまり入らないそうよ」
「じゃあそこでビールも」
「ないらしいわ」
「何、それ」
 ここまで聞いてだ、彩夏は信じられないといった顔で言った。
「人生の楽しみがないわ」
「吉野家も行かなくてたこ焼きも立ち食い蕎麦屋さんもお好み焼きさんも行かないっていうのは」
「そんなのだったら串カツも?」
「行かないらしいわ」
「うわ、それはないわ」
 完全に有り得ないという顔での言葉だった。
「関東の女の子って何なのよ」
「そう思うわよね」
「そういう「お店に行ってこそじゃない」
「それで飲むのよね」
「ビールね、大ジョッキで」
「粉もの、揚げたものにはビールよ」
 これこそが最高の組み合わせだというのだ。
「そういう楽しみがないって」
「禁止されているんじゃなくておばさんみたいって行かないらしいのよ」
「あっきれた。それって何なのよ」
「女の子はクレープとかね。ケーキとかハンバーガーとかね
「そうしたお店にしか行かないの」
「あとアイスクリームとか」
「そういうのを売っているお店にも行くけれど」
 普通にだ、関西では。
「けれどね、お好み焼きとか食べないと」
「駄目よね」
「人生の楽しみがないわ」
「それが関東にはないのよ」
「嫌な話ね。私関東には住めないわね」
 秋田生まれでも、というのだ。関東の方が関西よりも東北に近いがそれでもだというのである。彩夏は本気で言った。
「絶対に」
「おばさんってそういうお店行くらしいのよ」
「関東ではなの」
「それでお笑い番組もあまり観ないとか」
「吉本も?」
「そう、歌番組とかで」
「吉本こそが楽しいんじゃない」
 彩夏はこうも言った。
「例えば巨人阪神」
「昔からよね、あの人達は」
「そうよ。あと伝説だけれどやすきよ」
 横山やすしと西川きよしである。確かに様々な問題があったが横山やすしは天才漫才師であったと言うべきであろう。
「新喜劇もね」
「面白いわよね」
「人生笑ってこそじゃない」
 飾らずに食べて飲んでそしてというのだ。
「思いきり笑ってね」
「それでストレス解消してね」
「そういうのがいいんじゃない」
「あと野球は言うまでもなく」
「巨人とか?」
「ヤクルト、横浜、ロッテ、西武よ」
 パ・リーグの球団も入っていた。
「そういう感じだから」
「じゃあ女の子が阪神応援するのも」
「向こうも阪神ファンいるみたいだけれど」
「それでもなのね」
「トラキチはね」
 それは、だった。
「やっぱり上品には見られないみたいよ」
「まあ確かに上品なカラーじゃないわね、阪神って」
 伝統的にこう思われている、このことは彩夏も否定出来なかった。
「ファンにしても」
「まあ巨人とは違うわね」
「巨人はダーティーなのよ」
 親会社の影響が大きいのは言うまでもない、フロントのだ。巨人のカラーはまさにダーティーそのものにしたのはフロントなのだ。
「けれど阪神はね」
「上品じゃなくてね」
「雑多?」
「雑多じゃないんじゃないの?」
「クリーンじゃないわよ」
「綺麗じゃないわね」
 少なくとも、というのだ。
「大阪っていうか」
「道頓堀yよね」
「大衆的だけれどね」
 巨人の様なドス黒い禍々しい邪悪さはない、しかしなのだ。 
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