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魔法少女リリカルなのはANSUR~CrossfirE~

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ようこそ☆ロキのロキによるお客様のための遊戯城へ~Ⅵ~

†††Sideレヴィ†††

三つ目のエリアは、綺麗な夕陽に染まる遊園地。新しいエリアに来た事で、体が元に戻ってる。よっしゃあっ!で、わたし達は今、このエリアのマスターと対峙していた。夕陽の所為でハッキリと判らないけど、蒼い長髪をポニーテールにした若い男の人。服装はルシリオンやカーネルさん達と同じ長衣(色はたぶん深紫)にロングコートに編み上げのロングブーツだ。

「オレがここのエリアマスターだ。名前は、プレンセレリウス・エノール・スヴァルトアールヴヘイム、よろしくなっ!」

左手を腰に当てて、右手の親指を自分に向けながら自己紹介したプレンセレリウスさん。

「おう、親友! 随分とハーレムを楽しんでいるみたいじゃん、羨ましいね~♪」

「馬鹿な事を言うな。とりあえず、お前を倒せばクリアだな。よし、歯を食い閉めろ」

ルシリオンがいきなりプレンセレリウスさんの撃破を宣告、指をポキポキ鳴らし始める。みんなが唖然となる。プレンセレリウスさんも「随分と舐めてくれるじゃないか、ええ?」ってジト目でルシリオンを睨んだ。

「ルシルパパ、もし戦う事になったら、相手はわたし達になっちゃうんだけど・・・」

ヴィヴィオにそう言われたルシリオンは、「おそらくヴィヴィオ達でも勝てると思うが」って信じられない事を言った。ヴィヴィオ達でも勝てる“アンスール”の魔術師? 今までの戦いを見たら、かなりの実力者でも束になっても勝てないって感じなのに。

「おーいおいおいおい。もしかしてそこの女の子でもオレに勝てるって思っているのか? そこまで弱くないぞ、オレ。確かにアンスールの中じゃ一番敗北数が多いけどさ」

これまたとんでも発言。ルシリオンとプレンセレリウスさんの二人だけのやり取りを眺めながら、わたし達は二人から数歩引いて、

「ルシルさんの仰る通りでしたら、ここは戦闘してクリア、という選択肢を取りますか?」

うわぁ、あのイクスまでもが珍しく力押しな意見を出してきたよ。スバルも「イクス、結構大胆な考えを出すねぇ」ってビックリしてるし。

「なのはさん達は、ルシルさんとシャルさんの記憶を見たんですよね? プレンセレリウスさんの実力、というかどんな魔術を使っていたんですか?」

ルーテシアが、ルシリオンとシャルロッテの記憶を観たなのはさん達を見回す。わたしとルーテシアとアギトは、記憶を見ることなく海上隔離施設に戻ったから、ルシリオンとシャルロッテがどんな風に生きて死んだのか知らない。ここでまたアインハルト達が首を傾げる。もうルシリオンからじゃなくても、事情を知るなのはさん達が話せばいいのに。

「どうだったっけ? どのシーンも衝撃的だったからよく憶えてない、かも?」

「私もやなぁ。ルシル君とシャルちゃんの事で、プレンセレリウスさんの事はあんま憶えてないわ」

なのはさんとはやてさんは頭を捻って「うーん」と唸る。フェイトさんも「ルシルの事でいっぱいいっぱいだったからほとんど憶えてない・・・」と言って項垂れる。そこに、ティアナが挙手して「プレンセレリウスさんって、結構謎だったのは憶えてますよ」と言った。キャロも続いて、「そうですよね。何か見えない力を使って、戦っていた記憶があります」なんて、謎が深まる事ばかり出てくるなぁ。

「つうか、プレンセレリウスさんってさ、情報を集めるのを仕事にしてなかったか?」

ヴィータさんがそう言ったことで、なのはさん達が「そう。そうだったよね」って賛同してく。結局は謎。でも情報収集能力には長けてるみたい。まぁそれが直接的な戦力になるかはどうかは別だけど。話が一段落したのか、ルシリオンが「そろそろ始めるか」ってプレンセレリウスさんを連れて歩いてきた。

「セシリスから話は聞いてる。三つのチームに分けて進めてるんだってな。えーっと、次はどのチームがサイコロを振るんだ?」

はやてさんが「あ、私らや。プレンセレリウスさん、今度は私が振ることになってるんやけど」と挙手。プレンセレリウスさんが「お、了解。いやぁ、君もまた可愛いなぁ」ってはやてさんに近づいて褒める。はやてさんは嬉しそうだけど、でも苦笑して、顔を少し後ろに逸らす。

