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妖精の義兄妹の絆

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恩人

「うおおおおっ!!!!らあっ!!!!」

ドゴォッ

ナツは雄叫びとともに敵を粉砕していった。
ナツの後ろから敵が襲いかかるが、それをグレイが氷付けにして薙ぎはらう。
「おのれぇ…。」
サルのような顔をした敵がナツを攻撃する。
「魔導散弾銃でもくらいやがれ!!!」

ダダダダダ

しかし、ナツには通じない。サル顔の敵は口を大きく開け絶句した。
その敵もナツによって呆気なく倒された。
「はっはーっ!!!!」
「オラァ!!!!」
「うらぁぁっ!!!!」
ナツ、グレイ、タクヤは敵を次から次へと薙ぎはらっていく。
「なかなかやるようだぜ、ガトー兄さん。」
「いっちょやるか、ザトー兄さん。」
二人の男が離れた所から見物しているがついに動き出すようだ。
ここの戦闘はまだ終わりそうになかった。
















六魔将軍アジト
ここにはブレインとミッドナイト、レーサー、連れ去られたウェンディとハッピー。
そして、レーサーが運んできた棺桶の中で眠っているジェラールがいた。
「ジェラールって、あのジェラール?」
「ハッピー知ってるの?」
「知ってるも何もこいつはエルザを殺そうとしたし、評議院を使ってエーテリオンを落としたんだ。」
ハッピーは過去にジェラールが起こした事件をウェンディに説明した。
「そうみたいだね…。」
「生きてたのかコイツ~。」
「この男は亡霊に取りつかれた亡霊…哀れな理想論者。しかし、うぬにとっては恩人だ。」
「ダメだよ!!!絶対こんな奴復活させちゃダメだ!!!」
ハッピーは必死にウェンディを説得する。
しかし、ウェンディは体を震わせるだけで何も答えない。
「ウェンディ!!!!」
「早くこの男を復活させぬか。」
そう言いながらブレインは小型のナイフを出現させる。

ザッ

「……!!!!」
ブレインはジェラールの腕にナイフを刺した。
「やめてぇーっ!!!!」
ウェンディの叫び声とほぼ同時にナイフを抜いた。刺された箇所からは血が溢れている。
「あう。」
ブレインは持っていた杖でウェンディを殴りつけた。
「治せ。うぬなら簡単だろう。」
ブレインは先程までとは違う険しい顔をしてウェンディに命令した。
「ジェラールは悪い奴なんだよ!!!ニルヴァーナだって奪われちゃうよ!!」
それでもハッピーはウェンディを説得し続けた。
「それでも私…、この人に助けられた…。」

ポタ ポタ

「大好きだった…。」
ウェンディは大量の涙を地面に落として自分の心中を吐露する。
「なんか…悪い事したのは噂で聞いたけど私は信じない。」
「何言ってんだ。現にオイラたちは…、」
「きっと誰かに操られていたのよ!!!ジェラールがあんな事するハズがない!!!」
ウェンディはハッピーの話を信じられなかった。
「お願いです!!少し考える時間をください!!!」
「ウェンディ!!!」
ウェンディはブレインに時間を要求した。ブレインは少し考えたようだがすぐに了承した。
「よかろう、5分だ。」
ウェンディに与えられた時間は5分、その間ウェンディはジェラールを見つめ続けた。
(「ナツ~。まずいよ…、早く来てよ~…。」)
ハッピーは心の中でナツの助けを待った。












一方その頃、ワース樹海
「だはーっ。」
「ぶはーっ。」
「ふぅーっ。」
ナツ、グレイ、タクヤは裸の包帯男全員を戦闘不能にしていた。ガトーとザトーもやられている。
「何だよコイツら、ザコじゃなかったのかよ。」
「意外とやるじゃねーか…。」
「手間かけさせやがって。」
3人は息を切らしながら言った。
「当たり前じゃない!!!相手はギルド一つよ!!!何考えてんのよアンタたち!!!」
「そうですよ!!!大ケガでもしたらどうするつもりだったんですか!!!」
物陰に隠れていたシャルルとエマが3人に怒鳴った。しかし、3人は聞く耳を持っていなかったようだ。
「オイ!!!ぎゃほザル!!!!おめぇらのアジトはどこだ!!!?」
「ぎゃん。」
ナツはボロボロになっていたザトーの胸ぐらをつかんで聞き出そうとした。
「言うか、バーカ。きゃほほっ、」

