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インフィニット・ストラトス 自由の翼

作者:ren sagiri
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双零と自由VS.漆黒の狂戦士……模擬戦闘 前編です。

 
前書き
文字数ががががが

と言うわけで読みやすいように分割前後編とさせて貰います(汗

では行きましょう。 

 
○Noside

春奈と天地は目の前で大きな存在感を放つISに若干圧される。

細身でシャープな曲線を持つ暗い青、赤、白の全身装甲(フルスキン)に顔を隠すフェイスカバーと額部のブレード・アンテナが示すのは……

「……ガンダムタイプか?」

「その形状は……ストライクEですね?」

「ほう……よくわかったな。」

春奈はそのガンダムの名を思い出した。

春奈のフリーダムが存在したC.E.(コズミック・イラ)にストライクガンダムのMSV(モビルスーツバリエーション)として[機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER]に登場したMS。

A一夏のそれは[ストライク再生産機]の強化改修版である[ストライクE]と呼ばれる機体。

ふと、春奈は昨日の乱入者について思い出した。鈴に保護されながら離脱した際に見た黒い翼……あれは[ノワールストライカー]だった。

「……まさか、昨日のISはあなただったのですか!?」

「……さあな。」

言いながらA一夏はI.W.S.P.を呼び出し(コール)して換装する。

「そんなことはどうでもいいだろ?今は気を抜くな、春奈。」

天地はただならぬ気配を感じ取り春奈に注意を促す。

両脇の対艦刀を引き抜きながらA一夏は言葉を続ける。

「天地の言うとおりだ。俺が何者であれ……ここは戦場だ。気を抜いたら死ぬぞ?(フリーダムとOOガンダムか……手強そうだな。)」

天地はGNソードⅡを腰から離して装備する。

「……そうですね。A一夏さん、話は後で伺います。」

そう言いながら春奈はルプスを構えた。

「天地くん、I.W.S.P.は近~中距離に特化したストライカーパックです。注意してください。」

「分かった。」

Get Ready?

各々の前に紫色の文字が浮かぶ。

『では、はじめたまえ。』

―――Go!!

