アニメにおけるOCGデッキの可能性

当然のことながら恵も試験官を叩きのめしていた。そこまでしなくてもといいたくなるレベルで。

シンクロを使わなくなったとしてもアニメ版生還の宝札による大量ドローと恵のデッキに投入されている極悪トラップの数々は圧巻だった。

最後の方、試験官の人、呆然としてたし。

｢さすが恵……｣

｢ありがとう｣

いや、褒めてない。

他の人のデュエルなんて興味ないので恵の試験が終わり次第、帰宅の途についていた。

ガッチャさんとナノーネ教授のデュエルには少々興味があったものの、それまで待ってられない。

｢……逢魔｣

突然恵は俺の服の袖を掴み、軽く数回引いて注意を促してくる。

｢なんだ？｣

｢シンクロ……使いたい｣

微妙にソワソワしながら恵はそう言った。

……シンクロ召喚って中毒性があるのだろうか。

｢テーブルデュエルなら家でな？｣

｢ん……｣

デュエルディスクを差し出して首を傾げる。

ソリッドビジョン付きでやりたいと申すか……。

ゾーンのときは確実に電波の届かなさそうな場所だからよかったものの、電波の届くところでやると社長が飛んで(物理的に)来そうなんだけども。

なんか、どこかの二次創作でそんな状況に陥っていたものを読んだ気がする。

｢それは我慢してくれ。テーブルデュエルでな？｣

｢……わかった｣

少々機嫌が悪くなった模様である。だがまあ、なんとか聞き分けてくれたようでありがたい。

帰宅後、沙羅への報告もそこそこにテーブルを挟んで向かい合う俺と恵。

さーて。負ける気しかしないけど頑張るか。

｢デュエル。モンスターをセットしてカードを二枚伏せる。これでエンドだ｣

｢ん……まずは……ドロー。……出す｣

ゴブリンゾンビを攻撃表示で召喚してくる恵。珍しく攻めが早いな。まずは場を整えるものだと思っていたが……。

｢戦闘……攻撃｣

｢永続罠、竜星の具現化を発動する。そして裏守備モンスターは光竜星リフン。破壊されたことにより竜星の具現化と光竜星リフンの効果が発動する。デッキから水竜星ビシキ、炎竜星シュンゲイを特殊召喚する｣

｢むう……早い。……発動｣

毎度お馴染みの壊れカード、生還の宝札が起動する。サイクロンがあればな……。

｢……セット。エンド｣

伏せカードは二枚。普通のデッキならば恐怖するだろうがなんてことはない……シンクロまでできれば。なぜなら俺のデッキは竜星なのだから。

｢俺のターン、ドロー。ブラックホールを発動。フィールド上のすべてのモンスターを破壊する｣

重力の闇(笑)がフィールド上を蹂躙していく。自分のモンスターも無差別に。……だが。

｢水竜星ビシキ、炎竜星シュンゲイ、竜星の具現化。そして墓地の光竜星リフンの効果をそれぞれ発動。光竜星リフンの効果で自身を墓地から復活。水竜星ビシキの効果で風竜星ホロウを特殊召喚。炎竜星シュンゲイの効果で水竜星ビシキを特殊召喚。竜星の具現化の効果で炎竜星シュンゲイを特殊召喚する｣

｢ん……発動｣

ゴブリンゾンビの効果によってゾンビキャリアをサーチしている。そしてリフンが蘇ったことで三枚ドローと。さらに伏せてあった激流葬によってフィールド上のモンスターが再度すべて破壊された。

