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ソードアートオンライン ~黄昏の流星群

作者:鷹 三代目
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2話 儚き剣 ロンド

「やー、ここが二層かー」
一層を攻略して一時間ちょうど、ついにこの二層に足を踏み入れた。
なんか100層まで一歩踏み出した感じだなぁー。


さてと、まずはとりあえず戦闘だな!
フィールドに出て敵を狩りまくる。
まだあまり人がいないから狩れるだけ狩っておこう。



一時間程かったとき
「お?」
あそこにいるのはキリトじゃねえか?
おーい 、と声をかけようとして考える。 彼には何か目的がありそうだ。進む道に迷いが無い。

アニールブレードのときもふまえ、これはひっそりついていった方が良さそうだ。





お、キリトが何かを探し始めてる?

少しつけていると彼は標的の木を見つけ彼からクエストを受けた。
そのあとそそくさと視界から消えてしまった。

よし、俺も受けてみるか。
大きな木から話しかけられ
「お主も己を磨くか?」
「お願いします。」

その瞬間シュッ シュッ という音がした。大きな木が筆を握りしめていた。
「お主の顔は印じゃ。」
「途中で諦めないためのな!」
そして一つの石を投げつけ、
「それを素手で割って見せよ。さすれば、我が秘伝の術を教えてやろう。」


そして今さらながら気づいたが、その大きな木の名前は
『キングオブメタルネペント』
だった。 背筋に悪寒が走った。
こういうときは正直に言いなさい。といつも母親に言われていたミックは

「すみません。実はこの前この下の層でメタルネペントの根というモンスターがいまして、その、倒してよかったのでしょうか?しかもインゴットまでドロップさせてしまい。」

「そんなこと気にするでない。それより我らメタルネペントは腹の中でそれを生成し人間で言う子供と同じ扱いだから大切に使ってやれ。」

「分かりました。ありがとうございます。大切に使います。」

「せっかく正直に報告してくれたから褒美をやろう。落ちたインゴットを貸してみい」

「あ、どうぞ」

「ふむ、メタルアイヴィーインゴットか。なかなかいいものじゃの。」

キングオブメタルネペント様は素手でインゴットを叩き割った。

「あ、......?」

そしてツタで破片を全てツタで絡みくっつける。それを力づくで行いインゴットの形にした。

そして最後に筆を使って模様を描く。

「どんな模様がいいかね?
1、燃えるような感じの模様
2、何よりも硬き模様
3、とても素早い動きの模様
の三つじゃ」

「じゃあ、燃えるような感じの模様でお願いします。」

「ふむ」

最後に炎の模様を筆で描いて完成だ。
凄い。前より1段と強くなった気がする。
名前は、メタルフレイムインゴット

「あ、ありがとうございます。」

これは大きなアドバンテージを得れそうだ。

「何、これぐらいよい。修行に励みたまえ。もう先に先客がいるぞ。あっちだ。」


そう言われて僕は修行場へ行った。
そのとき今さらながら気づいた。
この石、破壊不能オブジェクトの一つ前のレベルじゃん!素手で割れるわけねぇー。

「ぐぁー」

「やぁ、キリト久しぶり」

「む、ミッ....ク?」

「キ......リト...」

「ぎゃははははは」

「わははははは」

キリトの顔はまさにキリエモン と言うような顔だった。

というかここに至るまで自分がこんな顔になっている事に気づけなかった。師匠(キングオブメタルネペント)の筆が速すぎて。

「なぁキリト。俺どうなってる?」

「ミクのスケ、みたいな。俺は?」

「まさにキリエモン!」


「.........」
「.........」

..........結局気まずい。
大笑いされて嬉しいやつなどいない。


「そういえばミック、この前俺を裏切って他のやつとパーティー組んだよな?」

うわっここでさらに重い話題を.....