「おおきにな、プレンセレリウスさん。でも、ちょーっと近いかもしれんなぁ・・・」

「いくら英雄とはいえ、主はやてに手を出すのは許容できんな」

「そういうこった。顔は良いけど、それだけじゃはやてと釣り合わねぇぞ」

(元の姿に戻った)シグナムさんの“レヴァンティン”と、ヴィータさんの“グラーフアイゼン”が、はやてさんとプレンセレリウスさんの間に割って入る。

「そんなつもりは始めからないさ。女性の容姿を褒めるのは男として当然だろ。あ、だからってお世辞じゃなく、可愛いと思ってるってのは本気で本当だから」

「え、あ、ありがとな。なんや、そこまで褒められるんは初めてやから照れるわ」

本気で頬を赤らめて照れるはやてさん。そしてシグナムさんとヴィータさんの視線は、プレンセレリウスさんの親友っていうルシリオンに向けられる。

「ちょっと待て。そこでどうして私に非難の視線を向けるんだ?」

「「なんとなくだ」」

「このスンベルに来てからというもの、精神ダメージが蓄積していっている気がしてならない」

ルシリオン・・・頑張って! そんなやり取りを終えて、ようやく本題に入る。プレンセレリウスからサイコロを受け取ったはやてさんが「出来るだけ簡単なお題が出ますように」って祈りながら、サイコロを放り投げた。コキンと綺麗な音を立てて地面に落ちて、コロコロ転がっていく。じぃーとサイコロを眺める。サイコロが止まって、その数字をわたし達に晒した。

「13、だな。それじゃあ、はやてちゃんだっけか? はやてちゃんのチームは13マス目へどうぞ!」

「馴れ馴れしいぞ、レン。すまないな、はやて。シグナム達も。コイツはどうも子供の頃から女の子とすぐ仲良くなろうとする奴だから・・・気を悪くしたら謝る」

ルシリオンがプレンセレリウスさんの襟首をグッと引っ張って、はやてさんから離していく。プレンセレリウスさんは「友達になろうとして何が悪いんだよ。疚しい気持ちは無いって知ってるだろ」と体を捻って抜け出す。

「気にせんでええよ、ルシル君。じゃ、赤チーム、行くよーっ!」

わたしも赤チームだから、「ルーテシア、イクス、行こう」って二人を連れてはやてさんの元に向かう。なのはさん達に「行ってらっしゃい、頑張ってね」と見送られて、夕陽に照らされるマスを歩く。そして13マス目に到着。ルシリオンのお姉さんらしいアナウンスが流れる。

『あなた達は肝試し目的で大きな廃屋敷へ来ちゃったよ♪ 何も無くて、さあ帰ろうと屋敷を出ようとしたけど出られない。閉じ込められちゃった❤ 実は居た屋敷の主を捜して見つけ、屋敷から出してもらおうっ、ファイトぉ~、エスケ~プ、オオー!』

肝試し? 聞いた事がない単語だけど・・・? 廃屋敷で何をするの? ルーテシアもイクスも「???」って首を傾げてる。アギトは知ってるみたいで、「あぁ」とか呆れた感じ。

「き、肝試し、ですか・・・? 嫌ですぅ・・・・」

リインが怯え始めた。怯えるようなことなのかなぁ? 疑問が晴れない中、転送が始まる。視界が白に染まって、クリアになったらそこは豪華な造りをした屋敷の中。床にはレッドカーペットが敷かれてるし、壁にも絵画が飾られてる。

「それにしても暗いなぁ。どっかに明かりとか――」

閉じられたカーテンの向こう側からピカッと激しい雷光。廊下を明るく照らした。遅れてゴロゴロと轟音が。また雷が落ちてくるようだ。そこでようやく気付いた。

(あれ? あれれ? もしかして、わたし一人しかいない・・・? うそ、嘘だよね? 肝試しっていうのが判らないこの現状で一人っきりってヤバ過ぎる!)

連絡を取り合いたいために念話・・・って、ノイズが酷くて誰にも念話が通らない。最悪すぎるよ、この状況。こんな事なら肝試しって何なのか聞いておけばよかった。

「ルーテシア! アギト! はやてさん! シグナムさん! リイン! イクス!」

チームのみんなの名前を呼びながら、わたしは捜索に移った。途中で魔力灯のスイッチと思しきモノをカチカチ押すけど、明かりは点きそうにない。とりあえず雷光を頼りにして、近くにある部屋から捜してみようと思う。豪華な屋敷らしく、なんらかの模様が彫られた木製のデザインドアで、金のプレートにはゲストルームって彫られてる。ギギィと軋みを上げる扉を開けて入る。

「うっわぁ、結構ボロボロだなぁ。床が軋むし穴も開いてるよ・・・」

穴に足を取られないよう、床を踏み抜かないように探索。見れば家具も天井のシャンデリアもボロボロだし、本当に廃屋だ。この部屋の明かりのスイッチをカチカチ押しまくるけど、やっぱり点かない。嘆息しつつ、部屋の隅に置かれた真ん中でV字に折れてるベッドに近づく。よく見るとベッドの上にはアウトフレーム状態(子供の姿)アギトが横たわっていた。

「アギト!」

アギトに駆け寄って、肩を揺すりつつ名前を呼び続ける。すると「うあ? レヴィ・・・?」ってすぐに目を覚ましてくれた。安堵の息を吐いて、「アギト、何でまたこんなとこで寝てんの?」と訊いてみる。

