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魔法少女リリカルなのは ~優しき仮面をつけし破壊者~

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オリジナルストーリー 目覚める破壊者
オリジナル~StrikerS 日常編
  62話:帰ってきた日常(げんじつ)

 
前書き
 
だいぶ遅くなってしまいました。すみません。
  

 
 



「うん……これで大丈夫そうだな」
「そうか、ならようやく帰っていいんだろ?」
「ふむ、まぁそうだな」

そう言って空中にあるホログラムを閉じて、俺に向き直る。その表情はこいつにしては見たことのない、柔らかい微笑みだった。

「ヤダこれ気持ち悪い」
「僕に凍らされて帰れないか、強制的にミッドに連れてかれて帰れないか…どっちだ?」
「ごめんなさい、どっちも嫌です」

機嫌を損ねられたので、取りあえず平謝り。
クロノはそれを聞いてフンッと鼻を鳴らした。相変わらず不愛想なこって。

「また変な事考えてないか?」
「いえいえ、全然」

ていうか……

「早く帰りたい」
「大丈夫だ、すぐに帰れるようにしてやろう。凍らせてな」
「別に凍らせなくてもいいだろ」

今度はデュランダルを取り出して、矛先を鼻先に突き出してきた。おうおう、怖い怖い。




















この状況、皆さまはおわかりになれるだろうか。

今俺はアースラの一室にて、クロノと話し合っている。
内容は俺が連れ去られた後の後処理。それと大ショッカーに連れていかれたことで、体に異常がないかどうかの、健康診断的な事の結果の二つだ。

後処理の方はクロノも手伝ってくれたり、隊の面々とも会えたりとかもできて、色々よかった面が多かったりして意外と早く終わったんだが……健康診断の方は、引っ掛かりが残った。
以前も出た、ユニゾン紛いの反応。これが管理局に波紋を呼んだのだ。

今の技術では実現しえないもの…デバイスなしでのユニゾンが色々問題だったらしく。
碌にできない説明を求められ、余計に時間を取られてしまった。

予定では一週間で帰れる予定だったものを、結局二週間程掛かってしまった。
その所為で年越しはミッドで寂しく過ごすことになってしまった。

んで、ようやく解放されてアースラに移動。最終確認をして、今に至る訳だが……

「はぁ…年越し…」
「仕方ないだろう、それぐらい今の君の状況は可笑しいものだったんだから」
「そうは言っても…年越しぐらい地球(こきょう)でやらして欲しいもんだぜ」

肩を竦めながらぼやくと、クロノは……

「因みに僕も年越しはあっちだったんだが」
「ざまぁwwwww」
本気(マジ)で凍らせるぞ」
〈 Whenever you're ready, boss(いつでもどうぞ、ボス)〉

ちょ、待てデュランダル!お前はその主人(ボス)を止めないといけないんじゃねぇか!?話せばわかる二人(?)共!ここは平和的に()こうぞ!暴力だけで収めようとするなんて、それ絶対可笑しい!
な、話し合いこそ平和的かつ安全な……っておい、その詠唱止めい!頼むから氷漬けだけは…お代官様、氷漬けだけは……氷漬けだけはああぁぁぁあぁぁぁ……!




















演技でした、テヘッ!自演乙ってな!

「何してる、さっさと行くぞ」
「はいはい、了解ですよ真っ黒黒助さん」
「っ…それは僕があれのように真っ黒でちっさいと言いたいのか?」
「別にそんなつもりで言った訳じゃ……てか、お前見たことあんの『あれ』」
「フェイトに誘われて一度だけ家族で…」
「ほぉ、羨ましい程の家族っぷりじゃないか。俺の知らぬ間に、『お兄ちゃん』と呼ばれるのには慣れたか?」
「むっ……うるさい…」

ほれほれ、顔真っ赤で顔背けちゃって~。というか、ちっさい事は気にしてんだな。
んで、今俺らはハラオウン家の転送ポートへ飛んで、そこから翠屋へ向かっている途中である。

「はぁ~…桃子さんのお節食べたかったな~」
「君はまた…」
「だってよぉ、一年のこれっきりしか食う機会ないんだぜ?もったいねぇじゃん!」
「そこをこだわるのもどうかと思うが…」