「あれは...話しかけられ流れでそうなったんだよ!」

「........」

そんなことよりも

「この石硬すぎる‼︎‼︎」

「どうにかならんかね。」

「あ、そうだ。キリト、お前の石貸して。」

「何か思いついたのかよ。」

「まぁな。試してみるよ。」
キリトが怒るかもしれないけど。とは付け足さない。

自分の石を地面に置き、キリトから借りた石を思いっきり打ち付ける‼︎

「はっはっは。完璧だー!」

綺麗に打ちつけられた俺の石はぱっくり半分に割れた。
キリトのはまぁ打ちつけた方だから割れてないけどしょうがない。
これでまんまと俺だけクエストクリアだ。
くっくっく

「え.....な?」

「ありがとう、キリト。お前の協力のおかげでクエストクリアだぜ。」

やっとキリトは状況が理解できたらしい。

「ミック、騙したなー‼︎‼︎‼︎‼︎。」

「騙したわけじゃない。たまたま俺のが割れただけだ。」

「打ちつけた方が割れてないのは当たり前だろ。分かっててやっただろ!」

「いやぁ、打ちつけた方が割れてないなんて初耳だー。これからは気をつけるよ。」

「ミック.....一生恨むからな。」

「じゃあな。二層のボス討伐のときにまた会おう。」

「もう会いたくねーよ。」

そういうなって、と吐き捨てて俺は去って行った。

そして師匠にご報告。
これからはキングオブメタルネペント様を師匠と呼ぶことにしたのだ。

「石、割ることが出来ました!」

「ほう、良くやったな。
ではエクストラスキルの体術を与えよう。」

お、おおっ?
そういえばキリトについてきただけで、報酬とか知らなかった。
まさか新しいスキルが習得出来るようになるなんて。

「ありがとうございます。」

素手で割ったわけじゃなく、石で割ったので師匠に対して少し罪悪感が残るのでそそくさとその場をさって行った。
(あぁ、あと一応キリトにも罪悪感あるよ。一応ね。)




そんなこんなですぐ二層の主街区に戻ってきた俺は、今日はゆっくり街を見て回り、宿屋を決めたり、ご飯を食べたり、ダラダラすることに決めた。

宿屋はすぐ決まった。一層をクリアして、二層はクリアのスピードが早いだろうから、そんなに高いところに止まらなくていいからだ。

そしてご飯でも食べようかなと思ったとき、道端にシートを引いている商人っぽいプレイヤーを発見した。

「あの、すみません。」

声をかけられたプレイヤーはこちらを向いた。いかにもドワーフといったような顔だちだ。これはもしや?

「もしかして鍛冶プレイヤーですか?」

「はい、そうです。剣の作成ですか?メンテですか?」

きたー。彼にあのインゴットの命運を託そう。

「剣の作成お願いします。」

ドワーフの彼は顔をほころばせたあと、

「わかりました。素材は?」

「これでお願いします。」

メタルフレイムインゴットを渡しさらに何個かの素材を渡す。

「じゃあ、始めます。」

彼はインゴットを置き、金槌を取り出す。
そして叩き始めた。

カン、カン、カン、カン、という心地よい音が鳴り響く。
以外と長いんだな、と思う。
もうすでに30回位叩いているのではないのだろうか?

