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東方変形葉

作者:月の部屋
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日常の中に潜む非日常
  東方変形葉7話「橙とデート(?)、異変の予感」

 
前書き
鈴仙「師匠、その人形はなんですか?」
永琳「ある人間の子に頼んで作ってもらった人形よ。ほら、この前に人間が一人きたでしょ?」
鈴仙「そういえばだれか来ていましたね。でもどうして人形なんて作ってもらったのですか?」
永琳「見てわからない?この人形、なんだか不思議な感じがするのよ。」
鈴仙「・・・確かにそうですね。波長が特殊というか・・・」
永琳「もしかしたらいい実験道具になるんじゃないかと思ったの。」
鈴仙「へえ~、わたしも欲しいですね。その人はどこにいるんでしょうか。」
永琳「心配しなくても、人里で売るという噂を聞いたから、きっとすぐに手に入るわ。・・・でも彼に直接会ったほうがいいかもしれないわね。」
鈴仙「・・・ところで、その人間ってどうやってあの竹林を抜けてきたのでしょうか。」
永琳「え?あなたが案内したんじゃなかったの?」
鈴仙「していませんよ。てゐが案内したのでしょうか・・・」
てゐ「え?わたしもしらないよ?そもそも人が来ていたことすら知らなかったし。」
鈴仙「・・・スキマみたいなもので来たとか、あの賢者にスキマを開けてもらったとかでしょうか・・・」
てゐ「あれ使えるのってあの妖怪の賢者だけだよね。それにあの人がそんな優しいことするかな・・・」
永琳「・・・ふふふ、さすがはこの八意永琳を唸らせた人間ね。ますます興味深くなってきたわ。」
輝夜「えーりん、ごはんまだ~?」
 

 
俺が職についてから1週間後、橙と一緒に外に出かけていた。なぜ約束してからこんなに日がたったのかというと・・・
「みんな~、こっち集合~!」
橙が合図をすると、数えきれないほどの猫たちがこっちにやってきた。橙はここの猫の代表みたいなことをしているらしい。それでその用事があったから、こんなに日がたったのだ。
「紹介するね。この人が前に言っていた、葉川裕海くんだよ。」
「よ、よろしく。」
「にゃあ~」
「にゃう~」
「にゃん!」
なんだか夢みたいだ。俺は実は猫が大好きで、猫のグッズとかかなり持っていた。橙の猫耳とか尻尾とか見たときはもう撫でまわしたい気持ちでいっぱいだったな。今もそうだけど。
「んな~」
「にゃふ~ん」
「すごーい、わたしにはなかなか懐いてくれなかったのに、もう懐いてる。」
「橙もこんな感じだったぞ?」
「えっそ、そうだったかな~?」
「にゃうにゃ!」
「え?この人はいい人な気がする?へえ~。ここに来る前、猫とか育てていたの?」
「いや、育てたことはないな。でも、俺は大の猫好きだからな~。」
あ、自分でも爆弾発言だと気が付いた。猫たちはともかく、猫の妖怪である橙の前で言ったら告白みたいじゃないか。
「にゃ!?そ、そうにゃんだ、あわわわわ。」
顔を真っ赤にしてうろたえている。かわいい。
「にゃうにゃ~」
「え!?そ、そそそそんにゃことないよ!」
なんかさらに真っ赤になって反論している。なんの会話だろうか。
「じ、じゃあそろそろ人里行こう!」
「ああ。」