「行くぞ、春奈!」

「分かってます!天地くん、遅れないでくださいよ?」

「さぁ、楽しもうじゃねぇかッ!!」

天地は言いながらGNドライヴを後ろにして粒子スラスターを全開にして一気に加速。

A一夏もそれに応えるように加速、その距離を縮める。

「いくぜ!(機動力を殺す。)」

「来いッ!(まずは小手調べだな。)」

剣が接触させながら、お互いの思惑を胸に二人は近接格闘戦を開始する。

天地が左から逆胴を右下からの切り上げを放ち、それをA一夏は二対の対艦刀の峰と真剣部で受け止める。

切り上げを受けた反動でA一夏は回転と上昇しつつ、そのまま天地に対艦刀を振り下ろす。

しかし、A一夏の相手は天地だけではない。

キンッ!とその間に割って入る物体に斬撃が阻まれて弾かれる。

その物体からは黄金色のエネルギーが放出されていて物理、エネルギー体問わず防ぐことができるとA一夏は悟った。

加えてロックされていることに気がついたA一夏は弾かれた際にできた隙に袈裟斬りを放つ天地の剣を受けその腹を蹴り後退、加えて急速後退でその場を離れる。

すると、その直後に元いた場所を飛来したビームが引き裂いていく。

が、全方位からロックされたことに気がついたA一夏は後退を停止した。

彼が辺りを確認すると、8機の蒼い竜騎士(ドラグーン)達が全方位から銃口を向けていた。

「ハイマットウイングの形状からまさかとは思っていたがドラグーンシステムを積んでいるとはな……機動兵装ウイングだな。」

「ご名答です。じゃあ、これもご存じですよね?」

そう言いながら春奈はVL(ヴォワチュール・リュミエール)を起動して光の膜、翼を展開する。

ルプスを左手に移して右手に春奈はカリバーンを呼び出す(コール)春奈は天地とアイコンタクトを取り、頷き合う。

そして、二人は同時に動き出した。

「防御までできるドラグーンか……便利だな。(ドラグーンを排除して先に春奈を撃墜するか。防御力が高いようだしな。)」


A一夏はそう決めると春奈にターゲットを切り替える。

「オラァ!」

「ふん。黙って斬られるつもりはない!」

瞬間加速(イグニッション・ブースト)で再度距離を詰めながら天地は振りかぶったGNソードⅡでA一夏を切りつけるが対艦刀で切り結ぶA一夏。

天地もそんなことはお構い無しと言わんばかりに、粒子スラスター全開でGNソードⅡを押し込まんと力を込める。

その力は互角で拮抗状態となる。

A一夏は対艦刀を押し込み一瞬だけ力を緩める。

すると、A一夏は天地のGNソードⅡに左の対艦刀を手元から弾かれて、本人も後ろに飛ばされる。

そのまま後退するA一夏に追撃を加えようと天地は接近するが、それをさせまいとA一夏は左手にコンバインシールドを展開すると同時にガトリング弾を撒いて牽制する。

これには天地も近付くことができず後退した。

「いって、ドラグーン!」

天地の後退を確認した春奈は8機のドラグーンによる全方位(オールレンジ)射撃を開始する。

複雑で不規則なドラグーンの動きと読みづらいコースからの射撃、死角と思われる場所からの射撃の嵐がA一夏を襲うが、彼には苦にもならないようでコンバインシールドでビームを受け流し隙間を見つけてビームを躱しながら徐々に春奈との距離を詰めていく。

その途中でドラグーンを狙ってガトリング弾をばら蒔くが、それらはまるで目が付いているかのように銃弾の間をすり抜けてカウンターを返す。

(なるほどな、かなりの練度だ。セシリアのビットを相手にしている気分で……故に厄介だな。)

カウンターを躱しながら内心で感心したA一夏。しかし、彼の予想外の出来事が起こる。

ドラグーンからの射撃が止み停止したA一夏に向けて―――

「ハァァァッ!」

なんと、春奈が突撃してきたのだ。

「……バカなのか?」

「ストレートに言ってくれますね!」

ビームライフルを撃ちながら距離を詰める春奈は言い返した。

それに対してA一夏は無言でガトリング弾をばら撒き応えた。

「その程度!」

春奈は連続で飛来する銃弾の軌道を読みながらVLスラスターの出力を上昇させバレルロールによる連続回避とビームライフルによる的確なカウンター射撃でA一夏を制動しながら距離を詰めていく。

「……いいだろう、遊んでやる。(的確な射撃だが、故に避けやすい。)」

A一夏はビームを躱し、右手の対艦刀を構えてスラスターを吹かし迫る春奈と取っていた距離を逆に詰めた。

そして、二人は切り結んだ。

ガキィィンッ!

「なにっ!?」

派手な金属音とともにA一夏を弾き飛ばした春奈の、彼女の重すぎる斬撃に彼は驚いた……細い腕からは考えられない怪力にA一夏は久しく冷水を浴びた気分になったのだ。

「なんて馬鹿力だ……演算ミスか?」

『失礼だね、A一夏。ヴェーダの演算に狂いはないよ。』

驚きのあまり、思いを口にしたA一夏に対してリボンズの音声がVR空間に響いた。

「隙だらけですよ?……ドラグーン!」

「チィッ!」

ドラグーンの不規則な射撃は、少しずつA一夏の退路を塞いでいく。ドラグーンの射撃で退路を塞ぎVLの機動性を活かした一撃離脱(ヒットアンド・アウェイ)の重い格闘を仕掛けつつ距離を取りビームライフルの射撃で制動する戦法……通称[鳥籠(バード・シフト)]に春奈はA一夏を陥れた。

「オォォッ!」

そこに天地が乱入するが、春奈の射撃は彼に当たらない。また、天地も驚異的な直感でビームを潜り抜けてA一夏に格闘戦を挑む。

これは、お互いを信じて連携を取り合う[同調戦線(ユニゾン・レイド)]と言うこの世界でのISの戦法である。

徐々に押され始めたA一夏は内心で焦りを感じていた。

「クッ……(同じ転生者に舐めてかかると痛い目を見る……か。―――クックックッ……いいねぇ。)」

仮面(フェイスカバー)に隠されたA一夏の顔は愉悦に加えて豹のような獰猛な笑みを浮かべている……それは今暫く眠っていた彼の闘争本能が徐々にスロットルを上げていく予兆でもあった。

「―――っ!天地くん、お願いします!(ドラグーンのエネルギーが……仕方ないですね。)」

春奈は一旦下がり、ドラグーン全機をVLを解除したハイマットウイングに帰還させる。

「任せろ!」

「―――させんッ!」

A一夏は無防備になる春奈に向けてI.W.S.P.に備えられているレールガンを撃った。

「それはこっちのセリフだ。刹那、GNフィールドを使うぞッ!」

[了解。]

天地は飛来するレールガンの砲弾に臆さず、その間に割って入ったGNドライヴを前面に向けてツインドライヴで生成される膨大なGN粒子を一気に放出した。

「[GNフィールド!]」

放出したGN粒子を制御して生み出された高密度の壁に砲弾が直撃して派手な爆発を起こした。

「GN粒子残量45%……SE(シールド・エネルギー)が70%か―――畳み掛けるぞ、刹那ッ!(完全には防げなかったか。)」

[わかっている。補助は任せておけ。……天地、遅れるなよ?]

