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『ある転生者の奮闘記』

作者:零戦
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TURN2





「これが旗艦榛名やな……」

 俺は今、呉ドックにいた。

 理由は第四艦隊旗艦の榛名が入渠中やからついでに南雲提督に挨拶でもしとこうかと思ってな。

 あぁ……南雲提督のおっぱい……。

 おっとこれやと俺はまるで変態みたいやないか。

『十分に変態やby作者』

 では行きますかな。

 俺は榛名に入った。





「第四艦隊に配属されました第四戦隊司令官の狹霧です」

「あぁ話は東郷の旦那から聞いているよ。宜しくね」

 俺が提督室に入った時、南雲提督は書類処理をしていた。

「アタシは輸送艦隊を指揮していたけど東郷の旦那が第一線提督にしたからねぇ」

「別に女性が上だからとかは気にしませんよ。今はそんな事を言っている場合やとちゃいますからな」

 満州会戦で日本海軍が敗北して以降、艦隊の再編は大忙しやった。

「そうかい、なら頼むよ。あ、これあげるよ多く作りすぎたからね」

「へぇ、シュークリームや。作るのが得意なんすか?」

 知っているけどな。

「まぁね。アタシは御菓子が専門だよ。何か不満かい?」

「いんや、それは人それぞれやと思う。気にせずに自分の趣味をしたらええと思いますよ」

 俺はそう言ってシュークリームを受け取って一口食べる。

 ……美味いな……。

「へぇ……そうかい、それはありがとうね」

「いやいや。それじゃあシュークリームは頂きます」

「あぁ」

 俺はそう言って提督室を出た。




「……狹霧雪風……ねぇ」

 南雲自身しかいない提督室で南雲は閉じられたドアを見ながらそう呟いた。





 そして日本海軍は中帝国の北京星域に侵攻を開始した。

「……第四艦隊は後方に待機か……」

「小澤提督の空母部隊を試したいのでしょう」

 第四戦隊旗艦摩耶の艦橋で呟いた俺の言葉を副官が答える。

 小澤部隊は空母三隻を陣容とする空母部隊や。

 空母部隊のおかげで艦艇に被害は無いけどな。

「取りあえず周辺の警戒やな。此処は奴等の本拠地やし何処かに潜んどるかもしれん」

 俺の言葉を副官は無言で頷いた。

 中帝国艦隊は空母部隊の航宙攻撃で前線は崩壊している。

 既に敗走する艦艇もチラホラと見えている。

「……北京星域が墜ちるのも時間の問題やな」

 俺はそう呟いた。

 北京星域が占領されるのはそれから三日が経った時やった。




「……暇やな……」

 第四戦隊は今、北京星域を哨戒航行している。

「レーダーに反応は?」

「今のところ有りません」

 奴等は来ないみたいやな。

「ッ!? 来ましたッ!! 中帝国艦隊ですッ!!」

 安心したところで中帝国艦隊がやってきた。

「数は?」

「巡洋艦一、駆逐艦八隻の一個水雷戦隊です」

 偵察艦隊やろか……。

「よし、これより迎撃に入る。旗艦榛名に伝えろッ!! 全艦砲雷撃戦用意ッ!!」

 高雄型四隻の巡洋艦は摩耶を先頭にして単縦陣になって中帝国艦隊に迫る。

「前部主砲発射用意良しッ!!」

「照準を敵巡洋艦の艦橋に設置や」

「ヨーソロー」

 前部主砲が微調整をして敵巡洋艦の艦橋を狙う。

「準備完了ッ!!」

「撃ち方始めェッ!!」

 前部主砲が一斉に砲撃を開始した。

 主砲から発射された青白いビーム弾は初弾で敵巡洋艦の艦橋に命中した。

「敵水雷戦隊が乱れましたッ!!」

 まぁそうやろな、いくら強敵な艦隊でも親玉を討たれたら後は烏合の衆やからな。

「丁字戦法に入る。取り舵一杯ッ!!」

「とぉーりかぁーじッ!!」

 四隻は取り舵をして敵水雷戦隊に横腹を見せる。

「全主砲撃ち方始めェッ!!」

 四隻の主砲十六基が一斉に砲撃を開始した。

 この砲撃から逃れる事が出来たのは僅か二隻の駆逐艦だけだった。

 残りは全て宇宙に花火を打ち上げたのである。

 二隻は平文で降伏すると打電して白旗を掲げた。

「敵駆逐艦が白旗を掲げました」

「主砲はそのままにして近づけ。臨検隊は乗船用意や」

 呆気なかったな……やはり向こうの士気は低いんやろな。

「二隻を接収後に北京に戻るで」

 俺はそう言った。

 第四戦隊は二隻の駆逐艦を引き連れて帰還した。





――戦艦長門――

「狹霧の奴、中々幸先の良い事をしてくれたじゃないか」

 秋山から報告を聞いた東郷長官はニヤリと笑う。

「指揮官として十分な素質はあるな」

「自分としては田中提督と交換してもらいたいくらいです」

 秋山参謀は溜め息を吐きながらそう呟いた。

「なに、田中みたいな暴れん坊もまた必要さ」

 東郷長官はハッハッハと笑う。

「狹霧は何処まで見せてくれるのだろうな」

「……自分としては東郷長官と代わってもらいたいくらいですけどね」

 秋山参謀は胃の辺りを押さえる。

「胃薬ならあるぞ」

「それは私が常備している胃薬ですッ!!」

「ハッハッハ」

 日本海軍長官と参謀は何時も通りの通常運転だった。







 
 

 
後書き
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