ゴーン

辺りに鈍い音が響いた。ナツがザトーにとどめの一撃を食らわしたのだ。
「おい!!!でかザル!!!」
今度はガトーに聞いた。
「ほんとめちゃくちゃね、アンタたち。」
「やりすぎですわ…。」
シャルルとエマはほとほと呆れたのだった。
同じ頃ほかのグループでも戦闘が終わり、拠点の情報を聞き出していた。
「おまえらの拠点はどこにある。」
「西の廃村?古代人の村か?」
どうやら拠点の情報を聞き出せたらしい。
「墓穴をほりましたわね。私たちを倒すつもりがアジトの場所をつきとめられるなんて。」
シェリーは皮肉混じりに言った。
「リオンとシェリーは西へ向かえ。」
「ジュラさんは?」
「大きな魔力が近づいている。」
ジュラはこちらに接近してくる魔力を感じ取ったようだ。
「六魔将軍ですの!?」
「ワシはここで迎い撃つ。」


そして、レンとイブとはぐれた一夜は…
「今日のところはこれくらいで許してやろう。命拾いしたな、若人たちよ。












だから助けて~!!!!」
一夜は闇ギルドに捕らわれていた。
「うっせえよ、オッサン。」
「わ、私はまだ29だぞっ!!!」
「黙れっての。」
闇ギルドの一員も一夜をうざがっている感じだ。
「わかった!!こうしよう!!私も本気を出す。もう一回正々堂々勝負しようじゃないか!!!若人はそうでなきゃ。
私も少し君たちをなめていたようだ。
いや、そもそも女性の前じゃないと本気を出せない性分でな。能ある鷹は爪を隠すって、」
「うるせぇよブタ野郎!!!」
闇ギルドの隊員は聞くに耐えずに一夜を黙らせた。
「何でこんな奴つれていかなきゃいけねぇんだ。」
「ひとおもいに殺っちまうか。」
闇ギルドは一夜が相当ムカついたのか物騒な話をしている。
「き、君たち!!!上官の命令は聞くものだぞ!!!」
一夜は必死に食い止めようとした。
「エンジェル様が情報を取り忘れたんだと。」
「あー、例のコピーする魔法かぁ。」
「メェ~ン。」
一夜は高らかに叫んだのだった。












その頃、タクヤたちは
「ここか!!?」
タクヤたちは闇ギルドから聞き出した六魔将軍の拠点へと到着した。
「ハッピー!!!!ウェンディ!!!!」
ナツは大声でハッピーとウェンディを呼んだ。
「ちょっと!!!敵がいるかもしれないのよ!!」
「迂闊すぎですよ!!!」
シャルルとエマはナツを怒鳴ったがナツはやめなかった。
そして、それは洞窟内にも響いていた。
「!!」
「ナツだ!!!」
「レーサー、近づかせるな。」
ブレインはレーサーに命令する。
「OK。」

ギュッ

レーサーは外の外敵を駆除するため外へ出た。
「ゴミどもが…。」





ゴオオオオオオ
「ぐあぁ。」
「ぐはぁ。」
「がぁっ。」
ナツ、グレイ、タクヤは目にも止まらぬ速さでやってきたレーサーから攻撃をうける。
「またアイツだ!!」
「なんて速さしてんだ!!」
「ここはまかせろ!!早く下に行けナツ、タクヤ!!!」
グレイはナツとタクヤのためにレーサーを食い止めるらしい。
「おし!!!」
「行くぞ!!!」
「行かせるかよ。」
レーサーがナツとタクヤに攻撃を仕掛けようとした、が、

つるんっ

「おっ。」
レーサーはいつのまにか氷付けにされていた木で滑ってしまった。
「ぎゃっ。」
「シャルル!!!今だ!!!羽!!!」
「エマも頼む!!!」
ナツとタクヤがシャルルとエマに目をやると二人は目を回して気絶していた。
「あ!!」
「くそ!!先に行くぞ!!!シャルルとエマを頼んだ!!!」
「あ、おい!!?」
タクヤはナツの呼び掛けに答えず崖を飛び降りた。
「しゃーねぇ、お前はこれで行ってこい。」

ピキキキキキ ギュオ

グレイは崖の下までの氷のスライダーを作った。
「行くぞっ!!!」
「え?なに!?」
「行くって…。」
ナツはシャルルとエマを抱えてスライダーに乗った。
「てめえ…。」
レーサーがグレイを睨み付ける。
「とぉおおお~~ぅ!!!!」

シャアアア

「「きゃああああぁ。」」
シャルルとエマはあまりの速さに怖くなり叫び声をあげた。
「このオレの走りを止めたな。」
「滑ってコケただけだろーが。」
グレイは睨み付けているレーサーを睨み返した。