「全然憶えてない。転送されてからレヴィに起こされるまでずっと寝てたんだと思う」

意識を失った状態でここに転送されてきたって事、かな・・・?
とりあえずここから出て、みんなを捜そうと提案しようとした時、「ア゛ア゛・・ァ゛ア゛ア゛ア゛・・・ア゛ァ゛」って苦しみに呻く人の声が聞こえてきた。

「うおっ? マジで出るのかよ、アレ!」

アギトの言うアレって言うのは解らないけど、ともかく「アストライア、コンバットで起動」と防護服“モード・コンバット”に変身。

「アギト、何が起こるか判んないし、出よう」

周囲を警戒しつつ、扉へと向かう。その途中、さっきまでは一切感じられなかった気配を背後に感じて、バッと振り返る。と、そこには・・・・・

「ア゛ア゛ア゛ア゛ーーーーーッ!」

「「~~~~~~~~~~~~ッッ!!?」」

グチャグチャになり過ぎて性別すら判らない顔があった。驚き過ぎて意識が飛びそうになったけど何とか耐えて、

「ビックリしたでしょうがぁぁああああああッ!」

――瞬閃 牙衝撃――

右拳打を打ち込む。だけど、一切の感触もなくソイツの体を貫通した。まさか幻影!? 暗いからよく判らなかったけど、注視すれば体は半透明だし。とにかく右腕を引き抜こうとした瞬間、ソイツがわたしの頭に右手を伸ばしてきて鷲掴んだ。ただの幻影じゃない! じゃあコイツってなにっ!?

「レヴィ、ソイツは幽霊ってやつだ!」

アギトが顔面グチャグチャのコイツを指差して言った。幽霊・・・コイツが!? わたしも一応は元亡霊だから理解は出来る。ギリギリと頭を締めつけられて「痛ッ」と漏らす。ていうか放せ、この! ジタバタ暴れるけど、どの攻撃も体をすり抜けてダメージが入ってない。

「テメェッ! レヴィを放せよっ!」

――ブレネン・クリューガー――

アギトの炎弾が幽霊に殺到。でも全部すり抜けて、部屋を破壊するだけに留まった。ううん、爆風によってわたしは幽霊から抜け出す事が出来た。

「退くよアギト! 攻撃が通用しないなら逃げるしかない!」

「ああ!」

幽霊の呻き声を背中越しに聞きながら部屋から脱出。えっと、わたしが来たのは左からだったから、今度は右へ行こう。少し走ってから、さっき出てきたドアを見やる。幽霊は追って来ていない。でもあの一体だけと限らないから油断は出来ない。と思った矢先、

「ほらっ、早速別のが来たし!」

「お゛ぉ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛お゛お゛」

執事服の幽霊さんがいらっしゃいました。もちろん半透明、しかも唸るチェーンソー持ってるし。執事ならもっと相応しい得物があるよね!? たとえば・・・銀のトレイとかナイフとか! そんな執事幽霊は僅かに浮遊しながら近づいて来る。

「くそっ、逃げるしかねぇっていうのが気に入らねぇっ!」

「そうは言っても攻撃が通用しないんじゃしょうがないよね・・・!」

呻き声を漏らしながら追いかけてくる執事に意識を向けながら、どうにか出来ないか考える。解決策も出ないまま走り続け、いよいよ廊下の端が見えてきた。行き止まりだったらシャレにならないんだけど。ううん、きっとあそこは角で、あの角を曲がれば廊下が続いているはず。きっとそうだ。さぁ端に到着!

「「行き止まりかよっ!!」」

端に到着してみれば、なんと悲しいかな行き止まりでござる。ギュインギュイーンとチェーンソーの唸りがすぐ背後から聞こえてきた。振り返れば、執事が胸を掻き毟りながら「あ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛ぁ゛」と呻いて近づいて来る。どうする。逃げ場はなし。窓から飛び降りるって選択肢はあるけど、閉じ込められたって事からして、きっと開かない。
あとは、わたし達と執事の間にある扉に入るか、だ。冷静に考えれば、顔グチャ幽霊は部屋を出て追いかけて来なかった。たぶん幽霊の行動範囲がある一定に決められているんだ。顔グチャはゲストルーム、そして執事はこの廊下。

「アギト、あの扉に入るよ、ついて来て」

「はぁ? 幽霊なんだからすり抜けてくるって! 部屋じゃ逃げ場ないぞ!」

「いいからっ。ほら、行くよっ!」

アギトの左手を取って、ドアへとダッシュ。わたし一人なら陸戦高速移動魔法・瞬走壱式で行くけど、アギトが居る以上は走らないと。あともう少しで、というところで、執事がスゥーと消えていった。

「「あれ?」」

速度を落として歩く。キョロキョロと周囲を見回すけど、執事の姿はどこにもない。アギトが「何だか知らねぇけど、今の内に逃げようぜ」って廊下の先を指す。わたしは「うん」って頷いて、来た道を戻ろうとしたその時、

