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魔法少女リリカルなのはANSUR~CrossfirE~

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ようこそ☆ロキのロキによるお客様のための遊戯城へ~ⅩⅠ~

 
前書き
????戦イメージBGM
KINGDOM HEARTS 358/2 Days「Vector to the Heavens」
http://youtu.be/HvEDXp4HXXU 

 
†††Sideなのは†††

ステアさん達とのドッジボール勝負を終えて、私たちはマス目の道へと戻ってきた。戻って来ての私の第一声は「はぁ。緊張したぁ・・・」だった。だって“アンスール”のメンバーが全員揃うんだもん。しかもフノスさんが出てきてさらに緊張。
本能的に畏敬の念が生まれてしまう。フノスさんは言わば次元世界を生み出した母だからかもしれない。フェイトちゃんも「そうだね。試合と合わせてすごく緊張した」と微苦笑を浮かべる。

「見てたよレヴィ! アンスールをアウトにしてビックリしたっ♪」

「わぷっ? ルーテシア、危ないって。落ちちゃうよ・・・」

「すげぇぞ、ホントにっ! レヴィが当てたから、さっきのゲームに勝ったようなもんだし」

「はいっ。あのグッと曲がったボールは見事フォルテシアさんの意表を突いてましたね」

ルーテシアやアギト、イクスちゃんに揉みくちゃにされるレヴィ。はやてちゃん達も八神家で労い合ってるし。じゃあ私は、「ヴィヴィオ。アインハルトちゃん。お疲れ様ぁ♪」だ。リオちゃんとコロナちゃんと喜び合ってるヴィヴィオとアインハルトちゃんの元へ行く。

「なのはママ、フェイトママ。うんっ。ルシルパパとシエルさんが手伝ってくれたから勝てたんだよっ♪」

「はい。ルシリオンお父様の素晴らしいパスのおかげで、私はステアさんをアウトにできましたし。フォルテシアさんは、レヴィさんが変化球を打てたからこそアウトに出来ました」

「そう言えば・・・ルシルさんが居ないですよね・・・?」

コロナちゃんが辺りを見回してそう言った。そこで初めて気付く。ルシル君の姿がどこにも無い。あれ? 一緒に転送されたんじゃ・・・? また置いてけぼりにされたの・・・? フェイトちゃんを見ると、

「あ、ルシルはたぶん転送されなかったと思う。何か話があったんじゃないかな・・・? 幻と言っても確かにそこに存在しているから。シェフィリスさんやシエルさん達アンスールのみなさんは」

そう言って、どこか寂しそうに微笑んだ。現在(いま)は同じ時間を過ごしているルシル君だけど、でも本物のルシル君が一緒に過ごしたのは“アンスール”のみなさんだ。ううん。偽物だとか本物だとかに区別するのは失礼過ぎるよね。でも、それが事実なのは変わらない。
どう声をかけようか迷っているところに、目の前に白い光が生まれた。きっとルシル君が転送されてきたんだ。光が治まると、そこにはやっぱりルシル君が居た。

「おかえりルシル」

真っ先にルシル君の側へと歩み寄って、さっきまでの寂しそうな顔から同性でもドキッとする笑みを見せてルシル君を迎えるフェイトちゃん。ルシル君もフェイトちゃんの笑みに笑みを返して「ああ。ただいま、フェイト」と応える。うん、やっぱり二人はお似合いだと思う。入り込む隙間なんて無いよ。

「すまない、みんな。話があるんだ。聞いてくれないか」

ふと真剣な顔となったルシル君が、私たちをぐるりと見回す。ステアさん達に勝って喜び合うのを中断したみんなに、ルシル君が語る。それは、ルシル君が少し前に語った推測が正解だったことを示した内容だった。

「今回の事件の首謀者は、恥ずかしながら守護神の私だった。ここに居る私とテスタメント・ルシリオンとはもう別存在なんだが・・・すまない。だが、ちゃんと理由あっての事だというのは解ってほしい」

さすがに責めないよ、そんなに頭を下げなくても。みんなも解ったから。守護神のルシル君は私たちを守るために、ここスンベルに避難させた。グロリアも敵じゃなくて、ルシル君やシャルちゃんと同じ守護神。

「でも。どうしてシャルちゃんじゃなくてグロリアなのかな・・・?」

結局はその疑問に辿り着いちゃうんだよね。私の疑問を発端として、視線と「何か知ってる?」っていう問いがルシル君に集まる。ルシル君は少しの間沈黙して、「関連性があるとは言っても、絶対にシャルが召喚されるというわけじゃないんだ」って眉間にしわを寄せた。そっか。残念だなぁ。ほんの少しでも良いから逢えるんだったら逢いたかったんだけど。

「遅れてごめん。少し立て込んでて」

シェフィリスさんが少し先のマス目の上に姿を現す。立て込んでて、って何かあったのかな? もしかして外界での問題――“テスタメント”のルシル君とグロリアと、“アポリュオン”の誰かの戦いが(←はまだルシル君の推測だけど)終わったのかな・・・?

「えっと、次は・・・」

「シェフィリスさん。私たち青チームの番です」

「そうだったね。ではサイコロを」

シェフィリスさんの前に出て、サイコロを受け取る。それぞれのチームが一勝ずつ。このまま連勝したい。そのためには、かる~~~~いお題を出したいなぁ。あ、ここでサイコロを振ってもいいのかな? 落ちたりしない?

「あ、勢いよくサイコロを振っても落ちないから安心してね」

それを聞いて安心。ポイっと放り投げる。コキィーン♪と綺麗な音を立てて落ちて、キンキン♪と転がるサイコロ。出た数字は16。あのサイコロで出せる最高の数字だ。

「よしっ。それじゃ、みんな行くよっ」

チームメンバーのヴィヴィオ、ルシル君、アインハルトちゃん、コロナちゃん、リオちゃん、ヴィータちゃん、リエイスさんを順繰りに見る。みんなと頷き合って、16先のマスを目指して歩き出すと、みんなから「がんばって」って声援を贈られた。私たちも「いってきますっ」「うん、頑張る」って応じながら進み続ける。そして辿り着くと、ゼフィランサスさんのアナウンスが流れる。

『ラッキーマス☆ もう一度サイコロを振る権利があなたに与えられるのですっ♪ さぁ、そのマスに止まりしラッキーなプレイヤーよ。再びその歩みを進めたま~え!』

「やったね、なのはママ♪」

「だね~♪」

っと、目の前にサイコロが落ちてきて、何とかキャッチ。両手でサイコロをいじりながら空を見上げる。螺旋階段の様な半透明のマス目の道。一つ一つのマス目は大きく長いから、たぶんあと少しでゴールに着きそう。
でもルシル君の話通りなら、次のお題で最後かもしれない。出したお題によっては、もう“アンスール”の人たち全員と逢うことは出来ない。ルシル君を見る。私の視線に気づいて、その意味を察したらしいルシル君は「大丈夫だよ。気にせず振ってくれ」と言ってくれた。

