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清廉潔白

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第二章


第二章

 その権限を集めた彼はだ。こんな法案を出してきた。
「ええと、朝早く起きる?」
「そして歯磨きを忘れない」
「顔も洗う」
「何だこりゃ」
 国民達はこの法案にまずは面食らった。
「こんなの常識じゃないのか?」
「なあ」
「そうだよな」
 誰もがいぶかしむ。しかしクロムウェルは言うのだった。
「汚職は何故起こるか」
 話すのはここからだった。
「腐敗は何故起こるか」
 彼はまた言った。
「まずは規則正しい生活からだ。そこから己を律さないと汚職や腐敗といった汚いものは絶対になくならないものなのだ」
「それは確かにな」
「まずは己を律すること」
「それか」
「そう、だから私はこの法案を提出する」
 そうだというのである。
「この国の為に」
「よし、じゃあ早寝早起きだな」
「これからはな」
「そうだよな」
 誰もがクロムウェルの言葉に頷いた。規則正しい生活がいいことは言うまでもなかったからだ。この法案はすぐに成立した。
 そしてだ。次はだ。
「ええと、次はこれか」
「毎日風呂に入って」
「髭も剃る」
「トイレの後は手を洗う」
「うがいもか」
「清潔にしなければならない」
 彼はまた言った。
「やはり己を律する。それに清潔にすればだ」
「疫病とかもならないしな」
「まあ今時そういうのもないけれどな」
「それでもいいことだよな」
「清潔なのはな」
 国民達はここでも彼の言葉に頷いた。
 それであった。この法案も成立した。だがこれで終わりではなかった。
 次は服装を常に整えること。ローライズのズボンやその他のだらしないとされる格好は禁止されてしまった。髪型もだ。
「身だしなみは整える」
 彼はまた言ったのだった。
「服装の乱れが心の乱れだ」
「えっ、じゃあ俺駄目なのか」
「俺もか?」
 そのローライズの若者や髪をぼさぼさに伸ばしている面々が驚きの声をあげた。
「これからはこの格好できないのかよ」
「参ったな」
 しかしこの法案も成立した。やはりだらしない格好もよくないと皆思ったからだ。それでまたしてもクロムウェルの法案は成立した。
 次には産地偽装の厳禁、腐った食べ物は食べない、そして食べ物は常に清潔にしておくこと、冷蔵庫や冷凍庫の清掃の徹底、おまけにゴミの捨て方等まで定められた。
 そして食べ物は腐る前に絶対に食べることも決められた。
「食べ物を粗末にしてはいけない」
 だからだというのである。
「ものを粗末にすることはそこから心が腐っていく」
 またしても道徳的な言葉であった。
「だからだ。それは駄目だ」
「その通りだけれどな」
「それでも。何か」
「ああ、ちょっとな」
「細か過ぎるよな」
「何でもかんでも」
 国民達もいい加減窮屈になりだしていた。
 
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