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Re:SYMPHONIA

作者:紅雨
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業火眠る灼熱の地


           Re:SYMPHONIA 

           #3 業火眠る灼熱の地

村はずれの平原に、追放をうけた二人と一匹はいた。

ノイシュ「クォーン」

アクセル「ん? 何だノイシュ どうしたんだ?」

スザク「ほら、荷物の口が開いてるよ。アクセルが落としたんじゃない?」

アクセル「そっか、サンキューなノイシュ。 どれどれ・・・これ、親父の手紙だ・・・」

スザク「ダイクおじさんの?」

アクセル「ああ、えっと・・・」

『アクセルへ
 旅の心得は読んだか? ドワーフの誓いから代表的な言葉七つと 
旅に必要な知識が 書いてあったはずだ。
これでコーネリア嬢ちゃんを しっかり守ってやるんだぞ。
お前を拾って育てるようになって もう14年が経った。
まだ よちよち歩きだったお前は 俺のことを怖がって泣いてばかりいたな。
それが 今じゃ立派な剣士になった。
人間ではない俺を親父と呼んでくれて お前には感謝してるんだぞ。
いつかお前が一人前の男になったら、俺からプレゼントがあるからな。
そいつを楽しみに しっかり戦って来い。     
                        ダイク』

アクセル「親父・・・」

       ―House 2  祈りの小屋・イセリア―

世界(シルヴァラント)の各地には、祈りの小屋という、休憩所がある。
世界再生の旅に出る神子たちを労う憩いの場として設けられているシルヴァラント公認の
施設である。

スザク「ただ歩き回ってるだけじゃコーネリアたちを見つけるなんて無理じゃないかな?」

アクセル「行く先々でコーネリアのことを聞いてみようぜ」

スザク「ま、それしかないよね。じゃ、そこにいる人に聞いてみようか。 すみませーん」

行商人「ん、なんだい?」

スザク「コーネリア・・・神子さまのご一行が ここを通りませんでしたか?」

行商人「さあ。見なかったねぇ・・・」

スザク「そうですか・・・」

二人は進展のないまま祈りの小屋を出る。

アクセル「なあ、スザク」

スザク「なに? アクセル」

アクセル「なんでディザイアンなんかいるんだろうな 奴らさえいなければ、みんな幸せ      
     に暮らせるのに」

スザク「そうかな・・・ホントにみんな幸せに暮らせるのかな」

アクセル「え、スザ・・・」

スザク「あ、ゴメン ディザイアンが悪の元凶なんだよね」

アクセル「んなこと、決まってるだろ」

スザク「・・・うん、そうだよね・・」

スザクは哀しい顔でうつむく。果たしてスザクに秘められた気持ちは・・・

そして二人は進み、イセリアより南に位置する砂漠地帯に突入する。

アクセル「だーっ!! なんでこんなに暑いんだ!!」

スザク「言い伝えによると、この地方のどこかにイフリートに通じている門があるんだってさ。 このあたりが暑いのは、イフリートの影響なんだ」

そう言うスザクも、汗を流し うだっている。

アクセル「イフリートに通じる門? それって、もしかして・・・」

アクセルは閃く。次いでスザクも元気よく言う。

スザク「うん! コーネリアたちが目指している封印ってのは、きっとそれのことだよ」

アクセル「そうか。じゃあ、この地方のどこかにコーネリアがいるんだな
     ・・・・それにしてもお前、物知りだなー」

スザク「ボクはアクセルと違って授業中に居眠りなんかしてないからね!」

     ―Town 2  砂漠の花 トリエット―

トリエットはこの砂漠地帯の中に唯一存在する町である。トリエットには砂漠対策の建物の造りが特徴的な、アラビア風の街である。トリエットには砂漠地帯には貴重な存在であるオアシスが存在する為、苛酷な砂漠越えをする旅人の集会所としても盛んである。

