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万華鏡

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第七十四話 冬化粧その二

「これな」
「そのゲームね」
「ああ、面白いよ」
「チームはやっぱり阪神よね」
「他に何処があるんだよ」
 やはりゲームをしながら答える。
「ないだろ」
「まあね。関西だしね」
「そうだよ、俺だって阪神ファンだしな」
「ゲームでも阪神ね」
「ちょっと選手はいじったけれどな」
「あれっ、そういえば」
 ここで琴乃はゲームの画面を観た、そこで活躍している選手はというと。
「それバースさんじゃない」
「ああ、サクセスで作ったんだよ」
「ご本人をなの」
「そうしたんだよ、背番号もな」
 それもだった。
「誕生日も合わせてな」
「しっかり合わせたのね」
「やっぱり打つよ、バースさん」
 あの伝説の八十五年の様にというのだ。
「しかも掛布さんや岡田さん、田渕さんも入れたから」
「打って打って打ちまくってるのね」
「一番ショート吉田」
 牛若丸だ、背番号二十三は永久欠番である。
「二番センター新庄、三番ファーストバース」
「四番キャッチャー田渕よね」
「ああ、それで五番サード掛布六番レフト兄貴だよ」
 金本だというのだ、広島からフリーエージェントで獲得した選手だがすっかり阪神の選手になり今も人気がある。
「七番セカンド岡田、八番ライト真弓にしたよ」
「いい打線ね」
「ピッチャーもいじったよ」
「ピッチャーはあのままでもそこそこじゃないの?」
「どうせだから往年の名選手にしたんだよ」
 阪神のそれにだというのだ。
「もうな」
「じゃあ江夏さんとか」
「江夏さんだけじゃないよ」
 見ればこちらの守る番になっていた、マウンドに立っている背番号は。
「見てくれよ」
「十一番じゃない」
「ああ、やったよ」 
 村山実だった、そこにいたのは。
「この人も入れたよ」
「やったわね」
「他にも福間さんに中西さん、山本さんに葛西さんってな」
「中継ぎ抑えも万全ね」
「先発だって凄いよ」
 江夏村山だけではないというのだ。
「小山さんも安仁屋さんも入れたよ」
「見事ね」
「俺の阪神は無敵だぜ、これでペナント全勝してやるよ」
「頑張ってね、じゃあ」
「ああ、ところで姉ちゃんな」
 弟はゲームの画面を観ながら自分の後ろで酒を飲み続けている姉に対して言ってきた。
「今何飲んでるんだよ」
「何ってお酒だけれど」
「そのお酒だよ、何飲んでるんだよ」
「日本酒だけれど」
「おつまみは何だよ」
「普通に梅干とかだけれど」
 それに漬けものだった、琴乃は冷蔵庫にあったそうしたものを飲みながらそのうえで弟の問いに答えた。
「何かあるの?」
「いや、別にさ」
 それならという口調で返した弟だった。
「あっさりしてるなって思って」
「最近これもいいねって思ってなのよ」
「梅干で酒飲むことがかよ」
「そう、実際やってみたら結構いいのよ」
 飲みながら言う琴乃だった。 
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