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッ!!」

「「ぎゃぁぁあああああああっ!!?」」

すぐ後ろからさっきの執事が現れて、耳元で気色悪い呻き声を叫ばれた。咄嗟にアギトの肩に腕を回して前方にヘッドスライディング。その行動は正解だった。わたしの腰とアギトの胸があった場所を、執事がチェーンソーで薙いでいた。好き勝手やってくれるじゃん、執事のクセして。そしてまた執事がスゥーと消えた。

「もうその手には引っ掛からないって教えてあげる!」

アギトを脇に抱え上げて、一目散に逃げる。すると、廊下に何十枚ってある窓がパパパパパパパン!と連続で割れていく。

「きゃっ?」「うぉいっ?」

窓の外にはさっきの執事とはまた別の幽霊、大きなハサミを持った庭師(首が異様に傾いてる)が宙に浮いていて、声には出てないけど肩を上下に大笑いしてやがるよあの野郎。睨みつけると、ソイツは外の暗闇の中に消えていって・・・・

「がぁぁぁあああああああああっ!」

チェーンソー執事がチェーンソーを振り下ろす体勢で目の前に現れた。やばい、避けきれない。最悪を覚悟したその時、パッと辺りが明るくなった。でも闇に慣れていた所為で眩し過ぎ。そんな中でわたしは見た。明かりが点いたと同時にチェーンソー執事が明かりを嫌うように消えていったのを。

「明かりの中じゃ存在できないんだ・・・」

†††Sideレヴィ⇒イクス†††

「明かりのスイッチを押してもダメですね。点きません」

カチカチとスイッチを押しますけど、廊下の天井に釣らされています魔力灯に明かりが点りません。

「あぅ~、もう限界ですぅ~」

リインさんはもう今にも泣いてしまいそうです。転送の光が消え、気が付けばわたしはリインさんと二人きりでした。

「雷が唯一の明かりとなっていますけど、視力を悪くしそうですよね」

屋敷の外は悪天候、雷が鳴りっぱなしです。ですがそのおかげで廊下は雷光で明るくて、暗さはあまり感じられません。ですけど雷が鳴る度に「ひゃう!」とリインさんが小さな悲鳴を上げて、わたしの左腕にしがみ付いてきます。いきなり力強く引っ張られるので転びそうになってしまいますけど、なんとか転ばないように耐えます。それがちょっと大変ですね。

「リインさん、大丈夫ですか? 雷くらい平気だと思っていましたが」

雷光や雷鳴という自然現象はもちろんミッドにもありますし、フェイトさんの電気変換魔法と触れ合ってきた時間からして慣れているものだと思っていましたから、雷に怯えるとは思いませんでした。

「違うんですよ、イクス。ただの雷ならわたしも全然怖くないです。でもこの雰囲気の中での雷はどうも苦手で。うぅ、こんなお題・・・あんまりです。ひゃあっ!」

近くに雷が落ちたようでバキバキ!と大きな音が轟き、リインさんが両手で耳を押さえて蹲ってしまいました。
リインさんの言うこの雰囲気、というのはよく解りませんでしたが、気にならない雷と苦手な雷があるようですね。

「では手を繋ぎましょう。そうすれば少しは気が紛れるはずですから」

わたしの姿はまだ幼さの残る子供ですけど、でも実はとっても長生きしてます。聖王オリヴィエ陛下や覇王イングヴァルト陛下よりずっと前の時代からですね。とは言え、神器王ルシリオン陛下たち“アンスール”やシャルからすればずっと子供ですけど。
少し逸れましたが、つまりちょっとお姉さんぶってみたかったりするのです。リインさんはわたしの腕を掴んでいた両手を離して、私が差し出した左手を右手で握り返してくれました。

「ありがとうです、イクス。やっぱり誰かと触れ合っていれば恐怖が和らぎます」

リインさんがホッと安堵の一息。リラックスできたようで、医者を志す身として、そして友達として嬉しい事です。リインさんと手を繋いで、はやてさん達を捜し合流するためにひとまず廊下を歩いて移動を続けることになりました。念話の通じない中(たぶん何らかの阻害が掛けられているのかと)、

「はやてちゃーーん! シグナムーーっ! アギトーーっ!」

「ルーテシアさーーん! レヴィさーーんっ!」

声を出して呼びかけながらひたすら廊下を進みます。

「あ、階段ですっ・・・・、えっと、下か上か・・・どっちに行きましょう?」

豪奢な造りをしている階段ホールに辿り着きました。リインさんに訊ねられて考えているところに、雷が突然止んで辺りが闇に包まれた。わたしとリインさんは無意識に「きゃっ?」と小さな悲鳴を上げて、お互い握っている手に力を込めました。

「あ、明かり、明かりはどこですかっ? これ、このパターンはデンジャー過ぎます!」

「お、落ち着いてください、リインさん! 明かりは点きませんよっ」

何に恐れているのか解りませんが、かなり慌て始めました。目が慣れるまでしばらくかかりそうですし、この暗闇が原因だとすれば・・・。わたしはベルカ魔法陣を展開します。魔法陣から漏れるわたしの魔力光フォゲットミーノットの光を明かりとしました。こういう時には本当に便利ですよね、魔法陣の展開。