兵士A「フォシテスさまからのご命令だ!アクセルという人間がエクスフィアを持って逃走中 認識番号は不明。至急 全土に非常線をはれ」

兵士B「アクセルとはどんな奴だ」

兵士A「手配書に似顔絵と詳細がある。 みんなたのんだぞ」

兵士一同「おおっ!」
既に砂漠にもアクセルの情報は回っていた。そして、トリエットの掲示板にアクセルの手
配書がある。

アクセル「くっ・・・手配書か。 相手も本気だな」

スザク「早くコーネリア達に合流しないと!」

アクセル「おかしいなぁ コーネリアを守るために追いかけてるはずなのに、これじゃあ
     まれで助けを求めてるような・・・」

スザク「細かいことを気にしないの! もう、どーでもいいときだけ頭使うんだからさー」

二人は掲示板の手配書を確認する。その似顔絵はひどいもので、似ても似つかなかった。

スザク「手配書って、これかな?」

アクセル「・・・俺、こんなに不細工か?」

スザク「よかったね これなら見つからないよ。・・・きっと」

二人はコーネリアの情報を得るべく、トリエットで有名な占い師を訪ねた。

占い師「占いの館へようこそ。何を占って欲しいのですか?」

アクセル「あの、コーネリア・・・神子さまが今どこにいるか知りたいんですけど」

占い師「わかりました。100ゴールド頂きます」

アクセル「高いっ!!」

占い師「・・・何か言いまして?」

アクセル「・・・い、いや、あの・・・払います」

占い師「むむっ!見えた!」

占い師「神子さまたちは イフリートの暴走で滅んだというオアシスへ向かっています」

スザク「・・・本当かなぁ」

占い師「神子さまのお供の方がそう言っておられました 間違いありません」

アクセル・スザク「・・・・・・・・・・・」

二人は館を出て、オアシスへ向かう

兵士A「待て」

ディザイアンに呼び止められる。

兵士B「こいつ、手配書に似てないか?」

兵士A「確かにそっくりだ!」

スザク「よかったね。男前だってさ」

アクセル「あんなにひどいか? 俺・・・」

兵士B「貴様がアクセルだな?」

アクセル「・・・ああ、そうだよ」

スザク「あれ?いつもの『人に名前を尋ねる時は・・・』ってヤツ、やらないの?」

アクセル「やる気も失せるっつーの!」

兵士C「フフ・・・さすがにここまでそっくりの手配書を回されてはぐうの音も出まい」

アクセル「本気で怒るぞ!」

兵士A「よし、覚悟しろ!」

しかし、アクセルは強く、ディザイアン達はすぐにやられた。

アクセル「フフン、口ほどにもない奴らだったな」

スザク「アクセル、油断してると いつか痛い目にあうよ」

アクセル「油断なんてしてねぇよ ただ大勢でかかってきたわりに、あっさりとやられたなって・・・ぐわっ!!」

アクセルの背後からスタンガンを撃ち込まれた。アクセルはそのまま気を失いその場に倒
れこむ。そしてディザイアンが周りを囲む

スザク「アクセル! ボク・・・こわい。大人しくするから、殴らないで!」

二人はディザイアンに連行された。

兵士D「アクセルを連れてきた」

兵士E「そのガキは何だ?」

兵士D「こいつの仲間らしい。どうする?」

兵士F「リーダーが欲しいのはアクセルだけだ。連れて行く必要はないだろう」

スザクは放され、アクセルはディザイアンの基地に連行されていった。

スザク「・・・ボクはどうなるの? ボク、アクセルに無理矢理連れてこられただけなん
    だ う・・・ぐすん・・・うわーん!!」

兵士G「わかった、わかった!同族(・・)の(・)よし(・・)み(・)で助けてやる どこへでも行け!」

スザク「助けてくれてありがとう ボク、一生忘れません。さようなら おじさん」

兵士G「さっさと行け!」

スザクはディザイアンの基地を去る。目の前にノイシュがいた
スザク「ノイシュ!ついてきたのか よし、一緒にアクセルを助けてやろう!

