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転生者物語 in ハイスクールD×D

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第一章・その名は邪王真眼 小鳥遊六花(高校一年間)
  第四話

あの後、小鳥遊家ではガス爆発事故があった事にされ、それが原因で小鳥遊父は死亡、小鳥遊母は重症という事にされた。その後、小鳥遊父が持っていたツテで裏の事情に詳しい葬儀屋により葬式が行われた。その後、小鳥遊家は建て直され、玄達は小鳥遊姉妹と共に暮らす事となった。
それから数年後、小鳥遊家の次女・六花が高校生になった。

「それじゃあ、行って来る。」

「はい。いってらっしゃい。」

小鳥遊家の玄関で小鳥遊母が“三人”を見送る。一人は言わずもがな六花だ。そして、残りはメイと玄である。メイは六花と同じ制服(“中二病でも恋がしたい!”の原作で六花が通っていた高校と同じもの)を着ているが、玄はこの世界の物語の主な舞台である駒王学園の制服を着ていた。
一応、もう一度言っておくが、玄達の本来の目的はこの世界にやって来た悪質な転成者を退治もしくは改心させる事である。転成者は大抵物語の主な舞台にやって来るので、そこに居た方が対応しやすいのだ。
一方、メイは六花の親友兼護衛である。確かに、彼らの本来の役目は悪質な転成者への対応だが、だからと言って住まわせてもらっている小鳥遊家に何もしないと言う訳にはいかない。一応、六花と十花は玄達の手によって自衛出来る程に訓練がされているのだが、六花の方は何故か堕天使としての光の力を操るのが苦手なので、ここ数年ですっかり親友となったメイが護衛と武器を兼ねて一緒に行動する事になったのだ。
因みに、小鳥遊母の怪我はすっかり治り、今ではもう働いている。だが、また狙われる可能性もあるため、通勤と帰りにはNダガーが影から護衛している。
十花の方は六花とは違い、堕天使としての光の力を使いこなせているので、護衛を必要としていない。また、彼女は現在この街にある有名レストランでコックとして働いていたりする。
一方、ボリスは物語の主な舞台である駒王町でパトカーの姿でパトロール。Nダガーは小鳥遊母が仕事中の間は色々な勢力に対する諜報活動。そして、ACトレインは彼にとって予想外な役目を与えられていた。その話はまた後ほどするとしよう。




さて、家を出た六花達はまず駅に向かった。駒王学園も六花とメイが通う高校もそこそこ離れた場所にあるので、彼らは電車通学なのである。
三人が待っていると、列車がホームに入って来た。それは銀色の車体に天井付近と真ん中に緑色のラインが入っている車両だった。三人がそれに乗り込むと、発車ベルが鳴り、列車は発車した。
走っている途中、列車…ACトレインはこっそり目の部分だけを展開しながら呟いた。

「まさか、私が営業運転をする事になるとは・・・」

何故、試験車両である彼が営業運転をしているのか。この事を説明するには少し時を遡らなければならない。



あれは、六花達三人の高校受験の合格発表直後の晩だった。その日は三人の合格祝いということで、十花がいつもより豪華な食事を作っていた。一見ロボットなNダガーとACトレインもそれを食べているし、食べる事が出来ないボリスも大きさの概念が存在しないので参加している。

「そう言えば、六花とメイが通う高校も、玄が通う高校もここからかなり離れているな。」

ふと、Nダガーが言った。それに十花が答える。

「ああ。だから三人はこれから電車通学と言う事になるな。」

「なるほど。だが、電車の中で悪質な転成者に襲撃されたらどうする?」

「なるほど。言われてみればそうだな。電車の中で襲われたら・・・ん?電車・・・」

その時、一同の視線がACトレインに集まった。

「ん?どうしたんだ、皆?」

急に自分に視線が集まった事に困惑するACトレイン。すると、十花が言った。

「ACトレイン。少し頼みたい事がある。」

「何だ?」

「六花達の通学のために・・・」

「断る!!」

ACトレインが即答した時だった。

ガコンッ!!