ほんと不愛想が形になったような奴だよな~、こいつ。しかも前よりか冷静さが増してて、いじり難くなってやがる。ならば……

「…どうしたんだ、急に携帯を取り出して?」
「……あ、エイミィさん?あぁ、今向かってる途中……で、一つお願いが……クロノの恥ずかしい昔話とか、最近の恥ずかしい話とか―――」

瞬間、俺の手から携帯が消え失せ、隣を歩くクロノが通話を切った。

「…………」
「…………」
「……………(ニヤッ)」
「っ……士なんで急に早歩きなんだおい待てエイミィから何を聞くつもりだちょっと待てと言ってるだろ、おい待てコラ本気で凍らせるぞ!」




















色々あってようやく到着翠屋。その入口付近には二つの人影が。

「お、来た来た!」
「士郎さん、美由希さん」
「お疲れ様、士君。それと、お帰り」
「はい。……それで、皆は?」
「来てるよ、皆君を待ってる。と言っても、もう全員で楽しんでるけどね」

たはは、それは参った…出遅れたか。

「ささ、士君入った入った!」
「私もキッチンの後片付けしてから向かうから、先に皆のところに行ってきなさい」
「ありがとうございます。それじゃあお先に」

美由希さんに押されながら、翠屋の扉を開く。扉に引っかけてあるプレートには「close」の文字が。やっぱ今回も貸切か……

扉を開けて中に入ると、奥の方に人だかりが。ほんとに皆いそうだな。

「ほら皆~!やっと主役が来たよ~!」

大手を振りながら叫ぶと、ぞわっと視線が一斉にこっちに向くのがわかった。わぁ~、なにこれ怖い。

「…よ、よう皆~…ただい―――」

その瞬間、視界に映ったのは誰かの靴の裏と、なんか鎚のような何か………………………って、え?

「まぶりゅばっ!!?」

次に感じたのは痛みと衝撃。しかも両方とも顔。
視界が何回も回転するのを見届けてから、地面に落ちるのを感じた。

「な、何故…何故だ……」
「ようやく…!」
「一発入れてやれた…!」

痛みの引かない体を持ち上げてみると、そこには腰に手を当てて言う前者と、鎚のような何かを担いで言う後者。

「あ、アリサ…ヴィータ……」
「あんたねぇ!どんだけ心配したかわかってんの!?どんだけこっちに迷惑かかったかわかってんの!?」
「こっちは言いたい事山ほどあったのに、何逃げてんだテメェ、えぇ?!何かこっちに恨みでもあんのか、あぁ?!」
「なのはは泣くわ、フェイトは疲労で倒れそうになるわ、はやてはストレス発散だって言って揉み魔全開だったわ……わかってんの!?」
「終いには一週間経っても帰ってこなかったし……こちとらフラストレーション溜まりまくってんだよ、えぇ?!」

うわぁ…すごい剣幕だ~。アリサ~、胸倉掴むの止めて~。あと顔結構近い~。ヴィータはアイゼンの先っぽの部分目先に持ってこないで~、これ俺が動いたら片目潰れちゃう~。片目眼帯つけることになっちゃう~。あ、でもそれはそれでかっこいいかも~、あははは~。

って、現実逃避している場合じゃない!今はこの状況を打破しなければ!

「ちょ、お前ら!ちょっと待てって!」
「これ以上待てっていうのか?」
「ごめん、一発じゃ足りなかったからもう一発…」
「すいませんお待ちください後でお願い聞きますのでお願いします」

二人の背後に不動明王が見えたので、結局は土下座で事なきを得た。













「ま、まぁお疲れ様」
「ありがとう、フェイト……そんな優しい言葉をかけてくれるのはお前だけだよ…」
「そんな事で泣かないでよ」

苦笑交じりに言うフェイト。三角座りで半泣きの俺に声をかけてくれる辺り、やっぱ優しいなフェイトは。

「そんな俺をしり目に楽しんでるのは、一体どうなんだろうか」
「あはは、まぁそうだね…」

顔を上げると皆飲み食いとかして、俺なんかいなくても楽しんでるし……

「俺なんかいらないんじゃね?」
「士は一応主役なんだよ?」
「この状況で主役だって言い切れる程、俺はМじゃねぇ」

帰って早々蹴られて殴られて、挙句の果てにはこの扱い。酷すぎやしませんかね?
それにアリサとヴィータには〝お願い〟をされてしまった。『二人を満足させる旨いお菓子を作れ』だそうだ。