「ふふふ、おもしろくなってきたじゃない。」
「あの・・・紫様?尾行するのはあまりよろしくないかと・・・」
藍が言いたいことはわかる。だけど、
「だって楽しいもの。こんなこと、なかなかないわ。」
「はあ・・・。そういえばおととい、夜に出かけられていましたが・・・どこに行っていたんですか?」
ああ、そういえば抜け出して行ったからね。竹林で肝試し、と思ったらある不老不死の人間の始末だったわね。
「輝夜に、竹林へ肝だめしに行ってこいと言われたのよ。結局利用されただけだったけど。」
「そうなんですか・・・あれ?」
藍が何かの異変に気が付いた。
「どうしたの?藍。」
「今の季節にこんな花ありましたっけ?」
藍が指した花は、今の季節では考えられない花だった。
「・・・!?いいえ、この花は今とは全く逆の季節の花よ。」
「・・・ということは、あの異変から60年ということですか。」
「そういうことになるわね。これはその前兆ね・・・。けれど今回は私たちが動く必要はないわ。」
「え?どうしてですか?」
「裕海がいるじゃない。というか、あれは別に動かなくてもいいのよ?でもあえて行かせるわ。経験を積むために。」




人里のある飲食店で昼食をとり、ある店で買い物をしていた。
「ねーねー、これ買って~。」
「ああ、いいよ。」
職につき、収入が入っているので、かなり余裕がある。無駄遣いはいけないけれど。
「あれ、葉川さんじゃないですか!どうしたんですか?」
「あ、蛇道さん。いま買い物に来ているんですよ。」
蛇道さんは、簡単にいえば同業者ということになる。彼の作る人形はなかなかよくできており、参考になるところが多い。一応念のために言っておくが、この人はちゃんとした”人間”だ。
「ねー、その人だれ?」
「仕事仲間だよ。」
雑に説明する。
「あれ?君は確か八雲紫の式の式じゃなかったっけ?」
「こ、こんにちは・・・」
紫って人間の間でも知られてるのか。
「この子と買い物に来ているのですか?」
「はい。あ、大丈夫ですよ。この子は妖怪ですけれど、悪いことなんて全くしません。」
むしろいい子だ。
「あ、いや、そうじゃなくて・・・」
ああ、なるほど。なぜ妖怪であるこの子と一緒にいるのかと聞きたいのか。まあ当然だよな。
「実は俺、幻想郷に来て一月と少しぐらいしか経っていないんですよ。」
「・・・もしかして、あの賢者さんの神隠しに遭ったのかい?」
「え~っと、少し違いますね。まあその話はすっとばして・・・俺は今、八雲家の居候みたいなものです。」
「ほお!なるほど~。今度またお話を聞かせてくださいね。では私はこのへんで。」
「はい。さようなら。」
手を振り、別れを告げる。・・・彼は俺の大先輩で、歳も5つ離れているのに、なぜ敬語なのだろうか。
「じゃあ、そろそろ帰ろうか。」
「うん!」
欲しいものを買ってもらった橙の顔は、笑顔に満ち溢れていた。



「おかえり、楽しかった?」
紫が出迎えてくれた。
「ああ。人里って結構にぎやかなんだな。」
「楽しかったです、らんさまー。」
「そうか、よかったな~。」
微笑ましい家族の会話だ。そこに、紫の真面目な声が飛んできた。
「・・・ところで、裕海。」
「ん?何?」
「急な話で悪いんだけど、たぶんもう少ししたら異変が起きると思うから、それの調査に行ってきてくれないかしら?」
「いいけど・・・なんで異変が起こるとわかっているの?」
「勘よ。」
勘?




「紫様、あの異変って別に動かなくてもよいのでは?」
「ええ、そうよ。だけどいい経験になるわよ。多分異変だと騒いで解決しにくる連中もいるだろうし。」
「はあ・・・」




今日の分の人形作りも終え、風呂も入り、そして今、布団の中である。そういえば、紫が言っていた異変って、早ければ明日ぐらいに起こるらしいな。
「ゆーみくん!寝よ!」
「元気だねぇ。」
「えへへ。」
「じゃあおやすみ。」
「うん!おやすみ!」







そして翌日、庭で四季の花々が咲いている光景を目にしたのだった。
 
 

 
後書き
7話書き終えました!今回は短いですが、次回はかなり長いです。では! 
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