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【完結】剣製の魔法少女戦記

作者:炎の剣製
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第五章 StrikerS編
  第百六十三話  『決戦(7) ライトニングの決着』

 
前書き
更新します。

今回はライトニングその他の決着です。

ではどうぞー。 

 




フェイトとアリシアはスカリエッティの発生させている赤い檻に閉じ込められていた。

「くくく…気分はどうかね? プレシア・テスタロッサの研究によって生み出されたアリシア・テスタロッサのクローンであるフェイト・テスタロッサ…」
「くっ!?」
「フェイトはたとえ私のクローンだとしても私のれっきとした妹だよ!」
「アリシア…」

フェイトはアリシアのその言葉にまた胸が熱いものがこみあげてくるものを感じていた。

「まぁ、いい。そして、シホ・E・S・高町の真実の魔法の力で生き返ったアリシア・テスタロッサよ。私は君のことを研究したくてしょうがなかったのだよ」
「ひっ!?」
「アリシアに触れようとするな! この外道が!」

フェイトがそう叫ぶ。
それにスカリエッティはそれでも余裕の笑みを崩さずに、

「いいねぇ。その反抗的な目…。アリシア・テスタロッサには似ていないが、君達の母であるプレシア・テスタロッサには似ているよ」
「当然だよ! 私とフェイトはお母様から生まれたんだから。だからそれは必然だよ!」

アリシアがそう叫んで『ガチャッ!』とスピードスター・ガンズモードを構えてスカリエッティへと放つ。

「させると思うか…?」

だがその弾丸は控えていたトーレによって弾かれた。
アリシアはそれで悔しそうに顔を歪ませる。

「…アリシア・テスタロッサ。君もやはりプレシアの娘だね。すぐにカッとなるところは親譲りというところか」
「お母様の悪口を言わないで!」

なおも叫ぶが檻から出られない二人は悔しそうにするしかできなかった。



それをモニターの先で見ていたエリオとキャロは、

「フェイトさん!」
「アリシアさん!」

ルーテシアと戦いながらもその光景を見ていた。
だけど戦闘と説得に集中するためには今はこちらに意識を向けなければいけないと思った二人は、クアットロに洗脳されたとしても再度ルーテシアの説得をするのだった。

「ガリュー! 君の主人が苦しんでいるんだよ! 主の事を考えられるなら一緒にルーを止めよう!」
「………」

エリオの呼びかけにガリューは動きを止める。
だが、現状ではなにも変化がない。
キャロもルーテシアに向かって、

「ルーちゃん! もっと自分の意思を持って! 洗脳なんかに支配されちゃダメ!」
「…あなた達はいいね」
「えッ…?」

ルーテシアのその言葉にキャロは一瞬説得の言葉を止める。

「友達がいて、家族がいて、暖かい空間に囲まれている…。でも、私にはそれはない…。ゼストも、アギトもそのうち私の事を忘れてどこかへ行っちゃうんだ…一人は、一人は嫌だぁぁあああーーー!!」
「ルーちゃん…」

心を閉ざしてしまい、自分を一人だというルーテシアのその姿にキャロは涙を流し、次にはルーテシアを移動術を使い抱きしめていた。

「ッ…!?」
「ルーちゃん…ルーちゃんは一人じゃないよ…?」
「うるさい! 離れろーーー!」

それでルーテシアは体から魔力を放出させてキャロの体を傷つける。
でもキャロは決してルーテシアを抱きしめている手を緩めずに決して離そうとしなかった。

「ルーちゃんは決して独りじゃない。孤独なんかじゃないんだよ…。
そのゼストさんとアギトちゃんって子も、きっとルーちゃんの事を大事に思っている…。きっと、ルーちゃんの帰りを待っているよ…?」
「そんなの、嘘だ…!」
「嘘じゃない…!」
「ッ!?」

キャロは大声でルーテシアの言葉を否定して叫んだ。
ルーテシアもその叫びによって言葉に詰まった。

「一度繋がった絆はそう簡単に切れるものじゃないんだよ? だから大丈夫! それに、私達もいるよ…? 私達がルーちゃんの友達になってあげる…ルーちゃんのお母さんを助ける手助けも絶対にする!」
「で、も…そんな口約束…」
「口約束なんかじゃない!」