黒煙をGNソード改で引き裂きながらほぼ無傷の天地がA一夏に肉薄して果敢に格闘戦を挑む。

「遅れるわけがねぇ!」

右のGNソード改に加えて左のGNソードⅡによる斬撃の雨(ラッシュ)を天地は炸裂させる。

右から迫る水平横薙ぎを逆に斬り込み、左下から迫る浅い逆袈裟斬りから深い袈裟斬りの斬り込み。右手を突き出して折りたたんだGNソード改ショートライフルによる3連発のビーム射撃そして、引いた左のGNソードⅡで―――

「オラァッ!!」

気合と共に鋭い牙突を打ち込んだ。

が、黙って斬られるA一夏ではない。確実に斬られる斬撃は逸らして浅いフェイントは切り結んで弾く。ビームの連射はコンバインシールドで受けながらガトリングガンでカウンターを返す。

「チッ……刹那!」

[了解。GNフィールド。]

飛来する銃弾をGNフィールドで弾く天地の内心は穏やかなものではない。GNフィールドは高い防御性能を発揮するが、その分使うGN粒子の量が莫大な物となっている。

例えば、GN粒子残量100%でGNフィールドを使ったとして消費するGN粒子の量は全体の20%に及ぶ。つまり、乱発はできないのだ。

「まだだっ!」

「クックックッ……遊ぼうぜ―――天地!」

先程の雰囲気とは変わって強烈な殺気を感じた天地は若干引いた。

「な、なんだっ!?(なんか人格スイッチでも踏んじまったのか!?)」

「天地くん、一旦引いて粒子を蓄えてください!私が時間を稼ぎます!」

切り込んできたA一夏の斬撃を不意に左のシールドで受け流し、彼の腹を蹴って吹っ飛ばした春奈は天地に引くことを促した。

「了解した、頼むぞ。春奈!」

「任せてください!」

「やるじゃねぇか……春奈ッ!」

腹を蹴られる前に半身で衝撃を和らげて無傷だったA一夏はターゲットを春奈に切り替える。

一方の春奈の蹴った方の脚部ISアーマー(右側)は軽微の損傷を負ってしまっていた。

「頑丈なISですね……。」

「まぁな……こっからは手加減無しだ。全力で来いよ?」

「もちろんです!―――やってやろうじゃんっ!」

春奈は越界の瞳(ヴォーダン・オージェ)を起動させて動体視力と反射を向上させる。よく見ると彼女の瞳孔の周りが赤く発光していた。

春奈はドラグーンを全機射出して再びVLを起動して機動力を向上させる。

蒼竜騎士の演舞(ドラグーン・タクティス)、[強襲の牙(ファング・シフト)]!」

春奈はドラグーンが学習したばかりのフォーメーションを起動した。

これは先日のツヴァイ強襲の際にGNファングとの戦闘を経験したフリーダムが自己進化の結果として春奈に提案して採用されたドラグーンの演舞(タクティス)である。

ドラグーンを、近接用の無線ビーム突撃槍(ランス)として扱うこの状態は常時エネルギー刃を発生させるのでコンデンサーのエネルギーを食いやすい状態になってしまう。

ただ、それに見合う威力と攻撃力を両立しているので性能的には問題はない。

「む……そんな使い方も可能なのか?」

そう言いながらA一夏はドラグーンを近づけさせまいとガトリング弾をばら撒いて牽制するが、弾丸はビーム刃に触れると焼き消される。

ほとんどの銃弾はドラグーンの周囲に張られている黄金色のエネルギー体に弾かれていた。

突進してくるドラグーン2機を対艦刀で弾き軌道を変えて躱すが次の4機が刺し貫かんと迫る。

「ちょこまかと……このっ!」

ドラグーンには小回りが利かない弱点がある。それを知っているA一夏は飛来するドラグーンの間をすり抜けて後続の2機を蹴り飛ばし、距離を取る。

「逃がしませんよーっ!」

春奈はVLスラスターの出力を全力に、加えて瞬間加速(イグニッション・ブースト)を使い一気に最高速に達して剣を振りかぶりながらA一夏に迫る。

「なかなかやるな!」

A一夏は対艦刀を左手に持ち替えて春奈の斬撃を滑らすように逸らしながらコンバインシールドのビームブーメランを右手で掴むと近くのドラグーンめがけて投擲した。

「……させませんよ?」

急速後退を行いながら春奈は投擲されたビームブーメランをルプスで打ち抜いて破壊する。