ザバァァァァン

廃村の回りにある川が激しく弾けた。
「ぷはあっ…、よしっ!!!」
一足先に到着したタクヤはウェンディとハッピーを探す。
「ウェンディ!!!ハッピー!!!どこだー!!!」

たん

タクヤが探しているときナツたちも到着した。
「うぷ…。」
「酔ったの!?」
「えぇっ!?」
ナツはスライダーで酔ってしまったらしい。
「おっ、タクヤ!!!見つかったか?」
「まだだ!!とにかく二人を呼ぶんだ!!!」
「「ウェンディ!!!!」」
「「ハッピー!!!!」」
四人はウェンディとハッピーを呼び続ける。そして、

ナァーツー…

「ハッピー!!!」
「あの中よ。」
「行くぞ!!!」
タクヤたちは洞窟へ走っていった。

ダッ

洞窟についたタクヤたちは目の前の光景に驚いた。
「な、何だ…コレ…。」
「そんな…!!!」
「どうなってんだ…。」
「うそ…。」
「ナツ~。」
ハッピーは体を震わせながらナツを呼んだ。その横では不適に笑っているブレイン。
そして、膝をつき泣いて謝罪するウェンディの姿。
「うう…、ごめんなさい…。ごめんなさい…私…。」

ドクン ドクン

ナツの心臓の鼓動が早くなる。そこには一人の男がいたからだ。その男をナツはよく知っている。
忘れたくても忘れられない壮絶な出来事の主犯…














ジェラールがそこに立っていた。
「ジェラール…。」
「ごめん…なさ…うえっうえっ。」
ウェンディは泣きながら謝り続ける。
「この人は私の恩人…な…の。」
「こいつが…。」
「ウェンディ!!あんた、治癒の魔法使ったの!!?何やってんのよ!!!その力を無闇に使ったら…。」

ドサッ

シャルルが全てを言い終わる前にウェンディは倒れてしまった。
「ウェンディ!!!」
「な、なんでおまえがこんな所に…。」
ナツは楽園の塔での事件を思い出していた。

ドッ

「ジェラァァァァァル!!!」

ナツは怒りに身を任せジェラールに襲いかかっていった。

ゴッ

ジェラールはナツに向かって巨大な魔力をぶつけた。

ズガガガ

「うあああっ。」
「ナツ!!!」
「相変わらずすさまじい魔力だな、ジェラール。」
ブレインはジェラールに近づきながらそう言った。
ジェラールはブレインの方へ振り向き、
「!」

ばっ


ガラガラガラガラ

「なにっ!!!?」
ジェラールはブレインの立っている床を崩落させた。
「ぐぉあああっ。」
ブレインはそのまま落ちていった。ハッピーは倒れているナツに駆け寄りジェラールを震えながら見た。
ジェラールはそのようなことは気にもせず出口へ歩を進めた。
寝ているミッドナイトにも目を移したが同様に無視する。
シャルルとエマも立ったまま何もできずにいた、が、
「おい。」
タクヤは出口に進むジェラールを呼び止めた。ジェラールはタクヤの方を静かに振り向く。
「あんた、ウェンディの恩人だろ。なんで、」
タクヤが言い終わる前にジェラールわ歩き始めた。
「な、おい!!」
今度は一切聞く耳を持たず出口へ向かい次第に姿を消した。
「ジェラール!!!!」
ナツがガレキから起き上がった。
「どこだ!!!」
「行ったわ。」
シャルルが冷静にナツにそう伝える。
「あんにゃろォーっ!!!!」
「あいつが何者か知らないけどね今はウェンディを連れて帰る事の方が重要でしょ。」
ナツはジェラールを追いかけようとした。だが、
「エルザを助けたいんでしょ!!!!」
シャルルのこの一言でナツは思いとどまった。
「わかってんよ!!!!あいつ…。」
ナツの中ではまだジェラールへの怒りが渦巻いていたが今はエルザの方が先決なのを確認する。
「行くぞ!!!!ハッピー!!!!」
「あいさ!!!!」
そう言ってハッピーはナツを、シャルルは気絶しているウェンディを、エマはタクヤを抱えて洞窟を出た。
それとほぼ同時にブレインはガレキから姿を現すが、まだ穴のなかにいる。
「計算外だ…。いや、拘束具を外した私のミスか…。」
ブレインは自分のミスを素直に認めた。
「しかし、以前の奴は私にここまでの敵対心は持っていなかったハズ…。
眠っている状態でニルヴァーナの話を聞いていたとでもいうのか?」
ブレインはジェラールの反発に頭のなかで推理する。
「!」
そして、1つの答えを導きだした。
「ジェラールめ!!!!まさか、ニルヴァーナを独占する気か!!!!させぬ!!!!あれは我々のもの!!!!誰にも渡すものか!!!!」
ブレインは今までに見せたこともなかった鬼のようた形相で言った。
「コブラ!!!!聞こえるかっ!!!!ジェラールが逃げた!!!!奴を追え!!!!奴の行く先に







