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真夏のSummer good job

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第四章

 やっぱり絶望する、この絶望は本当に酷い。
 あの日本シリーズ、ロッテに惨敗した阪神ファンの気持ちがわかった。それも嫌になる位までだった。
 そしてその絶望の中バーベキューや焼きそばを食べはじめる、男連中の食欲はどうしても湧かない。だが女の子達はというと。
 上機嫌で食べていく、その彼女達を見て。
 僕達はさらに絶望した、もう言葉も出なかった。
 しかしだ、ここでだった。女の子達は不意に笑顔でお互いに話した。
「暑いわね」
「そうね、お昼になると余計にね」
「こんなに暑いと思わなかったね」
「予想以上ね」
「もう私我慢出来ないわ」
「私もよ」
 言葉が棒読みだったのは僕達はこの時は絶望のあまり気付いていなかった。
「じゃあね」
「ここはね」
「もうね」
「脱ごう、もう」
「うん、そうしよう」
「脱ぐ?」
 この言葉にだ、条件反射でだった。
 僕達ははっとした、そしてだった。
 女の子達を見るとだ、その目の前で。
 何と水着を脱ぎはじめていた、その色気も何もない水着をだ。そうしてその水着を脱いでだ。そうしてなのだった。
 ゴシックな水着の下はだ、何とだった。
 皆同じだった、白のビキニだった。白が日差しを反射して余計に眩しい。
 女の子達の水着姿、白のビキニ姿を見てだった。僕達は瞬時に蘇った。そのうえでこう女の子達に言った。
「あの、ちょっと」
「それどういうことかな」
「皆白ビキニだなんて」
「それどうしてなの?」
「どういうこと、それ」
「フェイントよ」
 女の子の一人がくすりと笑って僕達にこう答えてくれた。
「海だと水着でしょ」
「うん」
 それが楽しみで声をかけた、その通りだ。
「けれど一旦ね」
「さっきのゴシックな水着でなんだ」
「そうよ、さっきはがっかりしたでしょ」
「当たり前だよ、そんなの」
「今時あんな水着だと」
 僕だけでなく男子全員で言う、このことは。
「スクール水着ならともかく」
「あれはあれでいいから」
「けれどあんなゴシックな水着は」
「何処がいいんだか」
「それでね」
 フェイントにしてだというのだ。
「あえてこうしたから」
「だからなんだ」
「そうよ、けれどどう?」
 女の子達は勝ち誇っている顔で僕達に問うてきた。
「これは」
「悪い筈ないじゃない」
「ビキニだよ」
 スタイルがこれ以上がないまでに出ている、ワンピースの方が実はスタイルがよく出るけれどそれでもだった。
 ビキニもスタイルがはっきり出る、しかも今の女の子達のビキニの色は。
「白じゃない」
「白ビキニだから」
「もう下着みたいで」
「余計に」
「そういうのわかってるから」
 女の子達もその白ビキニを僕達にあえて見せながら言う。
「ほらほら、好きなだけ見なさい」
「あんた達の魂胆わかったうえでのことだから」
「大サービスよ、だからね」
「後でアイスとか奢ってもらうから」
「そういうのは覚悟しなさいよ」
「そんなもの大したことないさ」
 僕は目と脳裏にだ、皆の白ビキニ姿を焼き付けながら答えた。目と頭の中が密かに大忙しになっていた。
「いや、夏でよかったよ」
「そうでしょ、夏だからね」
「サービスしたからね、私達だって」
「じゃあ好きなだけ見なさいよ」
「こっちだって恥ずかしいの堪えてるんだからね」
「夏の海に皆の白ビキニ」
 それこそがだった、僕にとっても他の男子連中にとっても。
「いや、まさに天国」
「全くだよ、まさにな」
「これだよ」
 誰かがまずだった、右手を掲げて。
 サムズアップの様にポーズを取った、そして僕達もだった。 
 皆でそうした、夏の神様と海の神様に心から感謝しながら。


真夏のSummer good job   完


                       2014・5・29 
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