そこにガリューの攻撃をストラーダで何度も受け止めて耐えているエリオが叫ぶ。

「僕達はきっと分かり合えるんだ! だからさっきも言ったように僕達の手を取って! ルー!!」
「エリ、オ…」
「グッ…。…そ、そうだよ、ルーちゃん! 私達は、どこにもいかない…! ルーちゃんが離れようとするなら私達はさらに追いかけて、そして捕まえる!」
「あ…」

それで洗脳されているというのにルーテシアの瞳から涙が垂れる。

『ルーテシアお嬢様! そんなーーー「少し黙っていろ、クソメガネ!!」ッ!?』

またスクリーンからクアットロが洗脳を強化しようとしたが、そこでエリオの心からの叫びでそれはかき消された。

「僕達の邪魔をするな! ルーは貴様なんかに良い様に利用されていい子なんかじゃない!!」

普段の温厚で誰にでも優しい笑顔を向けるエリオにしては珍しくクアットロに対して怒りを示してキレていた。

『くっ…!』

それでクアットロの映像は消えた。
どうやらルーテシアの事を諦めたのだろう。

「さぁ、ルー! 僕達と共に行こう!」
「そうだよ! ルーちゃん!」
「エリオ…キャロ…私は、あなた達と一緒にいたい…もう寂しい思いをしたくない…!」

その瞬間、ルーテシアを支配していたものが砕けた感覚をルーテシアは感じた。
洗脳を自力で振りほどいたのか目から次々と涙が溢れてきてルーテシアは今だに抱きついているキャロの胸に顔を埋める。

「そうだよ、ルーちゃん…。それでいいんだよ」
「そうだよ、ルー。もう僕達は君の友達なんだから…」
「うん…! ガリュー!」

それでルーテシアはガリューを呼ぶ。
それでガリューはルーテシアの隣に佇んで、

「ガリューも、いつまでも一緒にいてね…?」
「………」

言葉を話せない代わりにガリューはその場に片膝をついて頷くのだった。

「フェイトさん! アリシアさん! ルーはこの通り確保しました! だから、負けないでください!! 僕達がついています!」
「そうです! 私達は応援しています! きっと、フェイトさん達は過去の因縁を断ち切れるって事を信じて…!」

エリオとキャロはスクリーンの向こう側で捕まっている二人に向かってそう叫んだ。



◆◇―――――――――◇◆



Side フェイト・T・ハラオウン



エリオ、キャロ…強くなったね。
もう、私が着いていなくても頑張れる強さを手に入れたね。
だから私達は過去の因縁をここで解消するよ。もう、迷わない!

「…アリシア、二人にここまで応援されたんだから、頑張らなきゃいけないね?」
「そうだね、フェイト!」

それで私は右腕を天に掲げる。
それによって右手の甲にある令呪が輝く。

「なにっ!? これは…!」
「第一の令呪に命じます! 来て、ランサー!!」
《おうよ!》

それで今どこかで槍使いの女性と戦っているはずのランサーをこの場に顕現させる。
風が吹き荒れて一瞬にしてランサーが私達の目の前に現れる。

「マスターの命のもと、馳せ参じたぜ!」

そう言ってランサーは私達を捕らえている赤い線の檻をゲイ・ボルクをひと振りして砕いてくれた。

「…ランサー! 戦闘機人の相手をお願い!」
「わかったぜ!」
「私とアリシアはスカリエッティをやる…!」
「うん! フェイト!」

そして私はスカリエッティと戦うために真・ソニックフォームを起動する。

「オーバードライブ! 真・ソニックフォーム!」
「スピードスター! ソニックガンズフォーム!」

私は真・ソニックフォームになってバルディッシュ・ライオットフォームの双剣を携える。
アリシアのスピードスターもガンズフォームの砲身が伸びて大型のロングレンジライフルに変化する。

「いくよ! アリシア!」
「うん、フェイト!」

そう言って私とアリシアは高速で駆け抜ける。
一瞬、ランサーの方に目を向ければ、

「オラオラオラーーーッ!!」
「ッ! グアッ!?」
「これで、しまいだ!」

ゲイ・ボルクをおお振りで振り回して戦闘機人の腹に当てて壁まで吹き飛ばして戦闘不能にしていた。
さすがランサーだね。
私達もここですべての因縁を断ち切る!