ニルヴァーナがある!!!!」
ブレインは自身の出せる最大の音量で叫んだ。そして、それはワース樹海にいたコブラに聴こえていた。
「OK、聴こえたよ。ついでにジェラールの足音もな。」
そう言ってコブラはジェラールの捜索を開始した。










その頃、レーサーと戦闘をしていたグレイは

ガン

「くっ。」

ズドドォン

「!!!」
グレイはかろうじてレーサーの攻撃を避けれたがダメージは多いようだ。
「ちっ。」

カッカッカッ

レーサーはものすごい速さで一気に木の上へと駆け上がる。
「なんて速さだ…野郎…。」
「オレのコードネームは“レーサー”。誰よりも速く、何よりも速く、ただ走る。」
レーサーがグレイに自分のコードネームを名乗っていると、
「ん?」
「!!」
空に何かが見える。あれは、
「助け出したか!!!」
「バカな!!!中にはブレインがいたハズだろ!?どうやって!!?」
空にいたのはウェンディを救出したタクヤたちだった。
「くそっ!!行かせるか!!!」
レーサーは木をつたってタクヤたちに向かって飛んだ。
「ナツ!!!よけろォ!!!!」
「!?」
だが、既に遅かった。

バキィッ

「きゃ。」
「あん。」
「がっ。」
「うお。」
「わっ。」
タクヤたちはレーサーの攻撃をくらい空から落とされた。

ズドーン

「がっ。」
「かはっ。」
タクヤとナツは少し早く落ちた。

ピュー

ウェンディはまだ落下中だった。
「くそっ!!!!」
タクヤは必死に駆けウェンディを助けようとした。

がしっ ズザザザ

見事にキャッチに成功したタクヤはそのまま地面をすっていった。
「ハッピー!!!シャルル!!!エマ!!!」
後ろでナツがそう叫ぶが、

ぐたー

3人ともさっきの落下で気絶しているしまっている。
「くっそーっ!!!」

だーっ

ナツは3人を抱え走った。その後をウェンディを抱えたタクヤが追う。
「行かせねぇって言ってんだろ!!!」
レーサーがさらに追撃を仕掛けようとする。
「アイスメイク、城壁“ランパート”!!!!」

ドゴォン
「ぐほっ。」
グレイが出現させた巨大な氷の壁によりレーサーは追撃を阻止された。

パキパキ ガガガガ ピキピキピキ ズズズズズ

その壁は森の端と端に届くくらい巨大な城壁となった。これではいくらレーサーでも追うことは出来ないだろう。
「グレイ。」
「あんた。」
「行けよ…。こいつァオレがやるって言ったろ。ハァ ハァハァ」
グレイは息を切らしながらナツに言った。
「けど、おまえ今ので魔力使いすぎただろ!!」
たしかにこれだけ巨大な城壁を作れば魔力は相当消費してしまうだろう。
「いいから行きやがれ。







ここは死んでも通さねェ!!!!行け!!!!エルザの所に!!!!」
グレイは自分の決意を胸にナツにそう言った。
「うおおお~っ!!!!必ずエルザを助けるからな!!!!」
「当たり前だ。」
「死ぬんじゃねぇぞ!!!」
「わーってるよ。」
ナツたちはエルザのもとへ向かっていった。
「貴様…二度もこのオレの走りを止めたな。」
「何度だって止めてやんよ。氷は命の‘時’だって止められる。」
レーサーは歯軋りをたてる。
「そしておまえは永久に追い付けねェ。妖精の尻尾でも眺めてな。」
そうしてグレイとレーサーの本格的な戦いが幕を開けた。




ワース樹海某所

ザッザッ

ジェラールは裸の包帯男の一員の服を奪いそれに着替えた。
「エルザ…。」
ジェラールはただ一言そう呟いたのだった。




 
 

 
後書き
やっと10話完了~…。この話書くだけで1週間以上かかってしまった。ペースが段々落ちていってる、やばい。最悪1週間に1話のペースでいかなければですな!ということでこれからも頑張りますのでよろしくお願いします!
 
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