「うん。じゃあ・・・・えいっ」

サイコロを放り捨てる。綺麗な音を立てて転がるサイコロを見詰める。そして出た数字は・・・・「16!?」だった。連続で最高数字16を出しちゃった。

「すごいっ! なのはママすごいっ!」

「はい。連続で16を出すなんて・・・」

「つうかさ。今の16二連続で運を使い果たして、今からやるお題は最悪なんじゃね?」

「やめてよヴィータちゃん。そんなこと言われたら、死亡フラグ――フノスさんとバトル、みたいなことになっちゃうよ」

最悪な展開が頭に浮かぶ。フノスさんは、ルシル君以上に強い魔術師で、魔術師の王。いくら魔力の出力制限があるって言っても、きっと戦って勝てる相手じゃない。だけど、フノスさんとの戦闘。それはあくまで可能性だ。ヴィータちゃんが言ったようなことは絶対にない・・・はず。かぶりを振って嫌な想像を追いだす。ここで立ち止まっているわけにもいかないから、私たちは再び歩き出す。

「ルシルさん。フノスさんってやっぱり強いんですか?」

そう言ってリオちゃんはルシル君の隣に駆け寄る。ルシル君は「今まで見てきたアンスールの誰よりも強いよ」と即答。リエイスさんも「最も戦火が激しかった大戦末期。その当時最強という事は・・・」
って続けて、最後にヴィータちゃんが「魔術師最強ってわけだな」と締めた。
ヴィヴィオやアインハルトちゃん達がブルッと肩を震わせる。恐怖からか緊張からか、それとも別の感情からか。・・・っと、着いたね。見上げればゴールはすぐ上。手を伸ばせば届きそう。

『このお題は全員参加! ルールは簡単。ゴールを目指す。ただそれだけっ! 移動方法などの手段は一切問わずっ。さぁ頑張ってゴールを目指せよ、諸君!』

ゼフィランサスさんのアナウンスが流れる。私はお題の内容に安堵――しかけたけど、油断は出来ない。足元に光が生まれる。転送が始まる合図。視界いっぱいに光が満ちて、一度完全に視界が真っ白に染まる。視界が元に戻って、ようやくお題を行う世界が目の前に現れる。

「ここは・・・・・ビフレスト、か」

ルシル君が辺りをぐるりと見回して、ポツンと呟いた。ビフレスト。確か、魔道世界アースガルドに繋がる唯一の道のある世界。私も辺りを見回してみる。足元に広がる白い円状の石畳。かなり大きい。目測で直径1kmくらい。石畳の端に沿って大きくて高い円柱が数多く立っているからそう測れる。
周囲に光が溢れる。光が治まった時、そこにはフェイトちゃんたち黄チームと、はやてちゃんたち赤チームが居た。一か所に集まって、ゴールと言うのがどこにあるのかをルシル君に訊いてみようとしたところで、


「あ、皆さん揃っていますね。それではゲームを始めましょうか」


女の子の少し幼い声。その声の主を目にした時、ヴィータちゃんが「あ~あ」って嘆息。ちょっとヴィータちゃん! 絶対に私の所為じゃないよっ! あの人――あの御方が出てくるのはっ!

「改めて自己紹介をさせていただきますね。アンスールが魔道王フノス・クルセイド・アースガルドです」

私たちに重く圧し掛かる絶望感。フノスさんだ。フノスさんが現れた。現れちゃったよぉ(涙)
ふくらはぎまで流れる銀色のロングストレート、白のショートジャケット、丈の長さが違う白いロングフレアスカートを三重にしたオーバースカートのそれらが歩くたびに揺れる。
フノスさんが歩み寄って来て距離が縮むたびに、私は後退したい気持ちになる。単純に怖いんじゃなくて畏れ多いから。本能が同じ目線に立つなって告げてくる。

「ルールを説明します。ゼフィ義姉様が仰っていた通り、皆さんはゴールを目指してください。ゴールはここから南西に20kmほど先にある転移門です。その転移門を通過する事がお題のクリア条件となっています」

フノスさんが真っ直ぐゴールの転移門がある方向を指差した。私たちもそっちに目を向ける。さすがに距離があるから見えないけど。

「ですが。転移門を囲う防壁の入り口の扉には仕掛けがありまして、二人一組でないと開かないんです。ですので、たった一人が辿り着いてもゴールできません事を御了承してくださいね」

二人一組か。なんだろ、直感がこう告げてくる。フェイトちゃんとルシル君を先に行かせろって。チラッとフェイトちゃんとルシル君を見る。みんなも二人を見ているのが判った。

「そしてもう一つ。不肖私、フノスが皆さんの行く手を妨害しますので、頑張って“二人”くらいは逃してあげてくださいね。そうでないと・・・・・私に全滅させられちゃいますよ?」

人差し指を口に当ててニコッて小首を傾げるフノスさん。確定だ。フノスさんは、フェイトちゃんとルシル君を先に行かせたいんだ。一体どんな理由があってかは解らないけど。フノスさんは何を企んでいるんだろう?
私は「すいません。ちょっと時間ください」と緊張しながら挙手をすると、フノスさんは「はい、どうぞ♪」と微笑を向けてくれた。「ありがとうございます」とお礼を言ってから、みんなを集めて円陣を組む。

「みんなはどう思う?」

「明らかにフェイトちゃんとルシル君を先に行かせようとしとるな」

「え? あ、やっぱりそうなのかな・・・? フノスさんにずっと見られていた気がしてたから」

「そうだとしても私は残った方が良いんじゃないか? フノスの強さは反則だ。お互い制限されているから、フノスを相手にして手も足もでないという状況にはならないはずだ。それに二人一組なら、スバルとティアナ、ルーテシアとレヴィなどと言ったベストペアも居る」

フェイトちゃんとルシル君もどうやら気付いているみたい。でもルシル君は、自分が残ってた方がいい、って私たちの案をやんわり拒否。そして突然話を振られたスバル達は挙動不審に。結構大役だもんね、この中から先に行くのって色んな意味で。そこにリエイスさんの援護射撃。ルシル君の援軍じゃなくて、私達の・・・。

「ルシリオン。お前も判っているはず。ゴールまでの道のりに果たして何も試練が無いと言い切れるのか、と。私の考えはとしては、(ナイン)。そんな甘いわけがない。間違いなく・・・」

「・・・・シェフィ、か・・・」

「そうだ。お前とテスタロッサを先に行かせようとしたのは、おそらくシェフィリスが待っているからだ。お前たち以外の他のメンバーが行ったとして、勝てるのか? 氷雪系最強の魔術師相手に?」

ハッとする。そうか。リエイスさんの言う通りだ。“アンスール”の魔術師が一つのお題に複数人現れ始めたこの最終エリア。今回もそうかもしれない。フノスさんは、フェイトちゃんとルシル君、そしてシェフィリスさんの三人だけの時間を作りたいんだ。ルシル君が俯いて、沈黙する。どうしよう・・・えっと。うん、ここは・・・。

「ごめん、みんな。協力して。フェイトちゃんとルシル君の二人を先に行かせる。いいよね?」

半ば強引に同意を求めてみる。リエイスさんの考えは推測だろうけど、でもそれが正解だと思う。シェフィリスさんは待ってる。ルシル君を。フェイトちゃんを。だから二人を向かわせないと。みんなもそれを解ってくれたから、みんな頷くっていう形で賛成の意を示してくれた。

