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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第二十二話






「……もしかしたらこれが出来るかもな」

 俺はそう呟くと左バッターが構えるように右足を前に出し、それから腰を低く落として右手を前にしてジャンケンのパーにしてから黄巾軍兵士に向け、日本刀は左手で持って右手の親指と人差し指の間に日本刀を入れた。

「……行くぞ」

 俺はグッと脚に力を込めて、氣を脚から出すようにして黄巾軍兵士達に突撃をする。(所謂瞬発力を強化)

「ハアァァァッ!!」

 俺は突きを繰り出すが、黄巾軍兵士はそれを避ける。

 ……が……。

「甘いッ!!」

 俺は外されたと思うと、すかさず横なぎの攻撃をする。

「ガァッ!!」

 腹を斬られた黄巾軍兵士が倒れる。

 よく見たら腸が露出してるな。

「さて、次はどいつだ?」

『ヒイィィィッ!!』

 俺の言葉に周りの黄巾軍兵士達は悲鳴をあげる。

 そしてあっという間に蜘蛛の子を散らすかのように逃げていく。

「追いますか?」

「いや、どうせ直ぐに捕まるから放っておく。孫権は大丈夫か?」

 俺は孫権に声をかける。

「あ、あぁ。私は大丈夫だ」

 孫権は自分の剣を拾いながらそう言う。

「ならいい……」

 ……安心したら急に身体が重くなってきた な。

「氣を使ったせいです隊長。しばらく休んでて下さい」

「あぁ、スマンな」

 俺は地面に座る。

「修行したら牙突はかなりの技になるかもな」

 さっきの攻撃は所謂『牙突』だ。

 前世でるろ剣の牙突を漫画で見たけど瞬発力が凄かったから、もしかしたらと思ってやったけど上手くいくとは思わなかったな。

「大丈夫か長門ッ!?」

 そこへクロエが来た。

「まぁ……何とかな……」

 あれ? 何か、かなりしんどくなってきたな……。

「嘘をつけッ!! 腹から血が大量に出てるぞッ!!」

「……それでしんどいのか……」

「いや普通に分かるだろッ!!」

「ちょっと立て込んでたんだよ」

 俺は包帯を取り出して止血をする。くぅいてぇ、腹いてぇ。

「取りあえずロッタを呼んでこないとな」

「此処にいるわ」

「ロッタ? いたんか?」

「美羽に「多分長門は乱戦で誰かを庇って負傷すると思うから行ってほしいのじゃ」と頼まれたのよ」

 ……美羽の勘は凄いなおい。

「じゃあするわよ『ファーストエイド』」

 俺の身体が光に包まれ、光が収まると傷口からの出血が止まっていた。

「はぁ……死にかけた……」

「少しは気づけ……」

 クロエに溜め息を吐かれた。

「お、王双……」

「ん?」

 急に孫権から声をかけられた。

「その……助けてくれてありがとう……。怪我は大丈夫か?」

 ……何かモジモジとしているけど、可愛いな……。

「あぁ大丈夫だ。孫権が無事なら怪我の一つや二つくらい平気だよ」

「そ、そう……」

 ……あれ? 今、フラグが立ったような……気のせいか。

ジャーンッ!!ジャーンッ!!

「蓮華様ッ!!」

 そこへ周泰が現れた。

「黄巾軍は壊滅しましたッ!! しかし、敵将である張三兄弟は油を被り火を付けて自決したようですッ!!」

「周泰。それは誰か見たのか?」

 俺は周泰に尋ねる。

「は、夏侯淵様が確認したようです。ですが、死体は黒焦げでどれかは判別が不可能のようです」

 ……多分生きているな。

「……そうか。なら俺達は主力部隊と合流するか。凪、悪いけど肩貸してくれ」

「あ、はい」

 凪が俺の左腕を触ろうとした時、孫権が俺の左腕を取って、自分の肩に回した。

「そ、孫権?」

「……借りは作りたくないからな」

「……ならお言葉に甘えるよ孫権」

「……蓮華だ。之からはそう呼べ」

「いいのか?」

「あぁ、私を助けてくれたんだ。言っておくが相応の意味でだからな」

 ……ツンデレ乙です。

 そして俺達は主力部隊と合流した。





「へぇ~蓮華が真名を許すなんてねぇ~。何なら長門、蓮華を貰ってもいいわよ?」

「か、母様ッ!!」

 夏蓮が蓮華を茶化しながら笑い、蓮華が顔を真っ赤にしながら怒る。

 まぁ、後で孫策にも茶化されるのだが……。

 討伐部隊は張三兄弟が自決した事により、解散となった。

「夏蓮様、我等と同盟を結びませぬか?」

 合同軍儀で霞が解散を宣言をして、自軍へ帰る途中に美羽が夏蓮に言う。

「えぇいいわ」

 夏蓮は即答した。

「そんなに簡単でいいのか?」

「いいのよ。『同盟を結んだ方がいい』と私の感も言ってるしね」

「夏蓮殿……」

 夏蓮の隣で周瑜が頭を押さえながら溜め息を吐いた。

 こうして、漢王朝を震わせた黄巾賊の乱は終わりを告げた。






 
 

 
後書き
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