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転生者が歩む新たな人生

作者:冬夏春秋
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第59話 さて、死体の正体は

 
前書き
いろいろご都合主義満載ですが、それはそれということで。 

 
 さて、死体である。

 自慢じゃないが、月村邸はかなり強固な感知結界を敷いてある。オレが一人前になってからは、呪術、西洋魔法、ミッド式魔法の三層構造になっているので、言っちゃなんだが管理局のサーチャーですら侵入したら即座に感知することは可能のハズだ。

 そんな中で身元不明の死体がいきなり現れるとは………。正直凹む。



 で、忍義姉さんにたずねたところ、どうも研究施設内にいきなり現れたらしい。

 監視カメラの映像を確認すると比喩ではなく本当にいきなり死体が現れている。

 で、他の人は色々悩んでいるが、監視カメラの映像を確認した時、オレには謎が解けた。

 何故ならその監視カメラには魔法世界で購入したPSモドキ、仮称ジョイステーションが映っていたからだ。

 もしかして、とは思っていたが、本当にHUNTER×HUNTERの世界から流れてきたのかも知れない。

 ちなみにこの仮称ジョイステーションだが、現在オーラに包まれていない方の解析が済んでおり、普通に地球製のテレビに繋げて、魔法世界で同時購入したゲームをすることができる。もっともさすがにゲーム内の文字を読むことはできないので、まともに遊べるのは野球っぽいゲームやテニスっぽいゲームぐらいだが。
 この辺は機械ハード的な天才、忍義姉さんの面目躍如と言ったところだ。

 ついでに言うといわゆるロムカードはまだ解析できていない。これはオーラに包まれていない方の仮称ジョイステーションにロムカードが付いていなかったのとオーラに包まれているジョイステーションのロムカードは抜けなかったからだ。なお、ジョイステーションから解析したテレビへの配線とアダプタに関しては、接続時にオーラに包むことで接続できているので、テレビ画面にはステータス表らしき画面が一応映っている。ま、それだけなんだが。

 あと死体は極近距離で爆破を受けた感じの死因らしい。

 確かグリードアイランドのボスがそんな念能力を持っていた気がするなぁ………。





  ☆  ★  ☆  





 結局、死体からは何もわからず---精々人間だとわかったぐらい。ただし、誰にも言っていないが本当にHUNTER×HUNTERの念能力者の死体ならば、別世界の人間になるわけだ---、一番怪しげなのが---唯一でないところが月村家の業の深いところと言える---オーラに包まれた仮称ジョイステーションということで、周囲に様々なセンサーやらを置き、モニタリングを強化することで落ち着いた。



 最初の死体発見から1週間ぐらい経った。

 部屋でまったりしているとスサノオを通じて連絡が入る。
 また、死体が出たらしい。

 急いでというか即座に件の部屋に転移すると、このかがアーティファクトを使っている。

「どうした?」

「どうもこのかちゃんが一番乗りしたんだけど、ぎりぎり間に合ったみたい」

 先に来ていた忍義姉さんに聞くと結果的に現れた死体は虫の息ではあったが死体ではなかったようで、それに気付いたこのかがアーティファクトを使い助けようとしているようだ。

「もう、大丈夫やぇ~」

 どうもなんとかなったらしい。
 さすがは東洋一の魔力を持つと言われるだけはある。

 とりあえず、現れた死体もとい元死体には事情を聞き出さないといけないこともあり、念のためオレ達が住んでいる別邸の空き部屋に連れて行くことにする。5分もかからずに空き部屋を整えるファリンさんはさすがだ。



 見張りも兼ねてファリンさんとぬこモードのリニスが部屋に入り、直ぐに対応できるようにその隣の部屋でオレが休むことにする。オレが同じ部屋に入らなかったのは元死体さんが女性だったからだ。もっともオレが隣の部屋に入ったのはあくまでも念のためで、大概のことはファリンさんで事足りるし、万が一があったとしてもただのぬこの振りをしたリニスの奇襲を防げるのもいないだろうが。

 差し迫った状況と言うことでもないので、普通に学校に行く。

 そして学校から帰ると元死体さんも気がついていて、体調に気をつけながら話しの聞き取りも始まっていた。

 ちなみに元死体さんは「ラーラ」さんと言うらしく、最初はどこの言葉で話しているか忍義姉さんでもわからなかったようだが、何故か日本語がわかるらしく、途中からたどたどしいながらも日本語で応答してくれたらしい。

 オーラの「纏」の具合から念能力者ではあるが、そこそこ程度の練度でしかない、充分対処可能なレベルというリニスの判断もあり、夕食後の話し合いにはオレも参加する。

 で、ラーラさんの話しをまとめると、予想通り、彼女は「HUNTER×HUNTER」の世界のグリードアイランドのプレイヤーらしい。

 どうも幼なじみのプロハンターら5人と約15年前---彼女の体感時間でだが---からずっとグリードアイランドをプレイしているが、その幼なじみは10年も前にグリードアイランド内で行方不明というか死んだらしい。なお、その幼なじみは幼少期から神童と言われ、15歳でハンター試験合格、天空闘技場のフロアマスター就任、大金を支払ってグリードアイランド購入など、様々な記録を打ち立てたらしい。
 もっともオレ以外にはそれがどんなにすごいことかはわかるわけもないし、ついでに言うとオレにもすごいというのはわかるが、本当にどんなにすごいことなのかは実感がないが。
 なお、その幼なじみがパーティーの他に誰にもわからない暗号変わりに日本語を彼女らに教えたらしい。彼女も最初は暗号であるはずの日本語で日常会話をする忍義姉さんを見てびっくりしたらしい。

 うん、その幼なじみって転生者じゃね?