「まぁヴィータはアイスで決まりだとして…アリサにはどうすっかな~、と思っててよ」
「う~ん…どうだろう?」

アイスの作り方は前に桃子さんに教わったし……まぁアリサにはパフェでいいかな?
すると「それはいいとして」とフェイトは話題を変えてきた。

「士、学校は三学期から来ることになるの?」
「あぁそうだったな。桃子さんとプレシアさんが、うまく事情を説明してくれたみたいでな。俺は休学扱いになってるから、多分三学期からになるな」

そう、一年も欠席のままでいる訳にはいかないので、休学にしてくれたのだ。ありがたい事だね~、ほんと感謝してもしきれない。

「…………」
「……なんだ?どうした、そんな笑み浮かべて」

にやけ顔で覗き込んでくるフェイト。顔をしかめると、今度は小さく声を上げて笑った。

「な、なんだってんだよ…」
「ごめんごめん、なんかさ…やっといつもの日常に戻ってきたかなって思って」

そんなフェイトの言葉に、言葉を詰まらせる。

「そんな顔しないでよ、士」
「うっ…表情に出てた?」
「思いっきりね」

フェイトはそう言うと、すっと手を差し出してきた。俺はそれに応じるように握り返して、引っ張ってもらって立ち上がった。

「もういいじゃん、こうやってまた皆で笑い合えてるんだから」
「ま、まぁ…そうだがよ…」

皆が混み合っている場所を見ながら、頭を掻く。

「…結局俺は、皆を傷つけただけだった。皆に何も報えることができなてない。それがちょっと…歯がゆいな、と思っ(ギュムッ)でぇ……」

俺が言いかけると、フェイトが片手で頬をはさんできた。おかげで変な声が出てしまった。

「あんだよ(なんだよ)、へいと(フェイト)…」
「相変わらず、自分一人で背負い込もうとするんだね、士」

フェイトの表情はさっきと打って変わって、ブスッと不機嫌丸出しの顔だった。

「いい加減学んで欲しいよ。私達はそんな事して欲しい訳じゃない、一緒に居て欲しいんだよ。どこかにフラリと行かないで欲しいんだよ」
「………」
「返事は?」
「…ふぁい(はい)……」
「よろしい」

フェイトはそう言って、ようやく頬を離してくれた。俺は押さえつけられていた頬を指で摩りながら、目線をフェイトに送った。
それを聞いたフェイトは、笑顔で俺に背を向けた。そして皆の元に行こうと、一歩踏み出した。

だけど、その前に―――

「……悪い、ごめん…」

俺はまた頭を掻きながら、フェイトにはっきりと言った。それを耳にしたフェイトは足を止め、顔だけ見せて口を開いた。

「…だからそういう事じゃ―――」


「ありがとう」


フェイトの言葉を遮るように、俺は言った。言った瞬間、横しか見えないフェイトの表情が、明らかに変わった。

「傷つけて、迷惑かけてなんだけど……助けてくれて、ありがとう」

言えた。言いたいことが、ようやく言えた。
剣を向けて、酷い事して、心も体も傷つけて……そんな事をしても、皆俺を見捨てなかった。俺が側にいることを、許してくれた。

だから―――ありがとう。

「―――…士って、結構ズルいんだね」
「……え?今なんて…」
「教えな~い」

何かフェイトが小声で言ったが、俺の耳には全部が入らなかった。
確かに何か言っていたから、もう一度聞こうと思ったら…フェイトが顔をこっちに向けた。しかも、満面の笑みだ。

「今の言葉、なのはやはやてにも言ってあげてね。きっと喜ぶから」
「あ、あぁ…」

それじゃあよろしくね、と言い残しフェイトは皆の元へ行ってしまった。

「ん~…なんだったんだ?」
「―――士」
「ひゃうっ!!」

ブスッとしたり笑顔だったり、表情の変わり様が凄いのが不思議に思い頭を掻いていると、背後から声をかけられた。変な声を出してしまったのはいきなりだった事と、その声の主がさっき襲ってきた人物だから。