アクセルは牢獄で目が覚める。

アクセル「・・・ん・・・いってぇ! ここはどこだ?」

      
 ―Extra 3  シルヴァラントベース―

建物の内部は白く、緑や赤などのランプや配線が所々にある、近未来的な場所である。そ
こはディザイアンのアジトの1つで、たくさんのディザイアンが出入りをしている。

兵士H「・・・そうなると あのアクセルって小僧もあわれだな」

兵士I「そうだな。処刑はまぬがれないだろう」

アクセル「・・・処刑だと!?冗談じゃねー!」

兵士J「おい、ボータさまが呼んでるぞ」

アクセル「よし、警備の奴がいなくなった!」

手先が器用なアクセルはピッキングをして牢屋のカギを開ける。

アクセル「しっかし、この建物 どういう技術なんだろう・・・扉が勝手に開いたり 見たことないものがたくさんある。ディザイアンって一体どういう奴らなんだ?」

兵士K「何だ貴様」

アクセル「やっべぇ」

兵士L「だ、脱走だ!」

一般兵がたったの二人。アクセルの敵ではない。軽くねじ伏せ、奥へと進む。警報が鳴り
響く中、見張りを倒しつつ。
アクセルはモンスターともディザイアンとも数多く戦い、確実に強くなっていた。
アクセル「ふー、危なかった。もうちょっとで捕まるところだったぜ」

