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妖精の義兄妹の絆

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魔導士ギルド化猫の宿“ケットシェルター”

その日の夜、タクヤはベットの中で考え事をしていた。
(「ギルド…か。」)


タクヤがウェンディにより助けられたことをギルドマスターであるローバウルに伝えられ
タクヤのもとに来ていた。
「なぶら。ようこそ、ここは魔導士ギルド化猫の宿“ケットシェルター”じゃ。」
「ようこそじゃないよ、マスター。タクヤは森の中で倒れてたんだよ。」
「おー、そうじゃったそうじゃった。」
そう言いながら片手に持っていた酒を飲もうと口に運んだ。

ザーー

「マスター!こぼれてるよ!」
「なぶらすまぬのぉ。」
ウェンディが床にこぼれた酒を拭きながらローバウルに注意した。
(「大丈夫なのか…?この人…」)
多少の不安を抱き、ローバウルなる老人を信じて良いのか悩んだ。
「でも、なんで森の中で倒れておったんじゃ?あそこはギルドの者以外めったに近づかないハズじゃが。」
「そういえば…。」
「じつは、二ヶ月前、俺の母さんがいなくなっちゃったんです。何も言い残さないで…。
だから、母さんを探して旅をしてたんです。」
「なるほど、それで道に迷い、あの森の中で遭難したというわけじゃな。」
「…はい。すみません、まさかあの森がギルドのものとは知らずに…。」
「いや、いいんじゃ。なぶら君が無事でよかったわい。」
ローバウルは笑顔で答えた。
「怪我もしているそうじゃし、何よりここ数日何も飲み食いしてないんじゃろう。栄養失調気味でもある。
しばらくはギルドで休養するといい。」
「…いいんですか?」
「なぶら。それに君はウェンディとは同世代のようじゃし、その方が気が楽じゃろう。」
そう言ってローバウルはウェンディの背中を押し前に出させた。
「ありがとうございます、ローバウルさん。」
俺はローバウルに礼を言った。
そして、ローバウルはウェンディの家を後にした。
「ウェンディもありがとな。」
しかし、ウェンディは少し暗い顔をしていた。
「?…どうした?」
「…さっき、母さんがいなくなっちゃったって言ってたよね?」
「あ、あぁ。」
「もしかして、タクヤのお母さんって…、













ドラゴン、じゃない?」
「!」
タクヤは耳を疑った。
なぜ、その事を知っているのか…。さっきの会話じゃ親がドラゴンなんて推測たてられる訳がない。
考えられるのはただひとつ…。
「もしかして、ウェンディも…。」
その瞬間、ウェンディの瞳に大粒の涙が浮き上がってきた。
「やっぱり…、タクヤも…。」
ウェンディはタクヤの胸の中に飛び込んできてタクヤに聞いてきた。
「ねぇ!グランディーネの居場所しらない?あたしの母さんどこにいるかしらない?」
やはり、ウェンディもタクヤと同じ、



滅竜魔導士“ドラゴンスレイヤー”だった。


「…ごめん、君の母さんの居場所はわからないんだ。」
そう告げるとウェンディはそっとタクヤから離れた。
「そう…だよね。ごめんね。変なこと聞いて…。」
「いや、俺もウェンディの気持ちは分かるから。やっぱ、寂しいよな?」
「うん…。」
しばらく二人の間に沈黙が訪れた。先に口を開いたのはタクヤだった。
「でも、いつか絶対会えると思うんだ。いや、絶対に会ってやるんだ。
だから、その、なんていうか、元気出せよ。な?」
「…うん、ありがとう。タクヤ。」
ウェンディは微笑みながら礼を言った。


グゥゥゥゥゥゥ…


突然、タクヤの元から大きな音が聞こえてきた。
「…ハ、ハハッ…。そ、そういえば、ここ数日何も食べてないんだった。ははっ…。」
「ふふっ、今ギルドから夕食持ってくるから待ってて。」
タッタッタッタッ…
ウェンディは駆け足でギルドに向かっていった。
「…はぁ、なんでこのタイミングで鳴るかなー。
しかし、ウェンディも滅竜魔導士だったなんて…。あんなおとなしい子がなー…。」