「あぁ、そうか。魔法陣を明かり代わり・・にすれば・・・・ひっ! 出・・!」

リインさんの両目が限界にまで開いて、口をパクパクと開閉。で? 続きは何でしょう? リインさんは震えながら、人差し指で階段を指しました。人差し指が指している方へと視線を移動。

「???」

シックなドレス姿の女性が居ますね。階下から音もなくわたし達の居る階へと上ってこようとしています。ふと違和感が。あの方、半透明ですねぇ。何かの魔法でしょうか? しかも白目をむいてますし、それに歩いているのではなく浮いて移動しています。

「オ゛オ゛オ゛オ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!」

「ひぃやぁぁああああああああああッッ!!」

半透明の女性があげた苦悶の悲鳴を聞いたリインさんが大絶叫。キーンと耳鳴り。あの、リインさん、驚いたのは解りますけど、そこまで絶叫するようなことでは・・・って。

「出た出た出た出た出ちゃいましたぁぁーーーーーーッッ!!」

リインさん、半透明の女性から逃げるように踵を返して全力ダッシュ。手が繋がれたまま、しかも放して頂けないので引っ張られることに。転んでしまえば引き摺られること確実と判断。必死に足を動かして走ります。

「あのっ、リインさん! 出来ればもう少しペースダウンを! わたし、もう体力が・・・!」

30mと全力で走ったところで息切れ。もっと体力をつけておけばよかったと後悔。予定の無い休みの日は、学校と治癒魔法の勉強に時間を割いてますし。一応、時々はヴィヴィオ達に付き合って体を動かしていますけど、所詮は本格派とエクササイズ派。わたしの体力はみなさんに比べればこのようなちっぽけなモノですよね、はぁ。

「だ、ダメですダメですよっ、イクス! 大切な事なので二回言いましたけど、ダメですよっ。捕まったら憑依されたり操られたり呪われたり最悪死んでしまったりするかもしれないんですよ!?って、追いかけてきてるっ!」

リインさんはよほど混乱しているのか、滝のように涙を流して目がグルグル回ってしまってます。必死に走っている中で背後を見ますと、先程の半透明の女性が自分の胸を掻き毟りながら、「ア゛ァ゛ア゛ア゛ァ゛ア゛」と呻き声を上げつつ追って来ていました。廊下を走っていて、それは突然起こりました。リインさんが目の前から消えたのです。正確には床を踏み抜いて腰の辺りまで落ちていました。すると当然わたしを引っ張っていましたリインさんが止まったことで、

「きゃあっ!」

走っていた勢いを急になくすことは出来ず、繋がれた手が伸ばしきられて急停止する事になってしまい、転倒してしまいました。リインさんが「ごめんさいですっ。でも助けてくだい!」と大パニックを起こしながら抜けだそうと暴れ出します。わたしはリインさんの両手を取って引っ張り上げようとしますが、腰の辺りまで落ちてしまっている事でなかなか救出する事が出来ません。

「来たですぅーーーーーーッ!!」

徐々に迫って来ている女性を見て、リインさんが涙を流しながら絶叫。仕方がありません。大切な友人のため、首から下げているクリスタルの鍵を手に取ります。

「いきますよ、ティファ」

≪Jawohl, Mutter≫

鍵型のデバイス“ティファレト”から≪了解です、母上≫と返答。はやてさんとリインさんとルーテシアさんの協力の下、一生懸命作ったデバイスです。
名前の由来は、再誕神話・・・ルシルさんとシャルの生きていた時代に登場した医者の名前です。“アンスール”の風迅王イヴィリシリア陛下と戦い敗れ、瀕死の重体となったシャルを救った医療騎士ティファレト・ヴァルトブルク。
わたしを目覚めさせてくれた恩人シャルを救った恩人、それはつまりわたしの恩人でもある、なんて勝手に思ってます。

「彼の者を捕らえて。穏やかなる風の縛鎖よ」

――ブリーゼ・ケッテ――

空気圧を魔力で操作することで生み出す、わたしの魔力光に輝くそよ風の鎖(ブリーゼ・ケッテ)。いつか現場に出て、暴れる患者さんを押さえる事を想定して組んだものです。女性の足元に展開させたベルカ魔法陣から出現させたその風の鎖で女性を拘束しようと試みましたけど、「あれ?」と首を傾げる事に。風の鎖は女性をすり抜けてしまい、拘束することが出来ませんでした。

「何やってるんですかイクス!?」

「え? あの、リインさんは女性が近づくのがお嫌のようですし、女性の方も苦しんでいらっしゃるようですので、一度拘束して、治癒魔法をお掛けしようかと・・・」

「そんなの無理ですよっ! アレは幽霊、ゴースト、ゲシュペンスト! 実体の無いオバケさんですよっ!」

リインさんにそう言われて、ようやく理解出来ました。そうですよね、半透明ですし実体ではないですよね。あと、幽霊って初めて見ました。

「ちょっと感動しました」

「感動!? ありえねぇですっ! って、そう言ってる間にそこまで来てるですぅーーーっ!」

リインさんの恐怖メーターが振りきれてしまったようで、頭を抱えて髪を振り回し始めました。わたしとしては今の髪を振り回すリインさんの方が怖いです。

「それ以上近づかないでください!」

「イクス!?」

リインさんと女性の間に割って入り、女性を睨みつける。わたしの首へ伸ばされる半透明な両手。おそらく障壁を張っても通り抜けられるのでしょうね。指先が首に触れる、というところで廊下の魔力灯がパッと灯りました。突然の発光は闇に慣れていたため眩し過ぎて目を閉じます。