十花の投げたおたまが彼に直撃した。

「まだ全部言い切って無いぞ。」

「うぐっ・・・つまり、三人の通学用の電車になれと言う事だろう。」

「そうだが、何の問題がある。」

「私は営業用の車両じゃなくて試験車両。つまり、試作品だ。車内には一応座席もあるが、データ収集用の機器もあちこちに置いてある。」

「なら、その機器を退けて座席を置けばいいじゃないか。」

「「「「うんうん。」」」」

十花の言葉に六花、メイ、玄そしてNダガーも頷く。

「いや、そう言う問題じゃない。」

そこで、ボリスが助け舟を出した。

「試作品には出来たばかりの不安定な技術が多く使われているから、実用性はかなり低い。」

「ああ。それに、私から得られたデータをもとに作られたE331系電車は不具合ばかりを起こして欠陥品の烙印を押されたからな。」

「それ、自分で言って悲しくならんのか?」

ACトレインの言葉にメイがツッコミを入れた。そんな中、十花が彼に尋ねる。

「なるほど。ところで、その欠陥品が不具合を起こした原因は分かっているのか?」

「ああ。今後の役に立てるために、しっかりと欠点を洗い出して・・・」

「なら、そのデータをお前に反映すれば大丈夫だな。」

「オウ・・・」



こうして、ACトレインは三人の通学と帰宅の時に一本ずつのみと言う約束で営業運転をする事になってしまったのであった。
因みに、一本ずつと言う約束なので、三人は朝の遅刻や帰りの寄り道が出来なくなってしまったのは十花の計算通りであったりなかったり・・・




六花とメイは駒王町まで行く玄を見送り、その前の駅で降りて高校へと向かった。そして、入学式を終えた後、自分達の教室へと向かう。

「ここが私たちの教室か。」

「うん。」

そして、メイを先頭に二人は教室に入ったのだが・・・

「なっ!?」

「ひゃうっ!?」

何やら、浮いた存在を見つけて固まってしまった。それは、敵役魔法少女のような格好をした首に長いマフラーを巻いた少女だった。それだけでも充分教室では浮いているのだが、それ以上に彼女は“物理的に”浮いていた。しかも、彼女の身体は透けていて、他のクラスメイト達には視認出来ていない様子だった。

