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君と出逢えて

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はじめて。
海と出逢い
  小さな夏


六月下旬。今年の梅雨は早めに終わったのか、からっと晴れた天気だ。しかし、帝光中体育館は、バスケ部の熱い吐息でうめつくされていた。
今日は壮行式の打ち合わせをするため、基礎練習だけだった。


「青峰っち~!わんわんおしないっスか~?」
「1on1な。めんどいからパス」
えーっという黄瀬の声を聞きながら、俺は柔軟を終える。

めんどい、というのは半分本当で半分言い訳だった。
今まで俺は黄瀬に負けたことがない。というのも、黄瀬が遅く入ったからなんだけど。
俺たちの代は「キセキの世代」と言われるほど強く、全国大会を何度も制覇している。
俺も、黄瀬も、その内の一人だ。だからこそ、負けたくない。
足首が筋肉痛な今、今日のメニューですごく感謝しているのに、これ以上そんなことなんてするか、と内心思う。
もう少しで大事な試合があるんだから、当たり前だ。


そんなことを考えていたからかもしれない。左足の方に力をいれてしまい、全身に激痛が走った。その上、慌てて右足でふんでしまう。
「 いってぇぇぇーっ」
「青峰っち!大丈夫っスか?」
「全然大丈夫じゃねーよ。いってぇぇ」
俺はその時何故だか、黄瀬に心配されるのが嫌な気分になり、
痛い足をさすって、もうそろそろ集合をかけるであろう主将の所へ向かった。


「全員集合っー」
虹村主将が声をかけると部員がぞろぞろと集まってくる。これまた密集度が高くなってさらに熱い。
「今日はここまでだ。暗くなる前に早く帰れよ。」
 
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