?「何者だ!」

青い長髪の青年が背後から魔法を撃つ構えをとっている
アクセル「人に名前を尋ねる時は まず自分から名乗るモンだぜ」

?「っははは!いい度胸だな! しかし貴様のような下賤の者に名乗る名前はあいにく持
ち合わせていない」

アクセル「奇遇だな。俺もあいにくと自分が卑しいってことを知らないような能なしに名乗る名前はないぜ」

?「・・・貴様! ん?そのエクスフィア・・・まさか貴様、アクセルか!?」

アクセル「・・・だったら?」

?「・・・なるほど、面影はあるな」

面影・・・? 何のことか聞こうとした時、基地中に警報が鳴り響いた。アクセルは剣を
抜き、青い長髪の青年に構えたが、青年は不敵な笑みを浮かべながら動こうとしない。

ボータ「リーダー! 神子たちが侵入してきた模様ですぞ!」

ボータ。以前イセリアの聖堂でコーネリアを狙ったディザイアンである。黒い短髪でガタ
イのいい、ファイタータイプである。

アクセル「お前は、イセリアを襲ったディザイアン!」

ボータ「ほう・・・貴様がアクセルだったのか。 こいつは傑作だ」

?「ボータ! 私は一旦退く。奴に私の事を知られては計画が水の泡だ」

ボータ「神子の処理はいかがしますか?」

?「お前に任せる」
ボータ「了解しましたぞ」

?「アクセル・・・次こそは必ず貴様を我がものとする 覚悟しておくのだな!」

青年が部屋を出たのと同時にスザクとコーネリアたちが入ってきた。

スザク「アクセル! 生きてる!?」

コーネリア「だいじょうぶ? 怪我はない?」

リオン「みんな、来てくれたのか」

アクセル「みんな、来てくれたのか」

ボータ「ちょうどいい。ここで神子もろとも始末してくれようぞ!」

スザク「ストーンブラスト!」  スザクが牽制をかける

リオンがボータに迫り、斬撃の応酬をかける。コーネリアは補助にまわり、アクセルはリ
オンと共に攻撃を仕掛ける

アクセル「散沙(ちりさざ)雨(め)!」   無数の連続突きでボータを防戦一方にする

ボータ「岩砕陣(がんさいじん)!」   距離を保つため、床の岩盤を砕き相手にぶつける

ボータは強く、戦い方もいいが 四人を相手に苦戦を強いられた

ボータ「・・・ぬぅ やはり貴様に対して私一人では荷が勝ちすぎたか」

リオンを見つめ、その場を離れる。 遅れてリリーナ先生が到着する。

リリーナ「これは・・・確か・・・」

ボータが置いていった大剣を見て言う

アクセル「先生!」
リリーナ「ああ、アクセル スザクから色々聞いているわ。この子が迷惑をかけたわね。
     ごめんなさい」

アクセル「俺の方こそ、スザクまで巻き込んじゃって・・・ごめん」

リオン「つもる話は後だ。ここにいつまでも留まるのはよくない」

リリーナ「その通りだわ。 今、脱出口を開いてきたの。 行きましょう」

      シルヴァラントベース 入口

アクセル「ノイシュ! お前も来てたのか!」

リリーナ「ちょっとよくって? この武器についている結晶の様なもの・・・これがスザクの言っていたエクスフィアというものかしら?」

さきほどのボータの武器を見せて言う

リオン「そのようだな」

アクセル「そういえば、あんたもエクスフィアを使ってたな」

リオン「・・・さすがに気付いていたか」

アクセル「当たり前だろ!」

リリーナ「具体的にはどういうものなの?」

リオン「話が長くなりそうだ トリエットで話をすることにしよう」

              砂漠 道中

リオン「アクセル」

アクセル「なんだよ」

リオン「先程の戦いだが・・・」

アクセル「足手まといだったって言いたいのか?」

リオン「悪くない。 少し腕を上げたようだな」

アクセル「へ!?」

リオン「もっと自分と、戦う相手のことを知るのだ。 自分の技を理解すれば、より効果
的に敵にダメージを与えることもできる。 毒を持つ敵と戦うこともあれば、魔
術によって能力を抑制されたりもするだろう。 その恐ろしさや対処法を知っているのと知らないのでは全く違う。
剣を振るだけではない、知ることもまた強さに繋がるということを忘れるな」

アクセル「リオン・・・」

リオン「長くなってしまったな 行くぞ。グズグズするな」

リオンはアクセルに指南した。まるで、親心のように。

スザク「もうクタクタだよ・・・休みたい」

アクセル「そうだな。 話の続きは宿に着いてからにしようぜ」

        トリエット  宿屋

宿屋に着いた時には すでに夜になっていた。

リリーナ「・・・つまり、このエクスフィアは私たちの潜在能力を引き出す増幅器なのね
     ・・・・私も、使えるだろうか」

先生は嬉しそうな顔で言った。

リオン「難しいだろう。 エクスフィアは要の紋がなければ人体に有害なだけだ」

コーネリア「あのぉ・・・要の紋って作れないんですか?」
リオン「先ほど話した通り、要の紋というのは抑制鉱石を加工して 表面にエクスフィアを抑制するための紋章を刻んだ装飾品のことだ。 ドワーフの間に伝わる秘術と言われている」

アクセル「ああ。そのまじない・・・っていうか紋章は、俺でも彫れるんだけど 抑制鉱     
     石の加工は親父にしかできないんだよ」

リリーナ「ねぇ? 抑制鉱石というのは この中にないのかしら」

そういうとリリーナは床一面に古今東西の鉱石・骨董品を並べ始めた

スザク「姉さん! これ、家から持ってきたの!?」

リリーナ「当たり前です。貴重な研究品ですからね。 これがパラグラフ王朝の聖なる壺
     これがマーテル教会聖堂の宝剣 これがアスカード遺跡から出た神官の冠 これはハイマの鉱山からでた黄鉱石・・・」

アクセル「何だよ。ガラクタばっかりじゃん!」

リリーナ「!!  何ですって・・・?」

先生は鬼の形相でアクセルを睨み、アクセルは必死で弁明をする

リオン「ん?これは・・・」

リオンは紅い石のようなものを見つけた。

リリーナ「ああ、それは人間牧場の前で拾ったのよ。天使言語が彫られていたから持ち帰ったの」

アクセル「先生! これ、要の紋だよ!」

リオン「しかし 途中で紋章がすり切れている。このままでは使えないぞ」

アクセル「これくらいなら俺が直せるよ。 大丈夫。明日には先生もエクスフィアを装備
できるよ」
リリーナ「本当!? ありがとうアクセル! じゃあ悪いけど、お願いするわね」

