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美しき異形達

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第十話 風の令嬢その五

「うちのお父さんの持論なのよ」
「何か武士みたいね」
「忍者だけれどね」
 それでもだというのだ。
「というか武士も忍者だったからね」
「服部半蔵ね」
「そうそう、武芸の中に忍術もあったから」
 剣術や柔術と共にだ。
「手裏剣投げたりとかね」
「それで性根をなの」
「徹底的に鍛えてね」
 そしてだというのだ。
「心も身体も」
「それで鍛え直して」
「そう、真人間にするのよ」
「何か本当に武士道ね」
「うちのひいお祖父さんがそうした考えの人だったらしくて、今百歳だけれど伊賀に健在よ」
「百歳って凄いわね」
「とにかく性根は叩きなおすものって」
 そう言っているというのだ。
「悪いとね」
「どうにもなりそうにない奴でもかよ」
「そう、そういう奴でもね」
 こう薊にも話す。
「徹底的に鍛えればね」
「性根はなおるか」
「それがうちのひいお祖父さんの持論よ」
「何か帝国海軍みたいなこと言う人だな」
「ひいお祖父さん陸軍だったけれどね」
「そっちかよ」
「そう、陸軍にいたのよ」
 菊は少し真剣な感じを入れて薊に話す。
「多少以上どうにもならない奴でも鍛えればなおるってね」
「それより酷くてもかよ」
「何とかなるってね」
「何はともあれ殿方のことは」
 桜がここで話すことはというと。
「これからですね」
「そうね、いい相手を選んでね」
「はい、頑張って」
 桜はにこりとした笑顔で菖蒲に答えた。
「そうした方と巡り会い幸せになります」
「そうなってね。それとだけれど」
 今度は菖蒲から桜に話した、その話すことはというと。 
「天極智和先輩のことは知ってるかしら」
「あの学園でも有名な秀才の方ですよね」
「そのことで知ってるのね」
「あの方は有名ですから」
 だからだと答えた桜だった。
「私も知っています」
「そうね。では話が早いわ」
「といいますと」
「ええ、私達はあの人にも協力してもらっているの」
 菖蒲は桜に四人と彼の関係のことを話した、このタイミングで。
「知恵を出してもらっているの」
「あの人も力のことを御存知なのですか」
「そうよ。それで怪人の灰を手に入れていたから」
 菖蒲はこのことも話した。
「怪人のことも調べてもらっているわ」
「それで何かがわかればいいですね」
「そうね。先輩の知り合いの学者の方に調べてもらっているから」 
 怪人のことをというのだ。
「そのことがわかるのはね」
「これからですね」
「まだ少し先になると思うわ」
「わかりました、では私も待たせてもらいます」
「そういうことでね」
「ところで先輩のことですが」
 桜は四人に彼のことを尋ねた。 
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