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転生者物語 in ハイスクールD×D

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第一章・その名は邪王真眼 小鳥遊六花(高校一年間)
  第七話

駒王学園。

ハイスクールD×Dの主な舞台となる場所だ。ゆえに、悪質転生者が多く潜んでいると思われる。そんな場所に宇宙警備隊グラントータスこと亀守玄は学生として入学していた。今回は、そんな彼の駒王学園での生活の一部をご覧頂こう。




「覗きよ!捕まえて!!」

体育の授業が終わった後の学園内に女子の叫び声が響いた。何やら三人の男子生徒が大勢の女子生徒に追いかけ回されている。この三人は原作の主人公『兵藤一誠』とその友人の松田と元浜だ。何故彼らが追いかけ回されているのか?それは至極単純、体育の授業が終わった女子達の着替えを覗いたからである。
この三人は学園では『変態三人組』と呼ばれ、女子から思いっきり嫌われているのだ。今回のように覗きはするし、学園にR-18なブツを持ち込んだりしている。その度に女子一同からボコボコにされたりしているのだが、全く懲りないのである。
現在、追いかけて来る女子達を振り切ろうと全力疾走する変態三人組であったが、その前に一つの人影が立ちはだかった。

「そこまでじゃ!!!」

「お、お前は・・・『風紀番長』!!!」

現れた人物…玄の姿を見てそう叫ぶ元浜。何故玄にそんなあだ名が付けられているのか?それは、彼が番長っぽい見た目にも関わらず、風紀委員をやっているからである。
そもそも、玄は宇宙警備隊の隊員なので根っこの部分は真面目なのだ。番長みたいな喋り方をしているのはファイバードが時代劇の影響を受けたのと同じように、彼もドラマやアニメの影響を受けただけの事である。

「お前ら。女子の着替えを覗くなど、男として恥ずかしくは無いのか!!!」

玄の一喝が響き渡る。変態三人組はそれに一瞬硬直するが、元浜がそれに言い返す。

「恥ずかしいだと?そんな事は無い!何故なら我々は欲求に従って女体の神秘を探求してるだけだからだ!!」

「その欲求を理性で抑えるのが人間じゃ。欲望のままに好き勝手しては野獣と変わらんぞ!」

だが、玄は正論でそれを返した。

「そうよそうよ!」

「もっと言ってやってよ番長!」

いつの間にか、変態三人組のすぐ後ろまで来ていた女子達が叫ぶ。

「さあ、抵抗しなければ生徒指導室へ連行するだけで済ませてやるぞ。」

「「「ぐっ・・・」」」

前には玄、後ろには女子生徒達。もはや変態三人組に逃げ場は無いと思われた。だが・・・

「俺たちは、こんな所で倒れる訳にはいかない!!!」

奴ら…特に兵藤一誠は諦めていなかった。

「そうだな!」

「諦めたらそこで試合終了だ!!」

そして、三人は前でも後ろではなく、横に逃げた。

「そう来おったか。じゃが、まだ甘いのう・・・」

だが、玄は慌てる事なく、むしろ不敵な笑みを浮かべる。そして、次の瞬間・・・

「覚悟しろ!この変態ども!!」

「私たちが成敗してくれる!!」

「「「ぎゃああああああああああああああ」」」

女子の叫び声と共に、変態どもの悲鳴が聞こえてきた。

「玄が足止めしている間に、僕が剣道部や柔道部といった、武道系の部活に所属している女子達を横に展開していましたからね。」

すると、横の方から一人の男子生徒が現れた。

「よくやってくれた、真。」

「そちらも、時間稼ぎありがとう。玄。」

それは、かつて別れた勇者を目指す少年『神奈真(かみなしん)』であった。





自身を転生させた神をプラズマウェーブと共に摘発した後、真は約束通り玄達の下に帰って来た。そして、彼の口からは何故、十花が転生者であると分かったかが知らされた。


情報屋


定期的に悪質転生者の前に現れ、その世界に存在する転生者のデータをタダ同然の対価で渡して来る謎の存在だ。その姿は黒いスーツを着た男性との事である。だが、その“顔”は誰も認識出来なかった。改心した転生者達は口を揃えてこう言う。

『目鼻口がある事は認識出来たが、それらがどんな形をしているかは認識出来なかった。』

この事から、奴は常に認識阻害の類の術を使っていると考えられている。
さらに、魔から解放され、改心した後の転生者の前にはピタリと現れるのを止めている。
それだけではなく、この男と全く同じ特徴の情報屋が様々な世界で確認されているのだ。