「ありがとう、みんな。それじゃフェイトちゃん、ルシル君。多数決で決定だし、このお題を出した青チームのリーダーとして・・・お願いする。二人は先に行って。フノスさんは私たちが相手するから」

「そうやな。それに、100%勝てへんやろうけど、最強の魔術師にどこまで私らの魔導が届くか試してみたいしな」

「それはいいですね主はやて。テスタロッサ、セインテスト。そう言うわけだ。お前たちは、お前たちの仕事をこなしてこい」

「フェイトママ、ルシルパパ。行ってきて。大切なことなんだよね? この選択は。それをお手伝いするなら、わたし頑張れるよ」

愛娘(ヴィヴィオ)に言われたんだ。もう反対意見は許さないぞ」

リエイスさんに詰め寄られて、ルシル君もついに「判った。任せる」って折れた。フェイトちゃんは始めから従ってくれるつもりだったようで、こくんと頷いた。これで決まり。私が代表としてもう一度フノスさんと話す。

「お待たせしました、フノスさん」

「いえいえ。では、始めましょうか。皆さん。皆さんの誇りでありパートナーを構えてください」

フノスさんの右手に虹色の魔力の光が生まれる。右手から溢れ出る光は徐々に集束していって剣を形作っていく。

「神造兵装第二位、神剣グラム・・・・」

ルシル君が、フノスさんの小さくて白く綺麗な右手に収まる大剣の銘を言う。ルーンが多く刻まれた、上に向いてゆるりと曲線を描く黄金の柄。柄幅いっぱいから伸びる二等辺三角形状の刀身(幅40cm・長さ1m弱)は、ルシル君の“グングニル”と同じ薄い水色のクリスタル。私たちもデバイスを起動。“レイジングハート”の先端はフノスさんへ。

「ブースト3!」

初っ端から出し惜しみなくの全力。ブラスタービットも四基展開。

「お互いに準備が完了しましたね。では。コホン。アンスールが将、魔道王フノス・クルセイド・アースガルド・・・。参ります」


VS―◦―◦―◦―◦―◦―◦✛
其はアンスールが魔道王フノス
✛◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦VS


始まった。始まってしまった。魔術師の頂点、英雄の中の英雄、次元世界を生み出した母・・・フノスさんとの戦闘が。

「行って! フェイトちゃん、ルシル君!」

――エクセリオン・バスター×5――

――クラウ・ソラス――

――ファントム・ブレイザー×2――

――紫光掃破(ハーツイーズ・ドライヴ)――

一斉に散開して、私、リエイスさんとユニゾンしたはやてちゃん、ティアナ、レヴィ(モードバスター)の四人が目晦まし(ダメージが入れば儲けもの)のための砲撃をフノスさんへと放つ。フノスさんはその場に佇んだまま、砲撃の雨にその小さな体を自ら矢面に立たせる。

――多層甲冑(ゴスペル)――

爆発が連続で起こって、フノスさんが爆煙に包まれる。

「行こうルシル!」

「・・・・・ああ!」

――瞬神の飛翔(コード・ヘルモーズ)――

フェイトちゃんが空に上がって、ルシル君も空戦形態になってフェイトちゃんに続いた。フノスさんがそれを妨害しないか注意していたんだけど、やっぱり何もしなかった。今の砲撃で墜とされたわけじゃないのに。

「ありがとうございます。私の意図を察していただいて」

煙幕の中からフノスさんの声。煙幕が晴れていって、傷どころが汚れ一つとしてない綺麗なままのフノスさんが居た。フノスさんはトントンとその場でステップを踏みながら「ルシルからすでに話を窺っているかもしれませんが」と私たち全員の顔をしっかりと見ていく。

――RAD(ラド)――

突然、その姿を消した。一瞬だけど見えたRのような光の文字。フェンリルさんが使っていた、アレはルーン魔術。背後にザッと石畳を踏みしめた音。振り向こうとする。その僅かな時間の間に、ガキィン!ていう衝突音が周囲に響いた。
ここで完全に振り向くことが出来た。目に映るのは、フノスさんは“グラム”を薙ぎ払い途中、そして真っ向から鍔迫り合いしているシグナムさんだった。シグナムさんの背後にはイクスちゃん。フノスさんが私たちを眺めていたのは、標的を絞るためだったんだ。

「バインドだ!」

シグナムさんが吼えるように指示を飛ばした。バインドが使える魔導師全員が一斉にバインド魔法を発動しようとした。対象はもちろんフノスさんただ一人。こんな敵一人味方多数の密集地で攻撃なんてしたら誤射する可能性があるし。だから捕縛してしまうのが一番の攻略法。だけど、

――風聖の宝剣(アムブリオン・ブレイド)――

柄から剣先へと伸びるように発生した突風が、“レヴァンティン”ごとシグナムさんを吹き飛ばした。フノスさんをその場に留めるストッパーが居なくなって、自由の身となったフノスさんが当初の標的であるイクスちゃんへ向かおうとした。フノスさんの背後へブラスタービットを三基を向かわせる。

「させないっ!」「行かせないよっ!」「させませんっ!」

ヴィヴィオとスバルとアインハルトちゃんが立ちはだかる。挟み討ち。他のみんなもチャンスを窺いつつ、すでに攻撃態勢に入ってる。ヴィヴィオたち三人とブラスタービット四基の前方包囲網、リインとユニゾンしたヴィータちゃん、ザフィーラ、レヴィ、コロナちゃんとリオちゃんの後方包囲網。フノスさんの双眸が怪しい光を放った。何かやろうとしてる。ヴィヴィオ達が動く。フノスさんは・・・・ニコって笑った!?

「魔道王の名は伊達ではありませんよ?」

――輝き燃えろ(コード)汝の威容(ケルビエル)――

フノスさんを中心にして展開される虹色の光に輝く直径10m弱の円陣。ルシル君が持つ魔術と同じモノが目の前に現れた。口を開く。言うべきことは、そこからすぐに逃げて、だ。だけど声が出る前に――ううん、それ以前に、

「逃がしませんよ?」

円の縁に沿って膜が展開。ヴィヴィオとアインハルトちゃんとスバルを閉じ込めた。その直後に、フノスさんの魔術が無情にも発動された。円陣全範囲から虹色の炎が勢いよく噴き上がって、ヴィヴィオ達を呑みこんだ。

「魔道王。それは、大戦に参加した数億と言う魔術師の中でも最強クラスであるアンスール。そのアンスールの扱う最高位の魔術を、真技を含めて全て扱える。それが私なんです。もちろんルシルの様な固有能力・複製ではありません。純粋な技術で修得しました」

フノスさんの声が炎の中から聞こえてくる。だけどヴィヴィオ達の声はしない。これはちょっと反則だ。ルシル君の場合、自分以外の複製術式を使う時は呪文を詠唱する。だからある程度の覚悟や対応を考えられる。でもフノスさんは何の前触れもなく“アンスール”の魔術を使うって話だ。今まで見てきた魔術や真技、か。どうかカーネルさんの真技だけは、とか思う。