「な…何かな、ヴィータさん…」
「なんで敬語なんだ…?」

思わず身構えてしまう俺に、顔をしかめるヴィータ。いや、流石にあんな事があったら警戒してしまうだろ。

「そ、それで何用ですかな?」
「なんでそんなピリピリしてんだよ…?」

そう言ったヴィータは頬をポリポリ掻きながら、何か言いたげに視線を逸らした。

「そ、そのよう…」
「…なん、ですかな…?」

なんだこれ、なんだこの雰囲気。いつものヴィータが変にしおらしい。

「前から言いたくて…言えなかったんだけど、よ…」
「お、おう…」

「その…ありがとう、な…」

ヴィータの口から放たれた言葉は、お礼の言葉だった。あまりに急な事で、俺の思考が一瞬止まってしまった。

「……は…?」
「だからっ!…今まで色々助けてくれて、ありがとうって言ってんだよ!」

ようやく出た俺の素っ頓狂な言葉に、ヴィータは声を張り上げる。

「はやてを救ってくれて、一年前のあれも…皆を助ける為に…」
「あ、あぁ!そういう事!いや、でも別に礼を言われるような事じゃ―――」
「それでもっ!てめぇがいらねーって言っても、こっちがしてーんだよ!」
「うぉっ、胸倉掴むな危ない!」

なんか俺の言葉の途中から、胸倉を掴んで引っ張ってきやがった。顔近い近い!
俺に言われて、ヴィータは手を離して顔を背けた。

「だから…その…今までありがとうな…」
「…お、おぅ…どう、いたしまして…」

だからしおらしくなるな、らしくない。気持ちわるぶべらばっ!

「悪かったな!気持ち悪くて!!」
「こ、心を読まれた…だと……⁉」

何かに感づいたヴィータが、アイゼンを振るってきた。くそぉ、心の奥でこっそり思うのもダメなのか…!
フンッと鼻を鳴らして去っていき、俺は叩かれた部分を抑えながら立ち上がった。

「痛ってぇ~…」

相変わらずあいつの一撃は効くな~。痛つつ…

「あはは、相変わらず君は人気者だな」
「あ、士郎さん…」

そこにやってきたのは、さっきまでキッチンに入っていた士郎さんがやってきた。

「人気者って…そうでもないと思いますが…」
「そうかな?まぁ今は皆別々に話してるけど…」

士郎さんは視線をなのは達に向けて、笑顔でそう言った。
その時、ふとある物に気づいた。

「…ってあれ?その手に持ってるのって、何ですか?」
「え?あぁ、これかい?」

士郎さんが両手で持っているのは、四角い箱。それもいつも翠屋がお持ち帰りのケーキを入れる為のもの。

「ケーキ、ですか?」
「そうだよ。なのは達に頼まれてね」
「あぁ、今回のパーティー用ですか。まぁ人数もそこそこいますしね…」
「そうだけど…ちょっと違うかな?」

え?それはどういう…?
そう言おうと思い口を開こうとしたが、その前に士郎さんが皆に呼びかけて、歩いて行ってしまった。俺もそれに合わせて混ざろうとついていく。

「あ、お父さん!ケーキできた?」
「あぁ、バッチリだよ」

そう言って士郎さんは持っていたケーキの箱を、テーブルの上に置く。すると所々で会話をしていた皆も、ケーキの置かれたテーブルに集まってくる。

「え、なになに…これ何?」
「はは…驚いたかい?」
「〝サプライズ〟だよ、士君」

周りを見ると、シグナムもはやても、皆一様に歯を見せるように笑っていた。

「さぷ…らいず…?」
「うん、そう!」
「去年は士いなかったから」
「年に一度のもの、忘れとるよ」

俺が漏らした言葉に三人が一斉に答えると、箱のふたに手をかけた。

そして―――

「「「ハッピーバースデー!!」」」

箱が開くと同時に、三人は一斉にそう言ってきた。

開けられた箱には白い円形状の物体。その上にはチョコでできたプレート、さらにその上にはホワイトチョコで“Happy birth day TUKASA”と書かれている。
その周りには計十二本の、それぞれ別の色の蝋燭が立っていた。