「スカリエッティ、覚悟!」
「…いいのかね? 私を倒しても13人の戦闘機人の体内に私のコピーを仕込んでいるのだよ?」
「なにっ!?」
「そんなっ!?」
「どれか一人でも生き残ればすぐに私は復活して、ひと月もすれば私の記憶を受け継いで蘇るのだよ…」
「そう…。馬鹿げてるけど、きっと全員捕まえるよ。私達機動六課は全員逮捕するんだから!」
「そうだぜ! そんなくだらねぇ仕組みなんざ糞くらえだ!」
「ほう…。トーレをあっけなく倒したか。ランサーのサーヴァント…いや、クー・フーリン?」
「てめぇ…俺の真名を」
「君は有名だからね。そしてフェイト・テスタロッサ。君は私によく似ているんだよ」
「なにを…?」
「私は自分で作り出した生体兵器達…。君は自分で見つけ出した自分に反抗しない子供達に使い魔。
それを自分の思うように作り、いや、自分の目的のために使っている!」
「そんなことは、ない!」
「そうかね…? 君もあの子達が自分に逆らわないように教え込み、自分のコマとしていいように戦わせているだろう?」
「フェイトはそんな子じゃない!」
「アリシア…」

アリシアが涙目でそう声を発してくれた。

「フェイトはそんな理由であの子達を引き取ったんじゃない! 哀れみを感じたんじゃない! フェイトは心からエリオとキャロの幸せを望んで今まで育ててきたんだよ!?」
「その通りだ。てめぇの身勝手な事情をマスターと混同させんじゃねぇよ! カスが…ッ!」

アリシア、ランサー…。

『そうです! 僕達は自分で選んでフェイトさんに着いてきた!』
『それは私達の意思! あなたなんかの思い込みで勝手に判断しないでください!』
『僕達はフェイトさんを支えたいために機動六課に入って強くなろうと思ったんだ!』
『その想いだけは違わない! 否定させない!』

エリオ、キャロ…。

『だから、フェイトさん! 僕達の事は気にせずに自分の事を信じてください! フェイトさんは間違っていません!』
『そうです! 迷ったら頼ってもいいんです…。甘えてきてもいいんです…。私達がそうだったように、今度は私達がフェイトさんを勇気づけます!』
「そうだよ、フェイト! お姉ちゃんはどこまでもフェイトの事を信じているからね!」
「そうだぜ。お前はいい女だ。だから信念を最後まで貫き通せ。俺の誇れるマスターでいろ!」

みんな…!

「うん! 私は何度も迷うかもしれない…。立ち止まってしまうかもしれない…。でも、みんながいればどこまでもいけると思う…。だから、いこう! アリシア、ランサー!!」
「うん、フェイト!」
「おうよ!」
「ほう…。ならば私自ら相手になろう」

そう言ってスカリエッティは腕を何度も操作してまた赤い線の攻撃をしてくる。
だけど私達はそれを何度も破壊する。

「ライジングカノン! ファイアッ!」
「おらっ!」

アリシアの電磁砲が焼き焦がし、ランサーのゲイ・ボルクが砕く。
そして攻撃の間際に私の方に一瞬振り向き、

「いって! フェイト!!」
「いきな! マスター!!」

そして私の進む道を示してくれた。
これで、終わりだ!
ライオットザンバーを連結させてスカリエッティに振りかぶる。
それによってスカリエッティはその手で受け止めるが、私はさらに力を込める。

「ふふ…。実に惜しいね。君の力があったら。まぁ、いい。どのみち君達はここで私とともに滅ぶことになるのだからな」
「なにっ!?」
「私が倒されればこのアジトは崩壊するのだからな…」
「そんな…!?」

私がショックを受けているが、それは第三者からの言葉で遮られた。

「あー…自爆装置ってやつか? それならさっき、槍使いの女との戦いの間についでに壊しちまったぜ? その部屋に誘導されていたみたいで場所が場所だったみたいでな。派手に暴れちまったからな」
「なにっ!? 魔術師殿は私を裏切ったのか!?」

そこで初めてスカリエッティの余裕の笑みが消え去った。
ここでも隻眼の魔術師…。
やはり情報を集める必要があるみたいだね。
でも、今はまず!