しかし、ビームブーメランは囮だったようでA一夏は隙を付いて離脱した。

離脱しながら向かってくるドラグーンにビームライフルを右手に呼び出し(コール)して射撃するが効果がないようで粒子の奔流はあさっての方向へと弾かれて飛ばされる。

「弾の無駄か……(なんつー防御性能だ。だが、格闘系の攻撃ならば破壊できるのか?)」

先ほど天地を守ったのは春奈のドラグーンに違いはないだろう。あの時、実体剣の攻撃を弾いたのもこのドラグーンだったはずである。

どういう原理なのか分からなければ対処のしようもないのは明らかだった。

電磁、バリア、反発……複数効果の重複なのかとA一夏は改めて考えた。

「どうしたんですか?……考え事ですか?(想定よりもエネルギーの消費が早い……もうレッドゾーンだなんて!)」

ドラグーンのエネルギーそっちのけで攻撃していた春奈は焦りを隠すためにA一夏に話しかける。

「……まぁそんなところだ。―――何を焦っている?」

「何でもありませんよっ!(やりたくなかったけど仕方ないか……)」

春奈はドラグーンの演舞(タクティス)を[ある物]に変更してA一夏に突撃させる。

「ん?……なんのマネだ?」

ビーム刃を纏っていない、つまりは普通のドラグーンなのだ。そんなものをA一夏にぶつけても破壊されるだけなのだが……

A一夏はコンバインシールド、ガトリングでドラグーンを撃ってみると例のごとく展開装甲が開きガトリング弾を跳ね飛ばす。

しかし、ドラグーンからのカウンターが来ないことに気がついたA一夏は……飛来するドラグーンにある可能性を導き出して―――すぐに距離を取った。

「[木っ端微塵]!」

春奈のその言葉をトリガーにドラグーンが爆発した。

「やっぱりか!(もったいねー使い方だな。)」

A一夏も戦慄したこれは[虚偽の命(ブラスト・エンド)]という演舞(タクティス)を起動した状態のドラグーンだ。

フリーダムのドラグーンは特殊クリスタルで銃身とフレームを形成している。その上にEカーボンの装甲を施してPICや展開装甲の技術を詰め込んでいる。

そして、フリーダムの展開装甲の防性エネルギーは反発するという特徴を持っている。

反発するエネルギーを内側に瞬間解放すると抵抗し合った余剰エネルギーが内部で増幅されて爆発を起こすメカニズムで発破したのだ。

というのは、この特殊クリスタルのフレームと銃身はエネルギーを増幅させる性質を持っている。

それを利用してドラグーンは少ないエネルギーで稼働時間を伸ばしているのだ。

A一夏は爆発の余波でコンバインシールドのガトリング銃身を破壊されてしまい黄金色の粒子舞う中春奈の姿を探す。

「これは……ジャミングか?」

A一夏の周りにはキラキラと粒子が舞っている。コロイド、GN粒子とは違う黄金色の粒子。

ハイパーセンサーにはノイズが入り、景色がぼやけていた。

「マズイな……このままでは―――!」

「行きなさい、ドラグーン!」

その声が聞こえた時、本能的にA一夏はI.W.S.P.をパージしてスペキュラムストライカーに換装して即座に離脱した。

ザスッと音を立ててI.W.S.P.にビーム刃を突き立てる無数のドラグーンはそのまま自爆した。

「I.W.S.P.を狙ってくるとはな……まぁ悪くない選択だ。」

「まだストライカーが残っていますよね?……スペキュラムストライカーですか。(またもや高機動型……ちょっと厄介ですね。)」

春奈は焦燥感を蹴飛ばし前を見る……と、アラートが脳内に響き渡った。

―――ナノマシンの活動限界。越界の瞳(ヴォーダン・オージェ)の機能を停止します―――

「……ッ!?(このタイミングで!?―――いつもより活動限界が早い……なんで!?)」

春奈の戦力の要であった越界の瞳(ヴォーダン・オージェ)はその機能を停止、春奈の反射と動体視力は元の基準に戻ってしまった。

彼女のそれは、制御しやすい物が故に感情に左右されやすいという欠点を持っていた。

[迷い]という精神状態ならば普段よりもその能力を活かせなくなる。それが春奈の越界の瞳(ヴォーダン・オージェ)の弱点である。