「ゆえにこそ、仲間たちは私に付けてくれたんです。魔道王、という二つ名を」

炎の中から誇らしげなフノスさんがゆっくりと歩き出てきた。ぐったりとして身動き一つしないヴィヴィオとアインハルトちゃんを両脇に抱えて。遅れて炎が治まる。そこには倒れたスバル。破壊されたブラスタービット四基。フノスさんがゆっくりと二人を地面に下ろす。攻撃のチャンスなんだけど、砲撃じゃヴィヴィオ達を巻き込んでしまう。

「あ、この戦闘においてはライフゲージなどはありません。復活出来れば再び参戦できますので、治癒が出来る方に診てもらうのもいいでしょう」

――RAD(ラド)――

フノスさんはヴィヴィオ達から遠く離れた場所に移動。

「シャマル、キャロ、イクス。三人をお願いや。他のみんなはフォローに回るよ」

はやてちゃんがシャマル先生とキャロ、イクスちゃん、そして私たちに指示を出す。初手は私が受け持つ。“レイジングハート”の先をフノスさんへと向ける。はやてちゃんも周囲に大きな魔力スフィアを四基展開した。

「ストライク・・・!」「ナイトメア・・・!」

受けに回るつもりなのか、フノスさんは微動だにせずに待っていてくれてる。これって。もしかしたらこのまま待機していると、フノスさんも何もしないで待機するのかな?
はやてちゃんも同じことを考えたみたいで、私とはやてちゃんは砲撃発射体勢で止まる。するとフノスさんも動きを止めた。でもすぐに“グラム”を頭上に掲げた。

「ごめんなさい。私としてはこのまま何もせず・・・いいえ、ちょっとばかり皆さんとお話ししたいなぁ、とか思っていたのですけど、ゼフィ義姉様の指示ですので」

虹色の雷光が“グラム”から迸って、天を衝いた。やっぱりそんな好都合にいくわけがないか。

「スタァァーーーーズッ!!」「ハウルッ!!」

すぐさま攻撃再開。私はバスターとシューター数基を同時に放つスターズを。はやてちゃんは“シュベルトクロイツ”と周囲に展開したスフィアからの複数同時砲撃ナイトメア・ハウルを。
そしてフノスさんは、

雷聖の(ツァクマキオン)・・・剣閃(セイバ)ァァーーーッ!!」

“グラム”を振り下ろして、虹色に輝く雷光の剣状砲撃を放った。私とはやてちゃんの複数砲撃と、フノスさんの先の尖った雷剣砲撃が衝突。勝敗は・・・・

「アカン! 負けた! みんな逃げて!」

フノスさんの砲撃の余裕勝ち。一斉に散開して、雷剣砲撃の効果範囲から離脱。

「続けて行かせていただきますね。風嵐の(ツルギ)は優雅に!」

――風聖の剣閃(アムブリオン・セイバー)――

「火炎熱の剣は激烈に!」

――炎聖の剣閃(アトゥニェリオン・セイバー)――

「閃光の剣は荘厳に!」

――光聖の剣閃(アダメリオン・セイバー)――

「闇黒の剣は苛烈に!」

――闇聖の剣閃(カムエリオン・セイバー)――

「氷雪の剣は美麗に!」

――氷聖の剣閃(サルツィオン・セイバー)――

フノスさんがまるでルシル君やカノンさんの様に砲撃を連発してくる。唯一の救いは、倒れてるヴィヴィオ達の方には攻撃をしないでくれる事だ。砲撃を避けつつ、その場から動かないフノスさんをみんなで囲うように包囲する。シャマル先生たち、その三人の護衛としてシグナムさんとティアナが、ヴィヴィオ達のところへ向かう。

「シュトゥルム・ヴィンデ!」

「クロスファイア・・・シューーットッ!!」

ヴィヴィオ達のところへ駆けだしたシャマル先生、そしてシグナムさんとティアナの攻撃を皮切りに・・・

「そぉぉらぁぁーーーーっ!」

――シュワルべフリーゲン――

「全員、フノスさんに集中砲火!」

――ナイトメア・ハウル――

「「はいっ!」」

――コメットブラスト――

――紅蓮拳――

「一か所に留まらないで! 常に移動して、標的にならないように!」

私もそう指示を飛ばしながら空へと上がり、

――セイクリッドクラスター――

圧縮魔力弾を三発発射。フノスさんの迎撃は当然間に合わない。私が攻撃を放つまでに物量攻撃が殺到していたから。ここでフノスさんが剣状砲撃連発での迎撃をやめて、回避のために動いた。

――RAD(ラド)――

高速移動のルーン。でもその前に「逃さんぞっ!」と、

――鋼の軛――

ザフィーラがフノスさんを包囲するように鋼の軛を出現させた。鋼の軛で出来た檻の中にクラスターと一緒に閉じ込められたフノスさん。フノスさんの姿が見えなくなる直前、クラスターがフノスさんの至近距離で炸裂。
今頃、クラスターは無数の小型魔力弾となって、フノスさんに襲いかかっているはずだ。みんながチャンスだと判断。今度は中遠距離攻撃が出来るみんなで一斉砲火をしようとしたとき、

――大聖の剣閃(ミカエリオン・セイバー)――

鋼の軛の檻が、内側から全方位へと放たれたいくつもの剣状砲撃で吹き飛んだ。私の方にも二条の砲撃が迫って来て、

――アクセルフィン――

高速移動で射線上から離脱。そこから連続で迫りくる砲撃。もう周りだとかを気にしている余裕がないほどに速く、そして大きい砲撃。いくつか避けることに成功。だけど、アクセルフィンの効果が一度切れるタイミングで砲撃が迫る。

――アクセルフィン――

本当にギリギリでの回避に成功。でもすぐ側を通り過ぎていった砲撃の衝撃波が凄まじくて、意識を揺さぶられる。体が揺らいで落下する感覚。なんとか自分自身に対象を浮遊させる補助魔法フローターを掛けることで、墜落だけは免れた。“レイジングハート”を杖代わりにして立って顔を上げる。・・・そして、知る。多方向同時砲撃での被害は鋼の軛だけじゃなくて。

「こ、これじゃまるで・・・ルシル君のバルドルみたい・・・」

†††Sideなのは⇒はやて†††

「ぅ・・・あ・・・?」

・・・・少しの間、気を失ってたみたいやな・・・? うつ伏せで倒れとった私は両肘をついて上半身を起こそうと奮闘。と、全身に鈍い痛み。私・・・なんで倒れとったんやろ・・・?
記憶の混濁。ザフィーラがフノスさんを捕らえて、私らはそのチャンスを活かそうって一斉攻撃をやろうとして・・・。

「いつつ・・・あ、そうや。フノスさんが魔術を・・・!」

思い出して、バッと顔を上げる。そして現状を理解。口が震えて声が出やへん。名前を・・・、家族の名前を呼ばな・・・アカンのにっ!