「奴に関する情報は集まったのか?」

「それが、全然集らないんですよ。」

玄と真は放課後の無人教室で情報屋についての話をしていた。

「そうか。全く、何モンなんじゃ、あいつは。」

「世界という垣根を越えた組織なのか、はたまた全部同一人物つまり個人なのか・・・」

情報屋の正体に頭を悩ませる二人。すると、そこへ一人の男子生徒がやって来た。

「あれ?二人ともここで何をしてるんだ?」

彼は冨樫勇太。玄のクラスメイトで、この学校に来て初めて出来た友達だ。

「おお、勇太。実はその、な・・・」

「どうやったら変態三人組が反省してくれるのか、話し合っていたんですよ。」

嘘が苦手な玄に代わって真が答える。

「そう言えばあの三人、またやらかしたって言ってたな。」

既に覗きの件を聞いていた勇太はその説明に納得する。その時、勇太はある事を思い出した。

「あ、それと神奈。妹の樟葉から聞いたんだけど、妹さんに俺からの御礼も伝えといてくれないか?」

樟葉というのは勇太の妹の中学一年生だ。
勇太の言葉を聞いた真は首を傾げる。

「“小猫”ちゃんに?何かあったんですか?」

「聞いて無いのか?昨日、樟葉が不良に絡まれていた所を助けてもらったって言ってたぞ。」

「ああ。そう言えば昨日後輩を助けたとか言ってましたね。」

“神奈小猫”。原作では“塔城小猫”という名でリアス・グレモリーの眷属悪魔となっていた少女である。原作では彼女がまだ白音と名乗っていた頃、姉である黒歌が主人である悪魔を殺害し逃亡。その後、小猫はリアスの眷属となっていた。
だが、この世界は黒歌の前に悪質転生者がその主人を殺害し、姉妹を連れ出したのである。それにより、黒歌だけでなくその悪質転生者と白音までもがお尋ね者となってしまったのだ。しかも、悪質転生者の二人に対する待遇が元の主よりは多少マシとはいえ、彼女達からすれば好ましいものではなかった。
そんな時、再会したばかりの玄と真がその悪質転生者を討伐し、彼女達を保護したのである。その後、小鳥遊家は玄達でキャパがいっぱいだったので、二人は真の下に身を寄せる事となったのだ。その際、黒歌は黒絵、白音は小猫という偽名を名乗る事となったのである。
現在、黒絵は六花達の通う高校の二年に在籍しており、小猫は樟葉と同じ中学校の三年に在籍している。

「本当、樟葉がお世話になったよ。」

「小猫にもそう伝えておきますよ。」

勇太にそう答える真。すると、今度は玄が勇太に言った。

「勇太。ワシはもう少し真と風紀委員の話しをするから、先に帰っていてくれ。」

「分かった、じゃあな。」

そして、勇太は教室を後にした。

「で、話とは何ですか?勇太君を帰らせたと言う事はやはり転生者関係で?」

勇太の姿が見えなくなった後、真が玄に尋ねた。

「いや、お前さんの妹についてなじゃが。」

「小猫について?」

「ああ。来年から高校生なんじゃろ?なら原作通りここに進学させるのかと言う事についてな。」

「小猫の進学についてか・・・」

真は顎に手を当てながら考える。

「多分、彼女の顔は割れてしまっているでしょうし、黒絵と同じ高校に進学する事になるでしょうね。それに、グレモリー先輩の戦車(ルーク)には既に“彼”がなってしまっていますし。」

「・・・“奴”が接触する前に始末出来んかったのが痛かったな。」

“彼”もしくは“奴”とは、現在リアス・グレモリーの眷属となっている悪質転生者の事だ。魔に取り憑かれている訳ではなく、根っからの悪質転生者である。だが、根っからの悪質転生者の殆どが思考が短絡的で直ぐ騒ぎを起こすのに対し、こいつは頭が回るのか、普段は優等生の皮を被っているのである。もっとも、それでも色々と隠し切れて無い部分も多いが。