「「あれ・・・?」」

次に目を開けた時、わたしの前に女性の姿はありませんでした。「どうしてでしょうか?」と独り言を漏らすと、リインさんが「明かりが点いたから、でしょうね・・・」と、大きく安堵の溜息を吐きました。
とりあえずリインさんを引っ張り上げましょう。リインさんの両手首を掴み、「んんーーーっ!」と一生懸命引っ張る。なんとかリインさんの救出に成功。廊下に座り込んで、金のプレートに図書室と彫られた大きな両開き扉の前で休憩に入ります。

†††Sideイクス⇒ルーテシア†††

「あかんアカン阿寒あカンアかんアカァ~~~~~~ンッ!」

「幽霊ってホントに厄介なやつなんですねぇーーーーーっ!」

私とはやてさんは、今現在暗闇に包まれた廊下を全力疾走中。何故かと言うとそれは・・・雷が止んだと同時に「うふふふふふ」って女の人の笑い声が聞こえてきたと思えば剣を持った半透明なメイドさんが現れて、しかも襲ってきたから。メイドが剣を持って追いかけて来るってありえない!

◦―◦―◦回想で~す☆◦―◦―◦

「ここは・・・きゃっ」

転送された直後に轟いた雷に悲鳴を上げた。今のは心臓に悪い。ドキドキとうるさい心臓が落ち着くのを待っているとまた雷が轟いた。
そして気付く。今、この場所には私しかいないって事に。こんな何が起こるかも判らないところで独りぼっちはキツ過ぎっ!

『レヴィ! アギト! はやてさん! リイン! イクス!』

最悪は立て続けに。念話がみんなに通らない。また雷が轟く。一瞬、今居る廊下と思しきところの先、人影っぽいのが見えた。よく目を凝らしてみるけど、そんな人影は無い。白い雷光の中で見間違い・・・?
ふと壁を見れば、廊下の天井にある魔力灯を点けるスイッチを発見。明かり確保のために押すけど、壊れているのか元々魔力が通っていないのか点かない。

「とりあえずみんなを捜さないと・・・」

雷は止まる事を知らないで鳴り続けて、でもそれが明かりになるから助かりはする。壁に手をついてゆっくりと、何故か足音を立てないように歩いて進む。そしてある扉の前を過ぎた時、たった今通り過ぎた扉が勢いよくバン!と開いた。

「っ~~~~~~~~~!!!!」

声にならない悲鳴を上げる。しかも肩にポンって手を置かれた。バッと振り返ると、そこに居たのは・・・

「ご、ごめんな、ルールー。驚かせてしもうたな」

「はやてさん~」

騎士甲冑のままのはやてさんだった。緊張の糸の切れて、その場に力無くへたり込む。はやてさんが「うわぁ、ホンマにごめん! 最初に声をかければよかったなぁ」って何度も謝ってきてくれた。うん、確かに声より先ずは扉をもっとゆっくり開けてほしかった。私は「気にしないでください、はやてさん」と立ち上がる。

「それよりもはやてさんも一人なんですか?」

「うん。気が付いたらこの部屋のベッドで眠っとってな。一人やってことに気付いて焦って出てきたら、ルールーが居ったって感じやなぁ」

「良いタイミングなのか悪いタイミングなのか判らないですね~」

すごく驚かされたけど、でもこのタイミングでなかったら合流出来ていなかったかもしれない。そう思うと、良いタイミングだったと言えるね。

「ルールーも一人のようやな。シグナムは一人でも問題ないやろうけど、リインとイクスはちょっと心配やな」

「何に心配してるんですか?」

ただ暗く雷が轟き続けているだけなら、少し不安だけど問題ないと思う。はやてさんが「それはな」と言ったところで、

「あ゛・・あ゛あ゛・・・あ゛あ゛あ゛・・・あ゛あ゛あ゛あ゛・・・」

女の人の呻き声が聞こえてきた。辺りを見回す。最初に反応したのははやてさんで、「うおっ、ホンマに出たっ!」って驚いて後ずさり。はやてさんの見ている方に振り向くと、剣を持つ(戦う?)半透明なメイドさんが「オ゛オ゛オ゛オ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!」と自分の首を掻き毟って苦しみに悶えていた。なにあれ・・・? そう思った時、メイドさんが剣を振るった。

「メイドが衝撃波を撃ってきた!?」

三日月の様な衝撃波が飛んできて、はやてさんと私は壁に張り付くように回避。だけどはやてさんのフワリと翻っていた騎士甲冑のオーバースカートがスッパリ切られてビックリ。