「はや・・て・・・大丈・・夫・・・?」

「主はやて・・・お怪我・・は・・?」

「ヴィー・・タ・・、ザフィー・・ラ・・・。うん、大丈夫や・・・二人のおかげで・・・」

ヴィータとザフィーラが、私を守るように目の前に居った。二人ともボロボロで、もう戦闘を続行することは・・・出来ひん。私がそう答えると、ヴィータは「おっしゃ」と、ザフィーラは安堵の息を。でもそれだけ言うと、ヴィータとザフィーラがドサッと倒れた。

「ヴィータ! ザフィーラ!」

這って二人の元へ急ぐ。距離は5mくらい。歩きならすぐやのに、今は遠い。あと1mってところで、私とヴィータ達の間に、

「騎士としての務め。この目で確かに見させていただきました。ヴィータさんとザフィーラさん、でしたよね。主君の盾となって、私のミカエリオン・セイバーを真っ向から防ぎきったその雄姿、感動いたしました」

フノスさんが降り立った。こんな時やのに、大英雄のフノスさんから贈られた愛しい家族への称賛が嬉しい。最初に上半身を起こし、膝立ちして、“シュベルトクロイツ”を支えとしてやっと立つ。全身に痛みが奔るけど、ヴィータとザフィーラに比べたらこんな痛み、何でもない。肩に掛かる砂ぼこりの付いた後髪を後ろに払う。ふと違和感に気付く。

『リエイス? リエイス!? リエイス!』

リエイスからの反応が無い事に気付く。ユニゾンは解けてない。呼び掛けに応じてくれへん。まさか、ブラックアウト・・・!?
ブラックアウトは、術者の魔力が大きな純粋魔力ダメージや使用のしすぎによって尽きて、意識を失うことを言う現象なんやけど・・・。リエイスも私を守るために魔力を使い過ぎて、気を失かったかもしれへん。

「八神はやてさん。どうします? 杖を構えた時点で戦闘の意思ありと判断し、攻撃を再開させていただきま――あら?」

――ロックバインド――

――レストリクトロック――

フノスさんを拘束するんは地面が鎖と化したバインドと、桜色のバインド。一拍遅れて「はやてちゃんっ!」って私を呼んでくれたんは・・・「なのはちゃんっ!」や。コロナもボロボロなリオに肩を貸して、ゴライアスを創成してくれてる。さらに、私の背後から脇を抜けてフノスさんへと突撃するんは・・・

――シュランゲバイセン――

シュランゲフォルムとなっとる“レヴァンティン”。未だにバインドの拘束から逃れてないフノスさん。このままやと危ない。そう思ったけど、結局は杞憂。フノスさんはジッと自分に迫る“レヴァンティン”の剣先を見詰める。

天花麗盾(クリュスタッロス・アントス)

白銀の雪の結晶の様な盾が展開されて、“レヴァンティン”の一撃を防御。それだけやない。氷の盾に突き刺さって止まった“レヴァンティン”が氷結されてく。これは、氷雪系の魔術? 術式名から言うて、シェフィリスさんの魔術かっ。この隙に、私は降り立ったなのはちゃんの助けを借りてフノスさんから距離を取る。

「まずい! アギト!」

剣先から徐々に侵食していく氷結。シグナム!って、あんなにボロボロで、もう立つのもやっとみたいやのに、あんなに激しく動いて・・・。それ以上の氷結を防ごうと、シグナムは“レヴァンティン”の刀身に炎を燃え滾らせてく。そやけど、シグナムの火炎すら氷結してくフノスさんの氷結。“レヴァンティン”を抜こうにももうビクともせん。

「ゴライアス!!」

コロナが大声でゴライアスへ指示を出した。フノスさんがゴライアスを見て「ゴーレムですか。土石系術師は現代にも居るんですね~」と感心。私を避難させてくれたなのはちゃんも「何とかしないと」って離れてく。私もと思ったんやけど、上手く魔力を生成できん。なんて無力なんや。私のために、ヴィータとザフィーラとリエイスを失って。そんで今はシグナムがピンチやのに、魔法が使えんから助けられへん。

「ドリルクラッシャーパンチッ!!」

「エクセリオンバスタァァーーーー―ッ!!」

ロケット・パンチに高速回転を加えたゴライアスの一撃となのはちゃんの砲撃が、バインドに捕らわれたままのフノスさんへ向かう。フノスさんは俯いてた顔を上げて空を仰ぎ、

復讐者の凶塔(トゥール・ソルシエール)

一言。フノスさんの足元に直径2mくらいのスヴァルトアールヴヘイム魔法陣が展開。魔法陣の縁に沿って、漆黒の影が高速で天へと伸びる。その直後に“レヴァンティン”の刀身が影に寸断されて、ガシャァァン!と勢いよく粉々になった。
そこから連鎖的に崩壊が始まる。寸断された部分から柄へと“レヴァンティン”の刀身が崩れてく。炎をも凍らせた氷をもうどうする事も出来ん。だからシグナムは為す術なく“レヴァンティン”を失うのを見るしかなかった。そして私は見上げる。それはさながら影の塔。その塔は、迫って来とったなのはちゃんとコロナの一撃を防いだ。

――降り注げ黒針(アヴェルス・ピュニシオン)――

影の塔から、いくつもの針の様なモノが勢いよく突き出してきた。まさに針の雨。「みんな、逃げてっ!」ってなのはちゃんが退避を促す。塔から伸びる針の雨は地面を突き穿って、石片を周囲に撒き散らしていって・・・・

「はやてちゃんっ!」「主はやて!」

私に迫る五本の針。しまった、完全に直撃コースや。魔法は・・アカン、まだ使えへん。私を突き飛ばそうとシグナムが突っ込んでくる。けど間に合わんのは確実。なのはちゃんも足元に魔法陣を展開して、何らかの魔法を使おうとしとるけど、それも間に合わん。避けるしか・・・。そやけど 、針の軌道と間隔が悪い。どこへ跳んでも必ず一本が当たる。そもそもまだ体を自由に動かせるほど回復してへん。

(ごめんな、ヴィータ。ザフィーラ・・・)

目をギュッと瞑る。せっかく護ってくれたのに、私は何もせんまま負けて・・・。

(・・・リエイス・・・!)

諦めかけたその時、『主はやて!』って、私の内に居るリエイスからの念話。胸の内が温かくなる。判る。感じる。リエイスの温かさや。

『主はやてをこれ以上傷つけさせないっ!』

――パンツァーシルト――

前面に展開される深紫色のシールド。リエイスの魔力光や。その直後に一本の針がシールドと衝突。接着点から激しい火花が飛び散る。そやけど完全には防ぎきれてない。でも逃げるには十分な時間は稼げた。すでに突き刺さった四本の針の間を抜けて、その場から離れる。うん、体は楽になっとる。もう大丈夫や。

『申し訳ありません、主はやて。私が気を失ってしまったばっかりに・・・』

「ええよ、リエイス。それに謝らなアカンのは私の方や。私がしっかりしとればリエイスはブラックアウトにならんだし。ヴィータとザフィーラも戦闘不能にならんかった。シグナムのレヴァンティンだって」

そうや。フノスさんのミカエリオン・セイバーをちゃんと避けとれば、こんな最悪な状況にならんかったのに。

「主はやてが気に病む事ではありません。それに、レヴァンティンは私のミスです」

『そうですよ。私たちがダメージを負ったのは自己責任です。ヴィータとザフィーラも、主はやてが自分を責めるのを辛く思うはずです。ですから主はやて。御自分を責めないでください』