 おかしい、前のエミヤ君もそうだが、なんで他に転生者がいるんだ?

 で、その転生者っぽい幼なじみ君がいる間はある程度順調だったが、その彼がゲーム内で行方不明になって以来鳴かず飛ばずで、他の4人はゲーム内で生き残るだけで精一杯。生活のために指定ポケットのカードも売り払う日々らしい。

 さらに最近では、「爆弾魔(ボマー)」とかいう殺人鬼が現れており、彼女も不意を打たれて攻撃され、一か八かの「離脱(リーブ)」のカード効果で逃げたらしい。

 そしたら何故か別世界へ現れて、このかに救われ、今に至ると言うことだ。

 こちらからも、別世界からの漂流物をたまたま購入。
 先日、死体が現れ、警戒していたところ、彼女が現れたと状況を説明。なお、先日の死体の写真を見せたら、彼女のパーティーの1人だったらしく、泣き出してしまったため、そこでその日の話し合いは終了した。



 次の日から幾度にも渡って彼女から情報を集める。
 ミッド式魔法には、翻訳魔法---原作でフェイトらミッド人が主人公とスムーズに話せたのはこの恩恵と思われる---というものがあるが、その魔法を作成するにはある程度の言語や文法の蓄積が不可欠で、ラーラさんに協力してもらって作成を開始した。幸いラーラさんは日本語もわかるので、翻訳魔法の作成手順もモジュール化していることもあり、3日もすれば完成するというリニスの見通しだ。
 これはこちらにもメリットはあるがラーラさんらにもメリットがないわけでもない。
 何故かというと現状ラーラさんらがプレイしているジョイステーションをラーラさんらの世界へ戻す方法がないからだ。
 ぶっちゃけジョイステーションを海に捨てたら、オーラに包まれたジョイステーションは無事でも、グリードアイランドからゲーム機本体の場所に帰った時に海の底に現れることになり、ゲーム機本体が安全な場所にあるというのはある意味グリードアイランドをする上で必要不可欠と言える。
 幸いゲーム内のいわゆるセーブポイントらしき場所から現実に戻る場合、ゲーム機本体が置いてある場所以外の定位置に出ることも可能なので、ラーラさんらがゲームから現実に戻ることに一応支障はない。ただ、「離脱(リーブ)」の呪文などでゲーム機本体のある場所に戻る場合、現状月村邸に出るしかないわけで、その場合のある程度の衣食住の提供時にラーラさんらの言葉がわかる方が都合が良いからだ。
 ある意味、ジョイステーションを通じて、オレ達の地球とラーラさんらの世界が繋がったと言える。

 何故こんなことをしているのかと言うとそれはもちろんグリードアイランドに挑戦するためだ。

 今まで何故「推定グリードアイランド」に挑戦できなかったかというとゲームのデータをセーブするロムカードを作成することができなかったからだ。もちろん「グリードアイランド」だという根拠もなかったしね。
 だが、今回ラーラさんという様々な意味での情報提供者と先日亡くなったラーラさんのパーティーメンバーのロムカードの解析・複製という手段によりロムカードが作成可能になったため、挑戦が可能になったのだ。

 ちなみにラーラさんとは、出会い時の治療とジョイステーションの安全確保、こちらに来た場合のラーラさんのパーティーメンバーへのある程度の衣食住の提供の対価として、4人分の使用権利をもらった。これはジョイステーションにある2つのスロットにマルチタップを使うと、最大8スロットになるので、最大8スロットのうち、現在のラーラさんを含むラーラさんのパーティメンバー4人分---行方不明の幼なじみの分のスロットは残しておきたいとのこと---4スロットを除く4スロットの権利をもらったということだ。
 ちなみに魔力の使えない(=感知できない)ラーラさんの「凝」でオレの魔力が感知できるようになるかをこっそり確認したが、予想通り確認できなかった。これはこのゲームでかなりのアドバンテージになる。ぶっちゃけ、「纏」をしていない状態で魔力による身体強化を使えば、念能力者に対してかなり意表をつけるはずだ。また、バインド系を隠しておけば、バインドにかかるまでは感知できないはずだ。もっともバインド系は物理的---力ずくという意味だが---に破壊されそうだが。レイザ-とかレイザーとか筋肉ビスケとか。

 こうして会った日から10日後、ラーラさんはゲーム内へ帰って行った。  
 

 
後書き
感想をいただいた人の中に予想されていた方も多かったのですが、次のクロス先は「HUNTER×HUNTER グリードアイランド編」となります。「第4部」については次回更新時に加えます。

2014/05/12 ジョイステーションと「凝」の説明をちょっと追加。 
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