それからさらに何回か叩き、剣は完成した。

「どうぞ」

「ありがとう。」

剣を渡してもらうと、ずしりといい重みが感じ取れた。

さっそく剣の強さを確認。
ウィンドウを開く。

剣の銘はフォレストファイアー。
日本語で《山火事》か。あんまし縁起良くねえな。
強化の上限試行回数は14回⁉︎

これは普通に考えて上限試行回数が8回のアニールブレードの1.5倍以上の強さがある。

おぉー、いい剣だなー。

「ありがとうな!」

「いえ、素材が良かったので。」

「ついでに強化もお願いしてもいいですか?」

「あ、はいわかりました。」

良かった。
強化に必要な素材が体術のクエストを受けに行くまでの森にいる植物型モンスターからドロップする物だったからたくさんあった。





これで結局俺のフォレストファイアーは、鋭さ4の+4だ。
丈夫さにも振ろうかと思ったがやめておいた。もともと耐久力が高いので必要ないと思ったからだ。

失敗しなくて本当良かった。
これで師匠にも顔が立つ。

そして、これからは作ってもらった愛剣と一緒にレベル上げに励んだ。







さてと、ここはフロアボス攻略会議。
迷宮区だがここは安全地帯の広間でボス部屋の近くだ。

「よっしゃ、みんな今日はよお集まってくれた。」

ぱらぱらと拍手が起こる。
ん?ディアベルじゃないのか?と思い、先日のことを思い出す。
そうだ、あいつビーター側に入ったんだった。

ディアベルはキリトの隣に、座っていてその横にはあの時のかわいい子もフードを被って座っている。

あ、あと最近はディアベルの後継者を巡ってキバオウさんとディアベルさんの意思を継ぐリンドさん?とかいう人が対立しているらしい。
もっとも、ディアベルさんと同じパーティーだったリンドさんは少し旗色が悪いらしいが。
一応キバオウの横にいてサブリーダーのようだ。

あ、そういえば俺、今回もエギルさんたちのパーティー入れてもらえるのかな?
ていうか、入れてもらわないと困る。

と、上を見やると見知らぬ男達がいる。新入りかな?とか考えていた。

「そんならもっと情報持ってる人に少し教えてもらおうや。 なぁ何か知っとるんやろ?黒ビーターはんとディアベルはん。」

あ、あぁ?しまった。また考えごとに集中して会議全く聞いてなかった。
お? キリトのやつ、狼狽しとるな

「とりあえず2撃目は絶対回避!そうすれば勝てると思う。レベル的にも。」

しかしキバオウとかいう人もあれだけキリト責めといて、情報聞いてくるとはな。少し驚きだ。

「よっしゃみんな、2撃目は絶対回避や!わてらなら勝てる!頑張ろやないか!」

「「「「「「おうっ」」」」」」

皆が返事した。といっても実際返事をしたのは全員の内、半分位で、リンドを含む残り半分はつまらなさそうな顔をしている。

あ、そういえばパーティーの最大数の問題でキリト達レイド入れないんじゃね?とか思ってると。エギルさんたちが来た。



な、何?
もうすでにキリト達3人はエギルさんたちのパーティーに入っているようだった。

「久しぶりだな。ミック。」

「お久しぶりです。エギルさん。今回もパーティー入れてもらえるのでしょうか?」

「あぁ、そのつもりで呼びに来たんだ。」

「ありがとうございます。ところでテンさん以外のパーティーメンバーの人達は?」

「まぁ、あの時は臨時パーティーのような物だったからな。フレンド登録はしてあるからまたいつかパーティー組むかもしれんが。」

「そうだったんですか。今回もよろしくお願いします。」

「こっちこそ、よろしく頼むぜ。」

「じゃあ、よろしくな、キリト、ディアベルさん、テンさん、......?」

そういえばまだ名前知らなかった。
そしてキリトはちょっと嫌そうな顔をしていた。正直な奴だ。

「あ、私アスナって言います。よろしくお願いします。」

「こちらこそ、よろしく!」

と言ってる間に、エギルからパーティー招待が来た。
俺は承認ボタンを押す。

「じゃあ、また明日な」

そう言って皆散っていった。
しかし、一層の攻略が一ヶ月もかかったのに二層は10日足らずでクリア出来そうだな。
それに攻略では死者ゼロだ。
ま、なかなかいいペースなんじゃないの?

とか考えているともうすでにボス部屋の前にいた。

ここでキバオウが叫ぶ。

「みな、一層では死者ゼロで勝つことができた。そして攻略のペースは二層に来て格段に上がった。これも攻略組みなのおかげや。今日は絶対勝とう!」

「「「「「おうっ」」」」」

今回ばかりは流石に全員から声が挙がった。

ギイィィィィーー という音が響いてボスの扉が開いた。

ガイドブックの事前情報によれば、ボスは バラン将軍 と呼ばれるらしい。
それで取り巻きに中ボスレベルの
ナト大佐 と呼ばれるモンスターがいるらしい。
まぁこれもベータテスト時の情報なので変わってるところもあるかもしれないが。




「うっーー.....りゃあ!」

最近手に入れた愛剣、フォレストファイアーを振り、片手剣の水平斬の技 《ホリゾンタル》を発動して、ナト大佐にダメージを与える。
実際この剣は強い。
目に見えてナト大佐のHPゲージが減る。
バラン将軍の方はどうかな? と思って見てみると麻痺してる人数は結構多かった。7人くらいいるんじゃないだろうか。