シグナムとリエイスが優しく、でもちょっと厳しさのある声でそう言う。アカンな。シャルちゃんにも言われたことやのに。何でもかんでも背負い過ぎる、って。他の人の責任を勝手に背負うのは、ある意味傲慢やって。私は「ありがとう」とだけ返す。謝るんはちょお違うやろし。

「はやてちゃん、大丈夫・・・?」

「なのはちゃん。うん、もう大丈夫や」

なのはちゃんにそう答えて、辺りを見回す。酷い有様やった。石畳はミカエリオン・セイバーゆう砲撃で見る影もなくボロボロで土を覗かせとる。未だそびえる影の塔から伸びた針が元石畳に突き刺さって、小さなクレーターを作り出してて・・・、てゆうか、あんなん受けたら、死ぬんちゃうの?
まぁそれはともかく。無事でおるメンバーの数の少なさに膝が折れそうになる。こうして無事でおるんは、私とリエイス、なのはちゃん、シグナム(レヴァンティン無し)とアギト、コロナ、リオ(座り込んで、もう戦える様子やない)だけ。

「シャマル・・・・」

「申し訳ありません、主はやて。なのはもすまない。護りきれなかった」

シグナムが心底申し訳なさそうに頭を下げる。ヴィヴィオ達の側に倒れとるシャマルとティアナ。シグナムがボロボロなんはみんなを守ろうとしたからなんやな。でもダメやった。フノスさんの魔術はそれほどまでに強力とゆうことか。なのはちゃんは「仕方ないですよ」って首を横に振る。

「あの、これからどうすれば・・・?」

リオに肩を貸して歩いてきたコロナが、影の塔から目を逸らさんと訊いてきた。今の戦力で立ち向かえるような相手やない。そもそもたった一つの魔術で壊滅状態やし。それやったら戦力をもう一度整わす。そのためには。この中で治癒魔法を使えるのは・・・。

「リエイス。みんなを回復できるか?」

『出来ます。ですが、全員を一度にとはいけませんので、優先順位が出来てしまいますが』

時間が掛かるとゆう事やな。その間、フノスさんがどう動くか。てゆうか、さっきから何のアクションを起こしてへんけど・・・何やろ・・・? そう思っとったら、影の塔の中からフノスさんが話しかけてきた。

「そろそろ戦闘再開と行きましょうか」

影の塔全体にピシピシとヒビが入ってく。アカン。今の状態での戦闘は確実に敗北へ一直線や。

『とにかく。このメンバーを最優先に回復させますっ! 静かなる癒しよ、癒しの恵みを我らに運べ』

――静かなる癒し――

私を中心としてみんなのケガはもちろん、魔力・体力や防護服の回復が行われる。その間に影の塔が消滅した。フノスさんと目が合う。フノスさんが微笑したあと、

――氷聖の宝剣(サルツィオン・ブレイド)――

“グラム”の刀身に冷気の様なものが纏わりついた。フノスさんが突っ込んでくる。私らの中で一番最初に動いたんは、

「アギト! あれを使うぞッ!」

――レヴァンティン・アインエッシェルングフォルム――

シグナムやった。“レヴァンティン”の刀身は全然修復を終えてない。その代わり紅蓮の火炎が柄から噴き上がって、それはさながら炎の剣となる。シグナムはその炎の剣で、フノスさんの“グラム”と打ち合った。

「未完成ゆえ不安があったが、上手くいって良かった・・・!」

“グラム”に纏ってた冷気が根こそぎ消し飛んだ。少しの鍔迫り合いの後、シグナムが“グラム”を捌くと、大きく体勢を崩したフノスさん。炎剣を切り返して、フノスさんを追撃するシグナム。

――RAD(ラド)――

フノスさんの胸元にRのようなルーン文字。高速移動のルーン魔術を使う気や。

――雷神装――

そやけど、ルーン魔術発動よりも早く動くリオ。立ちはだかったリオを前にして動きを止めるフノスさん。その背後から迫る炎剣。そしてリオは攻撃やなくて離脱準備に入る。

――女神の護盾(コード・リン)――

とそこに、フノスさんの四方を囲うように展開される四つの盾。円形で、中央には女神が祈っとる画が描かれた、ある種の芸術品の様なアレは・・・。なのはちゃんが「ルシル君のリン!? それを同時に四つも!」って驚愕。
私もそうや。オリジナルを有するルシル君ですら一度に一つしか展開出来へんのに、フノスさんは一度に四つを展開。炎剣が防がれて、リオは盾が展開された時の衝撃波に弾かれて後退。

「私はルシルの一番弟子なんです。ですから師であるルシルの魔術は得意ですよ♪ たとえば・・・そうですね。ルシルから教わった魔術のアレンジが、コレです」

――殲聖の宝剣軍(カマエリオン・ブレイズ)――

「アレは・・・コード・カマエルかっ!」

シグナムの言った通り、頭上に作り出されたんは無数の槍・・・やなくて剣。色は虹色一色で、見とると少し目が回る感じ。ってそんなこと考えとる場合やない。シグナムが「コロナ、リオ、全力で逃げろっ!」って二人のフォローに回る。

「リオちゃんは私が! リオちゃん、掴まって!」

「任せる! コロナ、掴まれ!」

なのはちゃんがリオを左手で抱きかかえて、シグナムも左手でコロナを抱きかかえた。で、私はと言うと『主はやて。今の内に皆の回復を』とゆうことで、まずは回復役としてシャマルを最優先。そして中遠距離の魔法を扱えるティアナとレヴィを、突貫力のあるヴィータ、防衛力としてザフィーラを優先的に。空に上がって、向かうのはぐったりとして動かへんシャマル。

「剣軍800かぁ・・・ちょっと足りないかもですね。追加、いきます」

――殲滅爆撃(ルフト・アングリフ)――

フノスさんの口から飛び出した有り得へん言葉に続いて、空にイラッとする程の数の魔力スフィアが。見たことある。カノンさんの魔術や。4ケタ単位の魔力弾の雨。えっと、フノスさんのは・・・

(アカン・・・・3ケタでも4ケタでもどっちにしても脅威や)

剣先を真下に向けて待機しとる剣軍の間に煌く虹色の魔力スフィア。なんとゆうか夜空(今は青空やけど)に輝く星々、みたいな?
避けきることはまず無理やな。範囲があまりにも広すぎる。フノスさん。“アンスール”全員の魔術を全部扱えるって、ルシル君なみに卑怯や(号泣)。う~ん。防御できるやろか? ってところに、リエイスからの念話。

『主はやて。少々無理をすれば、おそらく半分は迎撃できます。ですがその分、治癒魔法に回せる魔力を失い、回復できる人数が減ってしまいます』

『どっちを選択してもゲーム―バーっぽいなぁ、それ』

なのはちゃん達はぐんぐん距離を稼いどるけど、それでもまだフノスさんの魔術の範囲内。私もなのはちゃんもシグナムも避けることは何とか出来るはず。そやけど問題は、避けとる途中でフノスさん自体からの攻撃が来ないかどうか。来たら間違いなく墜とされる。