……通っていればシンクロ召喚でショウフク出していたのに。

さすがにそう簡単には勝たせてくれないか。

｢破壊された風竜星ホロウの効果発動。デッキから炎竜星シュンゲイを特殊召喚｣

｢させない｣

さらに湧いてきたシュンゲイも奈落の落とし穴に叩き込まれて消滅した。

……おいおい、マジかよ。

｢通常魔法、竜星の輝跡を発動。墓地の炎竜星シュンゲイと風竜星ホロウ、水竜星ビシキをデッキに戻して二枚ドローする｣

これで手札は三枚。伏せカードは一枚と。なんとしてでもシンクロしないとジリ貧になるな。

｢ジャンク・シンクロンを召喚。効果で墓地から水竜星ビシキを守備表示で特殊召喚｣

恵の伏せカードはゼロ。ようやくシンクロができる。

｢レベル２の水竜星ビシキにレベル３のチューニング｣

ソリッドビジョンがあれば即席口上を唱えるのだが、これはテーブルデュエルだしなぁ。恰好がつかない。

２＋３の５で何を出そうか。カタストルは恵のデッキがあれなんで却下、サンサーラは攻撃能力ないから却下……。まあ、無難にあれかな。

｢シンクロ召喚、TGハイパー・ライブラリアン｣

ジャンドのせいで制限がかかったこのカード。今はその効果は全く役にたたないバニラカードになっているが……。

｢バトル、TGハイパー・ライブラリアンでダイレクトアタック｣

4000→1600

｢……まだ｣

ようやくダメージが通ったと。罠が多過ぎてライブラリアンを出すだけで精一杯だった。

｢ターンエンド｣

恵にターンを渡すのが恐すぎる。伏せカードは残念ながら攻撃対応系のカードではないから尚更。

｢ドロー。ん……。これ、出す｣

カードを一枚引いて一つ頷くとゾンビマスターを通常召喚する。

｢効果……出す｣

恵は手札から先程ゴブリンゾンビの効果で手札に加えていたゾンビキャリアを切って、墓地からゴブリンゾンビを復活させる。それにともなって生還の宝札の効果で三枚ドロー。……手札が増えてるのだが。

｢さらに……発動｣

ゾンビキャリアの効果によって手札を一枚デッキの一番上に戻し墓地から自身を特殊召喚。そして三枚ドロー。……減らないなぁ。

｢……シンクロ｣

そして出てくる氷結界の龍ブリューナク。そして恵の手札は現在十枚。通すと死ねる。

｢……ライブラリアンの効果発動。一枚ドロー。手札のエフェクト・ヴェーラーの効果発動。このカードを墓地に送ってブリューナクの効果を無効にする｣

引いたカードがヴェーラーである。こなければ即死だった……。

｢残念。……魔法｣

生者の書-禁断の呪術-によってゾンビマスターが復活。俺の墓地からビシキが除外された。そして三枚ドロー。

｢そして……｣

ゾンビマスターの効果で手札のゾンビマスターを墓地に送り、その送ったゾンビマスターが復活。そして三枚ドロー。

さらにそのゾンビマスターの効果によって手札のゾンビキャリアが切られ、ゾンビキャリアが復活。そして三枚ドロー。

……これで手札が十六枚だぞ？

｢……シンクロ｣

ゾンビキャリアとゾンビマスターのシンクロで出てきたのは蘇りし魔王ハ・デス。完全に俺の竜星対策だよなぁ。

｢……効果｣

手札を一枚戻し、ゾンビキャリアが復活。そして三枚ドロー。

手札十八枚……。

｢シンクロ｣

ゾンビキャリアとゴブリンゾンビのシンクロでオリエント・ドラゴン。ライブラリアンはゲームから除外された。除外なので竜星の具現化は使えない。

ゴブリンゾンビの効果でゾンビマスターを手札に加えたようだ。

｢……速攻魔法｣

サイクロンで伏せカードを破壊しにくる。なんかもう負け決定な気がするが一応発動するか。

｢チェーンして永続罠、リビングデッドの呼び声。墓地の炎竜星シュンゲイを復活。サイクロンで破壊され、それに伴いシュンゲイの効果と竜星の具現化の効果発動。デッキから風竜星ホロウと水竜星ビシキを守備表示で特殊召喚する｣

