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リュリュちゃん日記

作者:あちゃ
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サンタローズ、激動の3日間!

 
前書き
この話はリュリュちゃんの日記ではなく、ソルムンド暦177年9月2日の翌日から起こったサンタローズの騒動です。 

 
<サンタローズ>
タナSIDE

昼を少し過ぎた頃シスター・フレアが泣きながら私の元にやってきた!
「リュリュが居ないの!  (グスッ)リュリュが…… (グスッ)昨日ケンカして、日記にもういらないって最後だって……(グスッ)リュリュがぁ……」

シスター・フレアは支離滅裂な事を泣きながら喋る為、何を言っているのか分からない。
「落ち着いてシスター! ゆっくり順を追って話して……」
ともかく落ち着かせ、話を聞き出す事にする。



どうやらリュリュちゃんが行方不明になってしまった様だ!

シスターが言うには、昨晩……珍しい事にリュリュちゃんと口論をしたらしい。
今朝起きて姿が見えなかったので、村の何処かでいじけて居るのだろうと思い、探し回ったのだが、誰も姿を見ていないと言われ、家に戻り日記を読んだら、そこには、
【最後に…
お母さん、もしこの日記を読んでいるのなら言っておきます。
私はお母さんの娘であって、奴隷ではありません。
例え親にでも見られたくない心の中があります。
この日記帳をプレゼントしてくれた時は凄く嬉しかったです。
でももういりません。
この日記帳を使うのはこれで最後です。

貴女を敬愛する娘、リュリュより】
と、書き置き的な事が書いてありパニックになってしまったらしい……

「ともかく、村のみんなに知らせて、手分けして探しましょう! もしかしたら、洞窟内に居るかもしれないし……」
「ふぇ~ん……リュリュ~」

リュカが居ればこんな事にならなかったろうに……
まったく!
あの子は何処で何をやってるんだろうね!

タナSIDE END



<サンタロースの洞窟>
オリバーSIDE

何やら大変な事になっちまった!
俺とゲイツはサンタローズの洞窟を慎重に進んでいる。
あの仲の良い親娘がケンカをするとは……
しかも日記を勝手に読んだ事が発端とは……

リュリュ嬢ちゃんは可愛いからなぁ……
変な男に変な事されてないといいのだが…・
あの子は俺の命の恩人だ!
絶対助け出さなきゃなんねー!

「なぁオリバーさん! リュリュちゃん、この洞窟には居ないみたいだぞ!」
ゲイツは早く洞窟を出たいらしく、早急に結論を出そうとしている。
コイツが俺と一緒に洞窟へ入った理由は一つだ。
シスター・フレアに良い所を見せたかったんだ!

コイツいい年こいて、独身で美人のシスター・フレアに気があるもんだから、彼女の前では率先して洞窟探索に名乗り出たんだ!
だが、果てしない程のヘタレの為、モンスター蔓延る洞窟からは逃げ出したいんだ……
「うるせー! まだ分かんねーだろーが!! どっか隅っこで小さくなって震えてるかもしれねーだろ! しっかり探せボケ!」

全く使えねー男だ!
恰好つける為だけに志願すんじゃねーよ!
俺はリュリュ嬢ちゃんの父親に会った事はないが、すげー人物らしい……
あの腐りきったラインハットを救った立役者だって聞く。
このヘタレが頑張った所で、そんな男に惚れているシスターを、落とせる訳ないだろうに!

その後も俺達は洞窟内を隈無く探したが、結局リュリュ嬢ちゃんは居なかった。
仕方なく洞窟から出ると外は既に真っ暗で、今日の捜索は打ち切りとなった。
明日は村の外を重点的に探す予定だ!