「「うっそ・・・」」

防護服ってそう簡単に破壊されるようなモノじゃないよ? これはまずいって戦慄。防護服の防御力がまるで紙のようだ。メイドさんはまだ首を掻き毟りながら剣を振るってきて、また衝撃波を放ってきた。

「ルールー!」

「はいっ!」

防護服がダメなら、きっと防御魔法も貫通するはず。これはもう逃げに徹するしかない。踵を返して、それはもう記録が出るような速さでダッシュ。けど衝撃波の速度はそれ以上で、私とはやてさんの間を通過していった。

「防御がダメでも攻撃はどうなんやろ!?」

「やってみますかっ!」

――ブラッディダガー――

――トーデスドルヒ――

私とはやてさんが展開したのは高速射撃の短剣、計四十。チラッと振り向いて追いかけて来ているのを確認。そして一斉に射出。四十のダガーがメイドさんに当た・・・・・らなかった! すり抜けたよ、全部! はやてさんが「やっぱアカン! さすが幽霊クオリティ!」って気になる単語を叫びながらダッシュ続行。

「思い出したわっ! プレンセレリウスさんの魔術は幽霊を操るってゆうやつやっ!」

「幽霊を操る!? アンスールのメンバーってそんなことも出来るんですかっ!?」

幽霊を操るなんて、魔術師恐るべし。次元世界の主要世界の中じゃ幽霊って言うのは所詮は噂の域を出ず、ハッキリとは信じられていない。だけど、辺境世界だとかじゃ結構ポピュラーで、幽霊の存在を信じる人も居る。私も信じている側、というかルシルさんとシャルロッテさんの“界律の守護神テスタメント”、それにレヴィも今はこうして生きているけど、元々は“許されざる嫉妬レヴィヤタ””っていう一種の亡霊だった娘と出逢っているから。だから信じられる。幽霊っていう超常現象を。

「たぶんこの屋敷の主ゆうんはプレンセレリウスさんの事や!」

「プレンセレリウスさんを捜しだせばクリアって事で――っ!?」

目的がハッキリしたところで、衝撃波が私の右腕をバッサリ通過した。グラっと視界が揺れる。はやてさんは私の右腕が斬られた事に気付いて「ルールー!」って駆け寄って来てくれた。

「大丈夫かルールー! ケガはっ!?」

「ぅくっ・・・って、あれ? 全然痛くない・・・?」

二人して私の右腕をジッと眺める。けれど傷一つ負ってない。今のは幻覚? 斬られたように見えただけ・・・・? だけどその考えは間違ってた。斬られた二の腕部分の防護服が魔力に還元されて消滅した。でも傷は無い。ということは・・・・

「防護服だけ破壊して、人体にはなんにも影響が無いゆうことか」

「それって、結構まずいですよね・・・・」

「そうやな。場合によっては裸にされるゆうことや」

血の気が引く。幽霊の攻撃で裸にされる・・・い、嫌過ぎる! バッとメイドさんの方に振り向く。けどその姿はどこにもなかった。私に攻撃を加えてから居なくなっていたみたい。

「と、とりあえずシグナム達と合流や!」

「は、はいっ!」

立ち上がってこの場から離れようとした時、また「うふふふふふ」って笑い声が。そっちを見ると、さっきの脱がし屋メイドが出てきた。考えることは何も無い。ただひたすら逃げる、もうそれだけ。それからひたすら逃げて、その間に私もはやてさんもいろんな所が斬られた。なんとか胴体を斬られずに済ませているから裸にはなってない。消えては出てきて衝撃波を放ち、それを避け、消えては出てきて衝撃波を放ってはそれを避け、を繰り返す。

◦―◦―◦回想終わりで~す☆◦―◦―◦

「うふふふふふ」

「「また出たぁぁーーーーッ!」」

今度は向かおうとしていた先から出てきた。キキィーとブレーキをかけて急停止、反転しようとしたところでパッと明るくなる。

「「眩しっ!」」

突然の明かりに慣れるまで手を目の上に翳して、メイドさんから逃げようとしたところで気付いた。「メイドが居らん、消えとる・・・」ってはやてさんが周囲を見回して、私も見回すけどどこにも居ない。

「どうやら明かりが点くとアカンようやな」

「幽霊ってそんなモノでしたっけ・・・?」

とりあえず助かった事に安堵の溜息を盛大に吐く。

†††Sideルーテシア⇒シグナム†††

この屋敷に転送されてからというもの、思念通話は通じんし亡霊がよく出る。単独でこの暗闇に包まれた屋敷の部屋という部屋を探索したことで、亡霊との遭遇率が異様に高かった。
こちらの攻撃は無効、しかし亡霊の攻撃は有効で、しかも防御をすり抜ける。それについては大した問題ではなかった。単純に回避すればいいだけの事だ、唯一気に入らなかったのは、子供の亡霊に武器を持たせ襲いかからせるというものだ。