と、ディアベルが
「あれ以上麻痺者が出たら、撤退が難しくなるんじゃないか?」

といい、キリトが

「確かにまずいな。みんなちょっとだけ支えてくれるか?キバオウに提案してくる。」

「大丈夫だ。」

と、エギルが答えると、キリトはキバオウの方へ走って行った。

そこにリンドも来て何か話したあと、キリトは戻ってきた。
結果を聞いてみる。

「キリト、どうだった?」

「ああ、あと1人麻痺者が出れば撤退するって。」

「そうか」

もう一度バラン将軍の方を見やると、あと少しでHPバーが最後の一本に差し掛かるところだった。

こっちのナト大佐もあと少しだ。

そしてついに、バラン将軍のHPバーが残り一本を切った時だった。

バアアァァァァァーーーーン
という空気が震えるような音が聞こえてきた。

そして驚くべきことが起きた。

この部屋の中央に一際大きなモンスターが落ちてきたのだ!

恐らく、あいつ アステリオスザトーラスキング がこの層の真のボスだ。

しかもバラン将軍とは部屋の奥で戦っていたので脱出はほぼ不可能。

撤退出来るのは入り口付近でナト大佐と戦っていた俺たちだけだ。
中ボスも倒し切れておらず麻痺者は7人ほどいる。

詰んだ.......

そう思った時だった。

「全員、一斉に攻撃!」

と、キリトが叫ぶ。

俺も含め6人のプレイヤーが握る剣から色とりどりのライトエフェクトが現れる。

そして最後、僅か1ドットのHPが残った。

ナト大佐がニンマリと笑った気がした。
だが、その時キリトの拳にライトエフェクトがかかった。
あれは、体術スキル 閃打!

その一撃でナト大佐は体をポリゴン片にして爆散させた。

幸いトーラス王の動きは遅かった。

「全員迂回してバラン将軍の援護を」

そう言うが早いがキリト駆け出した。
ものすごい速さだった。

駆け出したキリトを追って他の5人は、追って行く。

バラン将軍の手前まで来た時、

「全員、総攻撃」

また、キリトの怒声がとぶ!

そしてまた、色とりどりのライトエフェクトが現れる。
そしてまたもや、HPが僅か1ドット残った。

またかよ、そんなキリトの心の声が聞こえたような気がした。

またもや体術スキルを使って残りのHPを削り切る。

そして全員の心がふっと緩んだ時だった。

トーラス王が上半身を大きく仰け反らして......

一気に吐き出した。

雷を

恐らく、ブレス攻撃。
さらに視界の右端に緑のアイコンが点滅している。これは最悪の状態、麻痺。

体に力が入らない。
懸命にポーションを出そうとするが、手が動かない。

トーラス王はこちらに近づいてきた。狙われたのはリンドとキバオウだ。
そしてトーラス王が攻撃モーションに入った時、
バァーーンという音がしてトーラス王が仰け反った。


俺が見たのはブーメランのような武器が入り口の方に戻っていくところだった。

そしてそのブーメランを慣れた手つきで受け取った人物を見て絶句した。

そう、この剣を作ってくれたあの鍛冶プレイヤー!!!

名前は.....あ、まだ知らなかった。
後で聞いたところによると彼はネズハ と言うらしい。

しかし再びトーラス王が上半身を仰け反らしている。
誰かが叫んだ。

「よけろ!」

しかしその言葉が届く前に雷ブレスは吐き出される!
だが、ネズハはすでに雷ブレスの2mも遠くに回避していた。

「雷ブレスが吐かれる時、僕の目が光るんだ。」

そう言ったのは、ネズハの横に並んだ 鼠のアルゴ と呼ばれる人物だ。
実を言うと、彼女には少し面識がある。
彼女からは定期的に大型ギルドの方針は動向の情報を買っているのだ。

彼女はもうすでにベータテスターだとみんなにばれているので、リンドは嫌そうな顔をしている。しかしキバオウは少しバツの悪そうな顔をしている。
アルゴはリンドをきれいに無視して、キバオウに近づき、