守備力1800のホロウと守備力2000のビシキ。これを破壊できるアンデット族モンスターはハ・デスのみ。

故にこのままバトルフェイズに入ってくれれば防ぎ切れるはずである。まあ、あの手札枚数(十六枚＋ゾンビマスター)からすれば確実に突破されそうではあるが……。

｢もう一回……｣

速攻魔法、異次元からの埋葬を発動しゾンビキャリアが二枚墓地に戻る。

あ、負けたな。

｢……効果｣

手札を戻し、ゾンビキャリアが復活。そして三枚ドロー。

｢シンクロ｣

ゾンビキャリアとゾンビマスターで二枚目のハ・デス。

これで勝ちが確定したはずなのにも関わらず、容赦のない恵は止まらない。

｢……ん、まだ｣

ゾンビキャリアの効果で手札を戻して三枚ドロー。これで手札は二十枚の大台に乗った。

｢……発動｣

おろかな埋葬で馬頭鬼が墓地へ。フィールドを埋める気満々だよこの子……。



｢……シンクロ｣

ハ・デスとゾンビキャリアでシンクロ。出てきたのはスクラップ・ドラゴン。まあ、なんでもいいような気がするのだが。竜星の具現化はもうこのターン中は効果使えないし。

｢さらに……｣

馬頭鬼の効果でハ・デスが蘇り、さらに三枚ドロー。これで恵の手札は二十二枚。デッキ枚数が四十枚の恵の残りデッキ枚数はたったの六枚。

信じられるか？まだ二回しか恵のターンは回ってきてないんだぜ？

｢戦闘……｣

ハ・デス二体にホロウとビシキを効果無効の上に破壊され、総攻撃を食らった。

4000→1700→－600→－3400

アニメ版生還の宝札のチートさ具合が凄いね。一瞬で手札が揃うし。

｢俺の負けだな｣

ちなみに恵の手札には大量の罠がありました。仮にこのターン耐えても勝てなかった可能が高い。

ゾンビマスターもいるし。

｢ん、満足｣

そこまでボコボコにすればそうでしょうね。ちなみに傍らから見ていた沙羅はマヌケな顔で固まってる。

｢生還の宝札を出されると勝てんな……｣

勝てるとしたらバーンか全盛期征竜かシャドール辺りを使うしかないだろう。あとはAFとか。

｢……ん｣

擦り寄ってくる恵の頭を撫でながらカードを片付ける。

……本当にあの時は勝ててよかった。



・竜星の具象化
永続罠
(1)：１ターンに１度、自分フィールドのモンスターが戦闘・効果で破壊された場合にこの効果を発動できる。
デッキから「竜星」モンスター１体を特殊召喚する。
(2)：このカードが魔法＆罠ゾーンに存在する限り、自分はＳモンスター以外のモンスターをエクストラデッキから特殊召喚できない。


・光竜星－リフン
チューナー・効果モンスター
レベル 1
属性 光
種族 幻竜族
攻撃力 0
守備力 0
「光竜星－リフン」の(1)(2)の効果は１ターンに１度、いずれか１つしか使用できない。
(1)：自分フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。
デッキから「光竜星－リフン」以外の「竜星」モンスター１体を特殊召喚する。
(2)：このカードが墓地に存在し、自分フィールドの「竜星」モンスターが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。
このカードを墓地から特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合除外される。


・水竜星－ビシキ
効果モンスター
レベル 2
属性 水
種族 幻竜族
攻撃力 0
守備力 2000
｢水竜星－ビシキ」の(1)の効果は１ターンに１度しか使用できない。
(1)：自分フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。
デッキから「水竜星－ビシキ」以外の「竜星」モンスター１体を攻撃表示で特殊召喚する。
(2)：１ターンに１度、相手のメインフェイズ及びバトルフェイズに発動できる。
自分フィールドの「竜星」モンスターのみをＳ素材としてＳ召喚する。
(3)：このカードをＳ素材としたＳモンスターは、罠カードの効果を受けない。


・炎竜星－シュンゲイ
効果モンスター
レベル 4
属性 炎
種族 幻竜族
攻撃力 1900
守備力 0
「炎竜星－シュンゲイ」の(1)の効果は１ターンに１度しか使用できない。
(1)：自分フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。
デッキから「炎竜星－シュンゲイ」以外の「竜星」モンスター１体を守備表示で特殊召喚する。
(2)：１ターンに１度、相手のメインフェイズ及びバトルフェイズに発動できる。
自分フィールドの「竜星」モンスターのみをＳ素材としてＳ召喚する。
(3)：このカードをＳ素材としたＳモンスターは、攻撃力・守備力が５００アップする。


・風竜星－ホロウ
効果モンスター
レベル 1
属性 風
種族 幻竜族
攻撃力 0
守備力 1800
「風竜星－ホロウ」の(1)の効果は１ターンに１度しか使用できない。
(1)：自分フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。
デッキから「風竜星－ホロウ」以外の「竜星」モンスター１体を攻撃表示で特殊召喚する。
(2)：１ターンに１度、相手のメインフェイズ及びバトルフェイズに発動できる。
自分フィールドの「竜星」モンスターのみをＳ素材としてＳ召喚する。
(3)：このカードをＳ素材としたＳモンスターは、魔法カードの効果を受けない。