「メイ、あれって・・・」

「どう見ても幽霊だな・・・」

互いに顔を向け合い、相談する二人。

「どうしよう!?」

「落ち着け、六花!とにかく無視するのだ!!悪質転生者以外の厄介事にはなるべく関わらぬのが吉だ。」

そして、結論を出した二人は再び前を見るのだが・・・いつの間にか件の幽霊少女が目の前まで移動してきていた。

『ねえ、あなた達。私の事見えてる?』

幽霊少女にそう言われた二人は思わず彼女から顔を逸らしてしまう。

『やっぱり見えてるんだ!モリサマ!!ちょっとこっち来て!!!』

すると、幽霊少女が遠くで別の生徒と会話している一人の女子生徒を呼んだ。すると、彼女はそれに答え、渋々といった感じで幽霊少女の下に来る。

「何よ七宮。あと、モリサマ言うな。」

『この二人、私の事が見えてるみたいだよ!』

「は?」

幽霊少女に言われ、女子生徒は六花とメイを見る。すると、少し人見知りぎみな六花がメイの後ろに隠れた。

「あなた達、七宮が見えるってホント?」

「いや、私たちは・・・」

女子生徒に質問され、なんとか誤魔化そうとメイが口を開いた時だった。

『わっ!!』

「ひゃうっ!?」

いつの間にか後ろに回っていた幽霊少女が六花を脅かしたのである。

『ほら、少なくとも声は聞こえてるでしょ?』

「そうみたいね・・・」

幽霊少女の言葉に納得する女子生徒。すると、彼女は六花達にこう話しかけた。

「ごめんね。七宮が迷惑をかけて。」

「え?あ、いえ・・・」

まさか謝られると思っていなかったメイは口ごもってしまう。

「私、丹生谷森夏。こっちでプカプカ浮いてんのは・・・」

『魔法魔王少女にして、螺旋の魔術師モリサマーの守護霊!ソフィアリング・SP・サターン7世とは私の事!』

「魔術師!?」

幽霊少女ソフィアの言葉に反応する六花。すると、丹生谷が呆れながら言った。

「あ、こいつの言う事は無視していいから。タダの中二病だし。あと、本名は七宮智音だから。」

「中二病?」

丹生谷の口から出た単語に六花か首を傾げる。

「こいつみたいに、自分には特別な力があると思い込んで、変な事をする奴の事よ。」

すると、丹生谷が七宮を指さしながら説明した。

「って言うか、ええと・・・」

「六花。小鳥遊六花。」

「ありがと。その、小鳥遊さんの眼帯もこんな感じとか・・・」

「違う。これは昔事故で。」

「あ・・・ごめん。」

六花に失礼な事を言ってしまったと思った丹生谷は直ぐに謝った。

「大丈夫。別に気にしていない。」

「そう。ありがと。」

『なるほどね。てっきり私は魔眼を封印しているのかと思ったよ。』

「っ!?」

七宮の当たらずとも遠からずな言葉に六花が反応してしまった。

「どうしたの、小鳥遊さん?」

「な、何でもない・・・」

それに気付いた丹生谷に何とか誤魔化そうとする六花。すると、そこでメイが助け舟を出すように話題を変えた。

「そう言えば、私はまだ名乗っていなかったな。私はメイ・ガントロン。六花の親友だ。よろしく頼む。」

「ご丁寧にどうも。日本語上手ね。」

「日本に移り住んでかなり経つからな。」

もちろん、以前居た世界も含めてである。

「ところで、二人とも七宮が見えるのはやっぱり、霊感が強かったりするの?」

「まあ、確かにそうだな。こんなにはっきり見えたのは初めてだが。」

丹生谷の質問に当たり障りの無い答えをするメイ。すると、そこへ先程まで丹生谷と会話をしていた女子生徒がやって来た。

「森夏ちゃん。どうしたのですか?」

「あ、風鈴。別に、ただクラスメイトと仲良くなろうとしているだけよ。」

「丹生谷。そいつは誰だ?」

何やら、この女子生徒と親しげな様子の丹生谷にメイが聞いた。

「巫部風鈴(かんなぎかざり)。私の中学校からの同級生なの。」

「よろしくね。」

「こちらこそ。私はメイ・ガントロン。後ろに居るのが親友の小鳥遊六花だ。」

「メイちゃんに六花ちゃんだね。ふむ・・・」

すると、風鈴は顎に手をあてながらじっと六花を見始めた。

「な、なに・・・」

「六花ちゃん。私、実は百合なのです。」

「へ?」

「そして今、六花ちゃんに一目惚れしました。付き合って下さい。」

「あう!?」

突然の風鈴の告白に困惑する六花。だが・・・

「と、言うのは冗談です。これから、お友達としてよろしくお願いします。」

「う、うん・・・」

何か変な人と友達になってしまった。と思う六花であった。




放課後、六花達は丹生谷達と分かれて駅に行き、そこで列車に乗った。もちろん、帰りもACトレインである。すると、丁度六花とメイが乗った車両に玄も乗っていた。彼は何やら同じ学校の制服を着た男子と談笑している。

「玄、早速友達が出来たようだな。」

すると、早速メイが声を掛けた。

「おお、メイに六花か。紹介するぞ。ワシの高校での友達第一号の『冨樫勇太』じゃ。」

そう言って、玄は隣に座る少年を紹介した。すると、メイと六花も勇太に自己紹介をする。

「私はメイ・ガントロン。そこにいる玄と一緒にこっちに居る六花の家に居候してるの。」

「小鳥遊六花。よろしく。」

すると、勇太もまた自ら名乗った。

「俺は冨樫勇太。よろしく。」

小鳥遊六花と冨樫勇太。これはまさしく、運命の出会いであった。


続く
 
 

 
後書き
キャラ紹介


小鳥遊十花

このハイスクールD×Dの世界唯一まともな転成者。ただし、主人公ではない。だが、戦闘能力はかなり高い。って言うか、ボリスやグラントータスを除けば派遣転生者Side最強かもしれない。



小鳥遊六花

転成者ではないが、この物語の主人公。原作のように中二病ではないが、ボリスや玄から受けた訓練のせいか、普段はクールな戦士で居ようとする。だが、根っこの所は普通の女の子なので、時々素の部分が出たりする。
半分人間なせいか神器『邪王真眼』が右目に宿っている。最初は全くコントロールが効かず、眼帯で封印していたが、ボリスや玄との特訓を通じてコントロール出来るようになった。しかし、色は金色に変色したままになってしまっているので結局眼帯で隠している。
また、原作とは違い中二病ではないので、見た目は髪型と眼帯をつけている点は同じだが、包帯や中二病アクセサリーを身につけてはおらず、私服も普通である。しかし、後にある人物に送られてゴスロリを着るようになる。

 
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