           1時間後

アクセル「よし、できた! 先生に渡して来よう」

リオン「修復が済んだのなら、早めに休んだ方がいい」

アクセル「分かってるよ」

アクセルは、先生の所へ向かう

アクセル「先生、まだ起きてたんだ」

リリーナ「ええ。モンスターについて調べたことをまとめているの。あなたこそ、夜更かしはいけなくってよ」

アクセル「・・・先生の要の紋を直してたんだよ」

リリーナ「ええ、分かっているわ。 でも無理をしてはだめ。旅は長いのだし、いつでも構わないのよ?」

アクセル「・・・ってことは俺もスザクもこの旅についていっていいんだな!」

リリーナ「はなからそのつもりでしょ? しらじらしい」

アクセル「へへ・・・そうだ。要の紋ができたから渡しとくよ」

リリーナ「もう直ったの?ありがとうアクセル これがエクスフィア・・・」

アクセル「使い方はスザクに聞いてくれ じゃあ俺帰るよ。先生それじゃ」

リリーナ「ええ、ありがとうアクセル ゆっくりおやすみなさい」

アクセルは部屋を出る

リリーナ「くくくくく! これが・・・エクスフィア! 素晴らしい!!」

アクセルが部屋に戻ろうとした時、リオンが外へ行くのが見えた

アクセル「あいつ、こんな時間にどこ行くんだ?」

アクセルはリオンを追いかけた。リオンはノイシュの小屋の前にいた。アクセルが後ろか
ら近づくとリオンはアクセルの首元に剣をかけた

アクセル「うわわ!!」

リオン「アクセル・・・か」

リオンは剣をおさめる

リオン「すまない。驚かせてしまったようだな」

アクセル「驚いたなんてもんじゃねーよ」

リオン「私の背後には立たない方がいい」

アクセル「そうする・・・」

リオンは再びノイシュを見る

アクセル「あんた、動物が好きなのか?」

リオン「いや、別に」

アクセル「・・・にしちゃあ ノイシュも敵意を持ってねぇみたいだけど。こいつ、他人に慣れないから」

リオン「私も昔 動物を飼っていたことがある」

アクセル「へぇ・・・」

リオン「アクセル・・・」

アクセル「な、何だよ。 何でそんなに俺のこと見つめるんだよ」

リオン「・・・お前は太刀筋が荒い。 もう少しスキをなくすように心がけるんだな
    命を落とさないためにも」

リオンは宿に帰っていく

アクセル「かーっ! ちょっと俺より腕が立つと思って偉そうに!」

アクセル「・・・・・だいぶ、か。くそっ・・・!」

少しうつむいてアクセルはつぶやく

           朝  トリエット大通り広場

リオン「ようやく、封印の解放に向かえるな」

コーネリア「はい、頑張ります」

リリーナ「レミエルの言っていた封印らしきものは ここから南西の旧トリエット遺跡に
     あるらしいわ」

アクセル「うっしゃあ! 早速、封印を拝みにいこうぜ!」

スザク「はりきりすぎてバテないでよ!」

アクセル「大丈夫! まかせとけ」

リオン「神子はともかく、世界救済の旅を行っている一行には見えんな」

リリーナ「まだアクセルとスザクのこと認めてないのかしら?」

リオン「世界の運命を担うには心も若すぎる。彼らに救済の旅の責任を負いきれるかな」

リリーナ「私もエルフとはいえ、小さな村の教師。 あなたはお金で動く傭兵。そういう
     意味では私たちも世界救済という大業は、荷が勝ちすぎているのではなくって?」