「もうこれで後顧の憂いはなくなった! スカリエッティ、覚悟!!」

ライオットザンバーを振りかぶって一気に叩き込んだ。
それによってスカリエッティは壁に激突してその場で動かなくなる。

「やったね、フェイト…!」
「やったな、マスター!」
「うん!」

これで長年によって追いかけてきたスカリエッティを捕まえることができたんだ。
そしてアコース査察官とシスター・シャッハからも二人のナンバーズを確保したという報告を聞く。
スバル達もそれぞれ確保したという。
後は、シホ…。任せたよ!



◆◇―――――――――◇◆



Side 八神士郎



ゼスト殿をマグダラで拘束したまま私とシグナム、リイン、そしてアギトはレジアス中将の執務室へと入る。
道中、拘束されている事に安心したのか局員の者たちはすんなりと通してくれたのは良かったと思う。
そして入るとそこにはレジアス中将と、確か娘のオーリス三佐だったか? それと一人震えている局員の女性の姿があった。

「ゼストか…」
「ああ。レジアス、お前に会って話したかったぞ」

やはり旧知の仲らしく戦いはしないだろう。
だが、皆の目はごまかせるだろうが私の目を欺けると思うな?

「すまない、ゼスト殿。お話の前に邪魔者の排除をしたい…」
「なに…? それは…」

ゼスト殿に返答は返さずに私はすぐに行動を開始する。
黒鍵を投影して一人震えていた女性局員の右手に向けて投擲する。

「なっ!?」
「士郎、なにを!?」
「士郎パパ!?」

全員がなにかしらの反応を示すが、その女性局員だけは「チッ…」と舌打ちをして腕を振るう。
そしていつの間にか女性の腕にはなにかの爪だろうか? そんな感じの武装が浮かび出してきていた。

「…どうして気づいたのですか?」
「貴様から匂ってくる血の匂いで気づかせてもらった。貴様、戦闘機人だな?」
「ええ…ばれてしまったのなら仕方がありません」

そして女性の髪は次第に紫髪から金髪へと変わって姿は戦闘機人の姿へと変わった。
そして即座にレジアス中将の頭に爪を向けて、

「人質ですよ…」
「グッ…! レジアス!」
「父さん!」

ゼスト殿とオーリス三佐が叫ぶが私は構わず、

「勝手にやればよかろう。ただ、もうお前の腕の神経は繋がっていないがな…」
「えっ…?」

それで全員が戦闘機人の腕を見る。
そこにはいくつもの針が深々と腕に突き刺さっていたからだ。

「ぎぁっ!!」
「その隙、逃がさん!」

即座に私は戦闘機人との距離をゼロにまで近寄り浸透勁をぶちかます。

「カッ…!? あっ…」

白目を向いて戦闘機人はその場にヘタリこんで気絶した。
よし、これでもう邪魔者はいないな。
私の解析魔術の目から逃れられると思うなよ…。

「さぁ、これでもう君達を害するものはいない。じっくりと話し合うといい」
「八神士郎二尉、感謝する。さて、レジアス、お前に問いたい」
「なんでも聞いてくれ…。お前になら話そう」
「ああ、お前は俺の部下達を殺すように命じたのか?」
「違う! あれは、スカリエッティから人造魔導師素体を用意してくれと言われて、お前達が目を付けられていることを知った。
だから儂はお前に戦闘機人事件から身を引くように命じたのだ。だがら、ゼスト。お前達が強行しなければあれは起きなかったことなのだ。
儂の指示が遅かったために、お前の部下達を、そしてお前すらも犠牲にしてしまったのだ」

レジアス中将はそれで顔を手で覆い後悔するような表情になる。

「そうか…。お前が最高評議会に繋がっていたことは…?」
「ああ。認めよう」
「俺達の正義はどこで間違ってしまったのだろうな…」
「すまん…全ては儂の責任だ。世界のためと裏と繋がってしまった儂の弱い心が招いてしまった事なのだ」
「そうか…」

それきり二人は黙り込んでしまった。
しかし、しばらくして、

「儂はおそらく、これから今までしてきた事に対しての裁判にかけられるだろう…」
「俺も、そうだな…。だが、もう俺は時間がないのだ」

時間がない…?
あぁ、なるほど。
シホはこの時のために私に“これ”を託してきたのか。

「ゼスト殿、一ついいか?」
「なんだ?」
「貴殿の体、確実に治るといったら、どうする?」
「なに…?」
「旦那の体は治るのか!?」

そこにアギトがパァッ!と嬉しそうな顔をして見てきた。

「…いや、無理だ。俺の体はもうとうの昔に限界を越えている。だから後は死を待つのみなのだぞ?」
「それを覆すのがシホの能力だ」
「シホというと、シュバインオーグ一尉の事か?」

