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ジャガイモ

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第四章


第四章

 その中でだ。ふと幸一がある本を見つけてきたのだ。それは。
「あっ、これって」
「どうしたの?」
「ほら、この本」
 こう言って幸二にもその本を見せたのだった。
「見て」
「あれっ、歴史の本なんだ」
「うん、絵本だよ」
 それは一冊の絵本だった。ドイツ語でこう書かれていた。
「王様とジャガイモ?」
「またジャガイモ?」
 幸二はジャガイモの文字を読んでうんざりとした顔になった。
「本当にジャガイモばかりだよね、ドイツって」
「そうだね。けれどこの本面白そうだよ」
 幸一は本能的にこのことを悟って言ってきた。
「どう?読む?」
「そうだね。読んでみようよ」
「うん、それじゃあ」
 こう話してであった。二人で席に着いてその絵本を読み出した。底には王様が国民のお腹を一杯にする為にジャガイモを食べさせる話だった。
「ふうん、ジャガイモをね」
「あんなの幾らでも食べられるじゃない」
 二人は読みながらまずはこう思った。しかしそれは違っていた。
 読んでいくうちにだ。二人はわかってきた。
「皆最初はジャガイモ食べなかったんだ」
「気持ち悪いとか言って」
「それで王様は考えて」
「貴族しか食べるなって言ったんだ」
 話を読んでいくうちにその流れがわかってきたのだ。
「それでなんだ」
「それで貴族の人しか食べちゃいけないって言って」
「そうして食べさせたなんて」
「考えたんだね」
 二人はその話を読んであらためて思ったのだった。
「それで食べてみたら美味しくて」
「凄い勢いで広まったんだ」
「それがジャガイモだったんだ」
 二人はそのことも知った。そして。
 その話を両親にしてみた。するとだった。
「ああ、そのお話はね」
「本当のことだぞ」
 こう言うのだった。
「それはこの国の王様の話で」
「フリードリヒ大王の話だな」
「フリードリヒっていったら」
「どっかで聞いたよね」
 幸一と幸二も聞いたことのある名前だった。
 
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