・輝竜星－ショウフク
シンクロ・効果モンスター
レベル 8
属性 光
種族 幻竜族
攻撃力 2300
守備力 2600
チューナー＋チューナー以外の幻竜族モンスター１体以上
(1)：このカードがＳ召喚に成功した時、このカードのＳ素材とした幻竜族モンスターの元々の属性の種類の数まで、フィールドのカードを対象として発動できる。
そのカードを持ち主のデッキに戻す。
(2)：１ターンに１度、自分フィールドのカード１枚と自分の墓地のレベル４以下のモンスター１体を対象として発動できる。
そのフィールドのカードを破壊し、その墓地のモンスターを特殊召喚する。


・竜星の輝跡
通常魔法
「竜星の輝跡」は１ターンに１枚しか発動できない。
自分の墓地の「竜星」モンスター３体を対象として発動できる。
そのモンスター３体をデッキに戻してシャッフルする。
その後、自分はデッキから２枚ドローする。


・ジャンク・シンクロン
チューナー・効果モンスター
レベル 3
属性 闇
種族 戦士族
攻撃力 1300
守備力 500
このカードが召喚に成功した時、自分の墓地のレベル２以下のモンスター１体を選択して表側守備表示で特殊召喚できる。
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。


・TG ハイパー・ライブラリアン
シンクロ・効果モンスター
レベル 5
属性 闇
種族 魔法使い族
攻撃力 2400
守備力 1800
チューナー＋チューナー以外のモンスター１体以上
このカードがフィールド上に表側表示で存在し、自分または相手がシンクロ召喚に成功した時、自分のデッキからカードを１枚ドローする。


・Ａ・Ｏ・Ｊ カタストル
シンクロ・効果モンスター
レベル 5
属性 闇
種族 機械族
攻撃力 2200
守備力 1200
チューナー＋チューナー以外のモンスター１体以上
このカードが闇属性以外のフィールド上に表側表示で存在するモンスターと戦闘を行う場合、ダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊する。


・転生竜 サンサーラ
シンクロ・効果モンスター
レベル 5
属性 闇
種族 ドラゴン族
攻撃力 100
守備力 2600
チューナー＋チューナー以外のモンスター１体以上
「転生竜 サンサーラ」の効果は１ターンに１度しか使用できない。
フィールドのこのカードが相手の効果で墓地へ送られた場合、または戦闘で破壊され墓地へ送られた場合、「転生竜 サンサーラ」以外の自分または相手の墓地のモンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。


・生者の書－禁断の呪術－
通常魔法
自分の墓地に存在するアンデット族モンスター１体を選択して特殊召喚し、相手の墓地に存在するモンスター１体を選択してゲームから除外する。


・オリエント・ドラゴン
シンクロ・効果モンスター
レベル 6
属性 風
種族 ドラゴン族
攻撃力 2300
守備力 1000
チューナー＋チューナー以外のモンスター１体以上
このカードがシンクロ召喚に成功した時、相手フィールド上のシンクロモンスター１体を選択してゲームから除外する。


・リビングデッドの呼び声
永続罠
自分の墓地のモンスター１体を対象としてこのカードを発動できる。
そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。
このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。


・スクラップ・ドラゴン
シンクロ・効果モンスター
レベル 8
属性 地
種族 ドラゴン族
攻撃力 2800
守備力 2000
チューナー＋チューナー以外のモンスター１体以上
１ターンに１度、自分及び相手フィールド上に存在するカードを１枚ずつ選択して発動する事ができる。
選択したカードを破壊する。
このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時、シンクロモンスター以外の自分の墓地に存在する「スクラップ」と名のついたモンスター１体を選択して特殊召喚する。 

竜星VSアンデット

アニメ版生還の宝札が使えるとアンデロードよりもアンデットの方が回ることに気づきました。その結果がこれ(手札22枚)だよ！

まさしく大惨事。主人公、敗北です。

主人公の使ったデッキは竜星。シリーズ、シンクロモンスターを除いた全モンスターがリクルート効果持ちというデッキですね。シンクロに巻き込めば様々な付加効果をもたらすのでシンクロビートすればなかなか止められないと思います。

特にホロウの魔法耐性とビシキの罠耐性は強いですね。なぜかモンスター効果耐性のやつがいないのでエフェクト・ヴェーラーを投入。

簡単にシンクロできるジャンク・シンクロンやカメンレオンも投入されています。

罠も激流葬を筆頭に結構揃ってるのでガチに手がかかってるのではないでしょうか？(星因士とシャドールのせいで影が薄いケド)