レジアス中将がそう聞いてきた。
私はそれに応えるべく、懐からあるものを取り出す。

「その通りだ。シホは聖なる錬金術師の担い手…ゆえにこんなものを私に託してくれた」

その瓶をテーブルの上に乗せる。

「これは…?」
「秘薬、“エリクシール”…。どんな難病、死の病、体の病気を瞬く間に健康状態にまで全快させる万能薬だ」
「そんなものが…」
「旦那! 飲んでくれ! あたしは飲まなきゃ怒るからな!?」
「しかし…俺は一度死んだ身なのだぞ? 効くのか?」
「今ここで生きている以上は効いてもらわなければ困る。シホはこの薬を製造・限定生産態勢に漕ぎ着けるまでに3年もの歳月をかけたのだからな。使われた方がこの薬も幸せだろう」

それでゼスト殿はしばらく葛藤していたが、

「ゼスト…。飲んでくれ。お前はまだ生きていていいのだ」
「レジアス…わかった」

レジアス中将の一声で決心したらしく、ゼスト殿はそれを一気に飲み干した。
するとわずかだがゼスト殿の体は光りだし、そして、

「お、おお、おおおおおーーー!!? なんだ!? 今まで俺の体を苦しませていた痛みがなくなっていく!? それどころか魔力が、溢れてくる…!」
「旦那ァ!」

アギトが涙を浮かべてゼスト殿に抱きついている。
それほどに嬉しいのだろう。

「さて、これで私の役目は済んだな。ゼスト殿、罪は生きている限り償える。だから死のうとは決して考えるな?」

私がそう言うと、

「…ああ。死を覚悟していた俺にもう一度チャンスをくれて感謝する。八神士郎二尉」
「あの、その…旦那のことを救ってくれて、ありがとな! 士郎さん!」
「気にするな。私が助けたかったのだからな。そして私の目の黒いうちは私の信念故に悲劇など生み出させんさ。
…まぁ、その感謝の想いはありがたくもらっておこう。ああ、それとシホにも後で感謝の言葉を言うのだな」
「ああ。そうだな、そうさせてもらおう…」

それでゼスト殿は目をつぶる。

「あ! そうだ! 旦那、ルールーを助けにいかないと!」
「しかし、俺はもう逮捕されるのだろう…?」
「ええ、残念ですが…ですが、今、報告がありました。ルーテシアは私達の部隊のものが保護したという話です」
「スカリエッティは…?」
「そちらもテスタロッサ執務官が逮捕したそうです」
「そうか…ならばもう安心だな」

それでゼスト殿は指に嵌めてある指輪をシグナムに渡す。

「これは…?」
「この指輪の中には最高評議会やスカリエッティ、その他にも関係していた者たちのあらゆる情報が収められている。これがあれば色々と役立つだろう。使ってくれ」
「感謝します」
「では、俺も捕まるとしよう。思い残すことはないからな。…そうだ。シグナム殿。アギトのことをお願いしていいか?」
「旦那ッ!?」
「アギト。お前もうすうすは分かっているのだろう? シグナム殿はお前に相応しいロードだという事を…」
「そ、それはそうだけどよ…」

それでアギトは少し不安そうにしている。

「素直になったらどうだ? お前も惹かれているのだろう」
「ああ…。でも、用事が済んだらあたしも一緒に捕まるからな!? だから、今は考えさせてくれ」
「ああ。待っているぞ、アギト」

シグナムは穏やかに笑うのだった。
アギトも赤い顔をしながら、

「…おう」

と、答えていた。
これは、また八神家族が増えそうな予感がするな。
楽しみである。
後は、お前たちだけだぞ、シホ…。


 
 

 
後書き
まず、白天王さんとヴォルテールの出番はなくなりました。本当に申し訳(ry。
エリオ、クアットロにマジギレ…。

そして原作以上に幸せなフェイトさんです。唯一この作品で救えなかったプレシアがもし生きていたらもっと変わったでしょうがね。

そしてゼスト・レジアス共に救済しました。
レジアスはオリジナル次章でも必要なキャラですから生かしますよー。

シホの錬金術パネェ!




それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。 
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