リオン「フ・・・確かにな」

        ―Extra 4  旧トリエット跡―

トリエット遺跡―。火の封印の地であり、業火の番人イフリートの眠る地。砂漠の中の遺
跡だけのことはあり、砂で埋もれ、柱も折れ、魔物が棲みついている。

アクセル「あちー・・・疲れた―・・・」

スザク「ほら、やっぱりバテてる」

アクセル「もう砂漠は飽き飽きだぜ」

ノイシュ「クゥ~ン!」

ノイシュが怯えたような声をだし、半歩下がる。

アクセル「どうしたんだ?ノイシュ」

リオン「気を付けろ・・・敵だ」

遺跡から赤色の結晶が襲いかかってくる。イフリートの使いだろうか。火の魔法を駆使す
る。 アクセルたちは結晶に翻弄されるが、リオンが敵を一掃する。

リオン「・・・このままでは足手まといになりかねんな」

アクセル「何だと!?」

リオン「とりあえずお前たちは自分の身を守るための技術を学んだ方がいい」

コーネリア「それは護身術みたいなものですか?」

リオン「そうだな。戦いの際 自らの防御を高める技だ。 私が今から見本を見せる。
    理屈さえ分かれば修得は容易なはずだ。」

そう言うとリオンはエクスフィアに力を込めだした。するとリオンの周りが光に包まれ、
干渉が容易でなくなった。

リオン「これを粋(さい)護陣(ごじん)という。覚えておけ」

リリーナ「あら、そういえばノイシュはどうしたの?」

アクセル「ほんとだ、いなくなってやがる。 あいつ・・・また逃げ出しやがったな」

リオン「魔物に敏感なのだろう 今後も魔物の多そうな場所ではノイシュをあてにしない
ほうがいい。かわいそうだ」

コーネリア「ねぇねぇ、ここが封印なのかな? ウチの紋章があるけど・・・」

コーネリアは奥に設置されている石板を見て言った。

リリーナ「素晴らしい!!!」

全員「!???」

リリーナ「みろ、この扉を! 周りの岩とは明らかに性質が違う」

何かがおかしい先生は石の扉を見つめて笑い出す

リリーナ「くくくく・・・思った通りだ」

狂いだした先生は扉にスリスリしはじめた

リリーナ「これは古代大戦時の魔法障壁として開発されたカーボネイトだ! ああ、この
     すべらかな肌触り・・・見事だ♡♡」

リオン「・・・・・いつもこうか?」

スザクは違う方向を見つめ、アクセルたちに目を合わさない・・・

アクセル「・・・そうなのか?」

スザク「ああ・・・隠してたのに・・・」

なるほど、聖堂の時の笑い声は先生だったのか! 歴女をこじらせるとこうなるということを知ったアクセルであった。

リリーナ「ん? このくぼみは・・・神託の石板と書いてあるな コーネリア、ここに手をあてろ。それで扉が開くはずだ」

アクセル「ほんとかよ」

リリーナ「これは神子を識別するための魔術が施された石板だ 間違いない」

言われたとおりにコーネリアが石板に手をあてると扉が消滅し、地下への階段が現れた。

コーネリア「開きました! ・・・すごい! 何だか私、本当に神子みたいです」

スザク「神子なんでしょ。もー」

アクセル「よーし! ワクワクしてきたぞ! 早く中に入ろうぜ!」

リオン「その集中力が続けばいいが」

リオンはすでにアクセルの熱しやすく冷めやすい性格を見抜いていた。

そして一行は遺跡内部へ入る。

リリーナ「ここも魔科学で作られているな。すばらしい!!」

遺跡内部は外の廃墟と化した神殿とはうって変わり、装飾も整備されている荘厳な空間だ
った。中央部にはイセリアの聖堂と同じく、祭壇があり、そこは赤く光っていた。一行が
中央に近づくと急に炎が祭壇から舞い上がった