「主はやて達はおそらく大丈夫だろうが、リインは怖がっているやもしれんな」

海鳴市で過ごしていた頃、主はやてと御友人たちが観賞していたホラー映画やゲームを見て、リインは泣きっぱなしだったからな。それからというもの、こういう如何にもが苦手となってしまっている。

「む。ここは・・・・三階配電室・・・?」

ウロウロと探索して辿り着いたのは、金プレートに三階配電室と彫られた鉄扉。管理世界のような魔力灯ではなく、地球のような電気を利用しているようだ。

(配電室という事はこの暗闇をどうにかする事が出来るはずだ)

不快な金属音を立てる鉄扉を開け、部屋に入った直後、鉄扉が勢いよく閉じた。

「がぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛っ!!」

作業服らしき衣服を纏った亡霊が現れた。こんな大して広くない部屋では逃げ場がない。亡霊の攻撃を受けてどういう影響があるのか判らん以上、あまり受けたくはない。亡霊は呻き声を上げ、体を前後に大きく振りながら近づいて来て、突然飛びかかってきた。横っ跳びで回避し壁に背を預ける。と、カチッと明かりのスイッチが押される。当然点かない。ここに来るまでにいくつもスイッチを押してきたからな、判っている。

「とにかく配電盤を操作し明かりを点けよう・・・!」

レバーとスイッチがある古びた金属の装置を見やる。もう一度飛びかかってきた亡霊をやり過ごして装置へと飛び付き、レバーを降ろしスイッチを押した。操作方法が正しかったようで、この部屋に明かりが点く。

「亡霊が消えた・・・? そうか、明かりの中では存在できないのか・・・」

亡霊の姿が消えてきた。それで理解した。この明かりこそが唯一の対抗手段なのだと。部屋が明るくなったことで、壁に貼られた屋敷の見取り図に気付いた。

「地上四階地下一階、か。今居るのは三階で・・・ん?」

見取り図の南館、北館、西館、そして私の居る中央館に点在する点。それらが動いているのが判った。なんだ?と考え込む前に解った。中央館にある点は一つ。場所は、今私の居る三階配電室。そこにある点は動かない。そして別館にある点はどれも二つ一組。つまり、

「この点は、我らの現在位置を示すものなのか・・・!」

胸の内に安堵が広がる。主はやて達は単独ではなく二人一組で行動している。私のように一人でなくよかった。それが判っただけでも大収穫、ゆえに意識をもう切り替える。見取り図を見れば、この屋敷は大きく四つのブロックに分かれている。
私の居る三階配電室は中央館。図書館などの施設がある南館。使用人寮のある北館。客人を招くゲストールームが密集している西館。見取り図を見る限り、かなり巨大な屋敷のようだ。探索に苦労するわけだ。

「屋敷の主が居るとすれば・・・中央館の四階、館主室。この上か・・・!」

頭上を見上げる。待っていろ、館主とやら。とその前に、四階配電室の場所を確認しておこう。おそらく四階も明かりが点いていないだろうからな。まずは四階配電室を目指そう。主はやて達がいつ中央館の四階に来てもいいように。






†◦―◦―◦↓レヴィルーのコーナー↓◦―◦―◦†


レヴィ
「やっと出番! しかも結構喋ったよっ!」

ルーテシア
「私も☆ いやぁ、今回が途中で終わったっていう事は、次回も出番があるって事だよね♪」

レヴィ
「もうこのお題のまま最終話まで行っちゃえばいいのに」

ルーテシア
「それはちょっと遠慮かな。さて、アンスールのメンバーもついに三人目。
幽霊を操るっていうかなり特殊な魔術師、プレンセレリウスさん」

レン
「よっ。呼ばれた気がしたから来たけど、いいんだよな?」

ルーテシア
「どうぞどうぞ。じゃあ自己紹介をお願いしますっ」

レン
「ん、おう。あー、アースガルド同盟軍・情報部官及びステア参謀補佐。
で、アンスールの一人、冥祭司プレンセレリウス・エノール・スヴァルトアールヴヘイムだ。
レンって呼んでくれ。プレンセレリウスなんて長いからさ」

レヴィ
「オッケー。じゃあ、レンは幽霊を操る魔術師らしいけど・・・」

レン
「正確には魔術じゃなくて固有能力だな。霊媒っつう固有能力者なんだ、オレ。
前線で戦死した戦友から情報を聞きだしたり、また幽霊を前線の敵陣に飛ばして情報操作させたりと、後衛向きな能力なんだよ」

ルーテシア
「あぁ、だからアンスールの中で一番負けてるって・・・・あっ」

レン
「いいさ、気にするな(涙)。事実だし。雑兵(SSSランク)程度なら幽霊を憑依させたりして同士討ちさせたりできるんだが、主力級にはあんま通用しないんだよな」

レヴィ
「あ、質問。レンってどういった戦い方するの? もっと詳しく教えて~❤」

レン
「おっと、そいつは秘密だ。それは、オレと戦う時に実際に体験してくれ」

レヴィルー
(戦う事がもう確定してる・・・・)

レン
「というわけで、今回はここまで。次回でまた会おうぜ」

レヴィルー
「勝手にコーナー終わらされた!?」


 
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