ウェンディが持ってきた夕食も食べ終わり、後は寝るのみとなった。
「あっ、そうだ!タクヤのキズの手当てしなくちゃ。」
ウェンディがそう言ってタクヤの服を脱がそうとした。
「へ、平気だって。こんなのかすり傷程度だし、ほっといても…。」
「ダメ!たとえかすり傷でもちゃんと手当てしないとキズ口からばい菌が入ってきて大変なことにもなるんだから!」
「でも、包帯とかそんなの持ってないぜ?」
「大丈夫だよ。私の魔法でキズを治していくから。」
「ウェンディの魔法ってキズとかを治す魔法なのか?てっきり滅竜魔法だと思ってたが…。」
「私、攻撃系の魔法は全然なの…。でも、解毒とか体力の回復とかそういうサポートの魔法はいっぱいあるんだ。」
「へぇ、便利だなぁ。」
(「滅竜魔導士って単に攻撃系の魔法とは限んないのか…。 」)
ウェンディの魔法に関心したタクヤは大人しく治療を受けることにした。
「すげー…、どんどん体力が回復してくるよ。」
「今の私じゃ、この程度のキズしか回復できないし、魔力もいっぱい使っちゃうから、一日一回だけって決めてるの。」
「ありがとな。そんな貴重な一回をよそ者の俺なんかに使ってよかったのか?」
「目の前に傷ついてる人がいたら放っておけないから。」
「…優しいな、ウェンディは。いいお嫁さんになれるよ。」
「お、お嫁さん!?な、なにいってんの!」
ウェンディは顔を真っ赤にしながらキズの治療を続けた。

「はい、これでおしまい。」
ウェンディの魔法と、薬草のおかげで体の痛みはきれいに消えていた。
「じゃあ、寝よっか?タクヤはここの部屋を使って。私は隣の、部屋使うから。」
「あぁ、おやすみ。」
「おやすみ~。」
そう言ってウェンディは部屋を後にした。




時を戻して夜。

(「あのじいさんも、ウェンディも優しかったな。てか、俺ら以外の人にあったの初めてかも。」)
そんなことを考えながら窓際に目を移した。気づけば外はすごい大雨で時折雷もなっていた。
タクヤは雨音が大好きだった。理由は覚えていない。規則正しく窓や地面に弾ける雨粒が奏でる音、
アクセントとして鳴る雷を聴いていると心がやすらぐのが分かる。
(「今日は結構テンポが早いな…。」)
心のなかで呟くと、扉が開く音がした。通路側じゃなく、ウェンディの部屋へと続く扉だ。
そこから枕を抱え、涙目になっているウェンディがいた。
「…タクヤ、起きてる…?」
「あ、あぁ。どうしたんだ?」
タクヤが尋ねるとウェンディは半泣き状態で言った。
「グズッ…、雷が怖くて寝れないの…。一緒に寝てもいい?」
タクヤは一瞬焦ったが、ウェンディの泣いてる顔を見て答えた。
「うん、いいぜ。」
「ありがとう。」
ウェンディは涙を拭いながらタクヤのベットへ入ってきた。
「タクヤの布団のなか、暖かい…。」
「まぁ、な。それにしてもウェンディは雷が苦手なんだな。」
少し茶化すようにタクヤは言った。
「いつもなら雷なんて鳴らないし、ジェラールがいた頃は一緒に寝てくれてたから…。」
「ジェラール?」
タクヤは聞き覚えのない名前に反応した。
「うん、私も化猫の宿には後から入れてもらったの。
その前はグランディーネがいなくなって路頭に迷ってた私をジェラールが助けてくれたの。
ジェラールも実は、道に迷ってたんだって。それから一ヶ月くらい一緒に旅してたの。」
「へぇ、じゃあ、その、ジェラールもこのギルドにいるのか?」
「ううん。ジェラールは他にやることがあるっていって私をこのギルドに預けたの。」
「そうなのか…。」
「とても危険だからって…、付いてきちゃダメだって…、グズッ…。」
言いかけながらウェンディが涙を浮かべていた。
「な、泣くなって。ジェラールも別に好きで付いてくるなっていったんじゃないと思う。
ウェンディを危険な目にあわせないようにってギルドに預けたんだよ。」
「そうなのかなぁ…?」
「当たり前だろ?会ったことないけど、ジェラールは優しい奴だと思うぜ?」
「うん…。」
「だからさ、泣くなよ。今日は俺が一緒にいてやるから。なっ?」
タクヤはウェンディを優しく抱きしめた。
「…やっぱり、暖かい…。」
そのまま二人は眠りについた。






 
 

 
後書き
いやー、一話書くのにこんなに時間を使うとは思いませんでした。てか、これでも短い方ですよね?もっと頑張らねば!今回はタクヤとウェンディの物語を書かせてもらいました!しかも、今回の話のなかに伏線らしきものをいれてみました!どれが伏線なのかわかるでしょうか?なにぶん初めてでして少しわかりづらいかな(--;)とにかく第2話はこれで終了です。3話も楽しみに待っててくれるとありがたいです。 
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