スザク「うわっ、何!?」

現れたのは神話に出てくるイフリートではなく、その使いのクトゥグハであった。クトゥ
グハは一切の問答なく襲いかかってきた。炎で包まれた体で。

スザク「アクアエッジ!!」   炎に効くであろう水で攻め上げる

リオン「油断するな、手強いぞ! ウィンドカッター」  鎌鼬で攻撃する

クトゥグハはダメージを受けるが、今までの敵と違いそう簡単に倒れない。クトゥグハは
尻尾でコーネリアを叩く。

リリーナ「コーネリア、大丈夫!? キュア!」 先生は癒しの術のプロだ

クトゥグハはその間にも炎を吐き辺りを火の海にする。クトゥグハが炎を使うと体の火が
少し小さくなった。リオンはそれを見逃さなかった。

リオン「・・・スザク。お前は風の術を使えるか?」

スザク「つ、使えるけど・・・それじゃ火に油を注ぐようなものだよ!」

リオン「それでいい。奴の炎を増幅させるのが目的だからな。 大丈夫だ、考えがある」

アクセル「おい!喋ってないで戦えよ!!」

クトゥグハが再びコーネリアに襲いかかる

リオン「時間が無い、いくぞ!」

スザク「知らないからね!?」

リオン・スザク「ウィンドカッター!!」  より多くの鎌鼬が飛ぶ

案の定、より勢いを増すクトゥグハの炎。クトゥグハは炎の攻撃の準備をしている

スザク「ほらぁ!やっぱり!!」
リオン「おそらく次の攻撃が今までで一番大きいはずだ。避けきれないだろう・・・だが
    教えたな?入口で粋護陣なる防御の型を」

アクセル「なにぃ!? 練習してないんだぞ!!?」

リオン「出来なければ死ぬ。それだけだ    来るぞ」

遺跡の形が変わるほどの高熱を帯びたクトゥグハは、自分を纏っている炎を全てぶつける。

アクセル「くっそぉぉぉ!! 粋護陣!!」

アクセルの粋護陣と同時に全員が粋護陣を使う。見事成功し、炎から身を守った。炎を使
い果たしたクトゥグハの体には火の気一つもなかった。そこをアクセルがとどめを刺す。
祭壇が再び光り、今度はイフリートの魂が降臨した。

イフリート「再生の神子よ。祭壇に祈りを捧げよ」

コーネリア「・・・はい!」

コーネリアは祭壇にのぼり、祈りのポーズをとった

コーネリア「大地を護り育む大いなる女神マーテルよ 御身の力をここに!」

コーネリアが祈るとイフリートは消え、頭上から一筋の光が差し込み、レミエルが降臨し
た。聖堂の時と同じである。

レミエル「我が娘コーネリアよ 見事な働きだった」

コーネリア「ありがとうございます・・・・お父・・・さま・・・」

レミエル「封印を守護するものは倒れ、第一の封印は解かれた。ほどなくイフリートも目覚めよう。 クルシスの名のもと、そなたに天使の力を与えよう」

コーネリア「はい、ありがとうございます」

コーネリアの体が光り始めた。そして背中からピンクの粒子が出現した。
ピンクの粒子は羽根の形へと変化した。白い本物の羽根ではないものの、それは紛いもな
い天使だった。

レミエル「天使への変化には苦しみが伴う。しかしそれも一夜のこと。耐えることだ」

コーネリア「試練なのですね。わかりました」

レミエル「次の封印はここよりはるか東。海をへだてた先にある。 かの地の祭壇で、祈りを捧げよ」

コーネリア「はい。レミエルさま」

レミエル「次の封印で待っている。再生の神子にして最愛の娘コーネリアよ」

そう言うと、レミエルは天へと還って行った

アクセル「コーネリアに・・・羽が・・・」

コーネリア「うん。それにほら、しまえるんだよ」  羽をしまって見せる

スザク「すごーい! かっこいー!」

コーネリアとスザクは羽で遊んでいる。

アクセル「それにしても海か! すげー!船旅だぜ! 早く行こう!」

リリーナ「船・・・ね。このご時世に船が出ているのかしら」

リオン「まずは海岸線へ出てみるのがよかろう」

アクセル「二人とも、わかったからもうやめろって」

コーネリア・スザク「は~い!」

一行は遺跡から出る

コーネリアが天使になった―。
羽を見ても明らかな事だ。
しかし、アクセルにはまだ呑み込めない。

第一の封印を解いた。
第一が火の封印なら、第二は何か。
水か、風か、はたまた大地か。
次の封印でまたコーネリアが変わるのだろうか・・・
天使とはなんだろう?
ディザイアンとは?
世界再生の旅が果たしてディザイアンの封印のためだけなのか?

考えても考えても答えには辿りつかない。
アクセルは悩む。
この旅の果てはいったい・・・?

終点は救いの塔。
それで世界が平和になると、
ディザイアンが消滅すると、
また、いつもの風景が取り戻せると信じて
アクセルたちは旅を続ける。

第二の封印ははるか東
海をへだてた先にある。
かの地の祭壇で、祈りを捧げよ。

                        To Be Continued
 
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