「久しぶりだなツンツン頭。今ならボスの情報を売ってやるゾ。料金は.....特別にただにしといてヤる。」

へぇー。キバオウもアルゴ知ってるんだ。ちょっと意外だな。情報屋のアルゴといえばベータテスターの筆頭なのに。

そして直後戦闘継続の判断が下され、ネズハは雷ブレスを集中的に潰していた。

その後の戦闘は順調だった。
ボスは断末魔をあげながら肢体を爆散させた。

歓声が挙がった。みんな喜んでる。

だが、リンドのグループから3人ほど、ネズハの元に行き、

「お前、先日まで鍛冶プレイヤーだったよな。その武器レアだろう。鍛冶はそんなに儲かったのか?」

ん?完全に問い詰める口調だな。
何かあったんだろうか?

とかのんきなことを考えていたがいつの間にか部屋は静まりかえっていた。

「僕が皆さんの剣をすり替えて騙し取りました。」

ふーん.....って

「え、えええっ?」

は、しまった。静かな部屋で1人大声あげてしまった。
ちょっと睨まれた。

「どうしたんだ?ミック」

おい、ちょっとは人目をはばかれよ、エギル。お前いちいち声がでかいからみんなこっちに注目してんじゃん。

「いや、この剣作ってくれたの彼だから、ちょっとびっくりしただけ。強化もしてくれたし。」

ここでシヴァタから質問される。

「成功したのか?」

「ああ、普通に+4になったよ。」

「どういうことなんだ?なぜ彼の剣はとらなかった?」

「それは.....自分で作ったからです」

「騙し取った剣はどうした?」

「お金に変えました。」

「金での弁償は出来るのか?」

「いえ、お金は全てレストランや高級ホテルに使いました。」

「お前、お前ぇぇーーっ、
俺たちの剣にかける思いを知っているのか?それを、レストランにホテルだと?ふざけんな!」

それに合わしてみんな叫び出す。
悪口雑言様々言われている。


彼が強化詐欺だって?まだ信じられない。
そんなに悪い人に見えないのに。

そんな中キバオウが近づいて行き、

「お前が奪ったんはな、剣というシステム上の武器だけやない。剣に込められた思いも含め、剣の全てを奪ったんや。お前のカーソルはグリーンやでもお前には罪がある。違う方法で償わなあかん。」

恐らく定期的な金とゲーム攻略への貢献を要求するのだろう、と思った。

だがその時後ろで騒いでいた1人が、

「違う。俺知ってる。そいつに剣とられたプレイヤーが初期武器でフィールドに出たら、今までなら倒せていた敵に殺されたんだ。」

「そんなのもうPKじゃねえか。」

〈PK〉 プレイヤーキル。

この世界でその言葉を聞くことはないと思っていた。
PKという言葉で何かが切れたように

PKならPKらしく責任とれ
殺せ
潔く自殺しろ!
などとだんだん場がヒートアップしてきた。

「待て、まず、何故そんなことをしたんだ?」

おっと、ここで現れたのはディアベルさんだ。

「.....お金が欲しかったから贅沢をしたかったからです。」

「自分自身の意思で実行したのか?」

「はい.....そうです。」

一瞬ネズハの表情が歪んだ気がした。俺はそれを見逃さなかった。

「それは、お前の本心なのか?」

「....そ、そうです!」

ネズハの顔はもう半泣きだ。
やはり何かが違う。

その時だった。
新入りの...えーとレジェンドブレイブズ?だったかな?のメンバー5人がネズハの横に並んで、土下座した。

ごめんな、ネズオ。
そんな声が聞こえた気がした。

「ネズハに強化詐欺をさせたのは俺たちです。俺たちも同罪です。」

またもや部屋が静まった。

これで状況が変わった。
彼らの武器防具により弁償が可能になったのだ。
そしてそのあとの話の流れで彼らの武器防具はとりあえずここで臨時オークションが行われるようだ。

皮装備が基本の俺にはあまり欲しいのはなかったので、キバオウさんに頼まれた俺たち4人(キリトとアスナとディアベルと俺)は先にフロアクリアの報告をしにいくことになった。

何はともあれ結果は良かった のだが
一つ気に食わないことが。
今回はラストアタッタクボーナス狙ったのになんで全部キリトが取るんだ。

 
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