「……何が起きたのかは知らんが、こちらから仕掛けさせてもらうぞ?」

「窮地ですね……(エネルギーも残り30%……ええいままよっ!やってやろうじゃん!)」

春奈は弱気になりかけた心の尻を蹴り気合を入れる。―――まだ闘争は終わっていないのだ。

彼女は意識を研ぎ澄まし、一つの願いをフリーダムに伝える。

「―――私はまだ戦える。だから、力を貸して……フリーダム!」

―――クリスタルハートの起動を確認。エネルギーを追加生成……残りエネルギーを60%に回復―――

春奈はエネルギーを回復させてA一夏と向き合う。

「ドラグーンは残り4機……行きますよ!A一夏さん!」

春奈は言うと同時にVLスラスターを全開にしてカリバーンの柄を伸ばして両手保持にするとビーム刃を発生させる。

A一夏は破損したコンバインシールドを棄ててビームサーベルを引き抜いた。

「トアァァッ!」

「フンッ―――らぁ!」

お互いの得物を振り被りながら音速を超えた速度で距離を詰める。春奈は上段から渾身の力でカリバーンを振り下ろし、A一夏は居合の要領で光剣を振るう。

衝撃波がVR空間に響き渡り、二人は激突した。

ザンッザシュッ!

乾いた音を立ててフリーダム(・・・・・)の左腕ISアーマーと胸部ISアーマーが破損した。

マニュピレータが切り飛ばされてデータの断片として消える。胸部はISコア付近ギリギリを切り裂かれたが絶対防御が発動して肉体へのダメージはなかった。

しかし、ISスーツは破れてしまったのか下乳の一部白い肌が見えていた。

「……狙ったわけではないからな?(―――いい光景だ。)」

「……へ?―――ッ!?」

春奈は慌てて胸部を隠した。

彼女の打ち下ろしを左腕ISアーマーを破損させることによって止めながら、踏み込んで本命の一閃……燕返しを放ったまでは良かったがSEを全損させることはできなかったようである。

「押し負けた……(―――次食らったらSE全損ですね。)」

冷静に考える春奈はどう対処するかを暫く考えた。

「迷うくらいなら剣を下ろせ。今のお前には無理だよ……俺を倒す事はな。」

「……え?」

A一夏は春奈に悟すように話しかける。

「迷いは剣を鈍らせる……お前の剣には重みがない。転生者云々なんざ俺には関係ない。このまま戦うってんなら―――止めを刺してやるよ!」

瞬間加速(イグニッション・ブースト)で距離を詰めるA一夏。

春奈の知覚は加速した……走馬灯が過ぎるように世界がスローになっていく。

―――このままだと負ける……?―――

―――抵抗しないのかい?―――

―――私はまた負けるの?―――

―――諦めたらそこで終わりだろう?―――

―――でも、体が動かないし間に合わないよ―――

―――言い訳は見苦しいよ。君にならできるはず―――

―――どういう事?―――

―――君はまだこれからなんだろう?なら、こんなところでいじけている場合じゃない―――

―――……わかってる。でも―――

―――君の可能性を信じるんだ!さぁ、僕の手をとって―――

よぎる走馬灯春奈は誰かに手を引かれて意識を浮上させる。

「負けたくない……もう負けたくないっ!」

―――ピシッ……

春奈の何かにヒビが入る。

「そうだ、私が何であれ千冬姉のように受け入れてくれる人はいる……それだけで十分じゃん!」

―――ピシッ……ピキンッ―――

罅はさらに広がっていく……A一夏との距離はおよそ4m

「諦めて負けるくらいなら戦って負けてやる!だから私は―――」

―――ピキンッ……

「最後まで足掻いてみせる!」

―――パリーンッ!

とじていた瞼を春奈は開く。その瞳からはハイライトが消えていた。

春奈の中で砕けたのは可能性―――SEED―――今、春奈はギリギリの状況で反撃の狼煙を上げた!

つづく 
 

 
後書き
春奈の覚醒(めざめ)にA一夏は応えた。そして、激闘は後半へと突入する……

次回インフィニット・ストラトス 自由の翼

双零と自由VS.漆黒の狂戦士……模擬戦闘 後編

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