『たとえばどんなん?』

『剣軍と魔力スフィアにデアボリック・エミッションを撃ち込みます。一つで威力が足りるかどうかは判りませんから、連発することになるかと』

デアボリック・エミッションの連発か。リエイスとユニゾンしとってもそれはちょおキツイかなぁ。答えが出る前に、「殲滅粛清(ジャッジメント)!」ってフノスさんが振り上げた“グラム”を振り下ろした。地上と宙空に居るすべての敵を墜とすための暴力が落ちてきた。

『いけませんっ! 主はやて!』

『リエイスに任せる!』

『判りました。出来る限り抑えて、いきます』

――デアボリック・エミッション・アルプトラウム・ベフライウング――

グンと魔力が勢いよく引き出されて一気に使われる感じ。そして発動するデアボリック・エミッションのバリエーション。私を中心として一つ、三方に各一つ、計四つのデアボリック・エミッションを、ベルカ魔法陣形に同時発動させる。

『くっ、完全には無効化できない・・・!』

魔力剣も魔力弾も完全無効化とはいかんけど威力と速度は弱く出来た。でも・・・・エミッションの中で私は、私たちは思い知った。

――奥義・主天聖の剣閃(キュリオテテック・セイバー)――

視界いっぱいに溢れる虹色の・・・・雷光。それで私の意識は完全に途切れた。

†††Sideはやて⇒シグナム†††

(よもやこれ程とは・・・、さすが魔道王ということか・・・!)

フノス殿の降らせる魔力剣と魔力弾が掠めようとも止まるわけにはいかない。必死に回避行動を取っている最中、『シグナム!』「シグナムさん!」と、アギトとコロナが半ば悲鳴に近いほどに私の名を叫ぶ。
何事か、と思う前にすぐに察する。上空ばかりに気を取られ、前方に降り注ぎ始めた魔力弾の滝に気付くのが遅れた。だからと言って止まるわけにもいかん。すでに空から数十本の魔力剣が降って来ている。

「コロナっ、少しキツイかもしれんが辛抱してくれっ!」

「はいっ!」

左脇に抱えているコロナの腹に回している左腕に力を込める。少し苦しいかもしれんが、落としてしまうよりかは遥かにマシだろう。右手に携える炎剣形態の“レヴァンティン”を振りかぶり、

『「剣閃烈火!!」』

――火龍一閃――

柄より伸びる炎剣を伸ばし、空より降り注いできたいくつもの魔力剣を迎撃する。炎剣によって横一線に寸断された直後、魔力剣の雨が連鎖的に爆発を起こしていく。迫って来ていた魔力剣の迎撃には成功。しかし魔力剣に遅れて降り注いできた魔力弾の雨が黒煙を突っ切ってきた。
今の“レヴァンティン”は刀身を破壊され、火炎のみで刀身が構成されているアインエッシェルングフォルム。ここスンベルで新たに組んだばかりの――火龍一閃を持続させる魔法なんだが。現状の問題は“レヴァンティン”のカートリッジ補給口が無い、ということだ。ゆえに火龍一閃はそう何度も使えない。それはつまり何度も迎撃することが出来ない、ということに他ならない。

――デアボリック・エミッション・アルプトラウム・ベフライウング――

どうにか迎撃する術がないかと思案するより早く。主はやてによるデアボリック・エミッションが、放たれた直後の魔力剣・魔力弾と我々の間で発動。しかも四つ同時にだ。主はやてもリエイスも随分と無茶をなさる。しかしそのおかげで、デアボリック・エミッションを通過してもなお降り注ぐ魔力剣・魔力弾の数、速度、威力が衰えていっている。

「シグナムさん! フノスさんが!」

コロナが指差す方角。そこには虹色の雷光を“グラム”の刀身に集束させているフノス殿の姿が。誰を狙っている? それは考えるまでもなく。フノス殿が体を向けている方角の先には、デアボリック・エミッションの中心、主はやてが居た。

「主はやて! リエイス!」

今のこの状況下では声が届かぬのは解っている。が、叫ばずにはおれん。

――奥義・主天聖の剣閃(キュリオテテック・セイバー)――

放たれる特大の雷撃の剣状砲撃。砲撃は一直線に主はやての元へと突き進む。

――ディバインバスター・エクステンド――

そこに、なのはの砲撃がフノス殿の砲撃を迎撃しようと脇から伸びてきた。だが無駄だった。なのはの砲撃など問題にならないとでもいうようにかき消す。いかん。フノス殿の砲撃を止めることは出来ん。為す術なく見守り、砲撃は主はやてを中心として広がっているデアボリック・エミッションに直撃。砲撃はデアボリック・エミッションを一瞬で消滅させ、主はやてとリエイスを呑みこみ、そのまま通過していった。

「主はやて!」「はやてさん!」『マイスター!』

砲閃の中から落下していく主はやての元へ翔ける。ユニゾンは解けていない。が、主はやてはもちろん、リエイスもブラックアウトで気を失っている可能性がある。全てのデアボリック・エミッションが消え去ったことで、先程までの苛烈な攻撃が再開される。魔力剣・魔力弾の雨をかわし、もう少しで主はやての元へ辿り着けるというところで、

「「『消えたっ!?』」」

忽然と姿を消す主はやて。辺りを見回すが、姿は見えない。

――RAD(ラド)――

背後に気配。そして強大な魔力反応。背後に誰が居るかは判っている。振り向きざまに聞こえるフノス殿の声。

「はやてさんは転送させました。気を失っていましたし。あなたはすでに両手が埋まっていますしね」

振り向く勢いのままに炎剣を振るい、フノス殿に叩きつける。が、炎剣は直撃することなく、不可視の障壁らしいもので弾かれた。いや、弾かれただけに留まらず、炎剣は完全にかき消されてしまった。

「あ、安心してください。あなたと彼女も気を失おうとも転送しますので」

――闇聖の宝剣(カムエリオン・ブレイド)――

振るわれる“グラム”。もはや柄だけの“レヴァンティン”で防御するが、フノス殿の魔術の前では防御にすらならなかった。

†††Sideシグナム⇒なのは†††

シグナムさんとアギト、コロナちゃんが撃墜されてしまった。リオちゃんがその光景に、体を震わせているのが判る。そうだよね。フノスさん一人にここまでされて、怖いよね。

「残るは私とリオちゃんだけか・・・」

「なのはさん・・・。どうすれば・・・?」

どうするか、か。打ち止めたのか魔力剣・魔力弾の雨は止んでる。でもそんなのが無くてもフノスさんは十分に強い。一番最初からして異常。一斉攻撃を受けても傷どころか服が汚れてさえもいなかった。強力な障壁を張った証拠だ。その障壁を、私とリオちゃんで突破できるかどうかが鍵なんだけど・・・。無理だ。アレだけの砲火を受けても突破できなかったんだから、二人だけで障壁を貫くなんて出来るはずが・・・