「……は…え、なにこれ…え、えぇ…?」

困惑してしまい、自分でも何を言ってんだかわからないまま、顔を上げて周りにいる皆を見回す。

「何って、士君のバースデーケーキ」
「言ったやろ?去年祝いそびれてんねん」
「いなかったのはしょうがないとしても、やっぱりこういう事は祝わなきゃ損だよ」

俺の疑問の視線に、三人は微笑みながら答える。周りにいる他の奴らも、同じように笑みを浮かべて頷いた。

「じゃ、じゃあ先程まで俺を無視していたのは…?」
「無視していた訳じゃないけど…」
「私達の気持ちがどれだけ傷ついたか、ちょっとは知ってもらおうと思うてな」
「まぁ、結局フェイトちゃんとヴィータちゃんは声かけちゃったけどね~」

なのはの言葉に二人はバツが悪そうに視線を逸らしたが、その行動はなのはの言っていることが真実だと知るのに、十分な理由だった。

「なんか…悪いな、迷惑かけて…」
「だから迷惑なんて思ってないよ、士君」
「そうやそうや!これぐらいせんで親友なんて言えるか!」

あぁ…嬉しいこと言ってくれるじゃねぇの。涙出そうだ、畜生!

「これで火を付け終えて…」
「電気消すよ~」

桃子さんと士郎さんの声が聞こえた瞬間、視界が暗くなった。そして蝋燭の光だけが翠屋を優しく照らしている。

「それじゃあ士!」
「どうぞ!」
「火消しちゃって!」

三人はそう言って、俺を促してくる。
あぁ……この感じ、久しぶりだな。なんか…泣きたくなってきた。いや、泣かんけど。

そして、一発で綺麗に消えるように息を大きく吸い込み―――火の灯されていた蝋燭に吹きかける。
全ての蝋燭に息が吹きかけられ、全ての火が消えた瞬間、

「「「「「誕生日、おめでとう!!」」」」」

一斉にクラッカーの音が、翠屋に破裂した。










――――――――――――――――――――




≪おまけ≫




クラッカーの後皆がグラスを持って、今回の事件解決と俺の誕生日を祝して乾杯をした。

「ご苦労だったな、門寺」
「おう、シグナム」

それからしばらくして、ひと段落しているところにシグナムがやってきた。

「なんか、シグナムと話すのも久しぶりだな」
「それはそうだ。最近会ってもいないのだから」
「そうだったな」

シグナムの返答に、俺は笑いながらグラスを煽る。

「門寺、今時間いいか?紹介したい奴がいるんだが」
「紹介したい奴?」

「私です~!」

その時突然、シグナムの後ろから声が聞こえてきた。
いきなり聞こえてきたから、正直驚いた。そして声の主が、シグナムの後ろから現れる。

「初めましてです!はやてちゃんのユニゾンデバイス、リインフォースⅡです!」
「あぁ、そうか!はやてが前々から考えてるって言ってた!」

そう言えば戦ってる最中も、はやての髪の毛の色が違ったから、ユニゾンしてるんだろうと思ってたけど……

「まさか初代リインに似せてくるとはな」
「はい!これからよろしくお願いしますです!」
「おう、よろしくな」

リインフォースⅡはその小さな両手を差し出してきたので、俺人差し指を出す。リインフォースⅡは俺の指を手の代わりにして、握手をする。

「門寺さんの事は、はやてちゃん達から聞き及んでいますよ~」
「お、そうなの?」

まぁはやて達が俺の事を話しているのは、可笑しい事ではないが……

「…それで?三人は俺の事なんて言ってた?」
「「「っ⁉」」」
「それはですね~」

俺がリインフォースⅡにそう聞くと、何処からか息をのむ声が聞こえてきた。しかしそれに気づいていないリインフォースⅡは、俺の質問に素直に答えようと口を開いた。


その後、小一時間程俺は部屋の隅で体育座りで涙を流した。


  
 

 
後書き
 
リインの一言はご想像にお任せ、という事で。
  
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