「下手に手を出せばオカルト研究部を敵に回す事になってしまいますし、困ったものです。」

「ああ。全くじゃ。」

「にしても、今時“あんな能力”を注文するとは、変わった人です。」

「確か“無限の剣製”や“王の財宝”が流行る前に流行った能力じゃったか?」

「ええ。とはいえ、ある意味その二つよりも厄介かもしれませんが。」

「そうじゃな・・・」

奴の能力の詳細を思い出し、真に同意する玄であった。





JHR地下基地。ここはACトレインのようなヒカリアンや列車に変形するトランスフォーマーだけでなく、派遣転生者および改心した転生者達の基地になっていた。

「さて、皆集まってくれたな。」

ここの責任者であるACトレインが台に乗って挨拶をする。

「今回の集会だが、ボリスから皆に伝えたい事があるらしい。」

ACトレインがそう言うと、ボリスが前に出た。

「今回、皆に伝えたい事は俺が個人的に気になって、サウンドウェーブに調べてもらった事だ。」

「個人的に?そんな事を何でわざわざ・・・」

ボリスの言葉に六花は疑問を感じる。瑠奈もまた首を傾げていた。すると、彼はこう答える。

「それは、調べた結果全員に伝えるべきと判断したからだ。サウンドウェーブ、後は頼む。」

「分カッタ。」

ボリスが下がり、サウンドウェーブが代わりに前に出た。

「今回、皆ニ知ラセタイノハコノ二人ニツイテダ。」

エフェクトのかかった特徴的な声で彼がそう言うと、空中にホロスクリーンが映し出された。さらに、そこへ二人の少女の顔の画像が映し出される。

「「「えっ!?」」」

それを見て六花、メイ、そして瑠奈の三人は驚愕した。ホロスクリーンに映し出されたのは彼女達のクラスメイトの『丹生谷森夏』と『七宮智音』だったのである。




《六花Side》

「これはどう言う事だ!!」

私はボリスとサウンドウェーブに向かって叫んだ。意味が分からない。何故ここで丹生谷と七宮の話が出るなんて。

「実は、この二人の特徴の一部が俺が生前読んでいたラノベの主要登場人物と似ていてな。気になったから調べてもらったんだ。」

ボリスがそう答えると、サウンドウェーブがその続きを話す。

「調ベタ結果、コノ二人ハ裏ノ活動ハ一切シテイナイ事ガ分カッタ。」

「なら、どうして!」

「ダガ、身内ニツイテ調ベテミタラアル名前ガ出テ来タ。」

「ある、名前・・・?」

「『夏目直貴』。ソレガ丹生谷森夏ノ母方ノ祖父ニシテ、七宮智音ガ『螺旋ノ魔術師』ト呼ンデイタ男ノ名前ダ。」

「「「夏目直貴だって(だと)!?」」」

すると、転生者の何人かが夏目直貴の名前に反応した。その中にはNダガーの姿もあった。

「知ってるの、Nダガー?」

「ああ。『アスラクライン』と言う作品の重要な登場人物の一人だ。もし、その夏目直貴が我々の知る者と似たようなものなら、七宮智音の正体は・・・」

待って。何でそこで七宮の話が出て来るの。
私がそうNダガーに聞く前に、サウンドウェーブが話の続きを始めた。

「サラニ、コノ夏目直貴ト言ウ男ニツイテ調ベタ所、三勢力トハ別ノアル組織ノ存在ガ明ラカニナッタ。」

三勢力以外のある組織?それは一体・・・

「“黒科学狂会”。ソレガ夏目直貴ガ設立シタ組織ノ名ダ。」

「やはりそうか。」

Nダガーを始めとした夏目直貴を知る者たちが一斉に納得する。

「何なの、その黒科学狂会って?」

「六花。現代科学とは魔術から発展した物だと言う事は知っているか?」

「え?」

Nダガーから返って来た問の意味が私にはよく分からなかった。けど、理解出来ない訳じゃない。そういった話は聞いた事は確かにある。でも、それと黒科学狂会とどう関係があるのかと言う事は理解出来なかった。

「魔術には大きく分けて『白魔術』と『黒魔術』がある。だから、魔術から生まれた科学にも世間一般で出回っている『白科学』とは別に『黒科学』と言う物が存在すると言うのが黒科学に関わる者の弁だ。」

何それ?
それが私の感想だった。だが、私自身が堕天使とのハーフなどと言う一般人からすれば何それな存在なのでそんな事は言っていられないけど・・・

「黒科学狂会ハ既ニソノ技術力デ様々ナ兵器ノ開発ヲ行ッテイル。」

その時、サウンドウェーブが話を再開した。

「ソノ中デ、件ノ二人ガ関ワッテイルト思レルノガ『機巧魔神(アスラマキーナ)』ダ。」





《三人称Side》

集会が終わった後、小鳥遊家の面々はACトレインに乗って基地から最寄りの駅まで帰る所だった。

「六花。お前はこれからどうするのだ?」

メイが六花に聞いた。

「決まっている。丹生谷も七宮も戦いに巻き込ませはしない。二人は、私が守る!!」

すると、六花は決意の篭った声で答える。そんな彼女に十花が言った。

「“私たち”だろうが。」

「え?」

「十花の言うとおりだ。あの二人は六花だけの友達ではないのだぞ。」

メイもまた六花を諭すように言う。そこに玄も続いた。

「学校には黒絵さんも居るんじゃし、来年には小猫も来る。何かあったらその人達にたよればいいんじゃ。」

「皆・・・ありがとう。」

頼りになる仲間達に、六花は最高の笑顔を向けるのであった。



続く

 
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