――RAD(ラド)――

「いいえ。これでチェックメイトです」

「「っ!!」」

――アクセルフィン――

背後から声がしたと瞬間にはその場から緊急離脱。

――アクセルシューター――

苦し紛れのシューター十一基。距離を取りながらもチラリとフノスさんを見る。シューターはフノスさんへ直撃・・・しなかった。当たる直前でかき消されてる。

――エクセリオンバスター――

飛行を止めることなくエクセリオンを放つ。リオちゃんが「ダメですっ。当たってません!」と声を荒げる。不可視の障壁、か・・って、ん? 不可視の障壁? 前にもそういう単語を聞いたような・・・。思考した結果、辿り着いた答え。「まさか・・・多層甲冑!?」だった。他にも候補があるけど、一番しっくりきたのが、ルシル君の有する防性術式・多層甲冑ゴスペル。
フノスさんも言っていたし。

――私はルシルの一番弟子なんです。ですから師であるルシルの魔術は得意ですよ♪――

「正解です。多層甲冑ゴスペル。魔力制限の所為で持続できず、数秒間だけの展開となってしまいますが、今の私にでも発動できます」

自嘲気味のフノスさん。最悪。多層甲冑は、対魔力と対物理の障壁を何重にも纏う障壁だ。たとえ今の私とリオちゃんが魔力障壁を貫いたとしても、物理障壁で拒まれる。いよいよもって詰んだ。もう・・・ここまでだよ・・・。

「ごめん、リオちゃん」

「・・・・あたしもごめんなさい。足手まといになっちゃいました」

「そんなことないよ。やっぱり元々からこういう結果になっていたはずだから」

フノスさんと戦う。そう。戦うことが決まった時点でもう負けていたんだ。フノスさんが“グラム”に深紫色の闇を纏わせ始めた。これで決着か。

――闇聖の宝剣(カムエリオン・ブレイド)――

「でも最後まで諦めずに足掻いて見せるッッ!!」

急停止して背後に振り向く。私を追っていたフノスさんへと“レイジングハート”を向け、

「ディバィィーーーン・・・バスタァァーーーーーッッ!!」

至近距離での全力バスターを撃ち込んだ。

◦―◦―◦―◦―◦―◦

フノスは右手に携えていた“神剣グラム”を落とし、両手で頭を抱えて「やっちゃいました」と自己嫌悪に唸りだした。彼女の周囲にはぐったりと倒れたなのはとリオ、シグナムとコロナ、はやて。これでフノスと戦っていた管理局組は全滅だ。

「魔力出力を10%にしても、皆さんには強すぎたんですね・・・。・・・あぅぅ、私ってばなんてミスをぉぉ・・・」

両膝をつき、果てには両手もついてガックリ項垂れた。そして「私って馬鹿? うん、馬鹿。やっぱり馬鹿なんだ」とさらに自分を責めだす。フノスは最大限気を遣って戦い、しばらく長引かせようと考えていた。だが、その策は見事に潰れた。彼我の戦力差を計り損ねたからだ。あまりに強大過ぎる魔力を有する魔術師の王フノス。そう、そもそも彼女と戦って、戦闘が成立するはずがなかったのだ。

「えーっと・・・。とりあえず・・・か、回復させた方が良いのかな・・・? 良いんですよね。うん、戦闘は終了したということですしね」

フノスはようやくやるべきことを考えつき立ち直る。“グラム”を手に取り立ち上がって、一番近いなのはの元へ歩き出した。




†◦―◦―◦↓レヴィルーのコーナー↓◦―◦―◦†



レヴィ
「・・・一瞬で負けた・・・」

ルーテシア
「さすが魔道王ということかぁ~」

レヴィ
「という感じで今回も始まったレヴィルーのコーナー。
うん、解ってた。解ってたよ。フノスさんに勝てるわけないって事くらい。
でもあまりに理不尽な幕引き。戦闘も一方的。ずっとフノスさんのターンだったよ」

ルーテシア
「そうだね・・・って! ちょっ、レヴィ。あそこ。柱の陰からフノスさんがこっちを覗いてる」

レヴィ
「ええっ? 魔道王って謳われてる人がそんな・・・、あ、ホントだ」

ルーテシア
「とりあえず手を振ってみよ?・・・・・あ、振り返してくれた」

レヴィ
「じ、じゃあ手招きを・・・。あ、来た」

ルーテシア
「えっと。アンスールの魔道王、フノス・クルセイド・アースガルドさんです」

フノス
「皆さん、こんにちは。ご紹介に与りましたフノス・クルセイド・アースガルドです」

ルーテシア
「それにしてもお強いですよね、フノスさん。えー、同い年?」

フノス
「私は16なのですけれど」

レヴィ
「じゃあわたし達と同い年ですね・・・」

フノス
「そうなのですか? それは親近感がわきますね♪」

レヴィルー
(わかないよ。同い年であの圧倒的戦力差って・・・)

レヴィ
「フノスさんもやっぱり他のアンスールのように制限されていたんですよね・・・?」

フノス
「はい、もちろんです。最大出力を10%にまで抑えました」

レヴィ
「(10%!? 10%であの威力!?)そうなんですかぁ~~、あははは。(もう笑うことしか出来ない)」

フノス
「ですけど・・・それでもまだ強すぎたようで・・・。ごめんなさい。あまりに理不尽な幕引きで。戦闘が一方的で。ずっと私のターンで」

レヴィルー
(き、ききき聞かれてたぁぁぁーーーーーーっっ!)汗ダラダラ

フノス
「あっ! 責めているわけではありませんし、私もそう思いましたから、気にしないで頂けると助かります」

ルーテシア
「ごめんなさい。でも、ルシリオンさんの一番弟子っていうことですし、やっぱり強いのも当たり前なのかなぁって」

フノス
「中遠距離魔術はルシルに、近接格闘・剣術はイヴに教わったんです。
ホントは猛反対を受けたのですけどね。でもやっぱりアースガルドの一王として、戦場に出ないわけにもいきませんでしたから」

レヴィ
「猛反対? ものすごい魔力と、複製じゃなくて純粋に魔術を憶えて扱える才能。だから最強の魔術師に成り得たんですよね?」

フノス
「その、私は体が弱く、短命とされていたんです。ですから魔術行使は寿命を縮める、と」

ルーテシア
「あ・・・そうだったんですか・・・」

フノス
「ですから大戦に本格的に参加したのはヴィーグリーズ決戦のみで、相手も連合最強の魔獣、喰滅狼ウリベルト・ツェレストティッツァ・カーナス・フレイオルタ一体のみなのです」

レヴィ
「連合最強・・・。それでも勝ったんですよね・・・? フノスさんは魔術師最強なんですから」

フノス
「いいえ。残念ながら三戦三引き分けでした。ふぅ、彼女、強かったですよ」

レヴィルー
「どんだけぇぇーーーーーーーーーーーっっ!?」

フノス
「ふぇ!? 一体どうしました!? そんな全力で叫んで!?」

レヴィルー
「い、いえ、なんでも・・・」

フノス
「はあ、そうですか。それならいいのですが」

レヴィ
「あっと。あとがきが長くなるのはあまりよくないらしいので、今日はここまで!」

フノス
「あら、そうなのですか」

ルーテシア
「はい、そうなのです。ではまた次回でお会いしましょーっ!」

フノス
「さようならー♪」



 
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