オリバーSIDE END



<サンタロース>
タナSIDE

今日も朝からリュリュちゃんの捜索だ。
私とオリバー、ジェックとゲイツ親子。
二手に分かれてサンタローズ周辺の森を捜索する……

しかし、あんな真面目で良い子が家出をするなんて信じられない!
オリバーとも話してたんだが、悪いヤツに攫われてないか心配だ!
あの子は天使の様に可愛いから、変な事されちまうだろう……
一刻も早く見つけ出さないと……

「なぁ、女将さん……リュリュ嬢ちゃんの父親って、どんな男なんだい?」
オリバーが急にリュカの事を聞いてきた。
「何だい!?リュカの事が気になるのかい?」

「そりゃ、気になるさ! あれ程の美人だ……俺だって初めて会った時は、デックの母親になってくれないかと考えもしたからな!」
「そりゃダメだよ! あの子は男に触る事が出来ないから!」

「んな事は分かってるよ! でも、男に触れただけで発狂するシスターが、唯一大丈夫な男ってどんなヤツなんだ?」
「リュリュちゃんがマントの中にドラキーを隠しているのは知ってるね!」

「当たり前だ! あんなの隠している内にはいらねー! マントが膨らんでるじゃねーか!」
「リュカもモンスターと仲良くなる事が出来るんだ!」

「魔物使いって事かい?」
「まぁ……そうなるが、本人にそう言ったらきっと怒るだろうね。『使ってなんかいない! みんな友達だ!』ってさ!」

「モンスターが友達かよ……」
「そう……あの子は分け隔てなく優しい子なんだよ。そんな男さね!」
そう……あの子は優しい子なんだ……
あの子が居れば…

タナSIDE END



<サンタローズ>
フレアSIDE

今日で3日目……
リュリュが私の前から姿を消して3日……
私には祈る事しか出来ない……

リュリュは祈っても意味がないと日記に書いてた。
その通りだと思う……
村が襲われた時も、大勢の男に犯された時も、私は神に祈り続けた……
だが何も起きなかった。

村は滅ぼされ、私は犯され続けた……
でも私には祈る事しか出来ない……
もう神でも悪魔でも構わない。

リュリュは私の宝なのだ……命よりも大切な……
リュー君に授かった大切な娘なのだ!
だから、誰でもいい……私のリュリュを今すぐ返して!
お願いします!

(バン!!)
教会の扉を力強く開ける音がした。
外は既に夕暮れ時……
入口にはタナさんが笑顔で泣いている。

「シスター! リュリュちゃんが帰って来たわよ!」
その言葉を聞いて、私は慌てて外に出た!
一心不乱に走り、村の入口へ向かう!
そこには泥だらけのリュリュが……

「リュリュ~!!!」
私はリュリュに飛び付き力の限り抱き締める。
泣きながら抱き締める。
何だかよく分からない…。リュリュが帰ってきて、嬉しくて……でも帰ってこなかったらと考えると不安で……でも帰ってきたから安心で……何だが分からない……ともかく涙が止まらない。

でもリュリュが私を引き離した。
私はリュリュに嫌われてしまったのか?
日記を勝手に読んでしまったから、嫌われてしまったのか?
私は不安になりリュリュを見つめる。

すると、
「今回の事件で皆さんには沢山ご迷惑をかけましたが、私は謝りません! 今回私が勝手に村を出たのは、この日記帳を買う為だからです。前に使っていた日記帳はお母さんに勝手に読まれました! 絶対に許す事は出来ません。だから私は新しい日記帳を買いに行きました! 自分の日記を、自分の心を守る為です!」
と言い、新たに購入した日記帳を掲げ見せつけた。

そして私の側へ来ると「お母さん、ただいま」って言って抱き付いて来ました。
もう私には泣く事しか出来ません!
泣いて、泣いて、泣き尽くして……

本当に良かった……
リュリュが無事帰ってきて……
もう日記は読みません。
懲りました。

でもやっぱりリュリュはリュー君の娘です。
6歳児とは思えない意志の強さです。
私はとても幸せ者の様です。



 
 

 
後書き
リュリュちゃんは予想以上の大事になってしまったことに申し訳なく思ってますが、それでも自分の意思(他人の日記は読んではいけない事)を通す為に謝りません。
自分と自分の心を守る為に、致し方なく起こした事件です。
読者様には不快に感じられるかもしれませんが、そこをご了承下さい。

さて、一先ず区切りが付きましたので、リュカ伝3を再開させます。
ちょっとだけどストックためたよ。 
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